【表紙】 令和8年1月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第580号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2026/2 No.580 特集 第45回 全国アビリンピック グラビア、アビリンピックルポ、入賞者一覧、「アビリンピック」についてご紹介! 特別企画 座談会第1部 働く障害社員のリアルな声を聞く 「大好きなおかしに囲まれて〜世界のパティシエ〜」東京都・角皆(つのがい)詩乃(しの)さん 2月号 【巻頭・巻末】 第45回 全国アビリンピック 2025(令和7)年10月17日(金)〜19日(日) 写真:官野貴・岩尾克治 第45回全国アビリンピック 開会式 写真のキャプション 会場となった「愛知県国際展示場」(Aichi Sky Expo) 入賞者に贈られる金・銀・銅・努力賞のメダル 競技に向けたオリエンテーションに臨む選手たち 開会式は第63回技能五輪全国大会と合同で開催された MPLUSPLUS DANCERS(エムプラスプラスダンサーズ)によるパフォーマンス アビリンピック大会旗を大会名誉会長に手渡す、愛知県代表の古村(こむら)春奈(はるな)さん 県旗を振る佐賀県代表の赤田(あかだ)成亮(じょうすけ)さん 技能五輪の選手とともに選手宣誓を行う、愛知県代表の橋(たかはし)詩織(しおり)さん(右側手前) 客席では選手がケミカルライトを掲げ、会場一体となって選手宣誓を行った 「データベース」 「ホームページ」 「電子機器組立」 「写真撮影」 「木工」 「洋裁」 「ビルクリーニング」 「喫茶サービス」 「ネイル施術」 「製品パッキング」 「縫製」 「フラワーアレンジメント」 「表計算」 「歯科技工」 「パソコンデータ入力」 「コンピュータプログラミング」 「義肢」 「DTP」 「パソコン組立」 「建築CAD」 「家具」 「パソコン操作」 「オフィスアシスタント」 「機械CAD」 「ワード・プロセッサ」 特設ステージで行われたイベントでの一コマ 競技終了後、競技ごとに講評が行われた 「障害者ワークフェア2025」 デモンストレーション「ドローン操作」 デモンストレーション「RPA」 第45回全国アビリンピック 閉会式 輪島忍JEED理事長(大会会長)による挨拶 蒔苗浩司厚生労働大臣官房審議官の来賓挨拶 駐日フィンランド大使館から選手たちを激励するビデオメッセージも披露された 金賞受賞者に金メダルをかける大会名誉会長の大村秀章愛知県知事 お互いの健闘を称えあう「歯科技工」入賞者のみなさん 思い思いのポーズで入賞の喜びを表現する「ワード・プロセッサ」入賞者のみなさん アビリンピックマスコットキャラクターの「アビリス」と「ビルクリーニング」入賞者のみなさん 金メダリストらが集合し、記念撮影。よろこびの笑顔があふれる 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2026年2月号 NO.580 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 特集 第45回 全国アビリンピック 障害のある人たちが日ごろつちかった技能を互いに競い合うことにより、その職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々に障害のある人に対する理解と認識を深めてもらい、雇用の促進を図ることを目的とした「第45回 全国アビリンピック」が、2025(令和7)年10月17日(金)〜19日(日)に、愛知県で開催されました。その模様をお届けします。 グラビア 巻頭・巻末 写真:官野 貴・岩尾克治 アビリンピックルポ 4 文:豊浦美紀/写真:官野 貴・岩尾克治 入賞者一覧 12 「アビリンピック」についてご紹介! 14 JEEDインフォメーション 16 第33回職業リハビリテーション研究・実践発表会 オンデマンド配信中/事業主のみなさまへ 令和8年度「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」等申請のお知らせ/国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ エッセイ 19 ITが切り開く、視覚障害者の新しい可能性 最終回 AI時代の新たな役割革命〜障害者雇用と「協働」の未来図〜 株式会社ふくろうアシスト 代表取締役 河和 旦 特別企画 20 座談会第1部 働く障害社員のリアルな声を聞く 省庁だより 26 農福連携の推進について 農林水産省 農村振興局 都市農村交流課 ニュースファイル 28 ご案内 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでいつでもお読みいただけます! 掲示板・次号予告 30 JEEDメールマガジン登録受付中! ※「心のアート」、「この人を訪ねて/私のひとこと」、「クローズアップ」、「研究開発レポート」、「編集委員が行く」、「編集委員のひとこと」は休載します 表紙絵の説明 「大好きなお菓子をつくって、みんなを笑顔にするパティシエになりたい。こんなパティシエになれるといいなと思って描きました。たくさんのお菓子に色をぬり描いたのでたいへんでしたが、自分の周りに大好きなお菓子を描けたことがよかったです。今回の受賞で初めて賞状がもらえたので、さらに絵を描くことが好きになりました」 (令和7年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 小学生の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html) 【P4-11】 特集 第45回 全国アビリンピック 10月17〜19日  「第45回全国障害者技能競技大会」(全国アビリンピック)が2025(令和7)年10月17日(金)〜19日(日)、愛知県常とこ滑なめ市の愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)で開催された。今回は2027年5月にフィンランド(ヘルシンキ)で開催が予定されている、第11回国際アビリンピック派遣選手選考会も兼ねており、日本全国から集まった招へい選手39人を含む440人の選手が、技能競技25種目で磨き上げてきた技能を披露した。 文:豊浦美紀/写真:官野 貴・岩尾克治 10月17日(金) 開会式  開会式は、前回に引き続き第63回技能五輪全国大会との合同開催となった。大村(おおむら)秀章(ひであき)愛知県知事の大会名誉会長挨拶のあと、主催者挨拶として山田(やまだ)雅彦(まさひこ)厚生労働審議官による福岡(ふくおか)資麿(たかまろ)厚生労働大臣(開催当時)の祝辞代読に続き、大会会長として当機構(JEED)の輪島(わじま)忍(しのぶ)理事長が登壇。「第11回国際アビリンピック・ヘルシンキ大会の派遣選手選考会を兼ねた今大会は、洋裁ほか15競技種目において第41回から第44回までの全国アビリンピックの優勝者と第10回国際アビリンピックの入賞者を招へいしており、いっそうハイレベルで熱意あふれる競技が展開されることを期待します。ヘルシンキ大会のスローガンは『We can. We belong. Nolimits.(私たちはできる。私たちはここにいる。限界はない)』です。選手のみなさんは誇りを胸に、これまで磨き上げてきた技をいかんなく発揮してください」などと激励した。