働く広場2025年7月号
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う認識をしていると、いまの障害者枠の求職者のニーズとは大きなギャップが生じます。時代が変わり、働き手も変わっています。企業はどのような人材を採用したいのかを真剣に考えることが、いま、強く求められているのです(図1)。「選ばれる企業」になるためのアプローチ では、実際に「選ばれる企業」になるためには、どのような取組みが必要なのでしょうか。いますぐ取り組める四つのアプローチをご紹介します。1.採用ターゲットの再設計 「障害者だからこの仕事しかできない」という固定観念を手放し、どのような業務を任せる人材を採用したいのかを明確に定義することが第一歩です。そのうえで、勤務条件(時短勤務やフレックス、リモートワークの可否、頻度等)を明記することがミスマッチを防ぎ、活躍人材を確保する鍵となります。2.企業の魅力発信 単に仕事内容を列挙するだけでは、魅力は伝わりません。自社の雰囲気、働き方、支援体制、成長できる環境などを、リアルな言葉で、具体的に発信することが重要です。働き手が知りたいのは、「この会社に入ったら、どんな日々が待っているか」、「自分はここで成長できるか」という未来像です。3.選考プロセスの見直し 画一的な面接や書類選考では、本当に必要な人材を見抜けないこともあります。例えば、コミュニケーションが苦手でも、業務遂行能力に優れている人、未経験でも、素養やポテンシャルを持つ人がいます。このような人材を見きわめるには、業務体験型のインターンシップを活用するのも一つの方法です。4.入社後のサポート体制の整備 採用はスタートであり、職場定着には、障害者と一緒に働く社員の理解や、受け入れ体制を整えることが欠かせません。定着率とパフォーマンスに大きく影響します。もし採用後にトラブルや課題が発生した場合も、障害特性だけで原因を決めつけるのではなく、業務設計・環境・マネジメントの観点から冷静にふり返ることが重要です(図2)。 いま、障害者採用で企業に求められているのは、「ともに働く未来」を描く力です。採用活動においては、準備不足やマネジメントの課題、原因分析の不十分さが定着の壁になるケースも少なくありません。選ばれる企業になるためには、採用手法に加え、組織のなかで障害者雇用をどのように位置づけ、どんな価値を生み出していくのか。その意味づけを再設計することが必要です。* * * * * 次回は、テクノロジーの活用や多様な働き方に取り組んでいる企業の事例から、これからの時代に企業に求められる障害者雇用についてお伝えします。図1 採用の課題を解決するためのポイント筆者作成魅力的な職場を伝えられているか?業務や採用方法が時代に合っているか?求める人材像を明確にしているか?成長機会があるか?採用ターゲットの再設計入社後のサポート体制の整備選考プロセスの見直し企業の魅力発信図2 選ばれる企業になるために…筆者作成働く広場 2025.711

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