いうこと。 夢を語り合い、実現に向けて多くの方が集まり、社会を変えていく。岡本さんの目ざす夢の実現はこれからだ。 障がい者雇用は、なんのためにやるのでしょうか? 何を目ざすのでしょうか? 私自身は、企業において多くの時間、人事部門にたずさわってきた。直接障がい者雇用の担当ではなかったころは、障がい者雇用は法律で定められているから、企業としてやらねばならない活動だからととらえる一方で、いろいろなむずかしさもあると感じていた。 しかし、17年前に授かった第一子の息子はダウン症として生まれてきた。そこから7年して私は立ち上がった。「障がいのある子を授かっても悲しまない社会にしたい」、「障がいがあっても生まれてきた意味を全まっとうして、笑顔で普通にみんなと一緒に生きられる、働くことのできる社会にしたい」。そのために何ができるのかを考え、行動し続けてきた。 企業における障がい者雇用は、初期の段階では障がい者の法定雇用率を満たす法律順守がスタートかもしれない。しかし、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の観点での取組みの一つとしてとらえる企業も増えてきた。障がいまとめ ~何を目ざして 障がい者雇用をするのか?~戦力度の総和で「5・5」だったものが、「6・5」へ変化したという。この変化は、おもに健常者側に起きた変化で、5名の能力発揮が2割増になった結果だったという。この健常者側に起きた変化は、障がいのある人と働くことにより、働きやすい職場ができていくこと、ともに働く社員側のエンゲージメントの高まりや働きがいにつながり、職場が変わっていくというものだった。最初「これだ」と思ったという。その後ニューロダイバーシティやいくつかの文献等に出会い、ともに働くことにより、周囲の社員や組織へプラスの変化を起こすことを目ざしたいと思うようになったという。何より障がいのある人と働くことでそのような変化をもっとも実感しているのは、ほかならない自分自身だと岡本さんはいう。 岡本さんには、ほかにも実現したいことがある。障がい者雇用を1企業での取組みに留めず、さまざまな立場の方が連携して社会を変える活動をスタートさせる。まだ公表できないが、準備を進めているようだ。 障がい者雇用への思いをつなぐこと、実際に障がいのある人がになう業務は各社それぞれではあるが、もっとも大切なことは、どんな世界を実現したいのかとこれから目ざす新たな未来者雇用で何を目ざすのか。実現したい世界はどのような世界なのか。会社ごとの理念、風土、文化に合わせた取組みとし、根づかせていくことが重要だと私は考える。 経営者は目ざす姿を掲げ、この障がい者雇用をだれに任せるのかが非常に重要だ。粘り強く、あきらめず、熱意を持って周囲を巻き込み、やり続けることのできるリーダーがつくった障がい者雇用の世界は、社員の意識を変え、風土、文化を変え、社会へ大きな変化をもたらすこともできる。片手間の仕事ではなく、覚悟を決めて重要な経営課題の一つとしてとらえる必要がある。障がい者雇用は、会社の未来への投資であり、成長戦略の一つなのだ。種を植え、つぼみとなり、大輪の花が咲くまでは時間がかかるかもしれないが、その先には企業を支える軸となる、それが障がい者雇用だ。 今回3人のリーダーにお会いしてパワーをいただいた。信じる道を突き進む覚悟と勇気をいただいた。私が所属するサントリーには、創業者の「やってみなはれ精神」が受け継がれている。自ら目標の旗を掲げ、失敗を恐れず、あきらめずやりきる。こうしたチャレンジを続けていると、その思いに共感してくれる人、応援してくれる人、一緒に歩んでくれる仲間ができる。さあ、読者のみなさまも目ざす姿を掲げ、新たな一歩をふみ出しましょう。キャリアプラスセンターのオフィスは、業務に合わせたレイアウト変更が、容易に行える造りとなっている働く広場 2025.425
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