ニュースファイル 国の動き 全国 高等学校における障害のある生徒の進路指導等に関する研究成果を公開  独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(神奈川県)が、3年間にわたり行った「高等学校における障害のある生徒の社会への円滑な移行に向けた進路指導と連携の進め方等に関する研究(令和3年度〜5年度)」の研究成果報告書を公開した。  文部科学省によると2022(令和4)年3月に特別支援学校中学部を卒業した生徒の進学率は98.6%で、うち96.7%が特別支援学校高等部に進学。また中学校特別支援学級を卒業した生徒の進学率は94.8%で、うち56.9%が高等学校等に、37.8%が特別支援学校高等部に進学している。一方、高等学校に学習面または行動面で著しい困難を示す生徒が2.2%在籍しているとされる。  こうした状況において同研究は、障害のある生徒が社会への円滑な移行をしていくために必要な進路指導や関係機関との連携について検討するため、高等学校、進路先、連携先機関を対象に質問紙調査やインタビュー調査を行った。  なかでも発達障害等のある生徒の進路指導が好事例となる要因を整理したところ、保護者や家庭との連携による生徒の自己理解や、校内における資源の活用と教職員の連携が不可欠であることが見いだされた。また好事例においては、生徒の進路先決定に向けて「生徒の希望や特性に寄り添った進路指導」が、また進路先決定および自立と社会参加に向けて「社会的スキルを高める指導・支援」などが行われていた。  発達障害などを対象とした調査結果は報告書としてまとめ、そのほかの障害を含む調査結果は事例などを資料集としてまとめ、同研究所のホームページで公開している。 https://www.nise.go.jp/nc/report_material/research_results_publications/specialized_research/b-405 地方の動き 東京 豊島区が企業内をフィールドに障害者雇用モデルの実証実験  豊島区は「株式会社サンシャインシティ」(豊島区)と「新たな障害者雇用モデルの実証実験に関する協定」を締結した。  本協定は、障害のある人が働く場として、サンシャインシティ内の事業所を実証実験のフィールドとして提供してもらい、地域課題や一般就労の課題解決を目ざすことを目的としている。企業内をフィールドとして実証実験を実施するのは東京都23区初の試み。  実証実験は二つ予定しており、一つめは分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を介してサンシャインシティ内で接客対応を行う「遠隔操作型分身ロボット雇用モデル」。対象者は都立北特別支援学校に通う豊島区民の肢体不自由者(車いす)の生徒や、豊島区の事業所に通っている区民で、精神・知的障害等により自宅や福祉施設から外出して就労することが困難な人。  二つめは、豊島区の事業所に通っている区民で、精神・知的障害等により長時間労働が困難な人が、サンシャインシティの事業所内で短時間就労(1日30分〜数時間・週10時間未満)を行う「超短時間雇用モデル(豊島区版)」の実施。年内に実証実験と効果検証を行う。豊島区はこれまでも同社社員へ障害者差別解消法の合理的配慮に関するセミナーを実施するなどのかかわりがある。 生活情報 全国 聴覚障害者に配慮、パトカーに新型警光灯  警察庁が、聴覚障害者に配慮した新型の警光灯(赤色灯)を導入すると発表した。警察用車両(パトカー)の上部に搭載されている警光灯の発光パターンを工夫し、緊急走行中なのか通常パトロール中なのかを、目で見て判別できるようにした。  従来の発光パターンは、0.5秒周期でライトが回転しながら光る1種類だった。緊急走行時はサイレンの音を鳴らすことで周知しているが、聴覚障害者がパトカーを見かけても緊急走行中なのかどうかを判別しにくく、「全日本ろうあ連盟」(東京都)が2012(平成24)年ごろから改善を求めていた。  今回追加される発光パターンは、一度光ったあと、蛍の光のように徐々に発光(2秒周期)するというもので、通常のパトロール中に用いられる。2024年度中に、新型警光灯を搭載した小型パトカー(420台)と交通事故処理車(99台)を各都道府県警察に順次配分し、運用を開始する予定。 東京 慶應病院にロービジョンケア・ハブ  慶應義塾大学病院(新宿区)が、院内3号館南棟3階に「ロービジョンケア・ハブ」を開設した。ロービジョンケアとは、「見えにくい」、「まぶしい」、「見える範囲が狭い」など日常生活での不自由がある状態(ロービジョン)に対する支援。運営は、慶應義塾大学医学部眼科学教室と公益財団法人日本盲導犬協会(神奈川県)が共同で行い、共同研究「ロービジョンケアに対するカウンセリング効果の研究」の活動拠点にもなっている。  ロービジョンケア・ハブは、福祉や教育、就労、生活上で必要なあらゆる分野の情報を病院内で提供し、地域の支援機関や団体へつなぐことによるQOL(生活の質)向上を目的としている。「就職したいがどうしたらよいか」、「調理や掃除など生活しやすくできる方法は」、「子どもの勉強や進学はどうしたらよいか」、「生活訓練を受けてみたい」など幅広い相談に対応。ただし治療や疾患に関する内容は受けられない。拡大読書機器、ルーペ、遮光眼鏡、音声読書機器類、調理グッズ、音声時計、音声体重計、音声体温計、音声血圧計、白杖など常設機器類の体験もできる。  同病院の患者にかぎらずだれでも予約なしで無料で利用可能。利用時間は、月・火・木・金曜日の10時〜16時(病院の休診日により変更あり)。 本紹介 『精神障害の労災認定−しくみと判断事例』  元労働基準監督官で弁護士の中野(なかの)公義(きみよし)さんが、『精神障害の労災認定−しくみと判断事例』(日本法令刊)を出版した。パワハラ、セクハラ、対人トラブル、長時間労働、転勤・配置転換、仕事のミスなどが原因で労働者が精神疾患を発症したとき、労働災害となるのはどんな場合か。労働者に発病した精神障害について、認定基準(「心理的負荷による精神障害の認定基準」)に照らして、労働災害にあたるかどうかのある程度の判断ができるようになることを目標に書かれた。  検討事例を通じて、認定基準のしくみ、判断のポイントなどを詳しく解説したうえで裁決例を見ていくことで、どのように労災認定されるのかがより理解できるような構成となっている。  また、精神障害の原因となりうるハラスメントなどの予防のための企業対応の参考になりうる裁判についても取り上げている。A5判、300ページ、3300円(税込)。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 2024年度地方アビリンピック開催予定 1月〜2月 東京都、京都府、香川県、佐賀県 *開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります *  は開催終了 地方アビリンピック 検索 ※日程や会場については、変更となる場合があります。 ※全国アビリンピックが11月22日(金)〜11月24日(日)に、愛知県で開催されました。開催の模様は「働く広場」2025年3月号で特集します。 地図文字 東京 京都 香川 佐賀