して一般社員から処遇され、仕事をほかの社員に教えるレベルまで習熟すると、上位のトレーナーへ昇格します。2025年4月現在の職位の分布は、一般社員が全社員の58・4%(うち障害のある社員は261人、以下同じ)、トレーナーは12・3%(55人)、リーダーは17・0%(15人)、役付6・9%、管理職4・0%、役員1・3%です。役付以上には障害のある社員はまだいません。室井謙一さん 「この体制は2011年からです。それ以前は、障害のある社員は一般社員とは別の処遇とされていたのですが、障害のある社員の動機づけを高めることを目的に一本化にふみ切りました。障害のある社員は一般社員からですが、障害のあるなしにかかわらずチームを任せられる社員はリーダーからの処遇となり、一本化という意味では完全ではないかもしれません。それでもリーダーになる障害のある社員も誕生し始めています」 ですが、最近の問題意識として、ほとんどの障害のある社員が一般社員の職位に長期に留まっていることへの対応がありしていただきました。1 採用の経路 障害のある人の採用は、特別支援学校の生徒の場合は、在学時から職場実習を受け入れています。中途採用の場合は、基本的に障害者雇用に関する支援機関に登録していただいたうえで、2週間程度の実習を経て採用します。採用後の最初の配属は、実習経験のある業務にしています。2 職位と人事評価の制度 職位制度は、「一般社員→トレーナー→リーダー→主任→課長補佐→課長→次長→部長以上」と一本化されており、障害の有無にかかわらず、上位の職位を目ざせる制度になっています。障害があってサポートが必要な社員の場合は、入社後3カ月間の契約社員を経て、正社員と 障害者の雇用政策で提唱されている「雇用の質」を考えるために、特例子会社とそうでない企業を訪問して双方の人事労務管理の状況をみながら、障害のある社員が活躍できる組織内キャリアの道筋を検討しました。第一生命チャレンジド株式 会社の取組み 第一生命チャレンジド株式会社(以下、「第一生命チャレンジド」)は、第一生命保険株式会社の特例子会社として2006(平成18)年8月に設立されました。おもな業務は、事務サポート、印刷、書類作成・発送、清掃・整備、喫茶、ヘルスキーパーなどです。「認め合うから長所がいき、支え合いから仲間ができる」、「任されることでやる気が出て、チャレンジできることで成長できる」ことを価値観として大切にしています。2025(令和7)年6月1日現在の社員数は444人で、そのうち障害のある社員は328人、内訳は、知的障害75%、精神障害21%、身体障害4%、障害者雇用率は2・53%です。 東京都の田端本社におうかがいして、取締役の鈴すず木き敏とし邦くにさん、企画総務部長の室むろ井い謙けん一いちさん、人財育成部次長の梶かじ野の耕こう平へいさん、ダイバーシティ推進部課長の齊さい藤とう朋とも美みさんに人事労務管理の全体をお聞きし、書類発送グループリーダーの中なか村むら泰やす也なりさんには現場の状況についてお話を一貫した制度と多様な支援によって、障害者雇用の質が向上1さまざまな将来展望に応える、柔軟なキャリアパスの提供2現場と人事の密接な連携によって、安心して働ける 環境構築の提供3POINT第一生命チャレンジド株式会社は、親会社の 事務サポートや書類作成、清掃などを手がける企画総務部長の室井謙一さん第一生命チャレンジド株式会社 取締役の鈴木敏邦さん人財育成部次長の梶野耕平さん働く広場 2025.1021
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