また石破(いしば)茂(しげる)内閣総理大臣(開催当時)のメッセージを代読した厚生労働省の宮本(みやもと)悦子(えつこ)人材開発統括官は「これまでの技能修練でつちかった高度な技術を競い合い、互いに研さんを積む姿は、わが国の成長と未来を支える原動力となると信じています」などと伝えた。  アビリンピック大会旗入場では、「縫製」種目に出場する古村(こむら)春奈(はるな)さん(愛知県)が旗手を務め、各都道府県の選手団旗手が常滑市立三和(みわ)小学校の児童のエスコートで入場した。その後、MPLUSPLUS DANCERS(エムプラスプラスダンサーズ)による「光のフラッグ」パフォーマンスが会場を盛り上げたほか、愛知県出身のプロフィギュアスケーター村上(むらかみ)佳菜子(かなこ)さんやプロ車いすテニス選手の小田(おだ)凱人(ときと)さん、駐日フィンランド大使館からのビデオメッセージも披露された。  選手宣誓は、「パソコンデータ入力」種目に出場する橋(たかはし)詩織(しおり)さん(愛知県)が、技能五輪の選手とともに「われわれ選手一同は、これまで支えてくださった方々への感謝を胸に、日ごろ磨いてきた訓練の成果を最大限に発揮し、私たちが目標としてきた全国大会というかけがえのない舞台で、正々堂々と競技に臨むことを誓います」と力強く表明した。 10月18日(土) 競技紹介 選手・関係者の声 ●ビルクリーニング/喫茶サービス/オフィスアシスタント/製品パッキング  「ビルクリーニング」(国際アビリンピック対象)は、事務室に多いカーペット床清掃(7分)(※)と、水回りの床(トイレ・給湯室)で使用される弾性床清掃・机上清掃(10分)の2課題。資機材の使用方法やマナー、安全に留意した作業もポイントだ。上良(ころ)侑乃介(ゆうのすけ)さん(福井県)は、入社半年になる特例子会社で清掃などを担当。一つめの課題競技を終えて「キビキビと動き、ごみが残らないよう心がけました」とふり返った。同行の上司は「練習は同僚と2人で評価し合いながら切磋琢磨し、ともにすばらしく成長しました」と教えてくれた。その同僚は今回出場を逃したが、一緒に応援しながら再挑戦を誓っていた。  模擬喫茶店での「喫茶サービス」は、3〜4人のグループごとに接客サービスを2回以上行う(1グループ合計約60分)。身だしなみや基本的な労働習慣、客の目線に立ったスムーズな業務、ほかのメンバーとの連携などがポイントだ。井田(いだ)舞(まい)さん(北海道)は、サービス付き高齢者向け住宅で介護などの業務を任されている。全国アビリンピック出場が決まってからは仕事のあとに母校の特別支援学校に通い特訓してきたという。「ここに来られただけでうれしいです。周囲との連携や笑顔での対応など、仕事でも活かしていきます」と充実した表情で語っていた。  「オフィスアシスタント」は配布物の準備(15分)、発送書類の封入(30分)、封筒の仕分け(20分)の3課題。スピーディかつ正確な作業とともに仕分け時の集中力などが求められる。これまで全国アビリンピックで銅賞受賞経験のある苫米地(とまべち)直樹(なおき)さん(福島県)は、銀行の特例子会社で発送業務などを担当し、勤続14年目。「職場では練習時間を確保してもらい、折りの正確性や速さを高められるよう特訓してきました」と語っていた。  「製品パッキング」の課題は、商品を梱包するための箱や緩衝材の組立・結束25セット(5束)(30分)、小箱・中箱・化粧箱・外箱の組立・セットアップ4梱包60分)の二つ。無駄のない作業や正確さなど各課題に合わせた工夫や改善も必要だ。山本(やまもと)愛斗(まなと)さん(鳥取県)は、入社4年目という大手運送会社で荷物の受付業務などを任され、この日も会社のユニフォーム姿で競技に臨んだ。これまで全国アビリンピックで銀賞を2回獲得している山本さんは「スピードとできあがりの品質に気をつけて、応援してくれている職場のみなさんのためにも金賞を取りたいです」と意気込んでいた。高レベルの競い合いの末、山本さんは銅賞を受賞した。 ●ワード・プロセッサ/パソコンデータ入力/パソコン操作/表計算  「ワード・プロセッサ」(国際アビリンピック対象)の課題は、ワープロソフトを使って作成見本と作業指示書を見ながら和文文書(80分)と英文文書(60分)を完成させる。各種機能を活用したスキルなどが求められる。競技前日のオリエンテーションでは入念に準備作業をしていた様子の武村(たけむら)俊明(としあき)さん(大阪府)は、大手保険会社の特例子会社で事務代行業務などを担当して約10年になるそうで、2016(平成28)年の第36回全国アビリンピック山形大会では金賞も受賞している。同行していた上司は、「本人は、以前よりもスピードが落ちていると嘆いていましたが、国際大会出場を目ざして練習してきたようです」と話していたが、見事2度目の金賞に輝いた。  知的障害のある選手が参加する「パソコンデータ入力」は、アンケート入力、文書修正、帳票等作成の3課題(約2時間30分)で、集中力や持続力、タッチタイピングの技能が発揮される。フイデム・ケヌさん(静岡県)は、大手医療機器メーカーの工場で消毒作業や廃棄物回収などを行っている。アビリンピックには特別支援学校に通っていたときに先生からすすめられて挑戦を始めたそうで、全国アビリンピックは初出場だ。上司は「事務系の仕事もできるようになってくれたらと思っているので、この競技はステップアップの場として最適です」と話していた。フイデムさんも「自宅練習でスキルを磨いてきました。全国アビリンピックは、自分がどこまでできるかの挑戦です」と意欲を見せていた。  視覚障害のある選手が対象の「パソコン操作」は、インターネット検索で入手した情報の入力・作成をはじめ、プレゼンテーションソフトや表計算ソフトを用いた資料作成やデータ加工などの4課題(90分)。パソコンの画面情報読み上げソフトや拡大読書器等の支援機器を活用しながらパソコン操作技能を競う。原(はら)真波(まなみ)さん(東京都)は、大手非鉄金属メーカーに勤めながら6回目の全国アビリンピック出場で、職場では指導員の立場だという。競技後、「支援機器の性能やパソコン機能の向上とともに、視覚障害者の職域もどんどん広がっているだけに、競技の課題も幅広くなりました」と話していた原さんは、念願の金賞に輝いた。  「表計算」は、表の装飾・編集、関数式による表の完成、データ処理、グラフ作成を行う(75分)。どの順番で取り組んでもよく、いかに正確に効率よく表やグラフの作成・編集などを行えるかがポイントだ。小倉(おぐら)佳浩(よしひろ)さん(徳島県)は、高校時代からパソコン教室で学び、現在勤務する情報関連会社ではウェブサイトの作成にかかわっている。表計算種目で3回目の全国アビリンピック出場だそうで「できれば入賞したいですね。これまでの集大成だと思って練習してきました」と意気込みを語っていた小倉さんは、銅賞入賞と健闘した。 ●DTP/データベース/ホームページ/コンピュータプログラミング  「DTP」(国際アビリンピック対象)の課題は「『日本酒によるまちおこし』の日本酒ラベルと告知ポスターのデザイン」(3時間30分)。DTPに関するオールマイティな知識が求められるほか、国際アビリンピックでは、デジタル技術の進歩とともに高度なオリジナリティが重視される傾向にあるという。山ア(やまざき)菜津子(なつこ)さん(栃木県)は、デザイン会社が運営する就労継続支援B型事業所に6年前から通い、自分の希望でDTPを一から学んだそうだ。