【表紙】 令和6年11月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第566号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2024 12 No.566 職場ルポ ピッキングや梱包作業、物流を支える戦力に 株式会社タカショー(和歌山県) グラビア 銀行業務を支える 株式会社鳥取銀行(鳥取県) 編集委員が行く ビジネスパートナーとの連携による新規事業の創出と人材育成への取組み 株式会社かんでんエルハート(大阪府) 私のひとこと 車いすユーザーの看護師が伝える、障害受傷から一般就労に至るまでの心境 車いすユーザー・医療者 三井和哉さん 「にじいろドーナツがおすすめですのドーナツやさん」 静岡県・石津谷(いしづや)和尊(かずたか)さん 12月号 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons withD isabilities and Job Seekers 【前ページ】 心のアート 桔梗草(ききょうそう)、雪の下 長田 恵 (たんぽぽの家アートセンターHANA) 画材:アクリル絵の具、キャンバス/サイズ:F4(242mm×333mm)  いつも植物や風景の本から描くモチーフを決める長田。今回の作品も植物だが、「いままで描いたことや見たことがないものを描きたい」と話し、自身で植物の本を調べ、形が面白いものや模様が珍しいものがある本を選んで制作した。苦戦しながらも、細かい模様やむずかしいところが描けたときの達成感がうれしかったそうだ。長田の今後の目標は「いろいろなところに作品を出したり、新しいことをするのも大事だけど、一番は自分のペースでゆっくりと制作したいと思う」と笑顔で話していた。 (文:たんぽぽの家アートセンターHANA 橋(たかはし)桜介(ようすけ)) 長田 恵(おさだ・めぐみ)  1987(昭和62)年生まれ、奈良県在住。脳性麻痺(まひ)、脳原性運動機能障害、移動機能障害1級、両上肢機能障害1級。2006(平成18)年より「たんぽぽの家アートセンターHANA」で活動を始める。 〈略歴〉 2018年「第33回国民文化祭・おおいた2018 第18回全国障害者芸術・文化祭おおいた大会 障がい者アートの祭典」(大分県) 2021(令和3)年「いきいきと解き放つ命の輝き アトリエコーナス、片山工房、たんぽぽの家の表現者たち 展」(徳島県) 2022年「騒ぐイマジネーション 障がいのある作家展2022」(石川県) 〈アートレンタル〉 2018年 JOHNAN株式会社(京都府) 2024年 ロート製薬株式会社(愛知県、大阪府2拠点、京都府、三重県、福岡県) 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2024年12月号 NO.566 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 桔梗草、雪の下 作者:長田恵(たんぽぽの家アートセンターHANA) 私のひとこと 2 車いすユーザーの看護師が伝える、障害受傷から一般就労に至るまでの心境 車いすユーザー・医療者 三井和哉さん 職場ルポ 4 ピッキングや梱包作業、物流を支える戦力に 株式会社タカショー(和歌山県) 文:豊浦美紀/写真:官野貴 クローズアップ 10 マンガでわかる! わが社の障害者雇用物語 第4回 求人募集と採用選考 JEEDインフォメーション 12 障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください!/障害者雇用のためのマニュアル・好事例集などのごあんない/JEEDメールマガジン(登録無料) 新規登録者募集中! グラビア 15 銀行業務を支える 株式会社鳥取銀行(鳥取県) 写真/文:官野貴 エッセイ 19 誰一人取り残さない防災とは? 第1回 事務分掌主義が招いた福祉と防災の分断 同志社大学社会学部教授 立木茂雄 編集委員が行く 20 ビジネスパートナーとの連携による新規事業の創出と人材育成への取組み 株式会社かんでんエルハート(大阪府) 編集委員 金井渉 省庁だより 26 令和6年版 障害者白書概要A 内閣府ホームページより抜粋 研究開発レポート 28 AI等の技術進展に伴う障害者の職域変化等に関する調査研究 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 事業主のみなさまへ“障害者雇用管理サポーター”が障害者雇用に関するお困りごとの解決を支援します! 表紙絵の説明 「学校で自分の将来の夢を話しあい、『ぼくはにじいろのドーナツやさんになりたいです』と発表しました。お店の色も、洋服も、帽子も、ドーナツも虹色にこだわって描きました。思いっきりの笑顔でお店屋さんをやりたいんだと、目と口の形を工夫しました。受賞を聞いて大喜びしました。がんばるとみんながほめてくれて、ぼくはうれしい気持ちになります」 (令和6年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 小学生の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html) 【P2-3】 私のひとこと 車いすユーザーの看護師が伝える、障害受傷から一般就労に至るまでの心境 車いすユーザー・医療者 三井和哉 看護師キャリアをスタートした矢先に障害当事者に  私は幼いころより運動が得意で、高校ではバスケットボール部に所属し、インターハイに出場した経験もあるなかでけがをすることも多く、医療者とかかわる機会が多かったことから医療に興味を持ち、高校卒業後は看護学校へ入学し、看護師と保健師の資格を取得しました。看護学校卒業後は総合病院でICU(集中治療室)勤務を希望して配属され、業務を始めて1年も経たないころに事故で脊髄(せきずい)損傷による四肢麻痺(ししまひ)のため車いすユーザーになりました。  受傷直後の搬送先は、たまたま私が勤務していた病院のICUであったため、排泄の介助などを同僚の看護師にお世話になり、また、昨日まで私が受け持っていた患者が隣で寝ている状況から自尊心がボロボロになりました。そこから入院期間の2年間は毎日「死にたい」と思いながら過ごして、退院後も1年間自宅で引きこもっていました。 引きこもりから一般就労までの心境の変化  障害を負って気持ちが沈んでいたことから1年以上も自宅に引きこもっていましたが、心の中では「早く障害を受け入れて社会復帰しないといけない」と焦っていました。しかし、焦りの気持ちと同じくらい障害を負ったことのショックで気持ちの整理ができず、結局行動を起こすことができませんでした。そんなときにクリニックを経営する医師の方から「私のクリニックで非常勤の看護師として働いてみないか?」とお誘いいただきました。障害を負って車いすユーザーとして働くことに不安と恐怖がありましたが、「このままではいけない」という想いもあったので、迷いながらもそのお誘いを受けてみることに決めました。  働き出した当初は、車いすユーザーの看護師として患者の前に出ることは、ネガティブな感情しかなく、仕事に行くのが嫌でした。しかし、車いすユーザーだとしても看護師として頼ってくれる患者とかかわるなかで、「車いすユーザーでも人の役に立てる、感謝してもらうことができる」という経験をさせてもらい、少しずつ障害のある身体でも自信をつけることができてからは、仕事に行くことが楽しくなってきました。  雇用形態が非常勤だったこともあり、看護師・保健師として正規採用してくれる勤務先を探し始めましたが、やはり車いすユーザーであることがネックで、採用試験に落ち続けていました。その後は金銭的な理由などで看護師として働く目標を諦め、車いすユーザーを採用した実績のある会社の採用試験に受かったため、事務職として一般就労しています。  ただ、障害を負って麻痺のある身体で一般就労をしていると、「障害のことを受け入れて、仕事ができるまで回復していてすごいね!」といわれることがあります。しかし、私はいまでも手足の動かなくなった自身の身体を受け入れる「障害受容」はできていません。動かなくなった身体に折り合いをつけて、障害のない方が仕事をするのと同じ理由で自分自身や家族のためになんとか仕事を続けているのです。 非常勤講師として医療学校の学生とかかわる喜び  現在、事務職以外に医療学校の非常勤講師も務めており、障害のある当事者と医療者の両方の視点を持っている強みを活かして、看護科の学生やリハビリ科の学生へ脊髄損傷を主とした運動・脳神経系の講義を、実技も入れて行っています。5年前から始めたこの活動は岡山県内だけでなく、他県の学校からもオファーをいただけるようになってきました。  看護師の仕事を諦めて事務職へと転身しましたが、心の中では医療の仕事を続けたいという想いが強く残っていました。そんなときに医療学校の学生に講義するという形の役割をいただき、諦めていた医療にたずさわる仕事ができているということを本当にうれしく思っています。事務職の仕事にやりがいがないというわけではありませんが、ダブルワークとして非常勤講師を務めさせてもらうことで、大きなやりがいと喜びを得られていると感じています。 「信頼できる看護師」と「話しやすい看護師」は違う  ここで、医療学校の学生へ伝えている内容の一つを紹介します。看護師として働いていた私が長期入院する患者の立場になって「信頼できる看護師と話しやすい看護師は違う」と感じたできごとがありました。  脊髄損傷専門の病院に1年半以上入院し、リハビリを行っていたころ、休憩室では脊髄損傷の車いすユーザーの方々が集まって談話しており、「看護師Aさんは話しやすいから、ドラマやおもしろい話をするのは楽しいけど、治療のことや障害のことで困ったら知識のある看護師Bさんに相談するほうがいいよ」と聞いたときに、とても衝撃を受けました。  「そんなことあたりまえでしょ?」と感じるかもしれませんが、多くの看護学生は「患者とコミュニケーションを取り、信頼関係を築く」という目的で最初の実習を行うので、「患者との信頼関係=コミュニケーション」と考えている看護師・看護学生は少なくないと思います。もちろん話しやすさや性格が明るいことも看護師には大切なことだと思いますが、医療を提供する立場なので、知識がなければ患者からの信頼を得ることができません。そのため、看護師として働く以上は、つねに学ぶ姿勢で知識を増やしていく必要があることを学生には伝えています。 自分自身に価値をつけるためのYouTubeによる情報発信  非常勤講師を始めて感じたのは「車いすユーザーの看護師」以外の肩書きがないことです。非常勤講師の仕事をさらに広げていきたかったのですが、ほかの非常勤講師と比べて看護師経験も少なく、実績もないため、より多くの医療学校に自身を売り込むにはどうしたらよいかを考えて、始めたのがYouTubeでした。チャンネル登録者数は少ないですが、学校に売り込む際に動画で自己紹介ができるようになりました。仕事の依頼につながっており、学校からの依頼は年々増えてきています。YouTubeを始めることに迷いはありましたが、何も行動しなければ自身の価値は広がらなかったので、障害のある・なしにかかわらず、「行動する」ことの重要性を実感しています。 三井 和哉 (みつい かずや)  車いすユーザー(脊髄損傷)、医療者(看護師/保健師)。  2012(平成24)年に看護学校を卒業し、看護師および保健師免許を取得。看護師として総合病院のICUで従事するなか、事故により脊髄損傷を受傷し、四肢麻痺により車いすユーザーとなる。2年間のリハビリ入院期間後、車いすユーザーの看護師としてクリニックでの勤務を経験。2017年から事務職として一般就労を行うかたわら、岡山県と広島県で看護師や理学療法士、作業療法士の養成校で非常勤講師を務め、脊髄損傷に関する講義を担当。  2021(令和3)年にYouTube「みついちゃんねる」を開設し、医療者と障害者、両方の視点から脊髄損傷に関する情報を発信中。 【P4-9】 職場ルポ ピッキングや梱包作業、物流を支える戦力に ―株式会社タカショー(和歌山県)― 約3万種のエクステリア資材などを扱う企業の物流現場では、障害のある従業員がピッキングや検品、梱包作業などで大事な戦力となっている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野貴 取材先データ 株式会社タカショー 〒642-0017 和歌山県海南市(かいなんし)南赤坂20-1 TEL 073-482-4128 FAX 073-486-2560 Keyword:聴覚障害、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、製造・販売業、物流、ピッキング、梱包、集計 POINT 1 一般求人に応募してきた聴覚障害のある人を採用し、成功例に 2 障害者就業・生活支援センターなどの助言で職場の配慮を進める 3 人手不足だからこそマッチングを重視、働きやすい職場づくり エクステリア資材・ガーデン用品などを販売  シュロ(棕櫚)のたわしをはじめとする家庭用品の一大生産地として知られる和歌山県海南市(かいなんし)。