★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社北海道銀行様のご意向により「障がい」としています 「株式会社北海道銀行」(以下、「北海道銀行」)は1951(昭和26)年、道内の中小企業や商工会議所などからの要望のもと400人の発起人により設立された。地域に根ざした銀行として、道内を中心に144店舗を展開している。 障がい者雇用については、直近で全職員(行員・契約社員・嘱託社員)2491人のうち障がいのある職員は54人(身体障がい34人、知的障がい1人、精神障がい19人)、「障害者雇用率」は2・77%(2025〈令和7〉年6月1日現在)という。2019年には「ダイバーシティ推進室」地域に根ざした銀行が新設されて就労後の支援体制が強化、定着と戦力化が図られている。 今回は、行内で障がいのある職員がもっとも多く配属されている事務センターを中心に、これまでの取組みや現場で働くみなさんを紹介する。 総合事務部の事務センターは、おもに北海道銀行内のバックオフィス業務を担当し、職員80人と職員以外のパート勤務者などのスタッフ90人の計170人が働いている。このうち障がいのある職員は21人で、年齢層も20代から60代までと幅広い。 おもな業務は、振込や振替などの伝票処理から書類点検、データ入力、預金調査、各種税金のとりまとめまで多岐にわたる。分野によって15の係に分かれ、高性能なシステムや機器を駆使しながら大量の処理をこなしているそうだ。事務センター一筋縄でいかなかった苦労に12年以上在籍し、2022年から所長を務める部とり田た克かつ人ひとさんが説明する。 「それぞれ専門性は高いですが、定型業務などに絞って専念できるので、習熟しやすいと思います。ミスが許されない職場ですが、システムサポートや複数名によるチェック体制、マニュアルやルールの整備によって間違いが発生しづらくなっています」 一方で部田さんは「障がい者雇用にかかわる取組みは、ダイバーシティ推進室ができるまでは、一筋縄ではいかない苦労がありました」と明かす。 採用は、基本的にはハローワークを通じて応募してきた人を人事部の担当者が面談などを経て判断し、その後は、事務センターの配属先がそれぞれ責任を持って仕事の指導や配慮などを行ってきた。だが障がいのある職員が増えてくると、対応に苦慮する場面も増えてくるようになる。現場からは「仕事が回らない」、「どうしてここに障がい者を配置するのか」といったネガティブな意見も上がり、「本人が職場になじめないまま退職したケースもあった」と部田さん。 「職場全体の知見レベルが追いついておらず、適切な配慮や支援ができていませんでした。結果として本人も同僚も上司も、つらい経験をしたと思います」ダイバーシティ推進室の開設を機に、フォロー体制を強化1障害者職業センターからのジョブコーチ派遣で、現場における対応を学ぶ2さまざまな特性を持つ職員が安心して働ける職場を目ざす3POINT株式会社北海道銀行総合事務部事務センター所長の部田克人さん株式会社北海道銀行総合事務部事務センター働く広場 2025.105
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