が出てきてしまう。こうしたことから、地域の高齢者分野の相談窓口である「地域包括支援センター」とも連携をよく行っているとのことであった。 笑い太鼓の地域活動支援センターの活動について、お話をうかがった。基本方針としては、まずは、個別での対応が重要となるため、地域活動支援センターとして集団で作業をしているものの、利用者個人それぞれのやりたいことをやる、自分の意思でやるということを大事にしているという。そして、そのような本人の気持ちをベースに、技能や職業準備性等が向上するよう支援しているとのことであった。 利用者すべてが一般企業への就労を目ざしているわけではないものの、働きたいという人もたくさんいる。一般的には地域活動支援センターというと、「居場所を提供する」というイメージもあるが、ここではそれだけではなく、働くためにはどういうアプローチをするのか、また、どのような条件を整えなければいけないかなど、作業以外にも講座を開催するなどして、職業準備性を高めていくという。例えば金銭管理、時間管理、職場における挨拶の重要性などが扱われる。特に挨拶については講座だけでなく通常の作業場面でも徹底して支援するとのことであっ一般的な地域活動支援センターとは異なる就労を意識したかかわりり当事者と家族の居場所づくり、作業所の運営を始めたのが活動の始まりである。同法人はもともと豊橋市などで、高次脳機能障害のある人に対する就労移行支援や就労継続支援B型などの事業所を運営していたが、現在は豊橋市や名古屋市で地域活動支援センターや相談支援事業の運営が中心となっている。 なお、相談支援事業を行っている理由をたずねてみた。「高次脳機能障害のある人を、退院後の治療から適切な社会資源へとつないでいくことがとても重要であるから」とのことであった。 高次脳機能障害のある人に適した社会資源につなげないと、世の中に多く存在する、例えば統合失調症などの精神障害のある人や知的障害のある人を中心とする事業所を利用することとなり、結果的に本人の特性に合わない支援を受けることにつながってしまう。そのために、高次脳機能障害に専門性を持つ相談支援事業所を持つことによって、適切なサービスにつながるように心がけているとのことであった。 また、原因となる疾患が脳血管障害で、その発症された方が40歳以上の場合、介護保険の対象となる疾患(特定疾病)となる可能性がある。その方の発症後の支援によっては、障害福祉サービスではなく、高齢者の介護保険サービスにつながり、企業就労や職場復帰の可能性があっても、就労支援サービスにつながらない可能性域の実情に応じ、市町村がその創意工夫により柔軟な運営、事業の実施が可能とされる。 就労支援分野でよく知られている、その日の利用者の利用状況にあわせて、国からの報酬が事業所に支払われるという就労移行支援事業、就労継続支援事業と比べて、利用の規制が比較的ゆるやかであるという側面がある。障害のある社員が一般企業に所属していても、出勤前や勤務後の夕方などに登録している地域活動支援センターにふらりと立ち寄るといったような利用方法も可能である。 今回、笑い太鼓の職員としてお話をうかがったのは、森もり下した園その子こさんである。じつは森下さんは、以前筆者が所属をしていた職場で同僚だった方である。ただ、笑い太鼓で活動をされているのを筆者は存じ上げず、本当に久しぶりに再会させていただくことになった。 笑い太鼓は1998(平成10)年から、高次脳機能障害者とその家族が中心にな高次脳機能障害者サポートセンター笑い太鼓高次脳機能障害者サポートセンター笑い太鼓高次脳機能障害者サポートセンター笑い太鼓職員の森下園子さん働く広場 2025.622
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