ここで1935(昭和10)年に創業した「高岡(たかおか)正一(しょういち)商店」もシュロ縄などの卸売業を営んでいたが、2代目となる高岡(たかおか)伸夫(のぶお)さんが事業を発展させ、1980年に設立したのが「株式会社タカショー」(以下、「タカショー」)だ。造園や庭園資材に関する商品の企画開発やガーデン用品の販売を手がけ、国内やヨーロッパ、アメリカ合衆国、アジアなどに20拠点以上を展開している。  タカショーでは2008(平成20)年ごろから障害者雇用に取り組んでおり、いまでは従業員440人のうち障害のある従業員が10人(身体障害5人、知的障害2人、精神障害3人)で、障害者雇用率は3.41%(2024〈令和6〉年6月1日現在)だという。2022年には「障害者雇用優良事業所」として和歌山県知事表彰を受賞している。  今回は、物流拠点でピッキングや検品、梱包作業などを担当する障害のある従業員の働く様子とともに、職場のこれまでの取組みなどを紹介したい。 商品約7000種からピッキング  タカショー本社から車で5分ほど離れた場所にある物流拠点「中央ロジスティックセンター」。延べ床面積2万2000uもある倉庫では、国内外から集められた大小さまざまな商品約7000種が保管され、日々、注文に応じて次々と輸送トラックに積み込まれていくという。この現場で働く60人のうち45人ほどがパートタイム従業員で、タカショーでは「フレンド社員」と呼ばれている。  この職場で、はじめて障害のあるフレンド社員を雇用したのは2008年。聴覚障害のある女性で、この日のインタビュー取材は遠慮されたが、現場では同僚と笑顔でジェスチャーつきの会話をしながらテキパキと動き回っていた。  その女性の採用は偶然だったという。経営管理本部総務部部長の木村(きむら)浩介(こうすけ)さんが説明してくれた。  「彼女は当時、一般の求人枠に応募してきました。補聴器をつけていて、大きな声で話せば聴こえるということもあり採用してみたところ、現場ですばらしい働きぶりを見せてくれました。いまもベテランの1人として活躍してくれていますが、同僚との意思疎通もスムーズになり、もう大きな声は必要ないようです」  当時から現場を知る、執行役員で商品部部長の阿武(あんの)正幸(まさゆき)さんは「この成功例によって『障害があるからといって一緒に働けないわけじゃない』と採用枠を見直すことになりました」とふり返る。  2年後には、ハローワークを通じて発達障害のある男性を採用した。大学の理系学部を卒業したその男性は、計算能力がとても高い一方でコミュニケーションが不得手とのことだったが、2週間ほどの職場実習を経て、互いに大丈夫だと判断したそうだ。阿武さんが話す。  「物流現場のおもな仕事であるピッキングは基本的に単独作業なので、本人には合っていたのだと思います。しかも作業がとても速く、正確でした」  一方で男性は、現場でときおり叫び声をあげることがあり、男性の定着支援を担当していた障害者就業・生活支援センターの訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)に相談したという。「どうやら思い通りに作業できなかったときなど、自分に腹が立ったときに、つい声が出てしまうようでした」と木村さんは話す。阿武さんによると「最初は近くにいた従業員が驚いたのは事実ですが、広い倉庫内の片隅なので、大きな声を出してもそんなに影響はありません。いい意味でだれも気にせず、見守っているような感じです」とのことだ。  それよりも当時の懸案は、本人がまじめに取り組むあまり、意識的に休憩を取れないことだった。特に夏場は水分補給も必要だが、ずっと作業を続けてしまう傾向があった。  そこで再びジョブコーチに相談したところ「『しんどいだろうから適宜休憩してね』というあいまいないい方ではなく、『あなたは10時から10分間休憩することになっています』とはっきり決めておけば、規則として守りやすいとのことでした」と木村さん。実際その後はきちんと休憩を取るようになったそうだ。  すっかり職場定着したその男性の家族からは感謝の手紙が届いたこともあったそうだが、「こちらが感謝したいぐらいです」と阿武さんはいう。 大事な存在の聴覚障害のある男性  2011年には、2人目の聴覚障害のある従業員、後藤(ごとう)慎一郎(しんいちろう)さん(43歳)が入社した。生まれつき耳が聴こえないという後藤さんは聾学校を卒業後、住宅用ドアなどを製造する会社に10年以上勤めていたが、リストラにあってしまったという。その後、後藤さんの聾学校時代の恩師の同級生がタカショーの従業員だったことから、紹介を受けて入社したそうだ。  後藤さんの上司で、商品部物流輸送課マネージャーの西浦(にしうら)伸幸(のぶゆき)さんは、慣れた様子でジェスチャーを交えたコミュニケーションをしていた。  「きちんと説明がいるときは筆談をしますが、ふだんは口を大きく開けて話しながら身ぶり手ぶりを加えています。最初は食い違うこともありましたが、もういまでは大体わかりあえます」  職場には、後藤さんたちと「もっと会話をしたい」と手話を習得したフレンド社員も2人いて、休憩時間などに手話で盛り上がっているそうだ。  後藤さんがよく任されるのが大きな特殊資材の梱包。この日はプラスチック製の人工池を同僚と2人がかりで段ボールを組み合わせながら手際よく梱包していた。さらに1日に搬送する800件近い商品の集計作業までこなす。合間に見せる大きな笑顔が、周囲を明るい雰囲気にしているのも印象的だった。  西浦さんは「この現場で最も重要な集計作業や特殊な梱包作業などで、後藤さんは本当によく活躍していて、現場になくてはならない存在です」と明かす。  後藤さんは筆談でこう答えてくれた。  「入社した当初は周囲とのコミュニケーションに慣れるまでむずかしいときもありましたが、いつも会っているうちに職場のみなさんが大きな口や身ぶり手ぶりを使って話してくれるので、スムーズになりました。以前いた職場よりも、みなさん話しやすい人たちばかりです」  若いころにサッカー経験もあり体力にも自信があるという後藤さんは、いまは阿武さんと釣り仲間だそうだ。 まじめな働きぶり  中央ロジスティックセンターで最も人手を要するというピッキング作業を見せてくれたのは、矢倉(やぐら)卓尚(たかひさ)さん(27歳)。手に持っているのはピッキングリストと呼ばれる紙だ。国内12拠点から本社に送られてくる受注内容が、倉庫管理システム(WMS)(※)を通じて提供され、その情報が印字されたピッキングリストには、商品ごとに置かれている場所をゾーン、列、棚、段まで示す8桁の数字が並んでいる。西浦さんは「リストによっては倉庫内の1階と2階を往復することもあり、たいへんな作業です」と説明してくれた。  矢倉さんは特別支援学校を卒業後、就労継続支援B型事業所で訓練し、その後、就労移行支援事業所に通っていたときにタカショーを紹介してもらったという。2週間ほどの職場実習をしたときは、「覚えることが多くてたいへんだと思った」そうだが、タカショーへの入社を希望した。いまは20分かけて自転車で通勤しているそうだ。  西浦さんたちは当初「あわてず、ゆっくりやっていこう」と励ましたが、しばらくすると、その働きぶりに目を見張ったという。  「本当にまじめに取り組んでくれています。逆にこちらから『休憩してください』と声をかけないと、ずっと作業を止めないほどです。出荷作業が終わる17時までに少しでも早く終わらせようという使命感が強いようですね」  矢倉さん自身も「つい、やらなくちゃと思ってしまうんです」と苦笑いしつつ、「毎日ここに通い、フルタイムで働けていることがうれしいですね。休憩時間などに職場の人とスポーツの話など雑談できるのも楽しいです」と教えてくれた。  今後の目標は、検品と梱包作業ができるようになることだという。西浦さんは「梱包はエンドユーザーに届く直前の一番気を遣う部分であり、時間と手間がかかる作業なので、これができるようになると、さらに大きな戦力になるはずです」と期待する。 介護職から転身  倉庫の奥まったエリアには、竹など2m以上になる長細い資材が保管されている。ここで黙々と竹資材を立てかけていたのが、沖(おき)和雅(かずまさ)さん(36歳)。入荷商品の管理を担当している。  沖さんは大学を中退後、介護職として正社員で7年近く働いていたが「看取りなどで精神的につらくなった」こともあり退職。就労移行支援事業所を経てタカショーに2021年、入社した。職場側には「手先を使った細かい作業が苦手です」と伝えていたそうだ。  沖さんの上司で、商品部物流企画管理課マネージャーの浴(さこ)正信(まさのぶ)さんは当初、沖さんはコミュニケーションが苦手とも聞いていた。  「こちらの話がきちんと伝わっているか見きわめるのがむずかしいかなとも思っていたのですが、実際には、『理解しました』、『わかりません』としっかり受け答えもでき、まったく問題ありませんでした。新しい仕事を覚えることにも前向きで、どんどん吸収していってくれています。人見知りの度合いが少し高いというぐらいですね」  さらに沖さんは、求職中にフォークリフトの免許を取得していた。タカショーの現場でも練習を経て半年前から実際に扱うようになり、ますます1人でできる仕事の幅が広がっているそうだ。  「免許を取得してから10年近く経っていたのですが、なんとかできるようになりました」と説明する沖さんは、「人と話すのが苦手なので、1人で作業ができるのも精神的に負担が少ないと思います。体だけは壊さないように気をつけて、長く働き続けていきたいです」と話してくれた。 人手不足の物流現場で  「近年は、慢性的な人手不足の状態にあることが大きな課題です。一般雇用も含めてなかなか人が集まらない状況です」と明かす阿武さん。大きく拡大しているEC(インターネットショッピング・サイト)業界の物流現場では自動化やロボット化が進んではいるが、タカショーの商材は特殊な形のものが多いこともあり、どうしても人の手が必要になるのだという。阿武さんが続ける。  「私たちの職場は、障害のある方たちも大きな戦力として働いてもらっていますから、連携しているハローワークや就労移行支援事業所にも、日ごろから『だれかいい人がいたら、いつでも職場実習やトライアル雇用を行いますので声をかけてください』と呼びかけています」  職場は特に組織だった支援体制があるわけでもない状況で、障害のある従業員の定着率が高いことについては、「職場の人間関係が良好なことも大きいかもしれません」と阿武さんは話す。それは多くの一般従業員を、フレンド社員として採用するまでの過程にあるようだ。  タカショーでは春の園芸シーズンである4〜6月が一番忙しいことから、この3カ月間に派遣社員を多く雇用している。その間にひと通り仕事を経験してもらって、人間関係や職場の雰囲気、業務の中身も十分に理解してもらったうえで、互いにマッチングがうまくいった人にそのままフレンド社員になってもらうケースが少なくないそうだ。結果として双方が満足した状態で働いている従業員が多いことから、「職場の雰囲気もよく、自然と支えあえる形ができています。例えば子育て中の従業員が、急きょ休まなければならなくなった場合、だれかがフォローしてくれます。障害のある従業員も、同じように働きやすくなっているようです」という。  あらためて阿武さんは「障害者雇用の取組みは、最初はたまたまの採用でしたが、トライをしてみて本当によかったと思っています」とふり返る。  「やはり最初の一歩をふみ出せるかどうかですよね。少し前にハローワークの主催で20社ほどの担当者が合同で会社見学にいらっしゃったときも、『はじめの一歩ですよ。本人の特性や事情を考慮しながら職場実習をすれば、きちんとマッチングも判断できます。ぜひみなさんもチャレンジしてください』と伝えました」  タカショーでは中央ロジスティックセンター以外にも、本社で品質管理や営業サポートをしている身体障害のある従業員や、鳥取県にある開発拠点でパース(完成予想図)制作を担当している精神障害のある従業員がいる。フレンド社員は障害の有無に関係なく、一定の条件を満たす場合には正社員登用の道もあるそうだ。  タカショーでは今後も引き続き、一般雇用と同様に障害者雇用も、大事な人材獲得の手段の一つとして進めていく方針だという。阿武さんが話す。  「物流現場は、ほかの業界と比べても人手不足が顕著に出てきていると感じます。特に海南市がある地域は、家庭用品を扱う企業が多く、人材の取りあいが続いている状況です。せっかく入社してくれたいまいる従業員をきちんと守っていけるよう、今後も、だれもが働きやすい職場環境づくりを大事にしていきたいと思っています」 ※倉庫管理システム(WMS):英語で、Warehouse Management System。