クローズクローズアップアップ 障害のある人をはじめて雇用する企業にとって、雇用そのものの実現は大きな一歩です。しかし、障害のある人が「継続して安心して働き続けられる」職場づくりこそが、雇用の真の成功につながることはいうまでもありません。 そこで第2回は、「職場定着のための基本的支援とその留意点」の後編をお届けします。職場環境の見直しや日々の声かけ、社内支援体制についてなど、適切な支援について具体例をあげながら解説します。はじめての障害者雇用はじめての障害者雇用〜職場定着のための取組み〜〜職場定着のための取組み〜職場定着のための基本的支援とその留意点②職場定着のための基本的支援とその留意点②第2回第2回長く働き続けられる土台づくりに必要な支援とは? 障害のある人が継続して働き続けるためには、第1回(※)でご紹介したように業務内容を習得するための説明や伝え方を工夫することはもちろんですが、本人が安心して働ける環境を整えて、業務上の戸惑いや孤立を防ぐことも重要です。ハードとソフトの両面から職場環境を整備し、適切な配慮と働きかけを継続的に行うことは、本人のやる気と能力を引き出し、長く働き続けられる土台をつくるためにも欠かせない支援です。以下、留意すべきポイントについて紹介します。設備や業務改善などの職場環境を整備 障害のある人が働く職場では、その人の障害特性に応じた設備や環境の整備が必要に応じて求められます。身体障害のある人であれば、バリアフリーな通路やトイレの設置などが一例としてあげられます。また、視覚障害のある人には、音声案内や点字表示、手すりの設置などが役立ちます。 精神障害や発達障害のある人の場合は、例えば、集中しやすいように間仕切りを設ける、静かな場所を用意するなどといった対応があります。 また、これらのような設備の改善といった「ハード面」だけでなく、業務の流れを工夫したり、休憩の取り方を柔軟にしたりといった「ソフト面」の工夫も大切です。 そして、こうした配慮がほかの従業員から「特別扱い」と受け取られないようにするために、職場全体で障害理解を深める研修を行うことも大事です。「だれもが働きやすい職場」は職場全体の生産性向上や定着率向上をうながすという認識を、全社で共有しましょう。本人の日々の状況を把握し継続勤務を支える 障害のある人にとって、日々の体調や気分の変化は仕事に大きく影響する場合があります。そのため、「今日は体調どうですか?」など、日常的に声をかけて体調等の変化を把握することが大切です。そしてそれは、本人にとっても「気にかけてもらっている」と感じられ、安心につながります。 精神障害や発達障害のある人の場合は見た目だけでは体調の変化や不調がわかりにくいこともあるため、表情や行動、話し方などの変化に気を配りま障害者雇用に関する援助制度障害のある人を新しく雇用したり、長く働いてもらうために必要な対応を行う事業主の方のために、助成金や税制上の優遇措置があります。利用する制度により窓口が違いますので、それらの内容も含めて各ホームページでご確認ください。雇い入れた場合:「特定求職者雇用開発助成金」、「トライアル雇用助成金」などhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/intro-joseikin.html施設等の整備や適切な雇用管理の措置を行った場合:「障害者雇用納付金制度に基づく助成金」https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/index.html障害者を雇用する企業に対する税制優遇制度https://www.mhlw.go.jp/content/001140709.pdf★助成金の活用事例を今号12~13ページでご紹介しています。あわせてご覧ください参考!※ 当連載第1回(2025年9月号)は、以下のJEEDホームページからもご覧になれます。https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/book/hiroba_202509/index.html#page=12働く広場 2025.1010
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