働く広場2025年9月号
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図 作業手順を説明する場合の段階(説明者のかかわる度合い)度合いが高い度合いが低い〇言語指示・直接的言語指示:指示する内容を具体的な言葉で表す・間接的言語指示:「次は何?」、「さあ次は?」などとうながして、自発的に行動するための間をとる〇ジェスチャー・指導者が対象となる物や方向を指差し、行動を想起させる部分的な身振りをするなどの方法でヒントを与える〇見本の提示・指導者が先に見本をみせて、そのあとに作業してもらう・指導者が本人のとなりで同じ仕事のやり方を見せながら同時に行う〇手添え・手添え:直接体に触れて動作を教える(触れられることを嫌がる人もいることに留意する)・シャドーイング:直接体に触れず動作を教える(触れそうで触れない距離感)出典:「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」JEED、2025年https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q2k4vk000003lweg.html「障害者雇用事例 リファレンスサービス」の活用障害者雇用について創意工夫を行い積極的に取り組んでいる企業の事例や、合理的配慮の提供に関する事例を紹介しているJEEDのサイトです。業種や障害種別、従業員規模など、知りたい項目を選んで検索することもできます。事例は随時追加されていますので、ぜひご活用ください。「障害者雇用事例リファレンスサービス」JEEDhttps://www.ref.jeed.go.jp参考!△のときの行動がすばらしかった」といったように、実際の行動や成果、改善点などを具体的に伝えることが大切です。注意をする際には、ただ指摘するのではなく、「なぜそれがよくないのか」といった理由を説明し、あわせてどのようにすれば改善できるかを明確に伝えるようにします。○コミュニケーションに関する配慮 障害の有無にかかわらず、コミュニケーションのスタイルは人それぞれです。「自分の話は積極的にできるが、人の話をうまく聞けない」、「言葉で伝えるのは苦手だが、相手の話はしっかりと理解できる」など、多様な特性があるものです。 そのため、一部の特徴や印象だけで本人のコミュニケーション力全体を判断せず、本人や支援機関からの情報などを参考にしながら、それぞれの特性に配慮したコミュニケーション方法をとることが大切です。例えば、聞くことが苦手な人にはメールで伝えたり、言葉が出にくい人には紙に書いてもらったりするなど、工夫しましょう。○定期的なふり返り 定期的な面談などにより、本人の気持ちを聞いたり、作業日誌や健康チェック表の内容などを確認しながら、ふり返りを行うようにしましょう(※2)。進捗は作業日誌やチェックリストで「見える化」し、本人の自己評価にもつなげていきます。また、本人の感想や希望、目標、企業から伝えたことなどを記録しておくことが大事です。作業手順をわかりやすく説明するためには? 障害のある人が業務を習得するために、作業を行う目的等を説明することや、本人にとってわかりやすい方法で説明をすることはとても大切です。特に、作業手順を説明する場合、図のように、説明する人のかかわる度合いには段階があります。本人の特性をふまえながら、本人が習得しやすい方法で行うことが大事です。おわりに 職場適応のために実施したさまざまな配慮や工夫について、それらが実際に効果を発揮しているかどうかは、本人が「これなら理解できる」、「自分にもできそうだ」と感じているかどうかという観点から見ていくことも大切です。 また、作業や環境に慣れるまでに時間がかかることもありますので、本人に対してすぐに成果を求めるのではなく、長い目で見てくり返し指導を重ねるようにしましょう。 次回は「職場定着のための基本的支援とその留意点について」の後編をお届けします。※2https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q&a/#page=5711

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