倉庫への商品の入出庫管理や在庫管理などの機能を搭載した物流業界で主流のソフトウェア 写真のキャプション 株式会社タカショー 中央ロジスティックセンター 倉庫内には、約7000種の商品が保管されている 経営管理本部総務部部長の木村浩介さん 執行役員で商品部部長の阿武正幸さん 中央ロジスティックセンターで働く後藤慎一郎さん 商品部物流輸送課マネージャーの西浦伸幸さん 大型商品の梱包を行う後藤さん 後藤さんは集計作業も担当している 中央ロジスティックセンターで働く矢倉卓尚さん 矢倉さんはピッキング作業を担当 中央ロジスティックセンターで働く沖和雅さん 入荷商品の管理にあたる沖さん 商品部物流企画管理課マネージャーの浴正信さん 沖さんはフォークリフトでの作業もこなす 【P10-11】 クローズアップ マンガでわかる! わが社の障害者雇用物語 第4回 求人募集と採用選考  いよいよ、障害のある人の採用活動について紹介します。一般的な採用活動と同様に、求人をハローワークなどに出し、応募があれば選考を行います。今回は、障害のある人を雇用する際に留意する点や配慮が必要な点などについてみていきましょう。 監修:三鴨(みかも)岐子(みちこ) (『働く広場』編集委員)  名刺や冊子などのデザインを手がける「有限会社まるみ」の取締役社長。精神保健福祉士。  障害のある社員の雇用をきっかけに「中小企業の障害者雇用推進」に関する活動を精力的に行っている。 求人募集の出し方  求人を出す基本的な流れは一般の求人と変わりません。ただし、まだ障害者雇用のノウハウがない場合、ハローワークなどを通じて行うと、より安心感をもって進められます。  例えば、ハローワークでは、障害のある人向けの求人票作成や募集・採用選考時の留意事項などを相談することができます。  また、障害者トライアル雇用や各種助成金(特定求職者雇用開発助成金など)の説明も受けることができます。概要は【表】をご覧ください。  これらの制度は利用条件があるため、求人票作成時にハローワークに確認しておくとよいでしょう。企業の状況や要望によっては、当機構(JEED)の地域障害者職業センター(※1)や、障害者就業・生活支援センター(※2)等の支援機関の情報提供も受けられます。 合理的配慮について  雇用の分野における合理的配慮とは、障害のある人と障害のない人との均等な機会の確保などを図るための措置のことです。募集・採用選考時の合理的配慮は、障害のある人の申し出により、面接日などまでに話し合うことが必要です。  一方、採用後の合理的配慮については、採用が決まったあと、雇入れ時までに応募者と話し合うこととなっています。しかし、採用後の職場環境整備などのためには、企業側も応募者の状態を事前に知っておくことが必要です。  また、適性や能力の判断をするためにも必要な範囲内で、面接などの採用選考時に障害の状況についても、質問するとよいでしょう。  その際は、質問の意図と必要性を明らかにし、応募者本人の同意を得ることと、応募者には「答えにくい場合には無理をしなくてもよい」といった声かけを行うなど、プライバシーに配慮した対応が望まれます。  なお、質問に対する回答のなかで、応募者から採用後の合理的配慮について申し出があった場合も、不利益な取扱いを招かないよう、十分に留意してください。 関係機関との連携  ハローワークは、障害のある人を雇用しようとしている企業に対して、雇入れに向けた支援や、継続雇用の支援などを行っています。その際、企業の現状やニーズによっては、地域障害者職業センター等必要な関係機関と連携しながら支援します。  例えば、連携先の一つである障害者就業・生活支援センターは、障害のある人に対して就業とそれにともなう日常生活上の支援を行います。面接同行などの就職活動支援や、就職後の定期的な職場・家庭訪問などが一例です。障害のある人を雇用する企業に対して、それぞれの特性をふまえた雇用管理について、相談や助言も行っています。  また、雇入れ時点では企業にノウハウがなく、職場適応上の課題発生が予想される場合や、雇用開始後しばらく経ってから課題が生じ、解決のために集中的な支援が必要な場合は、職場適応援助者(ジョブコーチ)と連携することもあります(※5)。  職場定着で不安を抱えるのは、企業以上に障害のあるご本人です。企業もチームの一員となって、みんなで支えていくようにしましょう。 ★この物語はフィクションです。 ※1 地域障害者職業センターの詳細は以下をご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer01.html ※2 障害者就業・生活支援センターの詳細は以下をご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18012.html ※3 制度の詳細は以下をご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/intro-joseikin.html ※4 合理的配慮指針の詳細は以下をご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000082153.pdf ※5 職場適応援助者(ジョブコーチ)の詳細は以下をご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06a.html 表 障害のある人の雇入れに関する制度(※3) 障害者トライアル雇用 継続雇用を目的に、一定の期間を定めて障害のある人を雇用するもの。事業者には障害者雇用のきっかけをつくり、常用雇用への移行促進を目的とする。 特定求職者雇用開発助成金 障害のある人や高齢者などの就職が特に困難な人を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により、継続して雇用する事業主を助成するもの。 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください! 当機構(JEED)の中央障害者雇用情報センターでは、障害者を雇用している、または雇用しようとする事業主に無料で就労支援機器の貸出しを行っています。 「就労支援機器」とは障害者の就労を容易にするための機器のことで、例えば視覚障害者を対象とした拡大読書器や、聴覚障害者を対象とした補聴システム(集音システム)等があります。 (例) 拡大読書器 ●書類や写真などを拡大表示する機器です。 ●コントラストや色調の変更も可能なためより見やすく調整することができます。 ●据置型、携帯型など活用シーンに合わせて選択できます。 補聴システム(集音システム) 受信機 マイク送信機 ●話者の音声に限定して拡大できる補聴システムで、補聴器や人工内耳とあわせて使用することで効果を発揮します。 ●周囲の騒音を取り除く機能や任意の方向からの音声を選別して集音する機能があるため、会議等の仕事の場面でも有効です。 ノイズキャンセラー パーテーション ●視覚的・聴覚的環境刺激を低減させることで、周囲の状況に影響されずに集中できる環境を整えます。 貸出しの対象 障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主 ※国、地方公共団体、独立行政法人などは対象外です 貸出し期間 原則、6カ月以内 ※職場実習やトライアル雇用の場合も利用できます (正当な理由がある場合にかぎり、1回のみ延長可能) 貸出しの流れ 申請書の提出 申請書を記入し、メールまたは郵送でご提出ください。 ※申請書はJEEDホームページよりダウンロードできます 貸出し決定 申請のあった事業主に対し、申請内容を確認のうえ決定内容を通知し、機器を配送します。 貸出しの終了・回収 JEEDが契約している業者が回収にうかがいます。 ※申請前に対象機器の貸出し状況等について下記までご照会ください お問合せ 中央障害者雇用情報センター 〒130-0022 東京都墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 TEL:03-5638-2792 E-mail:kiki@jeed.go.jp 就労支援機器を展示しているほか、導入に関する相談も行っています。 就労支援機器はJEEDホームページで詳しく紹介しています https://www.kiki.jeed.go.jp 就労支援機器のページ 検索 障害者雇用のためのマニュアル・好事例集などのごあんない 当機構(JEED)ホームページでご覧いただけます。また、ダウンロードにより全文もしくは必要箇所の印刷等をすることも可能です。ぜひご活用ください! NIVR マニュアル 事業主 検索 https://www.nivr.jeed.go.jp/manual.html 紹介ページはこちら 基本から知りたい方へ はじめての障害者雇用 〜事業主のためのQ&A〜  障害者雇用を進めるにあたって直面する職務の選定や労働条件の検討、職場環境の整備などに不安や悩みをお持ちの企業の方に向けて、具体的な方策や関連情報をQ&A形式で解説。 障害者雇用マニュアル コミック版1〜6  具体的な雇用事例や障害者雇用に関する課題を解決するためのノウハウを障害別(視覚障害、知的障害、聴覚障害、精神障害、発達障害、高次脳機能障害)にコミック形式で紹介。 動画で知りたい方へ 障害者の雇用ノウハウに関する動画・DVD  障害者雇用を積極的に進めている企業の取組みや雇用管理などに関するさまざまなノウハウを動画でわかりやすく解説。DVDを無料で貸出し。 事例から知りたい方へ 障害者雇用があまり進んでいない業種における雇用事例  障害者雇用があまり進んでいない業種に着目し、おもに中小企業における雇用事例を掲載。経営者の声や障害者雇用のメリット、職場定着事例などを紹介。 職場改善好事例集  障害者の雇用管理や雇用形態、 職場環境、職域開発などについて、事業所が創意工夫を重ねて実践している取組みをテーマ別に紹介。  2022年度の募集事例はJEEDホームページ「障害者雇用の事例紹介」で紹介しています。 紹介ページはこちら お問合せ 障害者雇用開発推進部 雇用開発課 TEL:043-297-9513 FAX:043-297-9547 URL:https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook JEEDメールマガジン 登録無料 新規登録者募集中!! 当機構(JEED)では、JEEDが全国で実施する高齢者雇用や障害者の雇用支援、従業員の人材育成(職業能力開発)などのタイムリーな情報を、メールマガジンにて毎月月末に配信しています。 おもな特徴 ◇毎号特集を組んでJEEDの業務内容を紹介 ◆JEEDの制度やサービス内容がよくわかる ◇マイエリア情報で地元情報をチェック! ◆セミナーやイベント情報が満載 雇用管理や人材育成の「いま」「これから」を考える、人事労務担当者や就労支援担当者のみなさま、必読! 障害のある従業員の新規・継続雇用… 定年延長・廃止に再雇用… 技能開発・向上の手段… そのお悩みのヒントが見つかります!! 登録方法 JEED メルマガ で 検索 または から! お問合せ 企画部 情報公開広報課 TEL:043-213-6215 E-mail:hmerumaga@jeed.go.jp 【P15-18】 グラビア 銀行業務を支える 株式会社鳥取銀行(鳥取県) 取材先データ 株式会社鳥取銀行 〒680-8686 鳥取県鳥取市永楽温泉町(えいらくおんせんちょう)171 TEL 0857-22-8181 写真・文:官野貴  鳥取県鳥取市に本店を置く「株式会社鳥取銀行」では、身体障がい、知的障がい、精神障がいのある22人の従業員が、多岐にわたる分野で銀行業務を支えている。同行では、障がいのある従業員への上司による声かけや人事部による面談など、一人ひとりに合わせたサポートを行っており、職場定着率も高い。また、支援機関から講師を招き、一般の従業員に向けて障がい特性、配慮事項の研修などを行っている。これらの取組みが評価され、2022(令和4)年には、「障害者雇用優良事業所」として、鳥取県知事表彰を受けた。  本店では4人の障がいのある従業員が働いており、知的障がいのある丸中(まるなか)悠司(ゆうじ)さんもその1人。入社11年目の丸中さんは、「人事部」において配布物の袋詰めや、郵便物へのシール貼り、シュレッダー作業などを担当している。シュレッダーの作業では、投入する紙の量に注意しながらていねいに作業を進める。その仕事ぶりから上司や同僚からの信頼も厚い。丸中さんは「ここは働きやすい職場です。これからも長く働き続けたいです」と笑顔で話してくれた。  また、銀行のバックオフィス業務をになう「事務統括部業務サポート室」では、17人の障がいのある従業員が活躍している。印刷室では、先輩従業員が印刷機の操作方法などを説明したマニュアルをつくり、後輩の指導にあたっている。社内便の部門では、店舗で使用する1000種類超のさまざまな伝票を棚からピッキングし、発送の準備を整える。そのほか、利息の計算や顧客情報の管理、書類の電子化など、銀行業務の各部門において障がいのある従業員が欠かせない存在となっている。同行は、今後も積極的に障がい者雇用を進め、多部署での活躍を目ざし職域の拡大を図る予定だ。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社鳥取銀行様のご意向により「障がい」としています 写真のキャプション 「郵便物へのシール貼り」。当日中になど、急ぎの依頼にも柔軟に対応 「配布物の袋詰め」をする丸中悠司さん。