に、社内研修会では聴覚障害のある社員が講師となって、手話学習会も実施されています。4 現場の声 聴覚障害のある斎藤浩太郎さんは、ろう学校の在学時に先輩の話を聞いて入社を希望し、入社後は社内イントラネットに新聞を発行したり、社内提案制度にも頻繁に応募したりして活発な活動をしています。斎藤浩太郎さん 「将来の夢は、この会社で仕事を続けて、契約社員から正社員になることです。正社員として働くことはたいへんなことだとは承知していますが、同じ職場だった聴覚障害のある先輩が正社員になってがんばっている姿は身近なキャリアのモデルになっており、モチベーションが喚起されます。スキルアップして自分も資格を取得し、後輩を指導していきたいと強く望んでいます」 斎藤さんの上司である歌田秀樹さんの班には異なる障害のある社員が5人いますが、配属前や配属後も人事部門と連携しながら、個別に対応しています。本人への指導で対応に困った場合には人事部門が積極的に介入してくれて助かるということです。 知的障害のある丸山良一さんは、普通高校を卒業して別会社に就職した後に転職してきました。入社の最大の理由は、給与も含めて将来的に安心して働けることだそうです。入社以来、部品熱処理作き続けることを求めています。ですから、契約社員は、働きたい意思を尊重しつつ次のキャリア段階を考えて将来を展望する場となっています」 人事評価は、障害のある契約社員の場合は、働く意欲や態度などの行動評価に基づく評価だけがあり、技能評価は含まれません。給与は時給月給制で、年2回の賞与において行動評価の結果に基づいた特別加算をします。 人事異動は、人事部門との個別面談や現場上司の行動評価時の面談などで本人の意思を確認します。希望しないかぎりは異動させませんが、希望する場合は社内実習を行ってから決めます。3 研修と自己啓発 現場の生産工程にはさまざまな社内の資格認定基準があります。職場での必要性と本人の希望により社内認定を受けることができ、障害のある社員の高い動機づけにつながっています。また、生産現場のニーズと障害のある社員の希望が合致していれば、それに関連する社外の公的認定資格を取得するための支援も行われます。 そのほか、人事部門では、障害のある社員への相談支援体制を充実させるために、障害者職業生活相談員の大幅な増員を目ざして、障害者職業生活相談員資格認定講習の受講を積極的に進めています。また、障害理解のための社内研修会や社外研修への参加もうながしています。特れる際には、本人・家族の同意のもとに職務遂行に必要な配慮事項が共有されるとともに、雇用にともない必要な改善を行います。③聴覚障害のある社員への対応:手話通訳の社内講習会を開催するとともに、情報保障手段として、音声認識ソフト、電子メモパッド、腕時計型の屋内信号装置、手話ボード、光るチャイムなどを導入しています。2 職位と人事評価の制度 職位制度は、契約社員から嘱託社員、正社員へという流れとなっています。障害のある社員はまず契約社員として処遇され、6カ月ごとの更新を継続します。その後、嘱託社員を経て、本人の希望と職場の推薦によって正社員登用の機会が与えられます。同試験は一般のキャリア採用の場合と同じです。受験の意思は半期ごとの定期面談で確認していきます。現在、障害のある社員のうち、契約社員は26人、嘱託社員が2人、正社員が8人です。室井利公さん 「障害のある社員の全員が正社員を望んでいるわけではありません。正社員になれば評価基準も異なり、成果も求められ、給与も評価によって変動します。そのため、本人が希望しなければ無理にはすすめません」坂本美和さん 「実際のところ、正社員を希望しない障害のある社員はたくさんいます。昇進よりも安定して長期的に働組立出荷グループEH製品班の 斎藤浩太郎さん斎藤さんは、電気チェーンブロックの製造を担当している組立出荷グループEH製品班班長の歌田秀樹さん働く広場 2025.1024
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