同行していた支援担当者によると、「彼女の特性に合わせた教育用動画で学んでもらい、いまではチラシ作成などを担当してくれています」とのことだ。文字のフォントが大好きだという山アさんは「速くきれいに仕上げるようがんばりたいです」と笑顔で話していた。  「データベース」(国際アビリンピック対象)の課題は、学校における「卒業試験合否判定システム」を10の課題に沿って作成するというもの(3時間)。システムのデータ構造を理解し、その流れに基づいて仕組みをつくるために、さまざまな専門技能が必要とされる。小木曽(こぎそ)圭(けい)さん(愛知県)は、大手自動車メーカーの特例子会社に入社して5年目。以前、表計算種目でも全国アビリンピックに出場している。職場では書類の電子化作業を担当し、データベースのソフトを使うこともあるため種目を変えての再挑戦だ。「この大会での経験を仕事にも活かしていきたいです」と意気込んでいた。  「ホームページ」(国際アビリンピック対象)の課題は、「防災」をテーマにしたホームページ制作と当日発表された要件(申込フォームの追加等)にしたがったウェブページの作成(4時間30分)。作成技術のほか情報設計、独創性、アクセシビリティなどに関する知識が広く求められる。競技終了後は、選手同士で作品を講評し合っていた。薮内(やぶうち)貫二(かんじ)さん(福岡県)は、「今回は生成AIを使えたので、かなり助けを借りて作成できました。ほかのみなさんの作品もすばらしくて勉強になります。アビリンピックに出るだけで自分の能力向上につながります」と満足そうだった。  「コンピュータプログラミング」(国際アビリンピック対象)は、ロボットの動きを指示するプログラムを作成し、動きの指示のしやすさや動作確認機能などに加え、ロボット動作の正確さ・速さの優劣を競う(6時間)。プログラマーやシステムエンジニアとしての総合的な技量が試される。システム開発会社に勤める中村(なかむら)涼介(りょうすけ)さん(岐阜県)は、取引先の大学の先生からすすめられての初出場。日ごろはウェブサイト制作を任されているが、「職場ではロボット導入支援業務も行っているので、役に立つだろうと思い挑戦しました」という。競技後「なんとか仕上がりましたが、時間足らずな部分もあったので、リベンジします」と誓っていた。 ●機械CAD/建築CAD/電子機器組立/パソコン組立  「機械CAD」(国際アビリンピック対象)は、3次元CADシステムを使い、ロボットの先端に装着する三爪ハンドの「部品図と組立図」、「組立図と立体分解図」を作成する(3時間10分)。指示事項を正確に把握し、課題図面を読図して正しく図形を描き、設計に意図された事項の寸法記入法、幾何公差、表面性状など規格に沿って記入できること、課題の機能を理解してモデリングができることなどが要求される。今回は残念ながら入賞者はいなかった。  「建築CAD」は、建築CADを用いて、小規模な2階建て学生寮を目的とした鉄筋コンクリート造2階建てビルの図面(縮尺1/100の平面図、立面図、断面図)をA3用紙2枚の図面に仕上げる(3時間30分)。出場者は木村(きむら)信隆(のぶたか)さん(千葉県)1人だけだった。大手化学関連企業に勤務する木村さんは前回の第10回国際アビリンピックでは機械CAD種目で出場しており、「今回は仕事でも同じソフトを使っている建築CADに挑戦してみました。でも練習不足で時間が足りませんでしたね」と語りながら、競技後は審査員らに熱心に質問していた。  「電子機器組立」(国際アビリンピック対象)の課題は、「省エネコントローラーの組立」(4時間)。組立作業の中心である「はんだ付け」作業が、機器の信頼性に影響を及ぼす重要なポイントだ。山下(やました)航平(こうへい)さん(埼玉県)は、2024年12月からJEEDが運営する国立職業リハビリテーションセンターの電子技術・CADコースで訓練中。同行していた職業訓練指導員によると「最初から勉強し、はんだ付けの実習から半年ほどで県大会を勝ち抜きました。彼の長所はまじめに何でも突き詰めて取り組むところです」とのことだ。山下さんは「ものづくりに興味があり、一から学べるカリキュラムと個別指導のおかげで、企業研修も経験し、内定をいただきました。今回の競技経験も活かしていきたいです」と答えてくれた。  「パソコン組立」(国際アビリンピック対象)は、デスクトップ型パソコンの部品の選定、交換または新設、メンテナンスを行ったうえで中身を組み立て直し、ソフトウェアのインストールや設定を行う(4時間)。ハードウェアとソフトウェアの両面から作業を行い、完成度・的確さや正常に動作するかを競う。三宅(みやけ)勝己(かつみ)さん(神奈川県)は、システム開発企業の特例子会社でネットワーク関連の業務を担当し、これまで銀賞などを獲得している。三宅さんは昼休憩中に「今回もねじ回しに手こずりました。最後までくじけず楽しく終わらせたいと思います」。また、元同僚で招へい選手の舘野(たての)裕太郎(ゆうたろう)さん(神奈川県)は「競技の難易度が上がっているように感じますが、国際アビリンピックを目ざしてがんばります」と語ってくれた。 ●歯科技工/義肢/家具/木工  「歯科技工」の課題は、上顎と下顎の全歯を失った患者のために歯ぐきをおおう「上下ろう義歯」の製作(5時間)。既製の模型を使い、かみ合わせを再現できるよう人工の歯を並べ、歯科用ワックスで歯ぐきを自然な形に回復させる。精密な手作業と細やかな調整は、歯科技工士としての高い技術が試される。梨(たかなし)理来(りく)さん(東京都)は、大学の歯科技工研修科に在籍していた前回の全国アビリンピックで努力賞を獲得し、いまは歯科技工所で働いている。「仕事ではクラウン・ブリッジなどを製作しています。全国アビリンピックに向けて職場でも練習させてもらったのでがんばりたいです」と手話を交えて伝えてくれた。  「義肢」の課題は、下腿義足ソケットの製作(4時間15分)。切断部分の形状を正確に型採りし、解剖学的・人間工学的知識を基に断端モデルを修正後、それに合わせた正確な加工・組立を行う。初出場の奥野(おくの)佳太(けいた)さん(佐賀県)は数年前、事故で両足に大きな傷を負い、義肢装具士にひざ用の装具をつくってもらったそうだ。「自分もこんな仕事がしたいと思い専門学校に入って、いまはお世話になった義肢製作所で働いています。金賞が取れるまでアビリンピックには挑戦していきたいですね」と意欲を語ってくれた。  「家具」(国際アビリンピック対象)の課題は、花台の製作(5時間30分)で、「板と板の接合」、「角材と角材の接合」がポイント。のこぎり、のみ、かんななどの手工具や木工機械を使用して、図面に基づき正確で見栄えのよい作品をつくる。全国アビリンピック出場は3回目という田中(たなか)匠貴(しょうき)さん(長崎県)は、船舶装備会社で船内向けのベッドやカウンターをつくっているそうだ。競技後、「5枚組の接ぎを外したときに割れがみつかったが、新しいものに交換して完成できてよかったです」と伝えてくれた田中さんは、結果もこれまでの銅賞から銀賞へと躍進した。  知的障害のある選手が参加する「木工」(国際アビリンピック対象)の課題は、「蓋(ふた)付き木箱」の製作(5時間)。家具種目と同様に手工具を使い、機械作業ではできないような洗練された製品をつくり出す。加工精度や作業時間がポイントだ。高等養護学校3年の川畑(かわばた)曜伎(てるき)さん(滋賀県)は、専門教科(工業)で木工を学び、アビリンピック初挑戦での全国大会。