入ってくることもあるという。 「Aさんが興奮状態で階段を降りていったとか、Bさんが壁に頭を押しあてているなど切羽詰まったような情報がくると、私も慌てて駆けつけて、本人を個室に呼び話を聞きます。その内容や本人の状況しだいで、そのまま帰らせることもありますが、『藤田さんに連絡したから、帰りに寄っていくといい』とうながします。私にもいいにくいことがあるでしょうからね」(加藤さん) 藤田さんも本人からあらためて話を聞き、必要に応じて家族や主治医に連絡して対応を求めるが、「だいたいは話を聞いてあげることで、本人も落ち着きます」とのことだ。話の内容は、仕事での失敗を必要以上に引きずってしまうことや、家庭内のことを含めたプライベートな悩みなどが多いという。 加藤さんは、障害者職業生活相談員(※2)の資格認定講習と、企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)の養成研修(※3)も受けているが、藤田さんとの連携もずっと続いている。ちなみに加藤さんも、ITカレッジで行っている面接練習会に面接官役として参加するなどの協力もしているそうだ。 続いて、ITカレッジからグリーンズに入社した2人の従業員からも話を聞くことができた。 2020年に入社した山やま下した航こう平へいさん(27歳)は、もともとコンピュータ関連の専門学校卒業前に内定していた会社があったが、就職はしなかったという。「幼少時からコミュニケーション面で不安がありました」という山下さんは、卒業後に病院で診断を受け、精神障害者保健福祉手帳を取得。その後、家族のすすめでITカレッジに通い始めたそうだ。藤田さんによると「当初は、工場と事務の両方を想定した訓練をしていましたが、やはり意思疎通でむずかしい部分がある一方、専門学校でITパスポートを取得しパソコン操作が得意だったことから、事務系での就職を目ざすことになりました」。 いくつか会社見学をするなかでグリーンズを志望した理由について、山下さんは「それまでアルバイトも含めて働いた経験がなかったので、通いやすい時間帯で短時間から始められること」をあげた。 10時から16時まで、3カ月間の委託訓練で山下さんが担当したのは、全国のホテルなどで働くパート従業員らの給与明細や源泉徴収票などのデータ入力だ。「自分のデスクに電話機がないこともよかっ電話機のないデスクで安心たです」(山下さん)という。これについて加藤さんが説明してくれた。 「就労移行支援事業所などの担当者や本人が職場見学に来ると、『電話対応はありますか』などとよく聞かれます。電話対応を気にせず入力作業だけに集中してもらうよう、最初から彼らのデスク周りに電話を置かないことにしました」 2022年に新しい本社ビルが建ってから職場内はフリーアドレスになったが、山下さんたちの入力チームだけは固定席とし、フロアの一角を低めのパーテーションで囲っている。 また、「当初山下さんは、会話のキャッチボールに少し時間がかかりましたが、加藤さんや同僚たちとの連絡をメールで行うことで、コミュニケーションがスムーズになりました」と藤田さんはいう。こうして山下さんは入社後も、得意のパソコンスキルを発揮していった。 山下さんの働きぶりについて、藤田さんはこう話す。 「訓練中の10倍ぐらい能力を発揮していると感じます。そして、本当によく話すようになりました。定期面談でも、『自分からこんなに話すようになるとは』と驚いています」 加藤さんも「最近は、業務で対応が必要なときに『これどうします?』とか、 ※2「障害者職業生活相談員」については、JEEDホームページをご覧ください。https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer04.html※3「企業在籍型職場適応援助者養成研修」については、JEEDホームページをご覧ください。https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/seminar/job_adapt02.htmlグリーンズ本社で働く山下航平さん山下さんは、給与明細などのデータ入力を担当している7
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