働く広場2025年6月号
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逆に、よいことをした従業員がいたときは、本人のことをみんなに紹介する機会もつくっています」 クリスマス会やボーリング大会などのイベントも開催し、楽しみにしている従業員も少なくないそうだ。前出の大橋さんは「日ごろはみんな別々の場所で働いているので、たまに集まっていろんなことを話せるのが楽しいです」と教えてくれた。 松本パックでは、詠子さんが障害のある従業員たちのサポートを行っているが、困ったことがあったときは、障害者就業・生活支援センターの担当者に力を借りているという。「自分たちだけで不安なときに、気軽に相談できる先があるのはとても心強く、センターのジョブコーチさんにもお世話になっています」(詠子さん) なかには1年ほどかけて長期的に支援してもらったケースもある。 2018年には、精神障害のある男性(66歳)も採用した。以前働いていた会社で精神疾患となり、就労移行支援事業所から紹介を受けたそうだ。男性は、仕障害者就業・生活支援センターに相談も精神障害のあるシニア男性事はしっかりやってくれているが、周囲の何気ない一言に傷ついてしまうことがある。そんなときは、詠子さんに「少し話したいことがあります」と内線電話がかかってくるという。 「話をすることで気持ちが楽になるようなところがあって、私も『大丈夫、〇〇さんはきちんと働いてくれていますよ』と声かけをすると、元気を取り戻してくれます」(詠子さん) いまは2021年にできた新しい第3工場で、商品の検品作業などに従事しているという男性。自動化が進んでいる工場のため従業員が少なく、対人関係に悩まずにすんでいるようで、仕事上の相談はめっきり減ったそうだ。 職業訓練を受けてから入社した従業員もいる。2021年に入社した戸と部べ隼はや勢とさん(26歳)は、高校卒業後に農業関係の仕事をしていたが、体力的に続けられず1年足らずで退職。それから産業技術専門校に入り、松本パックを紹介されたそうだ。 現在は、セットアップ作業のラインに充填包装された具材の供給作業を担当している戸部さんは、「仕事中は、7割の緊張感と楽しみと緊張感と、3割の遊び心を大切にしています」という。聞けば、自分の好きなマンガで出てきたセリフからヒントをもらったのだそうだ。「例えば扱う具材のロットについて、たまに違う日付のものが混じっているのを、間違い探しゲームのようにみつけることが小さな楽しみ」という一方、「たまに運んできた具材の種類が違っていたり、ロットを見落としたりすることがあるので、ミスをしないよう、焦らず確実に仕事をこなす方法をいつも考えています」とのことだ。 以前の職場は、人間関係も含めて苦労したこともあったが、「ここは心身に余裕を持って働きやすい職場だと感じます」と戸部さん。マラソン大会に出るなど運動も得意な戸部さんは、最近は休日を利用し、新幹線で遠方に行ったりするのが楽しみになっているそうだ。 松本パックでは、障害の有無に関係なく、1日8時間のフルタイム勤務をする条件で正社員となる。取材当時は障害のある従業員4人が正社員だった。 その1人が、2011年に入社した宮みや崎ざき真まさ之ゆきさん(32歳)。特別支援学校時の職場実習を経て、入社後はセットアップ正社員になった従業員も材料の搬入に使用したパレットを整理する戸部さん第1工場内の倉庫で働く製造2課の宮崎真之さん第1工場製造2課の戸部隼勢さん働く広場 2025.68

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