「蟻組(ありぐみ)という特殊な伝統技法で板を斜めに切って接合するのがむずかしいのですが、今日はすき間なく完成できました」と手応えを語った川畑さんは、すでに大手精密機器メーカーから内定をもらっているという。「同じものづくりの職場なので、この競技経験も活かしたい」という川畑さんは、銀賞を獲得した。 ●洋裁/縫製/フラワーアレンジメント/ネイル施術/写真撮影  「洋裁」(国際アビリンピック対象)の課題は、薄手ウールを使用したオーダー仕立てのオーバーブラウスの製作(6時間)。粗裁(あらだ)ちずみの布地が支給され、ミシンやアイロン、ロックミシンなどを使い仕上げる。菊地(きくち)李果(ももか)さん(鹿児島県)は、鹿児島障害者職業能力開発校のアパレル科で学んで半年足らず。「趣味だったミシン操作がうまくなりたくて入校しました。将来はミシンを使った仕事をしたいです」とのこと。同行していた職業訓練指導員と「最初にミスもあったけど、そのおかげで落ち着いたよね」と笑い合っていた菊地さんは、銅賞入賞を果たした。  「縫製」(国際アビリンピック対象)の課題は、エプロンの縫製(4時間)。9枚のパーツが配付され、ミシン、アイロン、はさみ、目打ちなどの道具を使用して製作する。中桐(なかぎり)桜(さくら)さん(岡山県)は、就労継続支援A型事業所でバッグなどをつくり、商品はインターネット販売もされているそうだ。同行していた母親は「不器用だと思っていたら、中学生になって急に折り紙がうまくなり、たまたま支援学級の先生が手芸を教えてくれて、縫製の道が開けました。好きなことを仕事にできる娘がうらやましいです」と目を細めながら見守っていた。  「フラワーアレンジメント」(国際アビリンピック対象)は、花束(60分)、トルソーに装飾するフラワーアクセサリー(ネックレス)(90分)、会場装飾(アレンジメント)(90分)の3課題。目的に応じた花の選択や造形などの基本知識に加え、実用性や完成度の高い作品が求められる。実業系の高校に通う弱視の黒岩(くろいわ)佳叶(かいと)さん(長野県)は、小学生のころからクラブ活動で生け花を習っていたことから、高校でも同様の部活動に所属。先生のすすめでアビリンピックに挑戦してみたという。競技後「サプライズ花材もあって時間も不足気味でしたが、満足のいく作品に仕上げられました」と語った黒岩さんは努力賞を獲得した。今後は調理の専門学校に進むそうだ。  「ネイル施術」(国際アビリンピック対象)は、実際のサロンワークを想定した時間と内容で、正確でていねいな技術力や美的感覚、仕上がりの完成度を競う。課題1のネイルケアとカラーリング(75分)では爪のケアやカラーリングの基本技術、課題2のネイルアート(80分)では今回「地球と自然(Earth & Nature)」をテーマにした表現力が問われる。初出場の北島(きたじま)玲奈(れな)さん(福岡県)は、就労継続支援A型事業所でネイル施術を学び始めて1年足らず。同行していた指導員は「事業所ではネイルの資格を取る人が増えていて、仕事につなげていくのが目標です。北島さんは努力家なのでがんばってほしい」とエールを送っていた。北島さんは「少し前まで精神的につらくて練習不足だったこともあり、力を出し切れなかった部分もあります」と悔しさをにじませていたが、それでも努力賞を獲得し、指導員と喜び合っていた。  「写真撮影」(国際アビリンピック対象)の課題は、愛知県国際展示場とアビリンピック競技の風景などをパンフレットなどで紹介することを想定した、魅力的な写真の撮影(4時間)。撮影許可をもらってよい表情を引き出すポートレート撮影のほか基本的な撮影技術や総合的な構成力等を競う。初出場の橋(たかはし)良明(よしあき)さん(宮崎県)は、競技後「レベルの高い選手たちと写真を撮り合い、すばらしい作品も見られ、とても刺激をもらいました」と語ってくれた。最近アウトドア施設の運営会社に転職したばかりで、SNSでの情報発信に写真技術を活かしていきたいそうだ。そして、見事に銀賞を受賞した。 ●デモンストレーションRPA/ドローン操作  前回に続いて実施された「RPA」(Robotic Process Automation)は、パソコンで行う事務作業の自動化のことで、競技課題は「プログラムの新規作成」、「プログラムの修正と機能追加」。成果物の結果の正しさ、処理動作の安定性・速さ、可読性(わかりやすさ)がポイントだ。今回は特設ステージでの披露となった。  JEEDの国立吉備高原職業リハビリテーションセンターによる「ドローン操作」は、建築物の点検業務を想定し、設置された模擬障害物にはりつけた数字や破損個所などを、ドローンを操縦してみつけるというもの。かぎられた空間で建築物に接触することのない飛行ルートを考え、正確に早く数字をみつける技術を実演していた。 ●障害者ワークフェア2025  競技エリアに隣接したフロアでは「障害者ワークフェア2025〜働く障害者を応援する仲間の集い〜」が開催された。これは、障害者の職業能力や雇用に関する展示や実演などを通して来場者に理解と認識を深めてもらうことが目的だ。今年は111の団体・事業所などが「能力開発エリア」、「就労支援エリア」、「職場紹介エリア」、「特設コーナー」に出展し、多くの来場者でにぎわった。  また、特設ステージ横では、次の国際アビリンピック開催地フィンランドで生まれたスポーツ「モルック」の体験コーナーが設けられていた。木製の棒を投げて12本のピンを倒すというもので、一般社団法人日本モルック協会によると、老若男女を問わず気軽に楽しめるという。 10月19日(日) 閉会式  午前10時からの閉会式は、前日の競技の熱気に包まれたまま、大勢の選手や関係者が参加した。会場の大スクリーンで全競技のハイライト映像が放映されたあと、大会会長であるJEEDの輪島忍理事長が「競技に取り組んだ熱くひたむきな姿は、多くの人に大きな感動と勇気を与えるとともに、障害のある人が優れた職業能力を力強くアピールできたと確信しています。自信と誇りを持っていっそう活躍されることを心から願っています」などと挨拶。続いて厚生労働省の蒔苗(まかなえ)浩司(こうじ)大臣官房審議官の来賓挨拶のあと、駐日フィンランド大使館から選手たちを激励するビデオメッセージも披露された。  成績発表と表彰では、目標を達成できた充実感でいっぱいの笑顔やうれし涙をみせる選手たち、ステージ脇で受賞者同士が記念撮影をする様子などがみられた。  最後に、次回開催地である愛知県の大村秀章知事が大会名誉会長として登壇し「多くの方々が、みなさんのがんばる姿を通じて、障害のある方が学校や社会で活躍されていることをあらためて認識され、その高い能力への理解がいっそう深まったのではないかと思います。大会を通してつくった思い出や、新たな絆を今後も大切にしてください。次回もお会いしましょう」などと締めくくった。 金賞受賞者たちの喜びの声  「家具」の山原(やまはら)耕一(こういち)さん(和歌山県)は、「ミスをしないよう、くり返し練習しました。始めは緊張しましたが、そのうちに落ち着いて取り組めたことがよかったです」。  「DTP」の藤元(ふじもと)秀幸(ひでゆき)さん(福岡県)は、「初出場で金賞をいただけて大変うれしいです。時間をかけて課題の読み込みをしたことがよかったと思います。この経験を仕事にも活かしていきたいです」。  「電子機器組立」の松ア(まつざき)七海(ななみ)さん(愛知県)は、「最後まであきらめずに取り組んだことが金賞につながったと思います。職場に戻ったら、これまでがんばってきた成果を発揮できるようがんばります」。  