くなり、システム開発のスピードにも機敏に対応できます。委託元の開発者と定期的にディスカッションすることで、責任感ややりがいが高まり、相互の理解も深まります。障がいのある社員がプレゼンを行い、驚きと称賛が生まれた場面は、まさにアンコンシャスバイアスを揺さぶる経験でした。 人材育成の面では、マニュアル整備や業務検定(初級〜上級)で成長を可視化し、スキルマップやタレントマネジメントで配属・ローテーションを設計しています。さらに、社会人基礎力を参考にした自己分析表を使い、週次のチャレンジ機会(例:研修講師役)を設け、リーダーシップを発揮する場をつくっています。ボランティア活動も、医療関連分野でグループ社員と協働し、「人の役に立つ」実感を育てています。私は、仕事の幅が広がれば、本人の強みが生きる場所も増えると確信しています。 また私は、評価・処遇制度の刷新も重要だと考え、今年度から職務型志向の役割等級型へ改訂しました。等級・報酬・評価の三制度を統合し、「がんばった人が報われる」仕組みにしています。障がいのある社員にも賞与を支給し、成果に応じて係数を上乗せする一方、マイナスは適用しません。成果目標を事業方針にひもづけて評価することで、「自分の仕事が会社の価値にどうつながるか」を意識できるようにしました。 そして、インクルージョンがもたらすものは、障がい者雇用の枠を越えて「人を活かす力」そのものを引き上げることだと思っています。見える化、具体化、指示の工夫は、だれにとっても働きやすい職場をつくります。清掃の仕事も、私はNASAの逸話(※3)を引合いに「自分は医療を支えている」と語れる仕事にしたいのです。2026年度は、コアバリュー意識醸成、イノベーションの実行、そして称賛奨励による心理的安全性向上を軸に、各事業所で計画を具体化し、月次での進捗レビューなどを実行します。そのほか、指導員カンファレンス、他社見学、デモワークショップやスクラムトーク、工場見学などを通じて、互いに認め合い、誇りを持って働き続けられる職場を、これからも育てていきます。 * * * 次号では、「第33回職業リハビリテーション研究・実践発表会」のパネルディスカッションⅠ「〝働き続けたい〟を支える 〜高齢化する障害者雇用の今とこれから〜」、パネルディスカッションⅡ「〝定着・活躍・成長〟につながる障害者雇用×雇用の質を高めるための支援を考える」をダイジェストでお届けします。※2画像アノテーション:AIに画像の内容を学習させるため、画像内の物体や領域に対してラベルづけ(例:枠線、輪郭、名称、属性情報など)を行う作業※3NASAの逸話:NASAを訪れた大統領が、ほうきを持った清掃員に「あなたは何をしているのですか?」とたずねると、清掃員は「私は人類を月に送る手伝いをしているのです」と答えたというものジメントに直結するテーマです。 OSMとしても、全従業員向けのeラーニングを「障害者週間」にあわせて5年連続で配信してきました。障がいに関する基礎知識だけでなく、活躍している社員のインタビューや、合理的配慮・コミュニケーションの実践を学べる構成にしています。加えて管理者向け講座では、法定雇用率や合理的配慮の理解にとどまらず、現場でどう声をかけ、どう仕事をわかりやすく伝えるかといった実務も扱います。 そしてもう一つは、コアバリューの理解と自分事化です。「私たちを理解してください」だけでなく、「私たちは自社の価値観を語れますか」という問いを立て直し、コアバリュー宣言の掲示やブロックを用いたワークショップで相互理解をうながしています。そのほかトイレ鏡の清掃者メッセージプレートや感謝メッセージの掲示など、可視化によって交流を増やす工夫も、日々の小さな誇りを育てています。事業の多角化とマルチスキル化で 「仕事づくり」と成長機会を広げる OSMの事業は構内清掃を根幹に、メール室、カフェ、文書電子保存、機密シュレッダー、チェアクリーニング、植栽など多岐にわたります。さらに近年は、開発に近い領域としてAI学習用の画像アノテーション(※2)やタグづけ業務も拡大しています。私はここに、障がいのある社員が「自分は医療事業に貢献している」と実感できる大きな転機があると感じています。守秘性が高く外部委託がむずかしい業務でも、グループ内であれば権限設定や契約面の負担が軽特別講演の様子働く広場 2026.429
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