内容物の入れ忘れ、袋の表裏に注意しながら作業を進める シュレッダー不要の配布物やクリップなどを取り除きながら、「シュレッダー作業」にあたる 社内や顧客へ配布する「資料の印刷」。事務統括部業務サポート室では、担当する業務をローテーションし、急な欠勤などにも対応できる体制をつくっている 印刷部数ごとに色違いの蛍光ペンでマーキングし、ミスを防ぐ 障がいのある従業員が作成したマニュアルの一部 「伝票のピッキング」。この作業が止まると銀行業務に支障が出てしまうほど重要な業務だ 「印刷物の発送準備」。部数の確認を行う 「社内メール便の仕分け」 「本人確認書類の電子化」 「保管書類の確認」 「審査部門での利息の計算」 「小切手帳の作成」。顧客が直接手にするため、美しい仕上がりが求められる。完成品(右上)は、角がきれいに整っている 【P19】 エッセイ 誰一人取り残さない防災とは? 第1回 事務分掌主義が招いた福祉と防災の分断 同志社大学社会学部教授 立木茂雄 立木茂雄(たつきしげお)  1955(昭和30)年兵庫県生まれ。1978年関西学院大学社会学部卒。同社会学研究科修士課程修了後、1980年よりカナダ政府給費留学生としてトロント大学大学院に留学。MSW(マスター・オブ・ソーシャルワーク)ならびにPh.D.(ドクター・オブ・フィロソフィー)修得。1986年より関西学院大学社会学部専任講師・助教授・教授を経て2001(平成13)年4月より現職。  専門は福祉防災学・家族研究・市民社会論。特に大災害からの長期的な生活復興過程の解明や、災害時の要配慮者支援のあり方など、社会現象としての災害に対する防災学を研究。  おもな著書に『災害と復興の社会学(増補版)』(萌書房、2022年)などがある。 事務分掌主義が招いた高齢者・障がい者の「取り残し」  「誰一人取り残さない」防災。この言葉の響きは美しい。しかし実際にそれが実現できているかというと、現場の現実は決してそうではない。特に、災害時に支援を必要とする高齢者や障がい者にとって、その理想は程遠い。行政の「事務分掌主義」が根強く残り、平時の福祉と災害時の防災が切り離され、縦割りのまま連携が進まない。この分断が、災害時に高齢者や障がい者が「取り残される」原因になっているのだ。  内閣府が平成の時代(2005年3月)に公開した最初のガイドライン(災害時要援護者の避難支援ガイドライン)では、「連携」という言葉が34回も使われている。そして令和のガイドライン(2021年の避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針)では、なんと58回もくり返されている。だが、この「連携」というスローガンは現場で機能しておらず、空虚な響きにすぎない。実質的な「連結」が行われていないため、市区町村では個別避難計画の策定が遅れ、支援が必要な人々が災害のリスクに曝(さら)されたまま「取り残されて」いるのだ。 「連携」の限界が生んだ取り残し  2011(平成23)年の東日本大震災は、福祉と防災の分断がどれほど深刻な影響をもたらすかを如実に示した。宮城県では障がい者の死亡率が全体の死亡率に対して1.9倍にも達した。一方、岩手県・福島県では1.2倍に留まっていた(※)。他県よりも際立って高いこの数値が示すのは、宮城県で進められていた「ノーマライゼーション」(障がいの有無を問わず在宅で暮らせることを保障する福祉のまちづくり)政策が災害時には十分に機能しなかったという事実だ。平時に福祉に力を入れていたにもかかわらず、災害時の対応との連携が欠けていたため、障がい者が多数取り残される結果となった。  この背景にあるのが、福祉が「平時の業務」として位置づけられ、災害時への備えや対応とは切り離されていたという現実。結果として、災害発生時には在宅で支援を受けていた多くの障がい者が取り残され、甚大な被害を被った。  さらに、施設入所者の間でも被害の大きさには地域差が見られた。特に、宮城県東部の太平洋沿岸部に位置する福祉施設は、津波のリスクが高かったにもかかわらず、避難確保計画、立地規制や移転誘導などの事前の防災対策が不十分だったため、多くの命が失われた。これもまた、行政の事務分掌主義がもたらした「連携不足」の典型的な例だ。単なるスローガンに終わった「連携」が、最も支援を必要とする人々を危険に曝してしまったのだ。 「連携」ではなく、実質的な「連結」が必要  これらの問題は、単なる計画の不備では片づけられない。根本的に欠けていたのは、福祉と防災を切れ目なくつなぐ「実質的な連結」という視点だ。高齢者や障がい者が災害時に確実に支援を受けられるようにするためには、平時(例えれば「晴の日」)の福祉と災害時(例えれば「嵐の日」)の防災が断絶されるのではなく、つねに一貫して機能する体制が必要だ。これがいわゆる「全天候型の福祉」の概念であり、この視点が欠けているかぎり、真の意味での「誰一人取り残さない」防災は実現しない。  行政はスローガンに頼るだけではなく、事務分掌主義という古い枠組みを超え、具体的で実効性のある「連結」の仕組みを構築するべきだ。これによって初めて、災害時に支援が必要な人々を守ることができ、真の「誰一人取り残さない」社会が実現されるのだ。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、立木茂雄様のご意向により「障がい」としています ※Tatsuki, S. Old Age, Disability, and the Tohoku-Oki Earthquake. Earthquake Spectra, 29(S1), 2013, pp. S403-S432. 【P20-25】 編集委員が行く ビジネスパートナーとの連携による新規事業の創出と人材育成への取組み 株式会社かんでんエルハート(大阪府) トヨタループス株式会社 管理部次長 金井渉 取材先データ 株式会社かんでんエルハート 〒559-0023 大阪府大阪市住之江区泉1-1-110-58 TEL 06-6686-6874 FAX 06-6684-2132 https://www.klh.co.jp 金井(かない)渉(わたる) 編集委員から  株式会社かんでんエルハートは、さまざまな困難な状況を乗り越えてきた経験を活かし、次の時代へつなげていくという、温故知新の精神を大切にする会社である。  障がい者の適性に合う仕事を見つけるむずかしさは、多くの企業でも経験されているはずであるが、同社での長年の経験のなかで辿り着いた「パートナーとの連携」による事業創出手法と、人材育成の取組みを紹介する。 Keyword:知的障害、連携、協業、PCリファービッシュ、被服管理、電線リサイクル、研修、技能競技 POINT 1 「パートナーとの連携」による新規事業の創出 2 社内技能競技会「エルハート甲子園」を毎年開催 3 オリジナルの研修で従業員を育成  大阪府大阪市に本社を置く、株式会社かんでんエルハート(以下、「エルハート」)は多様な障がいのある人が仕事を通じて輝くことを目ざす特例子会社である。今回の取材ではエルハート代表取締役社長の西井(にしい)洋(よう)さん、ビジネスアシストセンターグループ長の上林(うえばやし)康典(やすのり)さんをはじめとする多くの方に協力いただき、お話をうかがった。 会社概要  エルハートの親会社である関西電力株式会社(以下、「関西電力」)(大阪府)や、関西電力のグループ企業である関西電力送配電株式会社(大阪府)は、発電・送配電といった事業性格上、障がい者が安全に働ける場は事務的職場に限られており、障がい者雇用が進まない状況にあった。また、関西電力の本社がある大阪市も、地域雇用が進まないことについて課題意識を持っていたため、関西電力・大阪府・大阪市の出資のもと「あらゆる障がいのある従業員が活躍できる」会社を目ざして、1993(平成5)年にエルハートが設立された。従業員数は172人、障がいのある従業員は116人(2024〈令和6〉年4月)で、関西地区に複数の拠点を構えている。  社名のエルハートには「Live」、「Life」、「Labor」、「Largeness」、「Lead」、「Light」の六つのLと「人間はハート(心)が一番大切」という思いが込められている。  設立当初は、印刷や物品販売などの受注業務が主力であり、そのほか花の栽培・花壇管理や社内郵便物の集配・仕分けなどを行ってきた。  開業から17年間は、順調に業務を拡大していったが、2011年にこれまでの事業基盤を揺るがす大きなできごとが起きた。東日本大震災である。これにより、親会社の経営環境が悪化して受注業務が激減した。  以降は事務補助や清掃など、安定的・継続的な受託業務を開拓していったが、2020年には新型コロナウイルス感染拡大の影響によるリモートワークが進み、またしても印刷や清掃、社内郵便といった既存業務が減少した。  さらには法定雇用率の将来的な引上げに対応するため、これからの軸となる新たな業務創出が経営上の重要課題となっていった。 事業紹介 PCリファービッシュ(使用済みパソコンの再生、販売)  ただ、そうはいっても障がいのある従業員にマッチした業務を見つけることは、容易なことではなかった。  これまでの主力業務だった印刷や社内郵便、清掃は、ペーパーレス化、在宅勤務、IT化が進むなかでは規模縮小が自然の流れであり、逆にこれまでかかわったことのない領域の業務となると、多能工で難易度の高い業務が多いため適性が合いがたく、また安定的な事業運営を鑑みると、この先10年は続くと予測できる業務が望ましかった。  そのような状況のなかで、使用済みパソコン(以下、「PC」)の再生・販売を行う事業で起業したばかりの関西電力のベンチャー企業である、株式会社ポンデテック(以下、「ポンデテック」)がPC再生作業要員を探していることを知った。  IT機器にかかわる業務のため今後の業務拡大に相応しい分野であるが、懸念点は作業ノウハウ、業務難易度、障がいのある従業員とのマッチングであった。  しかしながら、その懸念は作業現場の見学や再生作業のトライ、ポンデテックとの協議を重ねるなかで払拭されていくことになった。その最大の理由が、エルハートにはこれまでなかった「パートナー(ポンデテック)との連携による事業の構築」ができたことであった。このパートナー連携による仕事の仕組みとは、まずエルハートはITスキルが不要で、障がいのある従業員が得意とするていねいなくり返し作業を担当する。  次に、ITスキルが必要な作業でも、できる作業であればエルハートが行うが、高度なITスキルが必要と判断した作業はポンデテックが行う。  またポンデテックでツール開発を進めてもらい単純化ができた作業や、ポンデテックのサポートがあればできる作業はエルハートが行う。  さらに最初はできなかった作業でも、エルハート従業員のITスキルアップや適性人材の配置により実施可能になれば、ポンデテックから作業移管を行うという、お互いが協力しながら、それぞれの得意分野を活かした、柔軟な両社協業によるビジネススキームである。  実際にエルハートが担当する作業は、@PCの埃(ほこり)払い、汚れ落とし、拭きあげ、きずの確認などの軽作業、AメモリーとSSDの増設・交換、Bキーボードなどの動作確認、Cシリアルナンバー入力、Dシステム不具合チェックといった内容である。  実際の作業を見学させてもらったが、基本的にIT知識は不要であり、@Aは機種ごとに作業方法が異なることもあるが回数を重ねることで習得可能、BCDはシステムによる自動判定・自動入力化で作業がシンプルになっていた。  見学するまでは、勝手な想像で難易度が高く、精神・発達障がいのある人に向いた作業と思っていたが、この作業内容であれば多様な障がいのある人が行えると思った。  また実際には、知的障がいのある従業員が多く作業していた。  ただ、それでも当初はむずかしい作業が存在し、また複数の工程があるため育成にも多くの時間を要し、この業務の受託をあきらめかけたことがあった。  そういったときには、作業方法の見直しやマニュアル化を図りながら粘り強く教え、ポンデテックと幾度も協議を重ね、サポートを受けながら一つずつ問題を解決していった。  現在ではPCリファービッシュ事業は安定的に作業を進めることができ、さらなる拡大を目ざしているとのことだが、この事業が成功した背景は両社が同じ思いを抱いていたからであり、だからこそ壁にぶつかってもお互いに協力して克服することができたのだと感じた。  それは「ビジネス」として成功させたいという思いである。  エルハートとしては、既存業務の売上げが減るなかで、新たな業務創出が必要で、ポンデテックは使用済みPCの再生販売を目的に立ち上げた企業のため、作業要員の確保は重要課題であった。  エルハートは新規事業を検討する際、ニーズがある、採算が合う、輝ける(成長)という点を重要視しており、ポンデテックも子どものICT教育の分野などで安価なPCを望む声や、電子ゴミ(廃棄されるPC)の削減といった社会ニーズに応えることを会社の使命としており、そのためには収益を維持しながら発展することが必要と考えていた。  そうした思いで、両社が同じ方向を向いて、あきらめずに課題を克服していきながら事業を軌道に乗せることができたのだ。  また現在では、エルハートだけでなく、ほかの障がい者雇用を進める企業もPCリファービッシュ事業に参画している。  