働く広場2025年6月号
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下、「ハンドブック」)を作成しました。表2にハンドブックの構成を示します。 表2上段の「新規課題について知りたい」では、MWS新規課題の特徴、実施方法等を知るための参考資料、MWS新規課題を使用する際の留意事項等を記載しました。表2中段の「活用方法について知りたい」では、MWS新規課題の対象者、使用する過程・場面、使用する目的や効果等を記載した活用モデルと、MWS新規課題を用いた支援の流れを把握するための資料として活用事例集を掲載しました。表2下段の「対象者への対応に迷った時は」では、MWS新規課題を実施するなかで発生する過集中などのさまざまな事例への対応方法をまとめました。 本調査研究の目的は、MWS新規課題を実施する際の支援者の負担を軽減することにありまたハンドブック(案)を読んだうえで、利用者に対してMWS新規課題を用いた支援を行っていただきました。その後、協力いただいた支援者に対する面接調査において、ハンドブック(案)が自分たちの行う支援にどのような影響を与えるかについて聞き取りを行いました。その結果を表1に示します。 支援者からは、「利用者の様々な側面を見ることができるということがわかった。今後も利用者にMWS新規課題を行う」、「MWS新規課題を使う職員が増える」といった意見がありました。4 まとめ これらの研究活動の結果、「ワークサンプル幕張版(MWS)新規課題活用ハンドブック~MWS新規課題の効果的な活用に向けて~」(以す。試用評価の結果からは、ハンドブックはMWS新規課題活用のイメージを提供するという点で、おおむね有効であったと考えられます。ハンドブックの活用を通して、これまでMWS新規課題を使った経験がある支援者はより有効に活用できるようになり、使ったことがない支援者も支援に活用する方法がわかるようになるなどの効果が期待されます。※引用文献は、障害者職業総合センターホームページでご覧になれます。https://www.nivr.jeed.go.jp/index.html◇お問合せ先 研究企画部企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp)引用文献障害者職業総合センター(2004)「精神障害者等を中心とする職業リハビリテーション技法に関する総合的研究(最終報告書)」. 調査研究報告書,№57障害者職業総合センター(2019)「障害の多様化に対応した職業リハビリテーション支援ツールの開発(その2)―ワークサンプル幕張版(MWS)新規課題の開発―」.調査研究報告書,№145障害者職業総合センター(2024a)「『ワークサンプル幕張版(MWS)』新規3課題による効果的なアセスメント及び補完方法の獲得に関する調査研究」.調査研究報告書,№175障害者職業総合センター(2024b)「ワークサンプル幕張版(MWS)新規課題活用ハンドブック~MWS新規課題の効果的な活用に向けて~」表1 協力いただいた就労支援機関の職員がハンドブック(案)を読むことによる支援への影響等番号意 見①●今後のMWS新規課題の活用について、こういうハンドブックが作られたことで、利用者の様々な側面を見ることができるということが分かった。今後も利用者には行ってもらおうと考えている。②●今後、MWS新規課題の活用の幅が広がると思う。社内郵便物仕分以外の課題についても活用してみようと思う。活用方法としては、対象者の職種や可能性などについて、アセスメントというよりも、イメージを持ってもらったり作業体験として使うという方法もあるかもしれないと思った。③●法人の中で、MWS既存課題は以前から使っており、MWS新規課題を2年間くらい使っている。しかし、職員全員がMWS新規課題を使えるかというとそうではない。慣れていない職員がどうやって使ったらいいかという場合に、ハンドブックがあると使いやすくなるのではないか。④●こういったハンドブックがあることで他の職員にも説明ができると思う。また、MWS新規課題を使う職員が増えるということも考えられる。自分にとってもMWS既存課題よりも難しいので、こういったエラーをどうとらえたらいいか、こういう相談の対象者に使えるかという場合も、ハンドブックの事例を見ることで考えやすくなったかと思う。●MWS新規課題を行う際には、サブブックを見てくださいという指示、言い方になり、質問があっても同じ返し方になる。しかし、ハンドブックがあることで何のためにMWS新規課題を行うのかを説明しやすくなるのは良いと思う。「新規課題について知りたい」●新規課題とは●新規課題の特徴強化された機能/課題の発見と対策/既存課題よりも高い難易度の設定●実施方法を知るための参考資料新規課題の概要を動画により確認したい/新規課題の実施手続きについて知りたい/新規課題の概要を対象者に簡潔に説明したい/対象者への簡易版の教示や対応等を支援現場で確認したい/エラーの内容や補完方法を確認したい/ワークサンプル幕張版で採用されているABA法について知りたい/ワークサンプル幕張版の背景理論が知りたい●新規課題を使用する際の留意事項課題の難しさとストレス/新規課題を複数組み合わせて使用する/作業の概要を十分に説明する/既存課題を活用する/新規課題を活用する目的を対象者と共有する/簡易版を活用する際の留意点/簡易版と訓練版の使い分け方●対象者の理解力に応じた作業指示「活用方法について知りたい」●活用モデル簡易版活用モデルと訓練版活用モデルの共通事項/①簡易版活用モデル/②訓練版活用モデル●活用事例集補完方法の必要性を認識した事例/自身の特性理解と就職への希望を整理した事例/補完方法への自信を深め就職につながった事例/復職に向けて疲労・ストレスへの自覚を持った事例/効果的な支援方法を確認した事例/作業遂行力の向上と補完方法の習得により自信の獲得につながった事例「対象者への対応に迷った時は」●支援の開始時①過集中傾向が見られる/②課題への違和感を訴える/③課題への理解が進まず時間が経過する●訓練時④エラーのフィードバックにより不安感を強くした/⑤訓練版への移行の判断に迷う/⑥補完方法の提案を受け入れてもらえない●結果のフィードバック時⑦ネガティブな感想が聞かれる/⑧振り返りが深まらない/⑨結果の受け入れで不安定になる表2 ハンドブックの構成働く広場 2025.629

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