ラインに具材を補充したり段ボールを組み立てたりする担当などを経験。「ライン作業もやりましたが、ラインの流れ作業の動きに酔ってしまって、無理でした」とのことだ。 半年前からは第1工場内の2階建ての倉庫で、多種多様な具材などが入った箱を出し入れする作業を行っている。 この日も、倉庫内の専用エレベーターで降ろされてくる多数の箱を台車に載せてあちこち移動させていた。宮崎さんは「ここは先輩社員の運転するフォークリフトも動き回っているので、安全確認を怠らないよう気をつけて作業をしています」と笑顔で話す。一緒に働く先輩社員は「宮崎くんは、とにかくまじめです。力仕事を一生懸命やってくれているところがよいですね」と太鼓判を押す。 詠子さんによると、宮崎さんは初めての給料で、母親にピンク色のバッグをプレゼントしたそうだ。「とても喜んだお母さんが、私たちにバッグを見せに来てくれましたよ」と詠子さん。 さらに今春から正社員になったのが、2019年入社の近こん藤どう竣しゅん亮すけさん(24歳)だ。職場実習を経て、入社後は戸部さんと同じく具材入りの袋を包装レーンに補充する業務を担当している。「わからないことがあるときなど、周りの人がみんなやさしく教えてくれるので、ここで働いてよかったなと思います」と近藤さん。 詠子さんによると、近藤さんから「社員になりたいです」と申し出たそうだ。近藤さんは「いまも、ほかの社員さんがいない場所で具材の補充をしたり、倉庫の人に頼んだりして、忙しくやっています。正社員になったので、さらに責任感を持って、仕事のことを考えていきます」と頼もしい言葉で意欲を見せてくれた。 社長の泰明さんは、同社の障害者雇用について「きっかけは専務の思いもありましたが、いまでは全員が、本当に大事な戦力になっています」と強調する。「最初に入ってくれた飯島さんは20年、大橋くんも19年になりますが、みんなで「全員が大事な戦力」若いときからずっと根気よく、仕事に取り組んでくれています。工場では、障害があるから、障害がないからという垣根はなく、それぞれやれることをやってもらい、うまくフォローしあえているのもよいのかもしれません」 今後も引き続き、特別支援学校などと連携しながら雇用していきたいという泰明さんは、「課題があるとすれば、専務の後継者となる人材育成です」と話す。「私と同様に専務も決して若くないので、これまで障害のある従業員をサポートしてきた役割を、そろそろだれかに引き継いでもらう準備をしていきたいですね」と、前向きに語ってくれた。宮崎さんは、倉庫での製品や材料の搬送を担当している第1工場製造2課の近藤竣亮さん包装ラインに乾燥具材などが入った小袋を補充する近藤さん松本パックでは、障害のある従業員それぞれが、特性に合った職域で能力を発揮し、活躍している働く広場 2025.69
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