働く広場2025年7月号
18/36

成型したすり身パックをコンテナに並べる石田さん(左)。充填機への補充と成型の作業を同時並行で行っている人気商品の一つ「すり身パック」の製造工程で、充填機にすり身を補充する石田利香さんすり身が充填されたパックの成型作業。手でパックを押し、形を整える。力加減が重要だ 長崎県五島市に所在する「株式会社しまおう」(以下、「しまおう」)は、地元や県内で水揚げされた海産物を使った練り物製品の製造、販売を手がける。製品は、五島市の郷土食として長年市民に親しまれている。また、市内の飲食店などで提供され、離島を訪れる観光客にも好評だ。 同社における障害者雇用のきっかけは、9年前に障害者就業・生活支援センターの依頼で職場実習を受け入れたこと。現在では、従業員23人中、5人が障害のある従業員であり、若い世代が島を出てしまい働き手の少ない離島において、障害のある従業員が欠かすことのできない戦力となっている。 9年前に職場実習を経て入社したのが石いし田だ利り香かさん(58歳)だ。実習で集中して作業に臨む姿が雇用につながったという。「食べ物をつくるのが得意です。成型がイメージ通りに仕上がるとうれしい」と話す。 入社3年目の門かど口ぐち恵めぐ海みさん(28歳)も、職場実習を経て入社した一人。仕事のやりがいについてたずねると「自分のつくった製品が、贈答品などとして日本全国に送られていると思うとうれしいです」と教えてくれた。 島外で働いていた佐さ々さ野の瑠りゅう哉やさん(27歳)は、地元の福ふく江え島じまで働きたいとの思いから、しまおうへの転職を決めた。「しまおうは楽しい職場です。ここで働き続けたい」と話す。 市内のスーパーなどへの配送・納品を担当している井い川がわ宏こう汰た朗ろうさん(21歳)は、特別支援学校在籍時の職場実習を経て入社。担当業務は「自分に合った仕事」と話す。納品の際、「お客さまから『しまおうのすり身が一番おいしいよ』と話しかけられたことがあり、とてもうれしかった」と教えてくれた。 同社は2024(令和6)年度、「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度」(もにす認定制度)の認定や「障害者雇用優良事業所」県知事表彰を受けた。今後も、特別支援学校の職場実習を引き受けるなど、障害者雇用に貢献していく予定だという。働く広場 2025.716

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る