合理的配慮の好事例集障害のある人と職場でともに働くにあたり、「合理的配慮」の提供は事業主の義務であり、職場定着のためにも欠かせません。例えば、「合理的配慮」の具体例として、車いすユーザーに対し、机の高さを調整することがあげられますが、「合理的配慮」といっても、さまざまな視点や方向性、方法があります。以下は、障害のある人が活き活きと働ける取組みを推進している民間企業などの好事例集です。ぜひ参考にして、自社と雇用した障害のある人の特性にマッチした職場をつくっていきましょう。「障害者への合理的配慮好事例集」厚生労働省、2024年https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001234010.pdf参考!クローズクローズアップアップ 障害のある人をはじめて雇用する企業にとって、雇用そのものの実現は大きな一歩です。しかし、障害のある人が「継続して安心して働き続けられる」職場づくりこそが、雇用の真の成功につながることはいうまでもありません。 そこで今号から連載で、はじめて障害のある人を雇用した場合にどのような取組みをすれば職場定着につながるのかについて解説していきます。 第1回は、「職場定着のための基本的支援とその留意点について」の前編です。はじめての障害者雇用はじめての障害者雇用〜職場定着のための取組み〜〜職場定着のための取組み〜職場定着のための基本的支援とその留意点①職場定着のための基本的支援とその留意点①第1回第1回はじめに〜職場定着に取り組むときの基本的な考え方〜 障害者の雇用については、2022(令和4)年の障害者雇用促進法の改正において、事業主の責務として雇用の質の向上が明確化されました(※1)。 これには、適当な雇用の場の提供、適正な雇用管理等に加え、職業能力の開発および向上に関する措置が含まれており、障害のある人が活躍し続けることができる職場づくりに向けて、定着支援の重要性がますます高まっているといえます。 そのようななか、事業主のみなさまが適切なサポートを行うために、今回は、業務を教えるときの伝え方やかかわり方について紹介します。業務習得の支援における基本的な留意点 障害のある人が業務を習得するためには、本人へのわかりやすい説明と本人の理解、計画的なサポートが必要です。 また、特に初期段階では、職場に対する緊張や不安も大きく、無理なくスムーズに業務を覚えてもらうための工夫が欠かせません。以下の点をポイントに対応するとよいでしょう。○説明を行う際の注意点 説明をするときは、できるだけ簡潔でわかりやすい言葉を用いるようにし、伝える内容が長くならないように意識します。 重要な点については、くり返し伝えたり、メモや図表で示したりして、本人に理解してもらうようにしましょう。話し方は、感情的になったり高圧的な口調になったりしないよう注意が必要です。 また、説明した内容でも、相手が理解できていない場合には、「前にも言いましたよね」ですませず、ていねいにくり返して説明することが大切です。○伝え方の工夫 状況に応じて、段階的に業務内容を分解し、マニュアルや図表を使って一つずつ確認しながら学べる仕組みを整えることが有効です。図や写真などの視覚的な資料を活用することで、理解しやすくなります。作業のイメージが湧くように、いっしょに作業したり、あらかじめ完成品や仕上がりを見せたうえで作業の内容を説明すると、より効果的です。さらに、その作業を終えるとどのような結果が得られるのかをあわせて伝えることで、本人の納得感や意欲の向上につながります。○ほめる・注意する際の配慮 ほめるときには、抽象的な言い方ではなく、「〇〇がよくできていた」、「△※1「令和4年障害者雇用促進法の改正等について」は、以下ホームページをご覧ください。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00019.html働く広場 2025.910
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