来ていた上司らによると「昨年は技能五輪のサポートチームに同行していました。本人は技能検定2級にも合格し、特訓を重ねてきました」という。競技後、同僚たちに囲まれ大粒の涙をこぼしていた静谷さん。「ミスに気づかず作業を進めてしまいました。来年は必ず完成させて入賞、いや金賞を目ざします」と力強くリベンジを誓っていた。 「パソコン組立」は、デスクトップ型パソコンの中身を組み立て、ソフトウェアのインストールや設定を行う(4時間)。ハードとソフトの両面から、作業の完成度や的確さなどを競う。石いし原はら正しょう太た郎ろうさん(愛知県)は、情報システム会社でデータ整理などを担当。前職でパソコン組立の経験があるが、今回は残念ながら完成しなかった。同僚たちに励まされつつ「途中でどこかが破損したのか、画面が映らなくなりました。こうしたトラブル回避も競技のうちですね。また挑戦したいです」とふり返っていた。●歯科技工/義肢/家具/木工 「歯科技工」の課題は、歯科医療で使とか完成させました。今度は、みんなに嫉妬されるような作品を目ざしたいです」と意欲をみせ、努力賞を受賞した。 「コンピュータプログラミング」は、人間と同様に手先の位置と方向を操作できる小型卓上ロボットアームの動きを指示するプログラムを作成し、今回は埴はに輪わの描画を完成させる(6時間)。大手建材メーカーに勤める上かみ島しま一かず晃あきさん(埼玉県)は、5回目の全国アビリンピックで、これまでに「表計算」種目で努力賞を受賞している。「今大会に向けて使用プログラムのロジックを覚えましたが、とにかく計算などがむずかしかったです。今後もメダルを目ざしてがんばりたいです」と前向きだった。●機械CAD/建築CAD/電子機器組立/パソコン組立 「機械CAD」の課題は、3次元CADシステムを使用した「伝動軸」の部品図と組立図、組立図と立法分解図の作成(3時間10分)。与えられた組立図、部品図を読図して立体的に把握し、指示内容にしたがって作図と寸法記入などを行う。木き村むら智とも成なりさん(福井県)は、15年以上勤める大手電子部品メーカーで機械CADを使いこなす。応援に来ていた上司や同僚は「片手が使えない彼にとって、この競技は時間的なハンディキャップがあると感じます」と話していたが、木村さんは「言い訳はしません。全国アビリンピックの問題のレベルが高かったですね。競技のための時間配分が必要でした」と悔しそうにふり返っていた。 「建築CAD」は、小規模なグループホームを目的とした鉄筋コンクリート造2階建てビルの図面(縮尺1/100の平面図、立面図、断面図)をA3用紙2枚に仕上げるなかで、作業の正確さと速さを競う(3時間30分)。佐さ藤とう康こう太た郎ろうさん(東京都)は、勤続11年になる大手住宅メーカーで住宅内部設計を担当。4回目となる全国アビリンピックに向けて練習を重ねてきたそうだ。「まだまだ甘いところがあって、悔しい思いがあります」と明かしたが、今回は同種目出場選手のなかで唯一の入賞となる銀賞に輝いた。 「電子機器組立」の課題は、省エネコントローラーの組立(4時間30分)。近年の機器小型化にあわせ、競技でも3・2㎜×1・6㎜、厚さ0・6㎜など小さな部品を正確に取り扱う技術が求められている。電子機器関連企業に勤めて2年目の静しず谷や康こう平へいさん(栃木県)は全国アビリンピック初挑戦。応援に「データベース」銀賞、手島拓身さん(東京都)「コンピュータプログラミング」上島一晃さん(埼玉県)「機械CAD」木村智成さん(福井県)「建築CAD」銀賞、佐藤康太郎さん(東京都)「電子機器組立」静谷康平さん(栃木県)「ホームページ」努力賞、上間真弓さん(沖縄県)「パソコン組立」石原正太郎さん(愛知県)働く広場 2025.37
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