「歯科技工」の佐々木(ささき)千秋(ちあき)さん(北海道)は、「金賞を取ることができてうれしいです。1カ月ぐらい競技に向けて一生懸命練習したかいがありました。今後も技術を活かしてがんばっていきたいです」。  「ワード・プロセッサ」の武村(たけむら)俊明(としあき)さん(大阪府)は、「正直ここまで大変苦労してきました。国際大会もかかっていたので必死に練習し、研究を重ね努力を続けてきたことが結果につながりました」。  「データベース」の矢野(やの)明雄(あきお)さん(福岡県)は、「うれしいとしかいいようがありません。競技では、ほかの選手とは違う、一歩先に出るための工夫をしました。これまで支えてくれた人たちに感謝したいです」。  「ホームページ」の吉田(よしだ)純一(じゅんいち)さん(東京都)は、「ほかのみなさんもよい作品ばかりで無理かなと思っていましたが、私がこだわったアクセシビリティの部分を評価してもらえたようでうれしいです」。  「フラワーアレンジメント」の高橋(たかはし)璃沙(りさ)さん(岐阜県)は、「以前、勤めていた花屋での経験を活かし、教室にも通い懸命に練習を重ねた成果だと思います。金賞をいただけて本当にうれしいです」。  「コンピュータプログラミング」の稲葉(いなば)洋介(ようすけ)さん(東京都)は、「出場3回目での金賞でうれしいです。支えてくださった職場のみなさんのおかげです。毎回快く挑戦させてもらえたことが、何よりありがたかったです」。  「ビルクリーニング」の栗原(くりばら)恋夏(こなつ)さん(群馬県)は、「努力してきた結果が出てうれしいです。競技では素早い動きを心がけました。今後の仕事にも活かしていきたいです。国際大会も目ざしたいです」。  「製品パッキング」の西水流(にしずる)孝碩(たかひろ)さん(愛知県)は、「ゼロから学び、前回は初出場で賞を逃した悔しさをバネに、スピードや品質、動線などを改善しました。これからも仕事に活かしてがんばります」。  「喫茶サービス」の細尾(ほそお)希良々(きらら)さん(岡山県)は、「本当にいろいろな方たちのおかげです。競技ではお客さまの立場になって笑顔で接客ができました。今後も自分らしく接客していきたいです」。  「オフィスアシスタント」の中谷(なかたに)優太(ゆうた)さん(岡山県)は、「金賞を取ると世界が変わります。努力したかいがありました。競技ではスピードと数をこなすことに力を入れました。今後も業務で活かしていきます」。  「表計算」の空田(そらた)聡(さとし)さん(埼玉県)は、「みなさんに応援してもらい、旗もつくってもらって、落ち着いてがんばれました。職場では経理担当で、仕事でも使う関数について特に勉強しました。とてもうれしいです」。  「ネイル施術」の池田(いけだ)衣里(えり)さん(東京都)は、「前回は銀賞だったので金賞を取れてうれしいです。最後まであきらめずに、やり抜いた結果だと思います。今後の目標は国際オリンピックに出場してメダルを取ることです」。  「写真撮影」の大澤(おおさわ)宏輔(こうすけ)さん(愛知県)は、「会社のみなさんや家族、友人の支えがあっての受賞なので喜びを分かち合いたいです。人を撮るのが好きで、練習もたくさんしてきました。今後も日々前進です」。  「パソコン操作」の原(はら)真波(まなみ)さん(東京都)は、「6回目の出場だったので非常にうれしいです。職場では支援する立場なので、大会に出られる選手を育てていきます。努力を積み重ねることで花開きますね」。  「パソコンデータ入力」の増田(ますだ)錬(れん)さん(埼玉県)は、「今回3回目の出場だったので、金メダルが取れて本当によかったです。職場の人たちにも感謝したいです。これからも仕事をがんばっていきたいです」。  「縫製」の古村(こむら)春奈(はるな)さん(愛知県)は、「競技では、フリルにボリューム感と美しさを出すことを意識しました。努力してきたことを発揮できてよかったです。支えてくれた人たちに感謝の気持ちでいっぱいです」。  「木工」の斉藤(さいとう)大地(だいち)さん(北海道)は、「金賞が取れてよかったです。競技では、すき間なくきれいにつくることを心がけました。もし国際アビリンピックに行けることがあれば、がんばりたいです」。 ※課題内容の後の( )内の時間は、競技時間をさします 写真のキャプション 会場となった「愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)」 古村春奈さん(右)がアビリンピック大会旗の旗手を務めた 橋詩織さん(手前)が技能五輪の選手とともに選手宣誓を行った 大村秀章愛知県知事による挨拶 輪島忍JEED理事長による挨拶 石破茂内閣総理大臣(開催当時)のメッセージを代読する厚生労働省の宮本悦子人材開発統括官 「ビルクリーニング」上良侑乃介さん(福井県) 「喫茶サービス」井田舞さん(北海道) 「オフィスアシスタント」苫米地直樹さん(福島県) 「製品パッキング」銅賞 山本愛斗さん(鳥取県) 「ワード・プロセッサ」金賞 武村俊明さん(大阪府) 「パソコンデータ入力」フイデム・ケヌさん(静岡県) 「パソコン操作」金賞 原真波さん(東京都) 「表計算」銅賞 小倉佳浩さん(徳島県) 「DTP」山ア菜津子さん(栃木県) 「データベース」小木曽圭さん(愛知県) 「ホームページ」藪内貫二さん(福岡県) 「コンピュータプログラミング」中村涼介さん(岐阜県) 「建築CAD」木村信隆さん(千葉県) 「電子機器組立」山下航平さん(埼玉県) 「パソコン組立」三宅勝己さん(神奈川県) 「パソコン組立」舘野裕太郎さん(神奈川県) 「歯科技工」梨理来さん(東京都) 「義肢」銅賞 奥野佳太さん(佐賀県) 「家具」銀賞 田中匠貴さん(長崎県) 「木工」銀賞 川畑曜伎さん(滋賀県) 「洋裁」銅賞 菊地李果さん(鹿児島県) 「縫製」中桐桜さん(岡山県) 「フラワーアレンジメント」努力賞 黒岩佳叶さん(長野県) 「ネイル施術」努力賞 北島玲奈さん(福岡県) 「写真撮影」銀賞 橋良明さん(宮崎県) デモンストレーション「RPA」 デモンストレーション「ドローン操作」 「障害者ワークフェア2025」 フィンランド発祥のスポーツ「モルック」体験コーナー 「家具」金賞 山原耕一さん(和歌山県) 「DTP」金賞 藤元秀幸さん(福岡県) 「電子機器組立」金賞 松ア七海さん(愛知県) 「歯科技工」金賞 佐々木千秋さん(北海道) 「ワード・プロセッサ」金賞 武村俊明さん(大阪府) 「データベース」金賞 矢野明雄さん(福岡県) 「ホームページ」金賞 吉田純一さん(東京都) 「フラワーアレンジメント」金賞 高橋璃沙さん(岐阜県) 「コンピュータプログラミング」金賞 稲葉洋介さん(東京都) 「ビルクリーニング」金賞 栗原恋夏さん(群馬県) 「製品パッキング」金賞 西水流孝碩さん(愛知県) 「喫茶サービス」金賞 細尾希良々さん(岡山県) 「オフィスアシスタント」金賞 中谷優太さん(岡山県) 「表計算」金賞 空田聡さん(埼玉県) 「ネイル施術」金賞 池田衣里さん(東京都) 「写真撮影」金賞 大澤宏輔さん(愛知県) 「パソコン操作」金賞 原真波さん(東京都) 「パソコンデータ入力」金賞 増田錬さん(埼玉県) 「縫製」金賞 古村春奈さん(愛知県) 「木工」金賞 斉藤大地さん(北海道) 【P12-13】 第45回 全国アビリンピック 入賞者発表!  愛知県国際展示場(愛知県常滑市)において、2025(令和7)年10月17日(金)から19日(日)までの3日間にわたり開催した「第45回全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)」。