複数の企業が入ることにより、各企業にて使用済みPCを調達できるだけでなく、将来的には、参加企業間で使用済みPCをシェアすることで、各社の仕事が安定的に確保できる仕組みをつくっていきたいと考えている。 作業を担当する従業員へのインタビュー 山荘(やまじょう)学(まなぶ)さん  メインは埃取りや汚れ落としなどの清掃です。作業のむずかしいところは、目では見えにくい埃を取ることです。取れる汚れと取れない汚れがあるので判断に悩むことがありますが、仕事はやりがいがあり、楽しく作業をしています。 射場(いば)南侑(みゆう)さん  さまざまな作業を任せてもらっていますが、おもに電源アダプターの清掃、作業実績の入力をしています。たいへんだと思うことは電源アダプターを数えることです。  最初は慣れずに苦労することもありましたが、わからないことは工夫をしたり周りの人に聞いてできるようになっていきました。  またPCの勉強もしたので、いまでは得意な作業だと思っています。 被服管理  パートナーとの連携により成功した事例をさらに二つほど紹介する。  関西電力グループ会社では、以前は被服の調達や在庫管理、従業員への個別配布、回収をすべて自社で実施していたが、たいへんな手間を要し、また、在庫過不足が発生する、タイムリーに被服を貸与できないなどといった課題も抱えていた。  一方、エルハートは被服管理業務のノウハウはあったものの、デザイン、機能性や価格などをふまえた被服を調達するノウハウはなかった。  そこで、アパレル業者とパートナーシップを組み、被服の調達から在庫管理、配布、回収まで一元管理する提案をグループ会社に行った結果、見事、業務を受託するに至った。  現在では、被服の在庫過不足も解消し、事務処理負担も軽減されたことで、お客さまの信頼を獲得している。 作業を担当する従業員へのインタビュー 吉田(よしだ)晟子(せいこ)さん  被服の発送業務にたずさわり3年目です。現在は作業リーダーを担当しています。  ほかのメンバーに教えるとき、最初はうまくいかなくても、やり方を工夫することで連携がとれて、できることが増えてきたときは楽しくてやりがいを感じます。  これからも新しい作業メンバーが来たときには、仕事を教えて一緒に働くことができるようになりたいです。 電線リサイクル  エルハートは、関西電力送配電株式会社から老朽化などで取替えとなった電線ケーブルを買い取り、その中の銅などをリサイクルする業務も行っている。  取り出した銅は電線メーカーに売却するのだが、それには塩化ビニールなどの被覆を剥く必要がある。  この電線リサイクル業務は機械を扱うため、安全配慮と重量物を持ち運ぶ体力が必要となるが、基本的には反復定型作業のため、重度の知的障がいのある人も活躍が可能である。  ただこの業務もエルハートだけでは対応できない工程があった。電線の運搬、保管、売却仲介といった領域であった。さらには保管されてる銅線も3mと、かなりの重量と長さがあるため取り扱うにも骨が折れる作業であった。  そこで、専門業者とパートナーシップを組み、運搬・保管・売却工程は専門業者に委ね、さらに前工程で長さを1m程度にまでカットしてもらい、障がいのある従業員でも作業しやすい事業形態とした。 ●●●  自社単独では業務遂行が困難なため、断念するケースは一般的にも多く存在するはずである。遂行できない作業領域を他社との連携で実現する事業形態は、その事業を取り巻くさまざまな状況により実現の可否が決まるところが大きいが、障がいのある人の業務拡大の一つの手法になるのでは、と感じた次第である。 花壇管理・栽培  パートナーとの連携ではないが、作業しやすいように工夫した業務改善事例を紹介する。  エルハートには園芸部門があり、関西電力などの各事業所の花壇管理を行っている。また植えるための花の栽培も行っている。栽培のむずかしい点は、自然と向き合う業務のため、花の状態を適宜判断し、同じ作業でも実施方法を変える必要があることだ。  その典型が水やりである。そのときの花や土の状態を把握し、気温や天気などの環境の影響も考慮したうえで、水やりのタイミングや量を決める。当初は、そういったむずかしい判断が必要な業務は、すべて障がいのない作業責任者が行っていた。  しかしそれでは障がい者雇用につながらず、サポートや育成の時間捻出ができなくなることから、試行錯誤の末にたどり着いたのが次の方法である。  水やりの有無や水量判断はこれまで通り作業責任者が行うが、水やり作業はメトロノームと水量計を利用し、水量があらかじめ調節されたホースのノズルを、メトロノームのリズムに合わせて決められた方法で動かすことで、だれでも迷うことなく定量の水やりができる方法を考案し、障がいのある従業員の業務を増やしていった。  花壇での作業でも工夫が凝らされている。植えつけのむずかしい点は植える位置を適切に把握することである。位置がずれると見た目が綺麗ではない花壇になってしまう。  そこで植えつけする花壇の土の上に、等間隔に印が入った手製の棒(目安棒)をあらかじめ置くようにした。あとは印を目安にして花を植えていけば、綺麗な花壇が完成するといった具合だ。  だれもが作業できるような改善が随所に見られ、感心した次第であった。 従業員の育成  ここまでは各業務の取組みを紹介したが、取組みが成功した背景には、人材育成による従業員の課題解決能力や作業遂行能力の向上がある。  エルハートでは多くの、そしてオリジナリティあふれる研修がある。規律遵守・ビジネスマナーなどの基礎研修、障がい者の特性理解や援助者・指導者を養成する障がい者サポート研修、役職者向けのマネジメント強化やスキルアップ向上を目的とした階層別研修などである。  特に、役職者・指導者向けのロジカルシンキング研修やクリティカルシンキング研修では課題解決の方法を身につける。  実際の業務を題材にする、「業務改善チャレンジ会議」は、その名の通りPDCAを回して、1年かけて実業務の改善を図る研修プログラムで、実践的に、改善の手法や意識を学ぶカリキュラムとなっている。  社内ベンチマーク研修は現場指導員が他職場に赴き、新たな気づきや学びを得て自らの職場改善に役立てている。 エルハート甲子園  障がいのある従業員向けの研修のなかで特徴的なのが「エルハート甲子園」である。  内容は技能競技会に近い。障がい者の技能競技会といえばアビリンピックをもちろん思い浮かべるが、始めたきっかけは、そのアビリンピックに参加するために社内で選手を選抜することであった。  そうして始まったエルハート甲子園だが、アビリンピック種目にはない業務が社内で存在すること、種目と同じ業務はあるが作業内容が異なる、といったことからエルハートの業務に即した競技を独自で開発していった。  初開催から10年目の現在では、規模も拡大しており、管理間接部門を除くすべての部門ごとに競技を行っている。  また個人戦にすると毎年の優勝者が同じになりやすいため、チーム戦にして、メンバーシップやコミュニケーションも採点基準としている。  従業員の技能とモチベーションの向上につながっていることはいうまでもないが、仕事のくせが競技会でわかるため、本人にフィードバックして、指導や今後の目標設定にも役立てられている。 西井さんのコメント  最後に関西電力から出向し、2021年にエルハート代表取締役に就任された西井洋さんのコメントを紹介する。  「関西電力では、おもに人事労務の業務を担当しました。なかでも従業員の育成や働き方改革にかかわる仕事にたずさわってきたこともあり、エルハートでも従業員の成長や働きやすさを高めることに力を入れてきました。  ロジカルシンキングによる業務改善を進める風土づくり、柔軟な勤務制度の導入や福祉との連携などです。  経営を進めるにあたり、たびたびエルハートの過去の失敗や成功事例、先代の経営者の思いをふり返りながら、自分が進めようとしている方向性が正しいだろうか、と自問自答するように心がけています」  今回、多くの現場と従業員の方への取材を行ったが、西井さんの考えと方針は、各業務に形となって表れており、また従業員への思いも、みなさんの笑顔や働く姿から、しっかり伝わっていると感じた。  これからもエルハートが、多くの障がい者の活躍の場を広げ、社会に役立つ会社として発展していくことを期待する。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、金井渉委員の意向により「障がい」としています 写真のキャプション 株式会社かんでんエルハート本社 株式会社かんでんエルハート代表取締役社長の西井洋さん (写真提供:株式会社かんでんエルハート) ビジネスアシストセンターでグループ長を務める上林康典さん PCリファービッシュ事業。外装の清掃作業の様子 メモリーとSSDの増設・交換作業 専用システムを利用したパソコンの動作確認作業 PCリファービッシュ業務を担当する山荘学さん PCリファービッシュ業務を担当する射場南侑さん 被服のピッキング・発送作業の様子 被服の発送業務を担当する吉田晟子さん 電線リサイクル業務、被覆剥ぎ作業の様子 電線は1m程度にカットされ搬入される 植えつけ作業のデモンストレーション。等間隔に印が入った目安棒をガイドに作業を進める 水量計やメトロノームを活用した潅水(かんすい)作業。胸ポケットにメトロノームが見える (写真提供:株式会社かんでんエルハート) エルハート甲子園の園芸部門。3人1組で植栽作業を競う (写真提供:株式会社かんでんエルハート) 【P26-27】 省庁だより 令和6年版 障害者白書概要A 内閣府ホームページより抜粋  11月号に続き、今号は「令和6年版障害者白書」の概要の第3章、第4章、第5章、第6章を紹介します。 第3章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり 第1節 障害のある子供の教育・育成に関する施策 〇特別支援教育の充実  障害のある子供については、その能力や可能性を最大限に伸ばし、自立や社会参加に必要な力を培うため、一人一人の教育的ニーズに応じ、多様な学びの場において適切な指導や必要な支援を行う必要がある。  2023年3月13日に公表された「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議」報告において示された方向性を踏まえ、特別支援学校と小・中・高等学校のいずれかを一体的に運営するインクルーシブな学校運営モデルを創設することが「障害者基本計画(第5次)」に明記されたところであり、2024年度から新規事業として実施すべく関連予算を計上している。 〇障害のある子供に対する福祉の推進  2023年12月に、全てのこどもと子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援していくこと等を基本理念として掲げ、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もがこどもを持ち、安心して子育てできる社会、こどもたちが笑顔で暮らせる社会の実現に向けて、「こども未来戦略」が閣議決定された。  その中で障害児支援については、多様な支援ニーズを有するこどもの健やかな育ちを支え「誰一人取り残さない」社会を実現する観点から、地域における支援体制の強化やインクルージョンの推進を図ることとされた。 第2節 雇用・就労の促進施策 〇障害のある人の雇用の場の拡大  2023年の民間企業(2023年は常用雇用労働者数43.5人以上規模の企業:法定雇用率2.3%)が雇用している障害者の数(2023年6月1日現在、以下同じ)は約64.2万人(前年同日約61.4万人)で、20年連続で過去最高となった。また、雇用している障害者の割合は2.33%(前年同日2.25%)であり、初めて実雇用率が報告時点の法定雇用率を上回った。  国の機関(2023年は法定雇用率2.6%)に在職している障害者の割合、勤務している障害者数はそれぞれ2.92%、9,940.0人で、全ての機関において法定雇用率を達成している。 〇総合的支援施策の推進  障害のある人の多様な働き方の推進や、通勤が困難な者等の雇用機会の確保の観点から、ICTを活用したテレワークを障害のある人の雇用においても普及することが重要である。このため、好事例集の作成やフォーラムの開催により、先進事例やノウハウを周知している。2024年度は、障害のある人のテレワーク雇用の導入を検討している企業等に対して、導入に向けた手順等の説明を行うセミナーや、個別相談による支援の実施も予定している。 第4章 日々の暮らしの基盤づくり 第1節 生活安定のための施策 ○利用者本位の生活支援体制の整備  「障害者総合支援法」及び「児童福祉法」では、障害のある人に必要なサービスが提供されるよう、将来に向けた計画的なサービス提供体制の整備を進める観点から、「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(以下「基本指針」という。)に即して、市町村及び都道府県は、数値目標と必要なサービス量の見込み等を記載した「障害福祉計画」及び「障害児福祉計画」を策定することになっている。  