働く広場2025年10月号
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企業理念のもとに、障害者の雇用は事業場内に自然に溶け込んでいく職場づくりを目ざしています。2025年6月時点の社員数746人のうち、障害のある社員は36人で、聴覚障害6人、肢体不自由6人、内部障害1人、知的障害15人、精神障害8人(うち7人が発達障害)と多様であり、障害者雇用率は7・48%。2011年の5カ年計画開始以降、法定雇用率の倍以上の障害者雇用を維持し続けています。 山梨県にある本社工場におうかがいして、経営管理本部人事部人事グループマネージャーの室むろ井い利とし公あきさん、主任の神かみ谷や暁あき嘉ひろさん、坂さか本もと美み和わさんに人事労務管理の全体をお聞きし、また、製造本部加工工程グループ表面処理班では班長の越こし水みず拓たく郎ろうさんと丸まる山やま良りょう一いちさん、組立出荷グループEH製品班では班長の歌うた田だ秀ひで樹きさんと斎さい藤とう浩こう太た郎ろうさんに現場の状況についてお話をしていただきました。1 採用の経路と配属 障害のある人を採用する場合、本人の希望と会社側のニーズに応じて3職場ほど実習したうえで配属先を決めます。障リーダーになるとますます組織マネジメントの能力が要求されます」 「将来は主任に昇格したいです。最初のころは他部署への異動を考えることもあったのですが、昇進するにつれて、組織内キャリアを真剣に考えるようになりました。同じ障害のある仲間とともに成長してきたことの安心感や楽しさがあることから、現在の事業所のなかで仕事を続けていくことが自分のキャリアであると考えています」5 取組みの全体的印象 特例子会社として、在籍する大多数の障害のある社員のモチベーションの維持と向上に向けて、さまざまな取組みが行われています。職位制度を障害の有無にかかわらず一本化したうえで、さらに下位職位を細分化して、障害のある社員の働きがいと目標管理を高めることが計画されています。これらを通して、障害のある社員が組織内キャリアに見通しを持ち、チャレンジする機会と動機づけの維持・向上につなげていこうとしています。株式会社キトーの取組み 株式会社キトー(以下、「キトー」)は、マテリアルハンドリング機器(巻上機およびクレーンなど)の製造、販売、アフターサービスを手がける国内随一の企業で、1932(昭和7)年に創業しました。働く喜びと人間的成長をうながすという害に対する配慮はするものの特別扱いはしないことを基本としています。神谷暁嘉さん 「障害の特性により配属するのではなく、あくまで個人の特性に合わせ配属をします。実習先は特定の職場に偏らないようにして、現場リーダーが過重の負担にならないようにしています」 生産現場での障害のある社員の受入れに関しては、人事部門との緊密な協働のもとに、次のようなさまざまな対応を進めています。①定例会の開催:生産現場の全役職者、グループのマネージャー、人事担当者が参集して毎月行われ、障害者雇用に特化した課題や解決策の情報を共有します。②情報の共有:障害のある社員が配属さ株式会社キトー本社株式会社キトー人事グループ マネージャーの室井利公さん株式会社キトーは、巻上機やクレーンなどの マテリアルハンドリング機器の製造・販売を手がける人事グループ主任の神谷暁嘉さん人事グループの坂本美和さん働く広場 2025.1023

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