クローズアップ マンガでわかる! わが社の障害者雇用物語 第4回 求人募集と採用選考  いよいよ、障害のある人の採用活動について紹介します。一般的な採用活動と同様に、求人をハローワークなどに出し、応募があれば選考を行います。今回は、障害のある人を雇用する際に留意する点や配慮が必要な点などについてみていきましょう。 監修:三鴨(みかも)岐子(みちこ) (『働く広場』編集委員)  名刺や冊子などのデザインを手がける「有限会社まるみ」の取締役社長。精神保健福祉士。  障害のある社員の雇用をきっかけに「中小企業の障害者雇用推進」に関する活動を精力的に行っている。 求人募集の出し方  求人を出す基本的な流れは一般の求人と変わりません。ただし、まだ障害者雇用のノウハウがない場合、ハローワークなどを通じて行うと、より安心感をもって進められます。  例えば、ハローワークでは、障害のある人向けの求人票作成や募集・採用選考時の留意事項などを相談することができます。  また、障害者トライアル雇用や各種助成金(特定求職者雇用開発助成金など)の説明も受けることができます。概要は【表】をご覧ください。  これらの制度は利用条件があるため、求人票作成時にハローワークに確認しておくとよいでしょう。企業の状況や要望によっては、当機構(JEED)の地域障害者職業センター(※1)や、障害者就業・生活支援センター(※2)等の支援機関の情報提供も受けられます。 合理的配慮について  雇用の分野における合理的配慮とは、障害のある人と障害のない人との均等な機会の確保などを図るための措置のことです。募集・採用選考時の合理的配慮は、障害のある人の申し出により、面接日などまでに話し合うことが必要です。  一方、採用後の合理的配慮については、採用が決まったあと、雇入れ時までに応募者と話し合うこととなっています。しかし、採用後の職場環境整備などのためには、企業側も応募者の状態を事前に知っておくことが必要です。  また、適性や能力の判断をするためにも必要な範囲内で、面接などの採用選考時に障害の状況についても、質問するとよいでしょう。  その際は、質問の意図と必要性を明らかにし、応募者本人の同意を得ることと、応募者には「答えにくい場合には無理をしなくてもよい」といった声かけを行うなど、プライバシーに配慮した対応が望まれます。  なお、質問に対する回答のなかで、応募者から採用後の合理的配慮について申し出があった場合も、不利益な取扱いを招かないよう、十分に留意してください。 関係機関との連携  ハローワークは、障害のある人を雇用しようとしている企業に対して、雇入れに向けた支援や、継続雇用の支援などを行っています。その際、企業の現状やニーズによっては、地域障害者職業センター等必要な関係機関と連携しながら支援します。  例えば、連携先の一つである障害者就業・生活支援センターは、障害のある人に対して就業とそれにともなう日常生活上の支援を行います。面接同行などの就職活動支援や、就職後の定期的な職場・家庭訪問などが一例です。障害のある人を雇用する企業に対して、それぞれの特性をふまえた雇用管理について、相談や助言も行っています。  また、雇入れ時点では企業にノウハウがなく、職場適応上の課題発生が予想される場合や、雇用開始後しばらく経ってから課題が生じ、解決のために集中的な支援が必要な場合は、職場適応援助者(ジョブコーチ)と連携することもあります(※5)。  職場定着で不安を抱えるのは、企業以上に障害のあるご本人です。企業もチームの一員となって、みんなで支えていくようにしましょう。 ★この物語はフィクションです。 ※1 地域障害者職業センターの詳細は以下をご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer01.html ※2 障害者就業・生活支援センターの詳細は以下をご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18012.html ※3 制度の詳細は以下をご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/intro-joseikin.html ※4 合理的配慮指針の詳細は以下をご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000082153.pdf ※5 職場適応援助者(ジョブコーチ)の詳細は以下をご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06a.html 表 障害のある人の雇入れに関する制度(※3) 障害者トライアル雇用 継続雇用を目的に、一定の期間を定めて障害のある人を雇用するもの。事業者には障害者雇用のきっかけをつくり、常用雇用への移行促進を目的とする。 特定求職者雇用開発助成金 障害のある人や高齢者などの就職が特に困難な人を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により、継続して雇用する事業主を助成するもの。