働く広場2026年3月号
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よる対象者の課題の改善は、改善が見られない事例も一定数報告されたものの、約6割の事例において改善が見られました。(3)対象者像の分類 対象者に生じていた困難の回答傾向の分析をもとに、事例を「行動・感情制御困難型」、「認知制御困難型」、「複合困難型」の三つの困難類型に分類しました。3 実行機能に困難のある対象者への支援に関するフォーカスグループ・インタビュー アンケート調査で分類した三つの困難類型別に、その支援方法や支援を実施する際の課題や1 はじめに 「実行機能」とは、ある目標を達成するために思考と行動を調整する認知機能のことです。実行機能に困難があると、職場では、仕事の手はずや段取りが悪い、時間内・期限内に仕事を終えられない、といった課題が生じることが想定されます。本調査研究は、実行機能に困難のある対象者への効果的なアセスメント方法及び効果的な支援(介入)のポイントを明らかにする目的で実施しました。本稿では、その研究成果の一部についてご紹介します。 なお、本調査研究では実行機能の下位項目を、抑制、シフト、情緒のコントロール、セルフモニタ、開始、ワーキングメモリ、計画・組織化、タスクモニタ、道具の整理の九つと定義しました。図1では、実行機能の九つの下位項目ごとに、職場で見られる具体的な困難(状態像)を示しています。2 実行機能に困難のある対象者の支援事例に関するアンケート調査 実行機能に困難のある対象者への支援実施状況等を把握することを目的とし、全国の地域及び広域障害者職業センター等を対象としたアンケート調査を、2023(令和5)年に実施しました。実行機能に困難のある対象者について、98・2%の地域障害者職業センター等で支援経験があり、105件の事例が得られました。(1)対象者の特徴 事例の障害種類は、発達障害が約半数(47・6%)であり、高次脳機能障害(26・7%)、精神障害(24・8%)と続きました。また、対象者に生じていた困難について、実行機能の九つの下位項目を対応づけたところ、最も多かったのは「状況に応じて行動や考え方を柔軟に変えることができない(シフト)」と「感情的な反応を適切に調節することができない(情緒のコントロール)」(それぞれ56・2%)であり、半数以上の事例で選択されました(図1)。(2)支援の傾向 対象者への支援内容について、支援の対象に注目して分類すると、本人への働きかけだけではなく、職場の環境調整や上司・同僚等の関係者への支援も行われていました。また、支援に図1 対象者に生じていた実行機能の困難と困難類型事例の分類実行機能の困難状況に応じて行動や考え方を柔軟に変えることができない(シフト)感情的な反応を適切に調節することができない(情緒のコントロール)自分の行動が他人に与える影響を認識することができない(セルフモニタ)衝動をコントロールできない(抑制)作業の実施中や終了後に、ミスがないか確認して評価することができない(タスクモニタ)自発的に課題や活動を始めることができない(開始)段階を踏んで作業を進めることができない(計画・組織化2)作業を実施するための手順を事前に作成することができない(計画・組織化3)仕事場を整頓し、作業に必要な道具を管理することができない(道具の整理)作業を完了するために、情報を記憶することができない(ワーキングメモリ)目標を設定することができない(計画・組織化1)その他0204056.256.249.548.631.424.823.823.822.922.919.010.5n=105(%)60行動・感情制御認知制御行動・感情制御困難型認知制御困難型複合困難型注:事例の分類は「その他」を除いて実施しました。また、実行機能の困難は、「計画・組織化」を状態像別にさらに三つに分類して示しています。「実行機能」の視点を用いた効果的なアセスメント及び支援に関する研究障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門働く広場 2026.328

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