「西鉄ウィルアクト株式会社」(以下、「ウィルアクト」)は、福岡県内を中心に鉄道や路線バスを運営する「西日本鉄道株式会社」(以下、「西鉄」)が2011(平成23)年に設立し、同年認定された特例子会社だ。西鉄グループ86社1学校法人から委託される業務を拡大しながら、従業員数も増やしてきた。 おもな業務内容は、グループ会社の勤怠入力や健康診断受診票の管理、各種印刷物の封入・押印、西鉄本社の総務業務補助、グループホテルでのリネン準備、新築戸建て住宅の清掃、電車・バス定期券発売所の売上伝票回収など幅広く、毎日、各業務を組み合わせながら行っている。 いまでは西鉄本社からの出向者を含めた従業員40人のうち、障がいのある従業員は31人(身体障がい2人、知的障がい18人、精神障がい11人)で、西鉄本社とあわせた「障害者雇用率」は2・76%(2025〈令和7〉年12月1日現在)だという。 ただ、従業員の増加とともに、職場内の支援で課題も出てきていたそうだ。そこで、ウィルアクトの事業部で雇用推進担当マネージャーを務める片かた岡おか律りつ子こさんたちは、当機構(JジードEED)が主催する福岡拠点の私鉄会社の特例子会社就労支援機器説明会に参加し、当事者のニーズにあわせた就労支援機器を購入したり手づくりしたりしながら、働きやすい職場環境づくりを目ざしてきた。 今回は就労支援機器の活用を機にスキルアップ、キャリアアップを実現する従業員や、業務拡大につなげている職場の取組みなどを紹介していきたい。 片岡さんが2022年秋、福岡県で開催された就労支援機器説明会に参加したきっかけは、本誌『働く広場』に挟み込まれていたチラシだったという。ちょうど翌年の春に入社する、聴覚障がいのある男性の採用が決まり、「本人が少しでも働きやすい環境を整えたい」と強く思っていたそうだ。 というのも片岡さんはその数年前、苦い経験をしていた。2018年にウィルアクトに入社後、しばらくして、それまで長年働いていた聴覚障がいのある女性疎外感を抱かせたくない社員が転職してしまったのだ。片岡さんは「当時は従業員がどんどん増えるなか、聴覚障がいのある人は彼女1人でした。会議や飲み会などでは私が横について筆談で説明することが多かったのですが、みんなの会話にリアルタイムで入れず、居心地が悪くなったのかもしれないと深く反省しました」とふり返る。 就労支援機器説明会では「職場で疎外感を抱かず、コミュニケーションがとれるような機器」を探していたという片岡さんに、JEEDの就労支援機器アドバイザーの正しょう田だ勇ゆう一いちさんは、会場に並べられたさまざまな機器を紹介したうえで、メールや電話でもやりとりを続けた。 その後、片岡さんたちは、デジタル補聴支援システム機器「ロジャー」のほか、職場で聴覚過敏症がある人たち向けにイヤーマフとノイズキャンセリングヘッドフォンも複数台借りることにしたという(※1)。実際にどのように活用されていったのか、支援機器ユーザーに話を聞かせてもらった。聴覚障がいのある男性の採用を機に、就労支援機器を活用1一人ひとりの特性やニーズにあわせ、手づくり機器も活躍2幅広い業務やアビリンピックへの挑戦で、個々のスキルアップも3POINT★本誌では通常「障害」と表記しますが、西鉄ウィルアクト株式会社様のご意向により「障がい」としています※1「就労支援機器のページ」で、各機器について詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。https://www.kiki.jeed.go.jp/index.php西鉄ウィルアクト株式会社事業部雇用推進担当マネージャーの片岡律子さん(写真提供:西鉄ウィルアクト株式会社)JEED就労支援機器貸出・相談窓口就労支援機器アドバイザーの正田勇一さんデジタル補聴支援システム機器「ロジャー」5
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