働く広場2025年10月号
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参加への支援なども行っています。 このほかにも、①社員の投票による毎月の表彰(社長賞)で、仲間から認められ喜んだり自分の長所を再発見したり、②各グループの取組みを年1回発表する好事例大会を通して、より高いレベルのサービスを目ざす人財を育成したり、③年度当初の面談による目標と希望をふまえてチームを編成し、個性を活かしつつ人間関係の絆を高める取組みを行ったりしています。梶野耕平さん 「時間をかけて豊富な研修制度を構築してきましたが、最近は、障害のある社員が自分のキャリアを考えるプログラムも展開しています。そこでは、異なる職場に配属されている同期生が参集して交流を深めながら、近未来の展望を検討するグループワークを行っています」4 現場の声 中村泰也さんは、特別支援学校を卒業後に一般社員として入社して12年になります。この間、一貫して書類発送業務に従事し、入社3年目にトレーナーに、8年目に9人の一般社員の部下を持つリーダーに昇格しました。障害のある社員のトップランナーとみなされています。中村泰也さん 「一般社員のときには指示された内容を正確に実行するだけでよかったのですが、トレーナーになると、それに加えて社員同士の協力関係を維持するための心遣いや配慮が求められます。 配置や担当替えなどの人事異動は、本人の希望や能力と上司の意向や組織ニーズの双方の事情をふまえて行います。障害のある社員には、将来的に希望する役割や業務あるいは自分に向いていると思う仕事などを定期的な面談で確認するとともに、ミスマッチを防ぐために社内トレーニー制度を活用して希望する部署で職場実習をして適性を判断します。3 研修と自己啓発 社員の研修は会社の歴史とともに多様化されました。一般社員やトレーナー職には、新入社員研修、新任トレーナー研修、シニア向け研修、テーマ別研修があり、リーダー以上には、新任リーダー研修、職場定着スキル研修、外部主催研修(障害者職業生活相談員資格認定講習、職場適応援助者〈ジョブコーチ〉養成研修)、選抜社長塾などがあります。また、職位にかかわりなく受講できる社内トレーニー制度もあります。これは、本人の応募あるいは上司の推薦で他部署の業務体験をするものであり、自身のキャリア形成に向けた視野を広げるきっかけにしたり、他部署の社員との人事交流を深めることができるため、希望者は多いということです。 また、自己啓発の機会として、業務に役立つ資格取得を応援する指定社外資格取得奨励制度のほかに、外部主催セミナーやeラーニング受講の機会、さらには、障害者技能競技大会(アビリンピック)ます。そのため、新たな処遇のあり方として、一般社員とトレーナーの職位をそれぞれ2段階に分けて、一般社員とトレーナーとの中間職位、トレーナーとリーダーとの中間職位を新たに設ける計画があります。鈴木敏邦さん 「新たな職位を設けることは、障害のある社員の能力と力量を会社が認定することにつながります。そのことが、本人の仕事への動機づけを高めてキャリア意識を呼び起こすでしょう。他方で、障害のある社員のすべてが職位の上昇志向を有しているわけではないことも承知しています」 人事評価は、障害のある社員の場合には行動評定と業務遂行実績を基に総合評定します。行動評定はマナーや職務遂行にかかわる行動を、業務遂行実績は役割を遂行した実績をそれぞれ評価したうえで、それらを総合評定します。行動評定は自己評価と上司評価とのすり合わせで決定しますが、それによって自己理解が深まります。また、業務遂行評価は一人ひとりが目標設定をしたうえでその達成状況を評価します。目標設定は、年度始めの個別面談で確定し、年度中間に進捗状況を確認し、年度末にふり返り面談をします。 給与は、障害の有無による差はありません。職位や勤続年数で決定される基本給と職位給を基礎とし、それに総合評価による加算が行われます。中村泰也さんは書類発送を担当。リーダーとして9名の部下がいる書類発送グループリーダーの 中村泰也さん働く広場 2025.1022

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