その後グリーンズでは、2016年4月から12月にかけて障がいのある人5人を採用し、人事部やホテルに配属した。ところが、うち3人が数カ月で退職してしまったという。加藤さんは「ハローワークの求人票を見て応募してきた人を、面接だけですぐに採用し、そのまま現場に任せっきりでした」と当時をふり返る。 「本人たちは就労支援機関に登録していなかったこともあり、全体的に定着支援が不十分でした。しかも退職者が出た現場では、うまくいかなかったことだけが印象に残り、次の雇用がさらにむずかしくなってしまったのです」 そんななかで救いとなったのが、「障がい者委託訓練」事業だったという。これは県やハローワークが窓口となり、訓練を希望する求職者と企業とのマッチング支援を行ったうえで、最長3カ月間の訓練を企業側に委託するというもので、訓練後、お互いに希望すれば採用に進む流れになっている。 2016年10月に人事部で訓練生1人を受け入れ、翌年からは県内のホテルでも行うようになった。訓練期間中は、10日ほど経ったところで現場スタッフを集退職者が相次いだ理由め、支援機関による「接し方の説明会」を行うなどのサポートもし、相互理解と働きやすい職場環境をつくっていった。 加藤さんは「3カ月という期間は、マッチングの意味で大きな効果がありました。事前に話を聞いていても、やはり本人の特性や適性を把握するのに1カ月はかかります。3カ月めになってようやく適性がわかることもありました」という。多いときで一度に5人の委託訓練を実施し、採用人数を増やしていった。さらに加藤さんは各地の特別支援学校を訪問し、職場実習も受け入れるようにしたそうだ。 現在では委託訓練や採用面接において「多少時間がかかっても正確に業務をこなすこと」、「あいまいな理由で欠勤しないこと」、「何かあったときに支えてくれる人たち(家族や支援機関)がいること」、「受入れ部署の人たちとの相性」などを重視しながら、マッチングを見きわめているという。 委託訓練を機に連携するようになった就労支援機関も、加藤さんたちにとって大きな支えとなった。ちょうど取材日にも、就労移行支援や就労定着支援を行う「障碍者ITカレッジ四日市」(以下、「IT就労移行支援事業所との密接な連携カレッジ」)でサービス管理責任者を務める藤ふじ田た江え津つさんが、打合せのため来社していた。藤田さんは精神保健福祉士で訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)(※1)でもあり、これまでグリーンズに入社した精神障がいのある従業員の定着支援を担当してきたそうだ。 ITカレッジではグリーンズでの委託訓練の実施前に、訓練当事者の特性や得意なこと、苦手なこと、職場で接するときの留意点や必要な配慮などを書いた「ナビゲーションブック」と呼ぶ資料を用意し、加藤さんや職場管理者と一緒に打合せを行う。訓練期間の折り返し時点と終了前にも同様に集まり、ふり返りと今後の対応などを話し合う。本人の入社後も3年半の定着支援にかかわっている藤田さんは、月1回の定期面談のほか、メールや電話などで本人や家族と連絡を取り合っている。 一方、加藤さんのところには、本人の受入れ部署から、突発的な相談や報告が※1職場適応援助者(ジョブコーチ)については、厚生労働省ホームページをご覧ください。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06a.html障碍者ITカレッジ四日市サービス管理責任者の藤田江津さん働く広場 2026.46
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