今大会は、全25種目の技能競技に47都道府県から401人の選手が集い、日ごろつちかった技能を競い合うとともに、障害者ワークフェアも開催し、多数の来場者を迎え盛大な大会となりました。  今大会の入賞者を以下の通り決定し、10月19日(日)の閉会式において、金賞20人、銀賞34人、銅賞38人、努力賞14人の方々に対し表彰を行いました。 金賞 家具 山原(やまはら)耕一(こういち) 和歌山県 株式会社山ノ木 DTP 藤元(ふじもと)秀幸(ひでゆき) 福岡県 楽天カード株式会社 電子機器組立 松ア(まつざき)七海(ななみ) 愛知県 株式会社デンソー 安城製作所 歯科技工 佐々木(ささき)千秋(ちあき) 北海道 和田精密歯研株式会社 札幌センター ワード・プロセッサ 武村(たけむら)俊明(としあき) 大阪府 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション データベース 矢野(やの)明雄(あきお) 福岡県 アンリーシュ・ワールドリー株式会社 ホームページ 吉田(よしだ)純一(じゅんいち) 東京都 東京都チャレンジドプラスTOPPAN株式会社 フラワーアレンジメント 高橋(たかはし)璃沙(りさ) 岐阜県 アピ株式会社 アピパートナーズいび コンピュータプログラミング 稲葉(いなば)洋介(ようすけ) 東京都 東京都ビジネスサービス株式会社 ビルクリーニング 栗原(くりばら)恋夏(こなつ) 群馬県 群馬県立伊勢崎高等特別支援学校 製品パッキング 西水流(にしずる)孝碩(たかひろ) 愛知県 トヨタループス株式会社 喫茶サービス 細尾(ほそお)希良々(きらら) 岡山県 スペースエム株式会社 マクドナルドヤマダデンキ岡山下中野店 オフィスアシスタント 中谷(なかたに)優太(ゆうた) 岡山県 株式会社旭化成アビリティ 水島営業所 表計算 空田(そらた)聡(さとし) 埼玉県 ポラス株式会社 ネイル施術 池田(いけだ)衣里(えり) 東京都 株式会社JALサンライト 写真撮影 大澤(おおさわ)宏輔(こうすけ) 愛知県 トヨタループス株式会社 パソコン操作 原(はら)真波(まなみ) 東京都 三井金属鉱業株式会社 パソコンデータ入力 増田(ますだ)錬(れん) 埼玉県 株式会社JR東日本グリーンパートナーズ 縫製 古村(こむら)春奈(はるな) 愛知県 愛知県立豊田高等特別支援学校 木工 斉藤(さいとう)大地(だいち) 北海道 株式会社そるーな就労継続支援B型事業所びーぼ 銀賞 洋裁 松本(まつもと)弥生(やよい) 熊本県 家具 井出(いで)依芭(よりは) 愛知県 愛知県立名古屋聾学校 家具 田中(たなか)匠貴(しょうき) 長崎県 NSS長崎船舶装備株式会社 生産部 長崎工場 DTP 田口(たぐち)真衣(まい) 東京都 トランスコスモス株式会社 電子機器組立 松下(まつした)健(けん) 茨城県 株式会社日立ビルシステム 義肢 大橋(おおはし)義樹(よしき) 茨城県 株式会社幸和義肢研究所 歯科技工 木(たかぎ)茂晴(しげはる) 茨城県 医療法人真英会 山本歯科クリニック 歯科技工 松本(まつもと)毅(たけし) 東京都 和田精密歯研株式会社 ワード・プロセッサ 西脇(にしわき)颯(はやて) 広島県 ひろぎんビジネスサービス株式会社 データベース 漆原(うるしばら)祐樹(ゆうき) 栃木県 シーデーピージャパン株式会社 データベース 山本(やまもと)真司(しんじ) 兵庫県 株式会社JR西日本あいウィル ホームページ 東條(とうじょう)吉晃(よしあき) 大阪府 株式会社ウイルハーツ ホームページ 金子(かねこ)理沙(りさ) 広島県 株式会社広島情報シンフォニー フラワーアレンジメント 田村(たむら)直美(なおみ) 東京都 東急リバブルスタッフ株式会社 フラワーアレンジメント 兼松(かねまつ)利江(りえ) 静岡県 UTハートフル株式会社船橋オフィス ビルクリーニング 小泉(こいずみ)彩奈恵(さなえ) 東京都 第一生命チャレンジド株式会社 ビルクリーニング 吉田(よしだ)大輝(たいき) 神奈川県 株式会社互幸ワークス ビルクリーニング 樫山(かしやま)飛鳥(あすか) 愛媛県 ミウラジョブパートナー株式会社 製品パッキング 西田(にしだ)祐輝(ゆうき) 愛媛県 PHCアソシエイツ株式会社 松山事業所 喫茶サービス 坪田(つぼた)吏央(りお) 兵庫県 日本パーソネルセンター株式会社 喫茶サービス 尾崎(おさき)心春(ここは) 鳥取県 コメダ珈琲店 鳥取立川店 オフィスアシスタント 池上(いけがみ)尚希(なおき) 埼玉県 株式会社JR東日本グリーンパートナーズ オフィスアシスタント 松井(まつい)康朗(やすお) 兵庫県 株式会社あしすと阪急阪神 表計算 山本(やまもと)勇(いさむ) 栃木県 株式会社栃木銀行 表計算 天野(あまの)寛隆(ひろたか) 愛知県 愛知玉野情報システム株式会社 ネイル施術 櫻田(さくらだ)史武(ふみたけ) 広島県 Ripple Nail salon 写真撮影 橋(たかはし)良明(よしあき) 宮崎県 ヤマブルー株式会社 パソコン操作 竹内(たけうち)綾(あや) 京都府 社会福祉法人京都ライトハウス 鳥居寮 パソコンデータ入力 柳(やなぎ)綺佳(あやか) 山口県 株式会社宇部情報システム パソコンデータ入力 コ野(とくの)泰聖(たいせい) 福岡県 サンアクアTOTO株式会社 縫製 箱岩(はこいわ)和樹(かずき) 福島県 夢みらい工房 木工 望月(もちづき)秀都(しゅうと) 愛知県 愛知県立名古屋聾学校 木工 川畑(かわばた)曜伎(てるき) 滋賀県 滋賀県立長浜北星高等養護学校 木工 田中(たなか)寛俊(ひろとし) 熊本県 社会福祉法人アバンセ カサ・チコ 銅賞 洋裁 菊地(きくち)李果(ももか) 鹿児島県 鹿児島障害者職業能力開発校 DTP 平野(ひらの)由美(ゆみ) 神奈川県 合同会社DMM.com 金沢事業所 DTP 柿本(かきもと)奈保(なほ) 大阪府 株式会社旭化成アビリティ 大阪営業所 DTP 押尾(おしお)風香(ふうか) 広島県 ひろぎんビジネスサービス株式会社 電子機器組立 荒谷(あらや)飛翔(ひしょう) 愛知県 株式会社デンソー 西尾製作所 電子機器組立 山村(やまむら)拓也(たくや) 三重県 株式会社デンソー 大安製作所 義肢 奥野(おくの)佳太(けいた) 佐賀県 有限会社佐賀有薗義肢製作所 歯科技工 箱石(はこいし)哲郎(てつお) 青森県 有限会社箱石歯科技工所 ワード・プロセッサ 野村(のむら)真以(まい) 岐阜県 クラレプラスチックス株式会社 伊吹工場 ワード・プロセッサ 森島(もりしま)章文(あきふみ) 静岡県 ワード・プロセッサ 山本(やまもと)巧(たくみ) 愛知県 トヨタループス株式会社 データベース 畠山(はたけやま)優(まさる) 高知県 医療法人健会 高知検診クリニック ホームページ 鬼頭(きとう)成徒(なると) 愛知県 トヨタループス株式会社 コンピュータプログラミング 高木(たかぎ)勇治(ゆうじ) 広島県 広島障害者職業能力開発校 ビルクリーニング 河野(かわの)雅也(まさや) 埼玉県 日東ひまわり関東株式会社 ビルクリーニング 北川(きたがわ)心菜(ここな) 滋賀県 ヤンマーシンビオシス株式会社 滋賀事業部長浜センター ビルクリーニング 潮ア(しおさき)心(しん) 熊本県 熊本県立鏡わかあゆ高等支援学校 製品パッキング 佐々(ささ)恵太(けいた) 宮城県 