会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科・科目等又は各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図る。 ●その中で、生徒が自己の在り方生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行う。その際、家庭及び地域や福祉、労働等の業務を行う関係機関との連携を十分に図る。 特別支援学校では、こうした学習指導要領の内容を踏まえ、個別の指導計画や個別の教育支援計画を活用し、生徒や保護者の意向や生徒の障害等を十分に踏まえながら、キャリア教育・職業教育を進めています。3 特別支援学校と関連機関・部局の連携 障害のある人が生涯にわたって自立し社会参加していくためには、職業的な自立を目指すことが重要です。しかしながら、特別支援学校高等部卒業者の進路を見ると、就職者の割合は約3割となっており、近年横ばいの状況が続いています(図1)。障害者の就労支援をさらに推し進めていくためには、教育、福祉、医療、労働等の関連機関・部局の連携強化が強く求められています。 厚生労働省においては、障害者の雇用に関する労働関係機関と教育、福祉、医療等関係機関の連携について、都道府県労働局や公共職業安定所等において特別支援学校等との連携を一層強化するよう、通知を発出しました(平成25年3月29日に通知、平成30年4月2日改正)。これを受けて、文部科学省では、教育委員会等に対し、労働関係機関との一層の連携のもとに、障害のある生徒の就労に向けた支援の充実を図るよう周知しました。 また、令和7年10月からは新たな障害福祉サービスとして就労選択支援が開始されます。文部科学省では、特別支援学校等に在籍する生徒の就労選択支援の利用に関する留意事項について、各都道府県・指定都市教育委員会等に対して厚生労働省との連名で通知(令和7年5月15日付け)を発出し、サービス開始後、特別支援学校等に在籍する生徒が就労選択支援を円滑に利用できるよう、周知を図っているところです。4 共生社会の実現に向けた生涯学習の推進 障害の有無にかかわらず共に学び、生きる共生社会を実現するためには、障害者が生涯にわたり自らの可能性を追求でき、地域の一員として豊かな人生を送ることができる環境を整えていくことが重要です。 文部科学省では、障害者が生涯を通じて教育、文化、スポーツ等のさまざまな機会に親しむことができるよう、次のような事業を実施しています。 ●学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業 ・ 都道府県を中心とした地域コンソーシアム形成による持続可能な生涯学習支援モデルの構築や、地方公共団体と民間団体等の連携による障害者の生涯学習機会の拡大促進、大学・専門学校等における生涯学習機会創出・運営体制のモデル構築を目ざす取組を実施・ 生涯学習の担い手の育成や学習環境の実質的な整備につなげるための研究成果発信・実践交流等を行うブロック別コンファレンスを実施 ●特別支援学校等における運動・スポーツ活動の促進 ・ 特別支援学校等を活用した地域におけるスポーツの拠点づくり等を実施 ・ 特別支援学校の児童生徒等を対象とした全国大会の開催 ●障害者の文化芸術活動の充実 ・ 障害のある生徒による作品の展示や実演芸術の発表の場の提供 ・ 障害のある生徒に対する文化芸術の鑑賞・体験機会の提供 ・ 障害の種別や年齢にかかわらず、鑑賞・創造・発表等の文化芸術活動に取り組むことができる機会の提供 ●障害のある学生の修学・就職支援促進事業 ・ 高等教育における障害学生支援の充実を図るため、先進的な取組や多くの知見を持つ複数の大学等が連携するプラットフォームを形成し、組織的なアプローチにより障害のある学生を支援する「障害のある学生の修学・就職支援促進事業」を実施※本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています働く広場 2025.927
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