働く広場2025年4月号
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ボイルしたカキの身をカキ殻に詰めるホワイトソースづくりにも、障害のある従業員がたずさわっているカキ殻のトリミングを行う藤本美枝さん(右)ハサミでカキ殻の形や大きさを整える「トリミング」トレイにきちんと収まるサイズにトリミングする 株式会社カン喜は、山口県周南市にある食品加工会社で、カキフライやカキグラタンなどの冷凍食品の製造や販売を手がけている。従業員の半数近くが知的障害や精神障害、身体障害のある従業員で、手数のかかる作業が多い食品加工業において、欠かすことのできない働き手となっている。 グラタンの製造工程で、カキ殻のサイズを整える「トリミング」を行っていた藤ふじ本もと美み枝えさん(45歳)は、「仕事は楽しいです。カキ殻をバランスよく並べるように心がけています」と話す。グラタンの製造では、ホワイトソースづくりや盛りつけ、包装や梱包など、製品づくりの各工程において障害のある従業員が活躍している。 同社では、生産工程を細分化しており、障害特性に合った工程を担当することで、重度の障害のある従業員が活躍できる職場環境を整えている。アジフライの製造ラインで働いていた檜ひ垣がき雄ゆう一いちさん(34歳)は、粉つけ機から出てきたアジの形を整える工程にチャレンジ中。適性がありそうな工程を試験的に担当し、特性に合うかを見きわめている最中なのだという。 働きやすい職場環境は、高い職場定着率につながっており、勤続20年以上の従業員も多い。個別凍結した冷凍カキの包装工程で働く福ふく重しげ亨とおるさん(52歳)もその一人で、勤続36年のベテラン。「働き始めたときはたいへんでしたが、いまは楽しい。長く働き続けたい職場です」と話す。 同社では、障害のある従業員のためのグループホームを運営するなど、従業員の生活を支えることにも力を入れている。2021(令和3)年には、さまざまな取組みが評価され、山口県第1号となる「もにす認定制度」(障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度)の認定を受けている。今後も、職場見学や職場実習を積極的に受け入れるなど、障害者雇用に向けた取組みを続けていくという。働く広場 2025.416

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