働く広場2025年2月号
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とにより、生徒が自信を持ち、卒業後の社会的・職業的自立に向けた意欲を高める③企業等をはじめ、県民の理解啓発を図ることで、産業現場等における実習の受入れや雇用機会の拡大などにつなげるなど、共生社会の形成に資する 青森県特別支援学校技能検定・発表会で実施する種目は、他県と同様に「職業技能」部門として「清掃」、「接客サービス」、「PC入力」を実施してきた。 なお、2023(令和5)年度より、農福連携の推進によって新たに「農業」を実施している。 また、ICTなどのさまざまな表現手段を用いて、将来の働くことやいまの学びに対する生徒の「思い」を「プレゼンテーション」、「パフォーマンス」で表現する、全国初の「コミュニケーション」部門を設定し、初級、中級、上級を認定している(図1)。 そのほか、各校による展示・デモンストレーションブースを設置し、来場者を対象に盲学校理療科生徒による、あんま・マッサージの施術を行っている。なお、かつては聾学校生徒による手話教室なども行われていた。 これらが共存することによる相乗効果は大きく、すべての種目において生徒の「思い」の表出や「対話」を大切にするとともに、「なぜ・なんのために」技能検定つながるものととらえられる。また、このことは共生社会の形成に向けた重要なポイントを示唆しているといえる。 なお、地域協働活動や技能検定はあくまでもキャリア発達をうながす手段の一つであり、これらの取組みそのものが目的化してしまわないように留意する必要がある。また、キャリア発達の視点をふまえ、「何をしたか」というアウトプットだけではなく、取り組んだ結果、「何が変化したか」というアウトカムについて着目し、児童生徒一人ひとりをとらえていく必要があると考える。 1 実施する部門・分野 青森県では、生徒の生きる力と夢や志を育む教育の一環として技能検定を位置づけ、他県の取組みを参考としながらすべての生徒を視野に入れた技能検定を開発し、2015年にプレ大会を、そして2016年から本格実施した。 青森県特別支援学校技能検定・発表会の目的は次の3点である。①高等部を設置するすべての県立特別支援学校が一堂に会し、技能検定・発表会を開催することにより、各校の教育活動の成果を共有し、いっそうの充実を図る②企業等の専門家からの評価を受けるこ青森県特別支援学校 技能検定・発表会ることによる雇用促進を目的に、15歳以上の者を対象として行われてきている。 アビリンピックと技能検定のおもな違いは、「競技」と「検定」という点である。アビリンピックは参加者同士が競うものであり、相対評価として「順位」という形で結果がフィードバックされる。 一方、技能検定は、評価規準に基づいて参加者個々の到達程度を評価し、絶対評価として「級」という形で結果がフィードバックされる。  近年、推進が図られてきた地域協働活動や特別支援学校技能検定において着目したい成果として、第一には生徒が、だれかのために何かをし、役に立つことで手応えを感じたり、目標を持って何かにチャレンジしたりすることによる「働くこと」や「学ぶこと」に対する意欲の向上があげられる。また、学校を越えた学び合いや、他者から認められることによる生徒の「学び」や「育ち」があげられる。 そして第二にはその支援を通した、教師や企業等の関係者の意識の変容があげられる。 くり返しになるが、地域協働活動や特別支援学校技能検定は、キャリア発達の「相互性」や「同時並行性」による、環境側のキャリア発達やキャリア開発にもキャリア発達の相互性「青森県特別支援学校技能検定・発表会」開会式の様子各校の作業製品が展示され、生徒が取組みについて説明を行った働く広場 2025.222

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