働く広場2025年2月号
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省 庁農福連携の推進について農林水産省 農村振興局 都市農村交流課1 広がりを見せる農福連携 農福連携は、農業と福祉が連携し、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組です。 農業の労働力確保という課題を抱えている農業・農村分野、障害者の働く場の確保という課題を抱えている福祉分野、その両者が連携することで、双方の課題を解決できるのではないかとの考えから、農福連携の取組が推進されてきており、現在、様々な形で取組が広がっています。 さらに、地域で暮らす一人ひとりの社会参画を図る観点から、農福連携を、ユニバーサルな取組として、障害者のみならず、高齢者、生活困窮者、ひきこもりの状態にある者等の就労・社会参画支援、犯罪をした者等の立ち直り支援等にも対象を広げ、また、その分野も農業のみならず林業や水産業に広げる農福連携等も推進されてきています。 農福連携と聞くと、農業者が障害者を雇用する形、障害者就労施設が農業生産や農産物加工に取り組む形をイメージするのではないかと思いますが、それ以外にも、障害者就労施設が農業者の元に出向き、農作業の一部を請け負う事例、特例子会社が農業に参入する、もしくは地域の農作業を請け負う事例など、地域の実情や課題に則した様々な農福連携の形が生まれてきています。 また、2019(令和元)年に官房長官を議長とする「農福連携等推進会議」において決定された「農福連携等推進ビジョン」に基づき、これまで、①官民が連携する農福連携等応援コンソーシアムが実施するノウフク・アワードの選定・公表による優良事例の横展開、②障害特性等を踏まえた農福連携の実践手法を現場でアドバイスする専門人材の育成、③障害者が農作業を行うために必要な生産施設や休憩所、トイレ等の整備等の支援、を行ってきたところ、農福連携に取り組む主体は、令和2年度からの4年間で3062件増加し、令和5年度末時点で7179件となっており、農福連携の取組は着実に広がっています。2 農福連携推進の方向性 「農福連携等推進ビジョン」の決定から5年が経過し、農福連携を取り巻く現状や課題が変化していることを踏まえ、2024年に農福連携等推進会議が開催され、「農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)」が決定されました。新たなビジョンでは、「地域で広げる」、「未来に広げる」、「絆を広げる」を新たなスローガンとして、政府一体となって、厚生労働省、農林水産省のほか、法務省、文部科学省の関係4省庁で連携して取組を進めていくこととしています。また、新たに、令和12年度末までに農福連携等に取り組む主体数を12000以上、地域協議会に参加する市町村数を200以上とする目標が設定されました。 今後は、新たなビジョンに基づき、①地域協議会等の活動を通じた地域単位での推進体制づくりの後押し、②11月29日を「ノウフクの日」に制定し、企業・消費者も巻き込んだ農福連携等の更なる展開や普及、③世代や障害の有無を超えた多様な者の交流・参画の場としてのユニバーサル農園の普及・拡大などの取組を推進することとしています(図)。3 農福連携の更なる展開や普及に向けた取組 初めてのノウフクの日となる令和6年11月29日には、総理官邸において、「ノウフクの日」制定記念交流会が開催されたほか、企業をメインターゲットとした「ノウフクの日」制定記念イベントを開催するなど、全国43カ所でノウフクの日の関連イベントが開催されました。また、令和7年1月22日には、農福連携に取り組む団体、企業等の優良事例22団体を農福連携等応援コンソーシアムが主催する「ノウフク・アワード2024」において表彰しました。これまでの5年間で延べ109団体(44都道府県)の優良事例を表彰し、働く広場 2025.226

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