2023年5月には、2024年度を始期とする「第7期障害福祉計画」及び「第3期障害児福祉計画」の策定に係る基本指針について改正を行った。 ○在宅サービス等の充実  障害のある人が地域で暮らしていくためには、在宅で必要な支援を受けられることが必要となる。このため、市町村において「障害者総合支援法」に基づき、利用者の障害の程度や必要な支援の内容等に応じ、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護及び重度障害者等包括支援を実施している。2023年に「地域におけるこどもの発達相談と家族支援の機能強化事業」を開始し、地域の保健、子育て、福祉等と医療機関との連携体制を構築し、こどもの発達相談を実施するとともに、必要な発達支援や家族支援につなぐなど、こどもや家族の支援ニーズに適切な時期に対応できる体制整備を進めている。 ○スポーツ・文化芸術活動の推進  令和5年度「障害児・者のスポーツライフに関する調査研究」によると、障害のある人(20歳以上)の週1回以上の運動・スポーツ実施率は32.5%(20歳以上全般の実施率は52.0%(令和5年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」))。2023年度は、公園や商業施設等のオープンスペースを活用することで、障害のある人とない人が、気軽な形でウォーキングフットボール等を体験する取組等を実施している。  2025年日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)において、展示・体験ブースや映像配信等により新たなスポーツの価値創造に係る取組を発信する中で、障害者スポーツにおける先端技術を活用した取組やパラスポーツ体験の周知などの情報発信を予定している。  パラリンピックの競技特性や環境等に十分配慮しつつ、オリンピック競技とパラリンピック競技の支援内容に差を設けない一体的な競技力強化支援に取り組んでいる。  障害のある人による文化芸術活動については、2023年3月に策定した「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(第2期)」に基づき、障害のある人による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進している。 第2節 保健・医療施策 ○障害の原因となる疾病等の予防・治療  疾病等の早期発見のための健康診査、障害の原因となる疾病等を予防し、健康の保持増進を図るための保健指導を行っているほか、難病の患者に対する良質かつ適切な医療の確保及び難病の患者の療養生活の質の維持向上などを図っている。 ○障害のある人に対する適切な保健・医療サービスの充実  「障害者総合支援法」に基づき、身体障害の状態を軽減するための医療(更生医療及び育成医療)及び精神疾患に対する継続的な治療(精神通院医療)を自立支援医療と位置付け、その医療費の自己負担の一部又は全部を公費負担している。  国立障害者リハビリテーションセンターでは、早期退院・社会復帰に向けて、各障害に対応した機能回復訓練を行うとともに、医療相談及び心理支援を行っている。  また、高次脳機能障害については、2023年度から(1)高次脳機能障害の診断及びその特性に応じた支援サービスの提供を行う協力医療機関及び専門支援機関を確保・明確化し、(2)当事者やその家族等の支援に資する情報提供を行う地域支援ネットワークの構築を図ることなどを目的とする「高次脳機能障害及びその関連障害に対する地域支援ネットワーク構築促進事業」に取り組んでいる。 第5章 住みよい環境の基盤づくり 第1節 障害のある人の住みよいまちづくりと安全・安心のための施策 ○ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進  バリアフリー整備目標について、障害当事者団体や有識者の参画する検討会において議論を重ね、ハード・ソフト両面でのバリアフリー化の一層の推進、聴覚障害及び知的障害・精神障害・発達障害に係るバリアフリーの進捗状況の見える化、「心のバリアフリー」の推進等を図るとともに、新型コロナウイルス感染症による影響への対応等も考慮して、2020年11月に最終取りまとめを公表し、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」を改正して5年間の新たなバリアフリー整備目標を2021年4月に施行した。現在の同整備目標は、2021年度から5年間を目標期間としているものであり、2026年度以降の新たな整備目標の策定に向けて、2024年度以降、検討を開始する。 ○公共交通機関、歩行空間等バリアフリー化の推進  公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化の推進に関し、2023年度に実施した主な施策等は次のとおり。  ・公共交通機関の旅客施設・車両等・役務の提供に関する移動等円滑化整備ガイドラインの改訂  ・「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」の改定  ・「人・ロボットの移動円滑化のための歩行空間DX研究会」の活動としてのシンポジウムの開催  ・旅行会社が商品造成時に観光施設に求めるバリアフリー情報を検証する実証事業の実施及び障害の種別等に応じた旅行商品造成に資するノウハウ集の作成 ○防災、防犯対策の推進  東日本大震災以降、防災対策における障害のある人などの「要配慮者」に対する措置の重要性が一層高まっている中、市町村が要配慮者にも配慮した、避難所、避難路等の整備を計画的、積極的に行えるようにするための支援や、要配慮者の安全かつ迅速な避難が可能となるよう、防災情報システム等の整備強化等の取組を推進している。  また、障害のある人の犯罪・事故被害の防止のため、身近な犯罪や事故の発生状況、防犯上のノウハウ等の安全確保に必要な情報の提供などの取組を進めている。  令和6年能登半島地震においては、障害者等要配慮者の避難先となる福祉避難所を設置するとともに、一般の避難所においてもニーズの把握を行い、福祉避難スペースを設けるなどの必要な対応を行うよう被災自治体に対して通知した。  特に障害のある児童生徒等への対応に当たっては、令和6年能登半島地震の被災地域に対し、「令和6年能登半島地震における被災地域の児童生徒等の学習の継続について(事務連絡)」等を発出し、障害のある児童生徒等も含め、就学機会の確保とともに、発達障害のある児童生徒等の障害の状態等に応じた配慮事項や、自立活動の継続、個別の教育支援計画・個別の指導計画の活用について周知した。 第2節 障害のある人の情報アクセシビリティを向上するための施策 ○情報アクセシビリティの向上  「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)第11条第3項に基づき、障害のある人による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に関する協議の場を共管府省庁(内閣府、デジタル庁、総務省、厚生労働省、経済産業省)において開催し、障害のある人による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に資するよう情報共有や意見交換等を実施している。2023年度は視覚障害をテーマに、障害者団体や事業者から、取組内容の説明を聴取し、意見交換を行った。 ○情報提供の充実  「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)に基づく「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」により、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図っている。また、2023年度は、同法に基づく関係者協議会を開催し、地方公共団体における計画の策定状況や2023年度以降に講ずる施策等について意見交換を行った。 ○コミュニケーション支援体制の充実  意思疎通を図ることに支障がある人に、手話通訳者や要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員、失語症者向け意思疎通支援者等の派遣等による支援を行う意思疎通支援事業や電話リレーサービスの提供等が実施されている。 第6章 国際的な取組 我が国の国際的地位にふさわしい国際協力に関する施策 ○国際協力等の推進  障害者施策は、福祉、保健・医療、教育、雇用等の広範な分野にわたっているが、我が国がこれらの分野で蓄積してきた技術・経験などを政府開発援助(ODA)などを通じて開発途上国の障害者施策に役立てることは、極めて有効であり、かつ、重要である。我が国は、有償資金協力、無償資金協力、技術協力のほか、国際機関等を通じた協力等を行っている。  無償資金協力においては、障害者関連援助として「一般文化無償資金協力」、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」等を実施した。  技術協力の分野では、独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じて、研修員の受入れや専門家及びJICA海外協力隊の派遣など幅広い協力を行っており、2023年度においては、就労を希望する障害者が円滑に労働市場に参入できるよう労働−福祉行政機関の連携に基づく就労支援サービスを立案・実現する「スリランカにおける障害者の就労支援促進プロジェクト」や、開発途上国の障害のある人たちが自国で「障害者権利条約」をどう実践していくかを学ぶ研修「障害者権利条約の実践のための障害者リーダー能力強化」などを実施している。 ★「障害者白書」は、内閣府ホームページに掲載しています。 https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/index-w.html 【P28-29】 研究開発レポート AI等の技術進展に伴う障害者の職域変化等に関する調査研究 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 1 はじめに  本調査研究は、現在の障害者が従事している業務の状況やAI等の技術進展に伴い、障害者の職域がどのように変化しているかについて把握を行うとともに、今後のAI等の技術進展をふまえた障害者の職域変化等について展望することを目的として実施しました。本稿ではその一部について紹介します。 2 調査の内容 (1)企業アンケート調査  障害者が従事している業務の状況やAI等の技術進展に伴う障害者雇用への影響等について、企業における全体的な状況を把握することを目的に、2021(令和3)年6月1日現在1人以上障害者を雇用している一般企業1万4438社(抽出)および特例子会社562社(全数)の計1万5000社を対象に、2022年8月〜9月にWebフォームを用いた企業アンケート調査を実施しました。有効回答数は、一般企業3693件、特例子会社235件、有効回答率は一般企業25.6%、特例子会社41.8%でした。 (2)企業へのヒアリング調査  企業アンケート調査結果をふまえ、デジタル化に伴う障害者の職域変化の状況等に関する具体的事例を把握することを目的に、アンケート調査協力企業のなかで障害者がデジタル機器等を使った業務に従事していた企業16社を選定し、2022年12月〜2023年5月に、企業への訪問またはオンライン会議システムを用いたヒアリング調査を実施しました。 3 調査結果の概要 (1)障害者が従事するデジタル関連業務の状況について  企業アンケート調査によると、一般企業においては、障害者が何らかのデジタル関連業務に従事している企業の割合は約7割であり、デジタル関連業務への障害者の従事は、すでに普及していることがうかがわれました。また、データ処理やシステム開発等の企画・調整・判断等を伴う業務に従事している障害者がいる企業も一定程度あることがわかり、業種によって特徴的なコア業務や、どの業種においても比較的共通しているバックオフィス業務など、さまざまな業務に従事する例が見られました。  特例子会社においては、障害者が何らかのデジタル関連業務に従事している企業の割合は約8割であり、障害者のデジタル関連業務の従事に対して、より積極的・意識的に取り組んでいることがうかがわれました。業務内容は、バックオフィス業務が多く、企画・調整・判断等を伴う業務に従事している障害者がいる特例子会社においては、システム開発やWebサイト構築、RPA開発等に従事する例が見られました。 (2)デジタル化に伴う障害者雇用への影響  企業アンケート調査の結果から、デジタル化の影響について見てみると、一般企業においては、「これまでの影響」について、プラスの影響があったと考える企業は約2割、特に影響なしが半数を占め、「今後の影響」については、プラスの影響があると考える企業は約4割、特に影響なしが約2割でした。特例子会社は、一般企業より前向きな回答となっており、「これまで」、「今後」ともにプラスの影響ありが半数を占めていました(図)。  