働く広場2025年8月号
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★本誌では通常「障害」と表記しますが、住田フーズ株式会社様のご意向により「障がい」としています JR盛岡駅から南東に車で2時間ほど走った山あいにある住すみ田た町ちょう。町内を横断する清流・気け仙せん川がわのそばにある「住すみ田たフーズ株式会社」(以下、「住田フーズ」)は、町の基幹産業の一つである鶏肉の生産加工業の会社だ。銘柄商品「みちのく清流どり」などで知られ、ブロイラーの飼育生産から加工、関連商品の製造販売までを手がけている。 もともと、1971(昭和46)年に当時の住田町農業協同組合とブロイラー生産農家が出資して設立した住田ブロイ鶏肉の生産加工ラー株式会社が、1994(平成6)年に住田フーズへと商号変更、さらに2002年には全農チキンフーズ株式会社の子会社となった。住田町内には、生産加工工場から動物性油脂などを製造するレンダリング工場、鶏ふんを活用した炭化工場やたい肥センターまで整えている。 障がい者雇用については、これまで特に組織立って取り組んできたわけではないが、現在は従業員311人(2025年3月現在)のうち障がいのある従業員は10人(身体障がい4人、知的障がい6人)で、「障害者雇用率」は3・2%(2025年3月31日現在)という。住田フーズではフルタイム勤務であれば全員が正社員で、総合職社員と現業社員に分かれている。障がいのある社員10人のうち1人が総合職社員、9人が現業社員として勤務している。 住田フーズは2020(令和2)年度、「障害者雇用優良事業所」として岩手県知事表彰を受賞した。 毎日3万羽もの鶏肉を扱う生産現場で、ほかの従業員たちと同じように戦力として働くみなさんの様子とともに、これまでの障がい者雇用の経緯を紹介していきたい。 住田フーズでは、もともと不慮の事故や病気などで身体障がいのある従業員がいたが、知的障がいのある従業員を雇用し始めたのは、25年ほど前だという。 当時のことを知るのは、2025年2月まで管理部長を務め、現在は執行役員で生産部長の吉よし田だ順じゅんさんだ。 「地元の特別支援学校の先生が、ご自身が受け持つ生徒の職業訓練のお願いに来社されました。そのときの当社役員が、先生の熱意に感銘を受け、職業訓練を受け入れることになりました。結果としてそのまま採用に至ったのが最初だったと思います。最初に採用したその社員は、現在も活躍してくれています」 それがきっかけで、引き続き特別支援学校からの実習生受け入れと採用を進めてきた。吉田さん自身も長年、管理部管理課で障がい者雇用にたずさわってきたなかで「基本的に、特別支援学校から推薦された生徒さんは、本人の希望さえあ先生の熱意に感銘受け地域の特別支援学校や支援機関と連携しながら、採用と定着を図る1外国籍の実習生やシニア社員も一緒に支え合う現場づくり2本人の自立生活をうながしながら、職場全体で見守る社風も3POINT住田フーズ株式会社執行役員、生産部長の吉田順さん(写真提供:住田フーズ株式会社)住田フーズ株式会社は鶏肉の生産加工を手がける(写真提供:住田フーズ株式会社)働く広場 2025.85

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