働く広場2026年3月号
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ば、ひらがなや数字で表記を工夫する。日本語が十分に読めない社員がいれば、母国語に翻訳した掲示を用意する。特性に気づかないまま「なぜできないのか」と責めるのではなく、部門内で障害特性や〝困りごと〟を共有し、〝どうすればできるようになるか〟を一緒に考えることを大切にしています。 もちろん、すべての方がその条件をクリアできるわけではありません。実際に、トライアルを経て正式採用に至らなかったケースもあります。しかしそれは「障害があるから」ではなく、「労働者としての基準に届かなかったから」です。その線引きを曖昧にしないことが、結果的に採用された社員の自信や職場の納得感につながっていると感じます。配慮は必要ですが、仕事としての基準を共有することが、長く働き続けるための前提だと考えています。川田 当社も基本的なスタンスは同じです。会社は「できなくてもだれかがなんとかしてくれる」という前提では成り立ちません。その一方で、発達障害のように周囲から見えにくい特性は、「何が困りごとなのか」を本人も周りも言葉にしにくい。そこで、発達障害の基礎知識を学ぶ社内勉強会を開き、〝こんな場面でつまずきやすい〟、〝こういう伝え方はNGワードになりやすい〟といったことをみんなで共有しました。 佐々木さん本人にも、「私はこういう場面が苦手で、こうしてもらえると助かります」と自分から発信してもらうようにしています。単に「この社員は障害者です」とレッテルを貼るのではなく、その背景にある〝具体的な困りごと〟を共有することが重要だと思っています。松爲 〝困りごと〟という言葉が印象的ですね。障害の有無にかかわらず、だれもがそれぞれ違う困りごとを抱えていて、それを職場のなかでオープンにしやすい雰囲気づくりが、ダイバーシティ経営の土台になる、ということでしょうか。伊藤 まさにそうだと思います。外国籍の社員もいれば、障害のある社員もいて、若い人も高齢の人もいる。みんながそれぞれ違う困りごとを抱えています。それを「甘え」として切り捨てるのではなく、「どうすれば一緒に働きやすくなるか」という発想で向き合えるかどうか。そこに会社の文化が現れると思います。 また、「できること」だけをやるのではなく、「苦手なこと、やってみたいこと」にチャレンジすることも大切だと思います。少しむずかしい課題に取り組んでもらい、失敗してもいいので、結果をフィードバックし、次の成長機会をつくっていくことが〝戦力化〟への重要なカギではないでしょうか。4.テクノロジーと〝見える化〟が支える働き方松爲 次に、業務の〝見える化〟やデジタルツールの活用についてもお聞きしたいと思います。佐々木さんは、自分でチェックリストや作業手順書をつくっているとお話ししていました。川田 そうですね。佐々木さんは、給与計算など、ミスが許されない業務を担当するなかで、自分で100項目以上のチェックリストをつくりました。エクセルで作業手順を細かく書き出し、一つひとつチェックしていくことで、“具体的な困りごと”を社内みんなで共有しているという川田さん(左)と佐々木さんどうすればできるようになるかを、一緒に考えてきたという伊藤さん(右)と横田さん働く広場 2026.323

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