働く広場2025年9月号
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質管理グループで製品検査を担当している。箱根さんは「田山さんは、どんな作業もコツコツ集中して取り組み続けられるので、たくさんの部品が良品か不良品かを見きわめる作業に向いていると考えました。1人で作業をするので、精神的な負担も軽いと思います」。 この日も、バーナーコーンと呼ばれる給湯器の部品を1個ずつ手に取って、針のようなもので内側のすき間などを確認していた。 田山さんは、これまでをふり返り「最初は仕事に慣れず、遅刻したこともあります。積極性のなさが裏目に出て、苦しくて辞めたくなったこともありました。でもいろいろな仕事をしていくなかで、検査作業は自分に合っていると感じています」と語ってくれた。 品質グループリーダーを務める山やま口ぐち健けん一いちさんは「田山さんは仕事を最後まできちんとやり抜き、検査できる品目も増えました。急ぎの検査にも対応してくれます。品質管理に関する知識やスキルを向上させて、さらに活躍してほしいですね」と激励する。田山さんも「みんなと協力して苦労しながら製品を仕上げ、達成感を持てるようになりました。品質最優先の約束を守り続けられるようがんばりたいです」と話す。 ちなみに田山さんは、職場の有志によるボランティア活動も楽しみにしており、箱田さんが出場している「かすみがうらマラソン」では給水ボランティアを務めているそうだ。 カシマでは、箱田さんと田山さんの職場定着を機に、継続的に障がい者雇用を進めてきた。横山さんによると「あくまで戦力として雇用しますので、採用時に本人から念入りにヒアリングし、場合によって実習期間も延長するなどして慎重にマッチングを判断しています」という。 特別支援学校だけでなく障害者就業・生活支援センターからも希望者の実習を受け入れ、採用につなげている。その一人、製造部製造1課プレスグループの小お野の隆たか之ゆきさん(45歳)は、2014年の入社以来、プレス機を使った金属加工を担当してきたベテランだ。以前は介護職として働いていたという小野さんは、「人と接する仕事に向いていなくて、負担になっていプレス加工で予習欠かさずました」と明かす。 一方で小野さんは実習時から、仕事にまじめに向き合う姿勢が見られていた。箱根さんによると「勉強熱心で、一日の仕事が終わると、自分なりに明日の予習を毎日やっていました。いまも続けているようです」と感心する。プレスグループリーダーを務める臼うす井い寿とし也やさんも、「小野さんの長所は、仕事を覚えようと努力することです。作業内容を理解してもらうまで苦労もありましたが、本人もメモを取って忘れないようにしていました。いまは周囲と同じように作業をし、頼みごとにもよく対応してくれます」と評価する。プレスグループリーダーの臼井寿也さん製造部製造1課プレスグループの小野隆之さん小野さんは、プレス加工を担当しているバーナーコーンを検査し、微調整を行う田山さん品質グループリーダーの山口健一さんバーナーコーン内部。部品にあけられた隙間を検査し、微調整する働く広場 2025.97

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