れば採用してきました」という。 「理由は、特別支援学校で基本的な教育を受けていること、また学習面のみならず集団行動においても柔軟な対応を取ることができる生徒さんの推薦をいただいていたからです。先生方は、入社後も職場を訪問されては卒業生を勇気づけてくださり、とても感謝しています」 その後は、特別支援学校だけでなく、大おお船ふな渡と市の社会福祉法人大洋会気仙障がい者就業・生活支援センターから紹介された人も同様に実習を経て採用し、「周囲の方々のサポートと連携しながら、微力ですが、社会的責任を果たすべく取り組んでいます」とのことだ。住田フーズは、岩手県が2021年度から実施している障がい者向け職業訓練にも、受け入れ企業として参加している。 現在、管理部管理課で人事関連を担当しているのは平ひら野の美み季きさん。障がいのある人の採用に際しては「工場内では、ベルトコンベアーと機械による流れ作業とともに、解体用のナイフを手に作業する従業員も少なくないので、特に安全面において問題がないかを確かめています」と話す。上司に学びながら ほかにも比較的狭い空間での作業が続く、大きな機械音がする、といった環境も考慮している。「できるかぎり対応策も検討しますが、なかにはどうしても物理的な環境になじめず辞退されるケースもあります」(平野さん) 2022年の入社後、まもなく採用活動にかかわるようになった平野さんは、当時管理部長だった吉田さんに、障がい者雇用についていろいろなアドバイスをもらってきた。 平野さんは、「“住田フーズは障がい者雇用をしているんだよ”といわれて、初めて認識しました」というが、自然に受けとめられたという。「私の母が福祉施設の職員をしていて、日ごろから、さまざまな事情を抱えている人や、障がいのある人たちのことを聞いていました。私も偶然ですが、障がい者雇用にかかわることになり、何かしらサポートができるのではないかと考えていました」 平野さんは、さっそく「障害者職業生活相談員」の資格認定講習を受けたほか、吉田さんと一緒に、県内で同じように障がい者雇用を進めている同業者の話を聞きに行くなどして理解を深めてきた。 「私たちだれもが生きていくなかで、いろいろなことがあると思いますが、せっかくこの住田フーズという会社に来てもらったのですから、長く一緒に働いていけたらなと思っています。そのために私ができることを、できるかぎりやっていきたいですね」と語ってくれた平野さん。ちなみに平野さんは大船渡市から通勤しているが、住田町にある県立高校OGで、平日の退勤後は、かつて所属していたアーチェリー部でコーチとして指導もしているそうだ。 知的障がいのある6人が配属されている製造部解体課は、150人ほどが働いている、工場内の最も大きな部署だ。地元で育てられたブロイラーが1羽ずつ、さまざまな機械やベルトコンベアーを通り、ところどころで手作業も入りながら解体されていく。ここで6人は、解体ラインでの前準備やモモ肉のセッティング、計量・運搬などをそれぞれ担当している。 工場長を務める吉よし田だ健けんさんに、6人が鶏肉の解体ライン管理部管理課で人事関連を担当する平野美季さん働く広場 2025.86
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