セコム工業株式会社 製品パッキング 山本(やまもと)愛斗(まなと) 鳥取県 ヤマト運輸株式会社 倉吉営業所 喫茶サービス 石倉(いしくら)安七(あんな) 東京都 第一生命チャレンジド株式会社 喫茶サービス 篠原(しのはら)瑞希(みずき) 京都府 喫茶サービス 木下(きのした)裕登(ひろと) 和歌山県 公立学校共済組合和歌山宿泊所 ホテルアバローム紀の国 オフィスアシスタント 藤浪(ふじなみ)航(わたる) 静岡県 しずぎんハートフル株式会社 オフィスアシスタント 吉嶋(よしじま)鈴菜(すずな) 滋賀県 日東ひまわり亀山株式会社 滋賀事業所 オフィスアシスタント 武智(たけち)ゆう子(こ) 愛媛県 PHCアソシエイツ株式会社 松山事業所 表計算 安見(やすみ)俊輔(しゅんすけ) 東京都 クボタインクルージョンワークス株式会社 表計算 河野(こうの)孝明(たかあき) 兵庫県 株式会社あしすと阪急阪神 表計算 小倉(おぐら)佳浩(よしひろ) 徳島県 アイズ情報有限会社 ネイル施術 安藤(あんどう)久美子(くみこ) 愛知県 株式会社ジェイアール東海ウェル 写真撮影 竹田(たけだ)恋(れん) 大分県 ホンダ太陽株式会社 写真撮影 藤山(ふじやま)良文(よしふみ) 鹿児島県 株式会社MOB ARTBOX事業所 パソコン組立 篠原(しのはら)嘉鶴馬(かずま) 神奈川県 富士ソフト企画株式会社 パソコン操作 福長(ふくなが)快斗(かいと) 大阪府 社会福祉法人日本ライトハウス パソコンデータ入力 渡辺(わたなべ)啓仁(けいと) 千葉県 ポラスシェアード株式会社 縫製 辻原(つじはら)ゆず 秋田県 秋田県立比内支援学校 縫製 西岡(にしおか)愛織(あいり) 滋賀県 日東ひまわり亀山株式会社 滋賀事業所 木工 高村(たかむら)友太郎(ゆうたろう) 静岡県 静岡県立あしたか職業訓練校 木工 中村(なかむら)健一(けんいち) 佐賀県 社会福祉法人佐賀西部コロニー 昆虫の里 努力賞 電子機器組立 静谷(しずや)康平(こうへい) 栃木県 ギガフォトン株式会社 ワード・プロセッサ 小林(こばやし)将己(まさき) 福島県 株式会社とうほうスマイル ホームページ 三浦(みうら)寿規(としき) 宮城県 一般社団法人COM,S フラワーアレンジメント 黒岩(くろいわ)佳叶(かいと) 長野県 須坂創成高校 ビルクリーニング 草川(くさかわ)聖太(せいた) 大阪府 クボタインクルージョンワークス株式会社 喫茶サービス 山ア(やまさき)龍聖(りゅうせい) 徳島県 ガスト 徳島佐古店 オフィスアシスタント 吉川(よしかわ)恵実(えみ) 愛知県 中電ウイング株式会社 表計算 成田(なりた)卓哉(たくや) 青森県 就労継続支援B型事業所・夢現 ネイル施術 北島(きたじま)玲奈(れな) 福岡県 一般社団法人社会福祉支援協会Be Smile 写真撮影 澤(さわ)裕樹(ゆうき) 長野県 エプソンミズベ株式会社 富士見工場 パソコン操作 石K(いしぐろ)知頼(ともより) 新潟県 UTハートフル株式会社 船橋オフィス パソコンデータ入力 橋(たかはし)詩織(しおり) 愛知県 トヨタループス株式会社 縫製 島(たかしま)優姫菜(ゆきな) 茨城県 茨城県立水戸高等特別支援学校 木工 岩川(いわかわ)直生(なおき) 鹿児島県 鹿児島障害者職業能力開発校 【P14-15】 読んで学ぼう! 「アビリンピック」についてご紹介!  今年度で45回目の開催となった全国アビリンピック。本誌でも毎年特集号をお届けしていますが、「アビリンピック」についてみなさまはどんなことをご存知でしょうか。  そこで今号では、全国アビリンピックの歴史や国際アビリンピックなどについて深掘りしていきます。 アビリンピック(障害者技能競技大会) 名称  大会の正式な名称は「障害者技能競技大会」ですが、愛称として「アビリンピック」を使っています。「アビリンピック」(ABILYMPICS)は、「アビリティ」(ABILITY:能力)と「オリンピック」(OLYMPICS)を合わせたものです。 目的  障害のある方々が日ごろつちかった技能を互いに競い合うことを通じて、職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の障害者雇用に対する理解を深め、その雇用を促進することを目的として開催しています。 シンボルマーク  大会を象徴するシンボルマークは、故岡本太郎氏にお願いをしてつくっていただいたものです。月桂樹の葉と人間を形どったこのシンボルマークは、強く自分を切り開いてゆく人間像を表しています。 アビリンピックマスコットキャラクター アビリス  「星」をモチーフに、「障害を乗り越える士気」、「受賞の歓喜」、「能力の開花」をイメージしてデザイン。  名前の「アビリス」は、「アビリンピック」の語感と、「幸せを運んでくれる」という花言葉を持つラン科の花「マキシラリア・バリアビリス」にちなんで命名されました。 作者 川口(かわぐち)博司(ひろし)さん 東京都在住。 国立職業リハビリテーションセンターを修了後、デザイナー、Web系エンジニアとして活躍。 地方、全国アビリンピックから国際アビリンピックへ 「地方大会」には、毎年約3,000人が参加!勝ち抜いた約400人が「全国大会」、さらに優秀な成績の選手は日本代表として「国際大会」の舞台へ!  全国アビリンピックは、1964(昭和39)年に開催された東京パラリンピックを参考に企画され、第1回大会は1972年11月に千葉県千葉市において、当時の皇太子同妃両殿下を開会式および閉会式にお迎えして開催されました。大会は旋盤や洋裁、広告美術やラジオ・テレビ修理など、15種目の競技に36都道府県から133人の選手が参加して開催されました。  第1回大会から第25回大会まで千葉県を舞台として開催してきましたが、第26回大会(平成14年)より、全国的に障害者の雇用促進に関する機運を盛り上げるため、技能五輪全国大会と同時または同時期に、全国各地で開催されるようになりました。今回で45回を迎え、地方アビリンピックで優秀な成績を収めた方などが、全国大会の選手として出場しました。  第45回全国大会は、第11 回国際アビリンピック(フィンランド大会)の派遣選手選考会を兼ねて開催しており、選考対象競技種目の派遣選手を2026年3月を目途に公表します。 ステップ1 地方アビリンピック (各都道府県で毎年開催!) ※JEED各都道府県支部にお問い合わせください。 ステップ2 第11回国際アビリンピック(フィンランド大会)派遣選手選考会 第45回 全国アビリンピック (愛知県で開催) ステップ3 国際アビリンピック (2027年5月フィンランドで開催) 国際アビリンピックについて  国際アビリンピックは、1981(昭和56)年の国際障害者年を記念し、当時の皇太子殿下を名誉総裁に推戴し、日本(東京)で第1回大会が開催されました。以来、コロンビア、香港、オーストラリア、チェコ、インド、日本、韓国、フランスと、おおむね4年に1度開催されています。  2023(令和5)年3月に、フランス共和国メッス市で開催された第10回大会では、日本を含めた27カ国・地域から選手のほか介助者、国際審査員、言語通訳者など994人が集い、329人の選手が44種目の技能競技に参加しました。 第10回国際アビリンピック/チームジャパンの挑戦 Youtubeにて公開中 第11回 国際アビリンピック ヘルシンキ大会 We can. We belong. No limits. 私たちはできる。私たちはここにいる。