者は「とっさの事態に対する判断力」が36%で最も多くなっていました。 個々の対象者に対する雇用管理上の配慮・措置で実施率が高い項目は、「本人の適性・能力に合った業務や配置部署を設定する(業務設定)」(76%)、「体調に変化があり、職務遂行や勤怠に影響する場合に対応する(体調変化)」(73%)、「業務指導や相談に関して担当者を決める(担当者)」(67%)、「上司や雇用管理担当者による定期的な面談を行う(定期面談)」(64%)などでした(図)。これらの配慮・措置の負担の程度については、「本人の障害特性に応じてマニュアル・工程表等を作成する(マニュアル等)」が46%、「本人の障害特性に応じて作業内容や作業手順を見直す(作業内容等)」が42%の対象者で負担があると回答されていました。負担の程度を手帳等級別に確認したところ、大きな違いは見られませんでした。(3)障害者(当事者)調査 障害者(当事者)調査では、精神障害のある人(以下、「当事者」)のおもな疾患は、「気分障害」(28%)、「ASD」(21%)、「統合失調症」(20%)などが比較的多くなっていました。手帳の等級は、1級が2%、2級が45%、3級が51%でした。 当事者が会社から受けている配慮・措置は、「調子の悪い時に休みを取りやすくする」(63%)、「業務遂行の支援や本人・周囲に助言する者等の配置」(62%)、「業務実施方法についてのわかりやすい指示」(61%)などが比較的多くなっていました。(4)配慮・措置の実施状況に関連する要因 現場調査の結果をもとに、対象者に対する配慮・措置の実施の有無や負担の程度に関連する要因を、一般化線形モデル(GLM)という統計学的な手法を用いて分析しました。その結果、配慮・措置の実施や負担の程度に手帳の等級が関連するとする積極的な証拠は得られませんでした。一方で、対象者の就業上の課題が大きくなること、対象者の日常的な体調把握の実施、企業・法人全体の配慮・措置の取組み、就労支援機関との連携などが一部の配慮・措置の実施を促進する可能性が考えられました。また、企業・法人全体の配慮・措置の取組みは、一部、個々の対象者に対する配慮・措置の実施の負担の程度を小さくする可能性が考えられました。4 まとめ 本調査研究の結果からは、個々の対象者に対する配慮・措置の実施やその負担の程度について、手帳の等級との関連はほとんど見られませんでした。一方で、企業全体の取組みなどが配慮・措置の実施を促進し、部分的に負担の程度も小さくする可能性が示唆されました。本調査研究は、どのような取組みが、対象者への配慮・措置をうながし、また配慮・措置実施の負担の程度を小さくする可能性があるのかという点について、限定的ながら明らかにしました。その成果をふまえ、マニュアル(※2)も作成しました。調査研究報告書とあわせてご活用いただければと思います。※2 マニュアル、教材、ツール等No.85「精神障害者保健福祉手帳を所持する方の就業の状況と企業が取り組む職場の配慮・措置―『精神障害者の等級・疾患と就業状況との関連に関する調査研究』の結果から―」は、以下のホームページでご覧になれます。https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai85.html図 配慮・措置を実施した対象者数(配慮・措置は項目数が多く、また項目名が長いため略記としました。詳細は調査研究報告書No.182の64ページを参照してください)産保活用情報共有職場外課題目標決定教育訓練配慮説明コミュニケーション課題休暇制度労働時間体調変化通院・服薬機器提供作業内容等マニュアル等業務設定照明等休憩場所就業環境定期面談担当者援助者職場実習3,0002,5002,0001,5001,0005000実施した対象者数(人)1,7302,4452,3461,2321,2106139432,7751,0881,7322,1392,6672,1631,9972,2312,1631,6671,672624592402676◇お問合せ先 研究企画部企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp)29
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