た。 笑い太鼓の森下さんは、大曽根支店でジョブコーチとして、後述する長は谷せ川がわ優ゆうさんを支援したそうである。当初はタイムカードを打刻してから仕事に入るという手順や、トラックへの荷物の積み込みにも支援が必要であったが、現在は完全にできるようになっているという。 先述した通り、大曽根支店では高次脳機能障害のある人を3人採用しているが、いずれの方も、会社からの評価は高いようである。トラックドライバーなど職場の同僚にもお客さまにも大きな声で挨拶をすることができ、作業をまじめに取り組むと評価されており、土井口さんによれば「どの人も明るくて元気で、素直で、礼節がしっかりされており、非常になくてはならない存在」であり、「今後も続けてここで働いていただきたいという思いが強い」とのことであった。先述した西濃運輸の理念として掲げられているうちの一つである「礼節中心主義」に沿っているということでも評価しているそうである。 働いている長谷川さんにお話を聞くことができた。長谷川さんは、大曽根支店高次脳機能障害のある人の 仕事ぶり障害のある従業員の方からのお話967(昭和42)年とのこと。 大曽根支店では現在、障害のある人を3人雇用しているが、いずれも高次脳機能障害のある人とのことであった。ただ、同じ高次脳機能障害という障害でも、個人による違いがあり、それぞれの特徴について、それぞれの支援者やジョブコーチにも助言を得るようにしているそうである。 大曽根支店では3年前から高次脳機能障害のある人の採用を開始したとのこと。ほかの支店での、高次脳機能障害のある人の採用がきっかけとなっている面もあるようである。そして、社会福祉法人名古屋市総合リハビリテーション事業団名古屋市総合リハビリテーションセンターや笑い太鼓といった支援機関からの説明を土井口さんは聞き、記憶などの障害を補うためにその都度ノートに書き、それを利用して思い出すということが必要であることを理解し、たいへんな障害ではあるが、一方でだれにでも起こりうる病気だとも感じたそうである。 そして、ジョブコーチなど支援機関、専門家の力を借りつつも、会社として高次脳機能障害のある従業員に向かい合っている。現在は、支店長の藤田さんをはじめとする職員の方たちがポジティブにかかわっていることがお話からうかがえ雇用のきっかけの様子やお話から、仲間と会う楽しみ、協働作業など、利用者さんがそれぞれ意義を感じながら通所をされている様子をうかがうことができた。 笑い太鼓に続き、西せい濃のう運うん輸ゆ株式会社(以下、「西濃運輸」)大おお曽ぞ根ね支店を訪問した。対応してくださったのは支店長の藤ふじ田た勝かつ美みさん、労務・総務係長の土ど井い口ぐち孝こう二じさんである。またこちらの取材に、笑い太鼓の森下さんも同行してくださった。 西濃運輸は全国規模の運輸会社であり、拠点が全国に188カ所、従業員数は1万5687名となっている(2025〈令和7〉年3月現在)。取材時点では、法定雇用率を満たしているものの、今後の法定雇用率改正も考慮し、さらに障害のある人の採用を計画しているとのことであった。エリアによって障害のある人の数に多寡はあるものの、名古屋地域については十分な人数の障害のある人を採用しているそうである。ただし、今後も継続して採用していきたいとのことであった。 なお、西濃運輸の基本理念として、「労使協調体制」、「礼節中心主義」、「福寿草精神」(※3)の三つを「三つの宝」として掲げられている。 大曽根支店は、笑い太鼓サポートセンターから2㎞ほどの場所に位置する。大曽根支店が現在の形に竣工されたのは1西濃運輸大曽根支店にて西濃運輸株式会社大曽根支店(写真提供:西濃運輸株式会社)※3福寿草精神:西濃運輸株式会社の創業者・故田た口ぐち利り八はち名誉会長の座右の銘は「踏まれても 踏まれても 強く野に咲く福寿草」であり、どんな試練にも耐えうる精神と同時に将来に向かって力強く進む不撓不屈の魂を表している(セイノーホールディングス・ホームページより)西濃運輸株式会社大曽根支店支店長の藤田勝美さん労務・総務係長の土井口孝二さん大曽根支店で働く長谷川優さん働く広場 2025.624
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