た生徒たちの参加の間口を広げることにつながった。表1にこれまでの技能検定発表会の参加生徒数の推移を示す。(3)大会のふり返りから これまでの大会後の生徒たちのふり返りからは、「練習の成果を発揮できてよかった」、「もっと練習したいと思った」、「練習通りできなかったけれど、最後までがんばることができた」、「緊張したり思うようにできなかったりしてとてもくやしかった」、「自分の夢について考える機会になった」、「他校の生徒や先輩の姿に感動した」、「自分もやってみたいと思った」などがあげられた。 また教員からは、「できるだけ多くの生徒に経験させたい」、「普段は見せない生徒の真剣な姿を見ることができた」、「生徒の姿から将来に向けてしなければならないことを考えさせられた」、「検定を見た生徒が先輩の言葉づかいやふるまいから、見習うべきところを学んでいた」などがあげられた。 さらに保護者からは、「みんなと一緒に一生懸命パフォーマンスしている姿を見て涙が出た」、「重い障害のある生徒も自分の得意なことや好きなことを表現する場があり、本人の自信につながったと思う」、「審査員との質疑応答は将来の働た。生徒は元気よく「はい!」と応じた。 このような対話こそ、日々の教育活動や技能検定・発表会に向けた指導・支援において大切にしてほしいことである。生徒にとっての「なぜ・なんのため」をふまえて指導計画を再考するとともに、技能検定・発表会に向けた生徒の「思い」や「願い」、そして技能検定・発表会後の生徒の「思い」や「願い」を大切にした指導・支援が肝要となる。②パフォーマンス発表分野 パフォーマンス発表分野では、ダンスパフォーマンスなどを通して、できる力を精いっぱい発揮することが多くみられている。過去には、いわゆる重度重複障害のある生徒が視線や身ぶりで意思を伝えたり、知的障害のある生徒が空手やピアノ演奏など、日ごろ努力して磨いてきたことを表現したりすることにより、来場した多くの人の感動を引き出したこともあった。 パフォーマンス発表分野の進行と審査は、地元のお笑い芸人である「あどばるーん」の2人が担当しており、ライブ感満載の問いかけで、生徒の「思い」を引き出していた。 なお、コロナ禍の際は、オンラインによる技能検定・発表会を運営し、企画・運営にかかわる教員の「学びを止めない」という熱意が、いわゆる重度重複障害や精神疾患等により対面参加が困難であっく力につながる」などがあげられていた。 多くの人の「思い」があふれる大会の成果を、今後日々の教育活動につなぐとともに高等部生徒をロールモデルとした、小・中学部や小中学校等の特別支援学級に在籍する児童生徒の学びや育ちにつなげていくことが期待される。また、企業等の障害者雇用の理解啓発に向けた社会発信もより肝要となるであろう。今後のいっそうの発展が期待される。 (付記) 本稿は文献3・4を基に再構成したものである。「パフォーマンス発表分野」。審査員や観客に向けて趣向を凝らしたパフォーマンスを披露する検定分野2016プレ大会2017第1回大会2018第2回大会2019第3回大会2020第4回大会2021*第5回大会2022第6回大会2023第7回大会2024第8回大会清掃861101001031241005895120接客サービス24313338332718923PC入力286150564559423559農業ーーーーーーー1524プレゼンテーション発表23211920201017135ポスター発表1213128920ーーパフォーマンス発表941441251047575445753受検者・発表者計267380339329306273179224284総参加者数63910001046947881585338747692*2021年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延状況によりオンライン等による開催※主催者資料を基に筆者作成表1 技能検定発表会の参加生徒数 (人)働く広場 2025.225文献:1.藤川雅人・松見和樹・菊地一文(2016)特別支援学校(知的障害)高等部における技能検定についての調査研究.発達障害研究38(3),314-324日本発達障害学会.2.明官茂(2016)平成28年度文部科学省特別支援教育教育課程研究協議会知的障書教育部会助言資料.3.菊地一文(2016)特別支援学校技能検定の意義とその指導において求められること.実践障害児教育(523)2-5学研教育出版.4.菊地一文(2017)夢や志、チャレンジする心を育む「青森県特別支援学校技能検定・発表会」.実践障害児教育(523)2-5学研教育出版.
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