働く広場2025年9月号
7/36

★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社カシマ様のご意向により「障がい」としています 金属部品製造業の「株式会社カシマ」(以下、「カシマ」)は、1948(昭和23)年創業の矢口製作所が法人化などを経て、2009(平成21)年に、給湯器メーカー「株式会社ノーリツ」の孫会社として誕生した。おもに給湯器の金属部品をプレス板金から溶接・組立・加工まで受け持っている。 カシマが障がい者雇用に取り組み始めたのは2011年。専務取締役を務める横よこ山やま正まさ人とさんは「地域の特別支援学校から職場実習生を受け入れたことを機に、継続して採用してきました」と説明する。いまでは全従業員81人のうち障がいのある従業員は13人(知的障がい8人、精神障がい5人)で、「障害者雇用率」は19・88%になるという(2025〈令和7〉年4月末現在)。13人は、プレス加工や配管切断、製品検査、梱包・ピッキングなどさまざまな業務を任され、「もはや欠かせない給湯器の金属部品製造戦力」(横山さん)となっているそうだ。 障がい者雇用を始めた当初は、全員を正社員として採用していたが、フルタイム勤務がむずかしいケースが生じたこともあり、4年ほど前からはいったん契約社員からスタートし、勤務時間など一定条件をクリアすれば正社員に登用する形となっている。現在13人のうち11人が正社員だ。 カシマは2019年、「障害者雇用優良事業所」の(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰を受けた。これまでの会社の取組みと、製造現場で活躍するみなさんを紹介する。 これまで障がい者雇用にかかわってきた1人が、常務取締役で工場長を務めている箱はこ根ね一かず徳のりさんだ。初めて特別支援学校から実習生を受け入れたときの経緯について語ってくれた。 「当時は業界内での人材獲得競争が厳人材確保のためにしくなっており、外国籍の従業員を中心に雇用を増やしていましたが、それでも足りませんでした。受注生産も増えていた時期で、人材確保は大きな課題です。そんなとき、たまたま茨城県立水戸高等特別支援学校から職場実習の依頼があり、一度受け入れてみようということになりました」 受け入れた実習生2人には、バリ取りや仕分けなど比較的簡単な作業を2週間ほど行ってもらった。「まずは周囲とのコミュニケーションがしっかりとれるかを注視していましたが、まったく問題なく、言葉の壁がある外国籍の方より指導しやすいと感じました」と箱根さん。くり返し作業を予想以上にきちんと取り組み続けたことも好感触で、2人の採用を決めたという。 入社後は、障害者就業・生活支援センターから派遣されたジョブコーチに定着支援をしてもらったことも大きな助けに本人の得手不得手を見きわめながらの指導や柔軟な配置換え1職場全体で、だれもがミスなく取り組みやすいよう改善・工夫2小グループのランチ会や社外活動などでコミュニケーションを図る3POINT株式会社カシマ専務取締役の横山正人さん常務取締役で工場長の箱根一徳さん株式会社カシマは、金属部品のプレス板金や溶接、組立を手がける製造した部品は給湯器の内部部品として使用される働く広場 2025.95

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る