具体的な影響としては、一般企業・特例子会社に共通して、「業務の効率性・正確性が向上した」、「業務の手順が単純化した」、「組織全体の生産性が向上した」、「業務の種類が増加した」、「業務の量が増加した」といった項目において、あてはまると回答した企業の割合が高くなっていました。加えて、特例子会社では、「障害者のモチベーションの維持・向上につながった」、「障害者が高度な業務に従事できるようになった」という項目においても、あてはまると回答した企業の割合が高くなっていました。一方で、特例子会社においては、「障害者をサポートする時間・頻度が増加した」、「新たな業務ができるようになるまでの訓練・マニュアルの整備等に時間がかかるようになった」という項目においても、あてはまると回答した企業の割合が高く、新たにデジタル関連業務に従事させる場合には、プラスの効果のみならず、支援負担が増加する面もあることがうかがわれました。 (3)企業ヒアリング調査の結果  16社の企業を対象とした企業ヒアリング調査を通じ、障害者が従事するデジタル関連業務の内容、当該業務に取り組むこととなったきっかけやデジタル化の影響、デジタル関連業務に従事する障害者の採用やスキルの習得方法、障害者が円滑に業務に従事できるようにするための業務分担や人的サポート等に関する取組みおよび課題・今後の見通しについて把握することができました。ヒアリングの結果については、収集したデジタル関連業務を(表)の4パターンに分類しましたのでご参照ください。また、業務内容の具体例は後述のリーフレットに掲載していますのでぜひご覧ください。 4 総括  AI等のデジタル技術の進展に加え、テレワークやオンライン会議の普及など社会全体の働き方が大きく変わるなか、障害者の業務においてもデジタル関連業務への従事や業務内容の変化が見られました。今後、社会全体のデジタル化のさらなる進展とあわせて、企業においても障害者の業務のデジタル化が進展していくことが予想されるなか、障害者の業務の検討や職域拡大にあたり、今回の調査研究がその一助となれば幸いです。  本レポートの元となる調査研究報告書No.177「AI等の技術進展に伴う障害者の職域変化等に関する調査研究」(※1)は障害者職業総合センターホームページからご覧いただけます。  また、関連する研究成果物として、マニュアルNo.82「デジタル技術を活用した障害者の業務の状況と具体例」(事業主、就労支援機関向けリーフレット)(※2)を作成しましたので、あわせてご活用ください。 ※1 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku177.html ※2 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai82.html ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 図 デジタル化に伴う障害者雇用への影響 一般企業(n=3,693) 障害者雇用へのこれまでの影響 プラスの影響が大いにあった4.6% どちらかというとプラスの影響があった17.8% どちらともいえない19.7% どちらかというとマイナスの影響があった0.8% マイナスの影響が大いにあった0.1% 特に影響なし51.9% 無回答5.1% 障害者雇用への今後の影響 プラスの影響が大いにある8.3% どちらかというとプラスの影響がある31.4% どちらともいえない30.5% どちらかというとマイナスの影響がある2.3% マイナスの影響が大いにある0.4% 特に影響なし24.3% 無回答2.8% 特例子会社(n=235) 障害者雇用へのこれまでの影響 プラスの影響が大いにあった20.0% どちらかというとプラスの影響があった32.8% どちらともいえない22.1% どちらかというとマイナスの影響があった4.3% マイナスの影響が大いにある0.4% 特に影響なし15.7% 無回答4.7% 障害者雇用への今後の影響 プラスの影響が大いにある19.1% どちらかというとプラスの影響がある35.7% どちらともいえない28.9% どちらかというとマイナスの影響がある7.2% マイナスの影響が大いにあった0.4% 特に影響なし6.4% 無回答2.1% 表 デジタル関連業務の4分類 パターン 定義と業務内容 デジタル化に伴う新たな業務 @ デジタル技術を活用した非定型的(問題解決や複雑なコミュニケーション活動を必要とする)業務 業務アプリ開発、Webサイト管理、動画編集、チラシデザインなど A デジタル技術を活用した定型的(作業手順が明確である)業務 アノテーション(AIの学習に用いるデータの加工)、スキャン業務、データ入力、インターネットを活用した情報収集など 従来業務(デジタル化の進展以前から存在する業務) B デジタル技術が導入されたことにより、業務内容が変化した業務 生産管理、ピッキング、備品管理、部品の照合など C 業務内容は変わらないものの、デジタル技術の導入により一部のタスクが変化した業務 調理(作成数の入力)、介護補助や清掃(記録の入力)、トラック運転(デジタルタコグラフの利用)など 【P30-31】 国の動き 全国 高等学校における障害のある生徒の進路指導等に関する研究成果を公開  独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(神奈川県)が、3年間にわたり行った「高等学校における障害のある生徒の社会への円滑な移行に向けた進路指導と連携の進め方等に関する研究(令和3年度〜5年度)」の研究成果報告書を公開した。  文部科学省によると2022(令和4)年3月に特別支援学校中学部を卒業した生徒の進学率は98.6%で、うち96.7%が特別支援学校高等部に進学。また中学校特別支援学級を卒業した生徒の進学率は94.8%で、うち56.9%が高等学校等に、37.8%が特別支援学校高等部に進学している。一方、高等学校に学習面または行動面で著しい困難を示す生徒が2.2%在籍しているとされる。  こうした状況において同研究は、障害のある生徒が社会への円滑な移行をしていくために必要な進路指導や関係機関との連携について検討するため、高等学校、進路先、連携先機関を対象に質問紙調査やインタビュー調査を行った。  なかでも発達障害等のある生徒の進路指導が好事例となる要因を整理したところ、保護者や家庭との連携による生徒の自己理解や、校内における資源の活用と教職員の連携が不可欠であることが見いだされた。また好事例においては、生徒の進路先決定に向けて「生徒の希望や特性に寄り添った進路指導」が、また進路先決定および自立と社会参加に向けて「社会的スキルを高める指導・支援」などが行われていた。  発達障害などを対象とした調査結果は報告書としてまとめ、そのほかの障害を含む調査結果は事例などを資料集としてまとめ、同研究所のホームページで公開している。 https://www.nise.go.jp/nc/report_material/research_results_publications/specialized_research/b-405 地方の動き 東京 豊島区が企業内をフィールドに障害者雇用モデルの実証実験  豊島区は「株式会社サンシャインシティ」(豊島区)と「新たな障害者雇用モデルの実証実験に関する協定」を締結した。  本協定は、障害のある人が働く場として、サンシャインシティ内の事業所を実証実験のフィールドとして提供してもらい、地域課題や一般就労の課題解決を目ざすことを目的としている。企業内をフィールドとして実証実験を実施するのは東京都23区初の試み。  実証実験は二つ予定しており、一つめは分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を介してサンシャインシティ内で接客対応を行う「遠隔操作型分身ロボット雇用モデル」。対象者は都立北特別支援学校に通う豊島区民の肢体不自由者(車いす)の生徒や、豊島区の事業所に通っている区民で、精神・知的障害等により自宅や福祉施設から外出して就労することが困難な人。  二つめは、豊島区の事業所に通っている区民で、精神・知的障害等により長時間労働が困難な人が、サンシャインシティの事業所内で短時間就労(1日30分〜数時間・週10時間未満)を行う「超短時間雇用モデル(豊島区版)」の実施。年内に実証実験と効果検証を行う。豊島区はこれまでも同社社員へ障害者差別解消法の合理的配慮に関するセミナーを実施するなどのかかわりがある。 生活情報 全国 聴覚障害者に配慮、パトカーに新型警光灯  警察庁が、聴覚障害者に配慮した新型の警光灯(赤色灯)を導入すると発表した。警察用車両(パトカー)の上部に搭載されている警光灯の発光パターンを工夫し、緊急走行中なのか通常パトロール中なのかを、目で見て判別できるようにした。  従来の発光パターンは、0.5秒周期でライトが回転しながら光る1種類だった。緊急走行時はサイレンの音を鳴らすことで周知しているが、聴覚障害者がパトカーを見かけても緊急走行中なのかどうかを判別しにくく、「全日本ろうあ連盟」(東京都)が2012(平成24)年ごろから改善を求めていた。  今回追加される発光パターンは、一度光ったあと、蛍の光のように徐々に発光(2秒周期)するというもので、通常のパトロール中に用いられる。2024年度中に、新型警光灯を搭載した小型パトカー(420台)と交通事故処理車(99台)を各都道府県警察に順次配分し、運用を開始する予定。 東京 慶應病院にロービジョンケア・ハブ  慶應義塾大学病院(新宿区)が、院内3号館南棟3階に「ロービジョンケア・ハブ」を開設した。ロービジョンケアとは、「見えにくい」、「まぶしい」、「見える範囲が狭い」など日常生活での不自由がある状態(ロービジョン)に対する支援。運営は、慶應義塾大学医学部眼科学教室と公益財団法人日本盲導犬協会(神奈川県)が共同で行い、共同研究「ロービジョンケアに対するカウンセリング効果の研究」の活動拠点にもなっている。  ロービジョンケア・ハブは、福祉や教育、就労、生活上で必要なあらゆる分野の情報を病院内で提供し、地域の支援機関や団体へつなぐことによるQOL(生活の質)向上を目的としている。「就職したいがどうしたらよいか」、「調理や掃除など生活しやすくできる方法は」、「子どもの勉強や進学はどうしたらよいか」、「生活訓練を受けてみたい」など幅広い相談に対応。ただし治療や疾患に関する内容は受けられない。拡大読書機器、ルーペ、遮光眼鏡、音声読書機器類、調理グッズ、音声時計、音声体重計、音声体温計、音声血圧計、白杖など常設機器類の体験もできる。  同病院の患者にかぎらずだれでも予約なしで無料で利用可能。利用時間は、月・火・木・金曜日の10時〜16時(病院の休診日により変更あり)。 本紹介 『精神障害の労災認定−しくみと判断事例』  元労働基準監督官で弁護士の中野(なかの)公義(きみよし)さんが、『精神障害の労災認定−しくみと判断事例』(日本法令刊)を出版した。パワハラ、セクハラ、対人トラブル、長時間労働、転勤・配置転換、仕事のミスなどが原因で労働者が精神疾患を発症したとき、労働災害となるのはどんな場合か。労働者に発病した精神障害について、認定基準(「心理的負荷による精神障害の認定基準」)に照らして、労働災害にあたるかどうかのある程度の判断ができるようになることを目標に書かれた。  検討事例を通じて、認定基準のしくみ、判断のポイントなどを詳しく解説したうえで裁決例を見ていくことで、どのように労災認定されるのかがより理解できるような構成となっている。  また、精神障害の原因となりうるハラスメントなどの予防のための企業対応の参考になりうる裁判についても取り上げている。A5判、300ページ、3300円(税込)。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 2024年度地方アビリンピック開催予定 1月〜2月 東京都、京都府、香川県、佐賀県 *開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります *  は開催終了 地方アビリンピック 検索 ※日程や会場については、変更となる場合があります。 ※全国アビリンピックが11月22日(金)〜11月24日(日)に、愛知県で開催されました。開催の模様は「働く広場」2025年3月号で特集します。 地図文字 東京 京都 香川 佐賀 ミニコラム 第41回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は金井委員が執筆しています。  ご一読ください。 逆境のなかでも活躍する海外のパラリンピック選手  トヨタループス株式会社 管理部次長 金井渉  この記事を書いたのは2024(令和6)年9月、パリパラリンピック(以下、「パリパラ」)が終わって間もない時期である。  パリパラではパリオリンピック同様に日本人選手の活躍が目覚ましく41個のメダルを獲得した。  国別では1位から順に中国、イギリス、アメリカ合衆国、オラン ダ、ブラジル、イタリアと続く。  