働く広場2026年3月号
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〝曖昧さ〟を減らしていくんです。会社としても、「定型化できるものはできるだけ手順書に落とし込み、だれが見ても同じようにできるようにする」という方針にしてから、業務の品質が安定してきました。松爲 情報処理の特性が違うからこそ、だれもが理解できる手順書を作成して〝曖昧さ〟を排除することでアウトプットを揃そろえていく、というイメージですね。川田 その通りです。佐々木さんは、カレンダーの年月日をすべて覚えているなど、記憶の面で非常に優れた力も持っています。その力をどう業務に活かすか、という視点で一緒に考えてきました。苦手な部分だけに着目するのではなく、得意な部分をどう伸ばすかを考えることや、苦手なことでも本人がやってみたいことをどのようにしてやれるようにするかという視点で育てていくことが大切だと教えられました。松爲 栄和産業では、グループワークや翻訳などにデジタルツールを積極的に使っておられるとうかがいました。伊藤 はい。工場と本社が離れていますので、オンライン会議ツールを導入して、部署間のコミュニケーションをチャットやオンライン会議で行うようにしました。「いつまでに、何を、だれがするか」を文字として残せるので、曖昧な指示が減り、横田さんのように〝曖昧さが苦手な人〟にとっても働きやすくなっています。 そして、外国籍の社員とのコミュニケーションでは、ウェブ上の自動翻訳ツールやスマートフォンの翻訳機能も活用しています。カンボジア語の文章をつくって、数人の日本語話者にニュアンスを確認しながら修正していく。完璧ではありませんが、「伝えようとする努力」があることで、お互いの信頼関係も深まります。また、パソコントラブルへの対応は、外部のIT会社にアウトソーシングし、社内の負担を減らしました。こうした仕組みも、ダイバーシティを支える重要な〝インフラ〟だと思っています。5.実習は自己肯定感を高める場松爲 伊藤さんのお話には、〝実習〟というキーワードが何度も登場しました。栄和産業にとっての実習の意味をあらためて教えていただけますか。伊藤 実習は、実習生たちにとって自己肯定感を高める場です。最初に来てくれた軽度知的障害のある女子生徒が、『ここなら働ける』と実感してくれたことが大きな転機でした。私たちも、『障害があるからむずかしいだろう』と先入観を持っていた部分がありましたが、実際に一緒に作業してみると、〝工夫さえすれば十分に戦力になる〟ことがわかってきたのです。 いまでは、年間を通じて多くの特別支援学校・就労移行支援事業所から実習生が来てくれます。経営的には実習の受入れはコストでもありますが、「教育のお手伝いができている」、「社会全体の人材育成に参加している」という実感があり、続けていきたいと思っています。松爲 法定雇用率を大きく上回る8・38%という数字の背景には、そうした地道な実習の積重ねがあるわけですね。伊藤 そうだと思います。ただ、雇用率という数字そのものに頼っている社会は、どこかで限界が来ると感じています。最終的には、『障害者雇用率という枠組みがなくてもあたり前に多様な人が働いている社会』を目ざしたい。そのためにも、いまはルールを守りながら、企業としてできる工夫を積み重ねていく段階だと考えています。座談会の風景働く広場 2026.324

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