機関においてどのように活用されているのかを知るための活用状況質問紙調査、②①において協力いただいた機関のうち一部を対象とした活用事例を収集するためのヒアリング調査、③ハンドブック(素案)(以下、「ハンドブック(案)」)の試作、④ハンドブック(案)をMWSに関する知識を有する専門家に提示し意見をいただく専門家ヒアリング、⑤改良を加えたハンドブック(案)の有効性を就労支援機関で評価していただくための試用評価、の手順で進めました。3 調査研究の内容(1)地域障害者職業センターに対する調査 ①地域障害者職業センターに対する活用状況質問紙調査では、最も活用されているのは社内郵便物仕分(75・3%が活用)、次いで給与計算(52・9%が活用)、最も活用が少ないのは文書校正(30・6%が活用)でした。②活用事例に関するヒアリング調査では、給与計算と文書校正は課題の理解力等について一定レベル以上の能力を有している人が対象とされていました。(2)ハンドブック(案)の試作・改良・試用評価 以上の調査結果をふまえ、③使用する場面や目的、効果などを整理した活用モデルのほか、活用事例、MWS新規課題の概要や実施方法等に関する知識情報を掲載したハンドブック(案)を試作しました。試作したハンドブック(案)について、④専門家へのヒアリングを行った結果をもとに改良を行い、⑤それを3カ所の民間の就労支援機関の4人の支援者に使っていただきました。協力いただいた支援者には、改良し1 本調査研究の背景と目的(1)ワークサンプル幕張版(MWS)とは 「ワークサンプル幕張版(MWS)」とは、おもに精神障害や高次脳機能障害等のある人を対象とし、実際の職場で行われる作業に近い作業(ワークサンプル)を実施することで、その人の作業遂行力や作業を行ううえで必要となるスキルおよび環境条件を明らかにすることなどを目的として開発された職業リハビリテーションの支援ツールです(障害者職業総合センター、2004)。2007(平成19)年度より、物品請求書作成、数値入力、ピッキングなど13種類の課題が市販されてきました。 その後、2019(令和元)年度に、知的障害をともなわない発達障害や復職を目ざすうつ病等精神疾患のある人など、多様なニーズのある人への支援に資するため、より難易度を上げた「新規課題」として、給与計算、文書校正、社内郵便物仕分の三つの課題(以下、「MWS新規課題」)を開発しました。これは、2020年度末から市販されています。(2)本調査研究の目的 MWS新規課題は、既存の課題に比べ、作業が複雑になっており、作業遂行力の高い対象者のアセスメントや就職・復職に向けた訓練における活用を想定しています。その一方で、作業が複雑になったことにともない、「MWS新規課題の実施手続きの理解」、「結果の処理に関する時間的コスト」など、支援者の負担が懸念されていました。 そこで、本調査研究(障害者職業総合センター,2024a)では、支援者がMWS新規課題を活用する際の負担軽減を目的として、MWS新規課題活用のイメージを提供する「ワークサンプル幕張版(MWS)新規課題活用ハンドブック~MWS新規課題の効果的な活用に向けて~」(障害者職業総合センター,2024b)を作成しました。2 調査研究の方法 本調査研究は、①MWS新規課題が就労支援「ワークサンプル幕張版(MWS)」新規3課題による効果的なアセスメント及び補完方法の獲得に関する調査研究障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門働く広場 2025.628
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