やはりスポーツが盛んな国や大国が多いが、7位に入った国名 を見たときは驚いた。  ウクライナである。メダル数は日本の2倍、82個だ。  戦争により避難を余儀なくされたり、練習もままならない状況だったりと、過酷な状況のなかでなんとか競技を続け、パリパラに臨んだ選手が多くいたとのこと。  それでもこれだけのメダルを獲得したのは、選手の多くが「自分たちができることを精一杯する。そして母国で苦しんでいる人たちを勇気づけたい」という気持ちがあったからだという。  障がいによるハンディを持ち、さらに戦時下のなかで辛い思いをしているにもかかわらず、自分以外のだれかのために全力で取り組む。  そういったことを見聞きすると「自分のふだんの悩みなど大したことないな」という思いに至る。気持ちが楽に、そして前向きになれる。  きっと同じような経験をされた方は多いだろう。  障がいがあり、悩みを抱える方と接するとき、自分の身の回りばかりに気が向いていたように感じることがある。  視野を広げて、自分たちが平和で安全な日本で暮らせていることの喜びを気づかせてあげていければ、と思う。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、金井委員の意向により「障がい」としています 【P32】 掲示板 事業主のみなさまへ “障害者雇用管理サポーター”が障害者雇用に関するお困りごとの解決を支援します! 障害者雇用管理サポーターとは?  「労務管理」、「医療」、「建築」等さまざまな分野の専門家で、障害者雇用の課題に対応した経験をもとに、事業主のみなさまの相談を受けつけます。 <相談内容の例> ・はじめての障害者雇用にあたって、どのような配慮が必要かわからない ・通院を含めた健康管理など採用後の職場定着に向けて配慮すべきことを知りたい ・事業所内の設備改修について相談したい ・ほかの企業がどのような取組みをしているか見学をしてみたい サポーターに相談する方法は?  障害者雇用管理サポーター検索サイト「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」で検索し、サポーターの連絡先へ直接連絡のうえ、ご相談ください。  なお、支援に関する費用はサポーターによって異なりますので、各サポーターのページをご確認ください。 支援人材 JEED 検索 https://shienjinzai.jeed.go.jp/  障害者雇用管理サポーターによる支援や、そのほか障害者雇用についてのご相談は下記へご連絡ください。 【お問合せ先】 中央障害者雇用情報センター 住所:〒130-0022 東京都墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 TEL:03-5638-2792 E-mail:syougai-soudan@jeed.go.jp 読者アンケートにご協力をお願いします! 回答はこちらから→ メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 次号予告 ●リーダーズトーク  教育や介護・保育、キャリア支援の領域で幅広いサービスを提供する株式会社ベネッセホールディングス(岡山県)の常務執行役員CHRO村上久乃さんに、グループ全体での障害者雇用の取組みについてお話しいただきます。 ●職場ルポ  電子制御機器の設計・製造などを行うアール・ビー・コントロールズ株式会社(石川県)を訪問。各支援機関と連携して職場環境を整え、障害者雇用に取り組み続ける現場を取材します。 ●グラビア  札幌市を中心に医療施設向けリネンサプライなどを手がける株式会社特殊衣料(北海道)を取材。さまざまな業務で活躍する、障害のある従業員を紹介します。 ●新春特別企画  松爲信雄編集委員と、八重田淳編集委員による対談を実施。これからの障害者雇用について、お二人の熱い思いを語っていただきます。 公式X(旧Twitter)はこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 本誌購入方法 定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。 1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAXでのお申し込み 株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 トヨタループス株式会社 管理部次長 金井渉 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 弘前大学教職大学院 教授 菊地一文 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 サントリービバレッジソリューション株式会社 人事本部 副部長 平岡典子 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 教授 八重田淳 国際医療福祉大学 准教授 若林功 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 鈴井秀彦 編集人−−企画部次長 綱川香代子 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 電話 043-213-6200(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105-8318 東京都港区芝浦1-2-3 シーバンスS館13階 電話 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 12月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和6年11月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。また、本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【P33】 ◆広域センター・地域センター一覧◆ 2024年11月25日現在 広域障害者職業センター 全国の広範な地域から障害者を受け入れ、職業評価、職業指導、職業訓練などの職業リハビリテーションを実施し、その成果に基づく指導技法などを能力開発施設へ提供しています 名称 所在地 電話番号 国立職業リハビリテーションセンター (中央障害者職業能力開発校) 〒359−0042 埼玉県所沢市並木4−2 04−2995−1711 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター (吉備高原障害者職業能力開発校) 〒716−1241 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 0866−56−9000 地域障害者職業センター 障害者に対する専門的な職業リハビリテーションサービス、事業主に対する障害者の雇用管理に関する相談・援助、地域の関係機関に対する助言・援助を実施しています 名称 所在地 電話番号 北海道障害者職業センター 〒001−0024 札幌市北区北二十四条西5−1−1 札幌サンプラザ5階 011−747−8231 旭川支所 〒070−0034 旭川市四条通8 丁目右1号 LEE旭川ビル5階 0166−26−8231 青森障害者職業センター 〒030−0845 青森市緑2−17−2 017−774−7123 岩手障害者職業センター 〒020−0133 盛岡市青山4−12−30 019−646−4117 宮城障害者職業センター 〒983−0836 仙台市宮城野区幸町4−6−1 022−257−5601 秋田障害者職業センター 〒010−0944 秋田市川尻若葉町4−48 018−864−3608 山形障害者職業センター 〒990−0021 山形市小白川町2−3−68 023−624−2102 福島障害者職業センター 〒960−8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024−526−1005 茨城障害者職業センター 〒309−1703 笠間市鯉淵6528−66 0296−77−7373 栃木障害者職業センター 〒320−0865 宇都宮市睦町3−8 028−637−3216 群馬障害者職業センター 〒379−2154 前橋市天川大島町130−1 ハローワーク前橋3階 027−290−2540 埼玉障害者職業センター 〒338−0825 さいたま市桜区下大久保136−1 048−854−3222 千葉障害者職業センター 〒261−0001 千葉市美浜区幸町1−1−3 ハローワーク千葉4階 043−204−2080 東京障害者職業センター 〒110−0015 台東区東上野4−27−3 上野トーセイビル3階 03−6673−3938 多摩支所 〒190−0012 立川市曙町2−38−5 立川ビジネスセンタービル5階 042−529−3341 神奈川障害者職業センター 〒252−0315 相模原市南区桜台13−1 042−745−3131 新潟障害者職業センター 〒950−0067 新潟市東区大山2−13−1 025−271−0333 富山障害者職業センター 〒930−0004 富山市桜橋通り1−18 北日本桜橋ビル7階 076−413−5515 石川障害者職業センター 〒920−0901 金沢市彦三町1−2−1 アソルティ金沢彦三2階 076−225−5011 福井障害者職業センター 〒910−0026 福井市光陽2−3−32 0776−25−3685 山梨障害者職業センター 〒400−0864 甲府市湯田2−17−14 055−232−7069 長野障害者職業センター 〒380−0935 長野市中御所3−2−4 026−227−9774 岐阜障害者職業センター 〒502−0933 岐阜市日光町6−30 058−231−1222 静岡障害者職業センター 〒420−0851 静岡市葵区黒金町59−6 大同生命静岡ビル7階 054−652−3322 愛知障害者職業センター 〒460−0003 名古屋市中区錦1−10−1 MIテラス名古屋伏見5階 052−218−2380 豊橋支所 〒440−0888 豊橋市駅前大通1−27 MUS豊橋ビル6階 0532−56−3861 三重障害者職業センター 〒514−0002 津市島崎町327−1 ハローワーク津3階 059−224−4726 滋賀障害者職業センター 〒525−0027 草津市野村2−20−5 077−564−1641 京都障害者職業センター 〒600−8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803 ハローワーク京都七条5階 075−341−2666 大阪障害者職業センター 〒541−0056 大阪市中央区久太郎町2−4−11 クラボウアネックスビル4階 06−6261−7005 南大阪支所 〒591−8025 堺市北区長曽根町130−23 堺商工会議所会館5階 072−258−7137 兵庫障害者職業センター 〒657−0833 神戸市灘区大内通5−2−2 ハローワーク灘3階 078−881−6776 奈良障害者職業センター 〒630−8014 奈良市四条大路4−2−4 0742−34−5335 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【裏表紙】 障害者雇用の月刊誌 「働く広場」がいつでも無料でお読みいただけます! (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)では、障害者に対する雇用支援などを実施しており、その一環として障害者雇用の月刊誌「働く広場」を発行しています。 本誌はデジタルブックでも公開しており、スマートフォンやパソコンでいつでも無料でお読みいただけます。ぜひ、ご利用ください!(毎月5日に最新号がアップされます)掲載をお知らせするメール配信サービスもございますのであわせてご利用ください。 自由に拡大できて便利! 読みたいページにすぐ飛べる! ★ルポルタージュ形式で障害者雇用の現場をわかりやすく紹介 ★国が進める施策の動向や、助成金などの制度、最新の調査研究を紹介 ★「障害者雇用担当者のモチベーションアップ」、「マンガでわかる!わが社の障害者雇用物語」など、テーマを掘り下げた記事が充実 お問合せ先 企画部情報公開広報課 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 電話 043-213-6200 FAX 043-213-6556 E-mail hiroba@jeed.go.jp https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html JEED 働く広場 検索 12月号 令和6年11月25日発行 通巻566号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)