補助キーボードは、国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでの職業訓練中に講師のすすめで使い始めた麻痺のある右手もうまく使い、事務作業にあたる日本語入力補助キーボードを使って伝票を入力する井上楓さんパソコンでの作業のほか、書類のファイリング作業など さまざまな業務をこなす 島根県益田市に本社を置く大畑建設株式会社は、土木や建築をはじめ、造園、公園管理運営など総合建設業として幅広い業務を行っている。同社では、身体障害や知的障害のある従業員6人が、個々の特性を活かして事務や造園、公園管理などさまざまな仕事で活躍している。 入社10年目の井いの上うえ楓かえでさん(29歳)もその一人。井上さんは、高校卒業後、当機構(JEED)の国立吉備高原職業リハビリテーションセンターで、機械CADを学んだ。「地元で働きたい」との思いから同社に入社し、現在は経営管理部において事務系業務を担当している。脳性麻ま痺ひにより右手が不自由な井上さんは、片手で日本語やアルファベット、数字などが入力できる日本語入力補助キーボードを駆使して、会計伝票などの入力を行っている。 造園部で働く入社13年目の日ひの熊くま新しん次じさん(53歳)は、島根県立サッカー場で芝の管理にたずさわる。同サッカー場の天然芝は、サッカーのプロリーグが開催されるスタジアムと同じ仕様であり、その維持には日々の手入れが欠かせない。知的障害のある日熊さんは、上長や同僚とともに青々とした芝の維持管理に尽力しており、同社を「長く働き続けたい職場」だと語る。 入社20年目の岡おか崎ざき則のり幸ゆきさん(59歳)は、同社における障害者雇用のきっかけとなった従業員だ。同社が県立万まん葉よう公園の指定管理者となった際、前の指定管理者のときから万葉公園で働いていた知的障害のある岡崎さんを雇用。維持管理作業員としての十分な仕事ぶりが、障害者雇用に取り組むきっかけとなった。岡崎さんは「体力の続くかぎり、働き続けたいです」と語る。 同社では、障害のある従業員が貴重な戦力となっており、「地域、社会に貢献する」という経営理念のもと、今後も障害者雇用に積極的に取り組んでいくという。働く広場 2025.216
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