働く広場2025年4月号
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ですが、「できない」、「わからない」をしっかりいえるようになるということを徹底しています。最初のころは「はい、できます」、「はい、わかりました」といっていたのですが、いまはしっかりと自分の言葉で、わからないことは「わからない」、できないことは「できない」といえるようになりました。そして私たち支援者は「任せる・認める・感謝する」ということを絶対忘れてはいけないと思っています。任せないと本人たちも認めてもらっていないと感じますし、そして感謝をしないと、彼らにこちらの思いが伝わらないということで、これは私のなかでとても大事な言葉です。できないことを探すのではなくできることを見つけて活かす 奈良県立医科大学における障害者雇用の取組みは、労働局からの指摘をきっかけに始まりました。当初は義務的な側面が強く、雇用率も1・28%と低い水準にとどまっていました。そこで、2014(平成26)年に初めて知的障害のある5人を採用しました。そのときは「国にいわれたからやらなければいけない」という感覚だったのですが、その後2021年の3・22%に達するまでに改善が進み、いまでは障害者は職場にとって欠かせない存在となり、現在は39人の障害者スタッフが在籍し、病院全体の運営を支える大きな力として助けていただいています。 この取組みを進めるなかで困ったことは、病院なので「重い病気を抱えた患者への対応ができるか」、「緊急事態が発生したときに大丈夫か」といった懸念の声が多く聞かれたことでした。その当時の看護部長に相談したところ、「できないことを探すのではなく、できることを見つけて活かすように考えましょう」とアドバイスを受け、職場で自信をもち、活躍できる環境を 当機構(JEED)では、毎年、職業リハビリテーションに関する研究成果を周知するとともに、参加者相互の意見交換、経験交流を行うことで障害者の雇用を促進することを目的として、「職業リハビリテーション研究・実践発表会」を開催しています。第32回となる2024(令和6)年度は、962人の方が参加されましたが、当日行われた「特別講演」、「パネルディスカッションⅠ・Ⅱ」の開催模様について動画を収録し、後日、障害者職業総合センター(NIVR)ホームページにてオンデマンド配信を行いました(動画は現在も掲載中)。また、その内容を広く発信するために、2023年度に引き続き、同ホームページで発表資料等の掲載も行っています(※)。ここでは、奈良県立医科大学発ベンチャー認定企業の株式会社MBTジョブレオーネ代表取締役岡おか山やま弘ひろ美み氏の特別講演「障害者を中心にした障害者雇用体制の構築~職場、家庭、地域の就労支援ネットワークによる支援とともに~」をダイジェストでご紹介します。障害者は「わからない」といえるようになる支援者は「任せる・認める・感謝する」 今日は私からは簡単なお話だけさせていただき、4人の障害者の方も一緒に来ていただいていますので、彼らの言葉と動画で取組みをご紹介させていただきます。 最初に、私たちの取組みを取り上げたテレビ番組の動画をご覧ください。 そのうえで、まずお伝えしたいのは障害者雇用に対する思いということで、「自主性、主体性を持ち、自分たちの職場づくりを目ざす」ということです。例えば、私たちは職場の障害者の方を係員とお呼びしているのですが、その係員の方に、これから採用を目ざすという実習生の方を指導して、それを自信につなげていただいています。そして次にここが大事なことなの株式会社MBTジョブレオーネ 代表取締役 岡山弘美氏※下記ホームページよりご覧いただけます。https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/32kaisai.html講演中の岡山弘美氏第32回 職業リハビリテーション研究・実践発表会 Part1特別講演「障害者を中心にした障害者雇用体制の構築 ~職場、家庭、地域の就労支援ネットワークによる支援とともに~」働く広場 2025.428

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