たい」と神原さんは熱く語ってくれた。 会社名「リンクライン」に込めた思い=「心と心をつないでいく関係」が、これからも多くの人と人をつなぎ、新たな世界を切り拓いていく。 3人目は、株式会社ドコモ・プラスハーティ(以下、「ドコモ・プラスハーティ」)事業運営部グループ支援部門担当部長の岡おか本もと孝たか伸のぶさんにお話をうかがった。 岡本さんは、2015年にドコモ・プラスハーティを立ち上げ(2016年に株式会社NTTドコモの特例子会社に認定)、重度障がい者が働ける職場をつくった(『働く広場』2020年8月号参照)(※3)。同時にグループ支援部門をつくり、ドコモグループ各社の障がい者雇用の採用から定着までのノウハウを提供するコンサルティングをになう部署も立ち上げた。立ち上げから約10年、岡本さんの次なる挑戦は「キャリアプラスプログラム」だ。 生活や仕事のなかで岡本さんは、おかしいと思うことをほっとけない人。それは生き方として「美しくないから」。これはもう性分なのだろうと岡本さんはいう。この国をよくしたいとか、子ども世ドコモの新たなチャレンジ岡本さんは、 「ほうっておけない人」から買い、大切な人へのプレゼントとして贈るという、その商品をつくっているのが、じつは障がい者だったと後づけで知ってもらえることを目ざしてきました。最近それを実感できることが増えてきたことがすごくうれしい。本当にうれしい」 「最近では、講演の機会をいただくことも増えています。そのなかで、講演後にわざわざ自分のところに来てくれて『私、この石鹸買っていました』、『この間、大好きなお店で友達にあげた石鹸がじつはリンクラインさんの石鹸だったって、いま知りました』という話を聞くシーンが増えているんです。やっと、つながれてきているっていうその感覚が、僕はすごくうれしくて、これこそが障がいあるなしに関係なく『普通にこれが欲しいと思ったから買う。だれかにプレゼントしたいと思うから買う』。そんな世の中にしたい。もしかしたら、身の回りにあるすべてのものが、障がいのない人がつくったとか障がいのある人がつくったとか関係なく、よいものだから使っているといった時代になれば、障がい者雇用の世界観も変わってくると思いますね。障がいのあることを普通に告白できる。働きたいと思う人が普通に働ける。そんな世界を実現したい。それは1社単独で実現できることではなく、考え方を世の中に拡げ、また新たな人と人とのつながりのなかで今度は日本全体の価値観を、社会を変えていき代に何を残せるのかと考えるようにはなったが、それはあくまで後づけなのかもしれない。目の前の課題をほうっておけない。 また、こんな話もしてくれた。岡本さんは、目ざす姿が達成されたときのことをリアルに想像できるか、そして、そのとき泣けるかどうか、感激できるかどうかをいつも大切にしている。その感情が湧き出たときは、どんな困難なことでもやれると確信できる、それが岡本さん。 今回紹介する「キャリアプラスプログラム」もその一つで、ドコモ・プラスハーティ設立時から温めていた構想だ。 2024(令和6)年10月に株式会社NTTドコモとドコモ・プラスハーティが共同でスタートさせた新たな施策だ。ドコモ・プラスハーティで新規採用し、2年間育成して、ドコモグループ各社で登用してもらうことを目標にしたプログラムだ(24ページ図1)。 グループ各社で正社員を目ざすにあたり、今回は発達障がいのある人を中心に採用し、2年間でリスキリング(職業能力の再開発・再教育)をして3年後はおもに各社のデジタル人材として採用してもらうことを考えている。 各社の業務効率化をになうアプリケーション開発ができる人材を育成する。社「キャリアプラスプログラム」という新たな挑戦オリジナル商品の一つ、「寿司石鹸」の製造過程。シャリを模した石鹸を型から取り出す同様に型から取り出したマグロの赤身をシャリに乗せる。リンクラインの石鹸は一つひとつていねいにハンドメイドでつくられる※3https://www.ref.jeed.go.jp/2020/m213q8000000v61k-att/2020513.pdf働く広場 2025.423
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