働く広場2025年4月号
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 金属加工業を営む「株式会社瀬戸製作所」(以下、「瀬戸製作所」)が手がけるのは、おもに大手メーカーの小型建設機械に搭載される油圧コントロールバルブだ。機械加工から研磨、組立、性能検査まで自社で一貫して実施している。1952(昭和27)年に大阪府大阪市で設立後、2015(平成27)年に創業者の郷里である香川県三み豊とよ市に本社を移転させた。中国やベトナムにも子会社を持ち、グローバルに事業を展開してきた。 瀬戸製作所では、創業者の代から自発的に障害者雇用を行ってきたそうだ。いまでは社員104人のうち、障害のある油圧コントロールバルブ製造社員は5人(身体障害4人、知的障害1人)で障害者雇用率は5・58%(2024〈令和6〉年6月1日現在)だという。2024年度には「もにす認定制度」(障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度)の認定も受けている。 組織的な支援体制などを整えているわけではないが、創業者から続く“共生”の精神と、社員を守る姿勢が職場全体に浸透しているなかで、障害者雇用も自然と定着しているように思われる。これまでの取組みや、当事者である社員や上司の話を聞きながら、ものづくりの現場を見学させてもらった。 まずは、本社工場内を案内してもらった。金属加工用の大小さまざまな機械が置かれているなか、3台の大型機械の間に立って作業をしていたのは製造1課の石いし井い聖せい也やさん(30歳)。地元の普通科高校の先生と「障害者就業・生活支援センターつばさ」(以下、「つばさ」)の職員と一緒に来社し、1週間のインターンを行ったのちに正社員として採用された。当初はつばさの職員が会社に来て勤務状安心して頼れる上司のもとで況に関するヒアリングや助言等の支援を行っていたという。 現在担当しているのは、金属部品の材料を切削する「6面フライス加工」と呼ばれる工程だ。ブロック状の金属のかたまりを機械に取りつけ、決められたサイズになるよう数値を入力して切削していく。ただし、すべて機械が自動で仕上げてくれるわけではないという。石井さんの上司で、製造1課班長の好よし川かわ直なお樹きさんが説明する。 「許容されるサイズの誤差は±0・3㎜以下とされているので、機械への取り創業者の時代から、働く意欲のある障害のある人を個別に採用1機械を使った精度が求められる作業も、時間をかけてていねいに指導2療養からの復職や通院など、個別事情に合わせて勤務形態などを調整3POINT油圧コントロールバルブの製造を手がける株式会社瀬戸製作所金属部品の切削を担当する製造1課の石井聖也さん製造1課班長の好川直樹さん働く広場 2025.45

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