限界はない。  スキルズフィンランドは、フィンランド教育文化省の支援を受けて、2027年5月にヘルシンキのメスケスクス展示・会議場にてSkills Games2027(スキルズ・ゲームズ2027)を開催します。このイベントでは、第11回国際アビリンピック(障害者の職業技能国際大会)とTaitaja2027(フィンランドの全国技能競技大会)が同時開催されます。第11回国際アビリンピックでは、世界各国・地域から集まった選手たちが、43の競技種目でスキルを競い合います。  イベントのスローガン「We can. We belong. No limits.(私たちはできる。私たちはここにいる。限界はない。)」は、すべての人が職業スキルを通じて社会に参加できるという力強いメッセージを発信しています。 開催概要(予定) 大会日程 2027年5月10日〜13日(予定) 大会会場 メスケスクス展示・会議場 開催種目数 43種目 日本選手団派遣予定種目 16種目 主催 スキルズフィンランド 日本選手団派遣予定種目 「第11 回国際アビリンピック」 日本選手派遣職業技能競技種目 全国障害者技能競技大会 該当技能競技種目 ファッションとデザイン Fashion and Design 洋裁 家具製作(応用) Cabinetmaking (Advanced) 家具 ポスターデザイン Poster Design DTP 機械CAD Engineering Design CAD 機械CAD 電子機器組立とテスト Electronic Assembly and Testing 電子機器組立 英文ワープロ English Word Processing ワード・プロセッサ データ処理 Data Management and Processing データベース ホームページ作成 Creating Web Pages ホームページ フラワーアレンジメント Floral Arrangement フラワーアレンジメント コンピュータプログラミング Computer Programming コンピュータプログラミング クリーニングサービス Cleaning Services ビルクリーニング ネイリスト Manicure ネイル施術 写真撮影(屋外/スタジオ) Photography (Outdoor/Studio) 写真撮影 コンピュータ組立 Computer Assembly パソコン組立 洋裁 Dress Making(Production Sewing) 縫製 家具製作 Cabinet and Furniture Making 木工 写真のキャプション 記念すべき第1回国際アビリンピック(1981年日本)の様子。56カ国・地域から841人が参加した。 マリア・エクロス スキルズフィンランド CEO 地図文字 ノルウェー スウェーデン フィンランド ヘルシンキ エストニア ラトビア リトアニア ロシア デンマーク 【P16-18】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 オンデマンド配信中! 第33回 職業リハビリテーション 研究・実践発表会  JEEDは、2025(令和7)年11月12日(水)および13日(木)の2日間、東京ビッグサイトにおいて「第33回職業リハビリテーション研究・実践発表会」を開催しました。  当日は、「インクルージョン」の考え方を基盤とした“誰もが誇りを持って働ける環境と人づくり”をテーマとした特別講演や「企業で働く障害者の高齢化」、「雇用の質」をテーマとしたパネルディスカッション等を実施し、約1,000人の方にご来場いただきました。  特別講演やパネルディスカッションの内容は、これからの障害者雇用のヒントや参考になるお話が満載でした。  このたび、その内容をより多くの方にお届けするため、障害者職業総合センター(NIVR)ホームページに動画や発表資料を掲載しました。ぜひご覧ください。 特別講演 「誰もが力を発揮できる職場づくり〜一人ひとりが生き生きと成長し、能力を発揮できる組織へ〜」 講師:龍田(たつた)久美(くみ)氏 (オリンパスサポートメイト株式会社 代表取締役社長) その他 その他、口頭発表者・ポスター発表者の発表資料や、基礎講座の動画等を掲載しています。 パネルディスカッションI・U T.「“働き続けたい”を支える〜高齢化する障害者雇用の今とこれから〜」 U.「“定着・活躍・成長”につながる障害者雇用×雇用の質を高めるための支援を考える」 配信のご案内 NIVRホームページにて配信中! https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/33kaisai.html お問合せ先 障害者職業総合センター 研究企画部 企画調整室 TEL:043-297-9067 E-mail:vrsr@jeed.go.jp 職リハ研究発表会 事業主のみなさまへ 令和8年度 「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」等申請のお知らせ 〜常用雇用労働者の総数が100人を超えるすべての事業主は障害者雇用納付金の申告義務があります〜  令和8年4月1日から5月15日の間に令和8年度申告申請をお願いします。前年度(令和7年4月1日から令和8年3月31日まで)の雇用障害者数をもとに、 ○障害者雇用納付金等の申告申請を行ってください。 ○障害者の法定雇用率を下回る場合は、障害者雇用納付金を納付する必要があります。 ○障害者の法定雇用率を上回る場合は、障害者雇用調整金の支給申請ができます。 *詳しくは、最寄りの各都道府県支部高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)にお問い合わせください。 JEED 都道府県支部 検索 【申告申請期間】 種別 障害者雇用納付金 障害者雇用調整金 在宅就業障害者特例調整金 申告申請対象期間 令和7年4月1日〜令和8年3月31日 申告申請期間・納付期限 令和8年4月1日〜令和8年5月15日(注1、注2、注3) (注1)年度の中途で事業廃止した場合(吸収合併等含む)は、廃止した日から45日以内に申告申請(障害者雇用納付金の場合は、あわせて申告額の納付)が必要です。なお、令和8年度中の事業廃止等による申告申請については、制度改正により様式が変更となりますので、期間内に申告申請できるよう、余裕をもって各都道府県申告申請窓口にご相談ください。 (注2)障害者雇用調整金、在宅就業障害者特例調整金は、申請期限を過ぎた申請に対しては支給できません。 (注3)常用雇用労働者の総数が100人以下の事業主が、報奨金の申請を行う場合の申請期限は令和8年7月31日となります。 障害者雇用納付金制度の改正等について (令和7年4月1日施行関係) ■除外率の引下げ  除外率が、各除外率設定業種ごとにそれぞれ10ポイント引き下げられ、令和7年度中の中途廃止、令和8年度申告申請から適用されます。  これまで除外率が10%以下であった業種は除外率制度の対象外となりますので、ご注意ください。 ■特定短時間労働者である障害者の計上について  令和7年3月31日をもって特例給付金の経過措置が終了しました。これにともない、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の重度以外の身体障害者または重度以外の知的障害者である障害者については、常用雇用労働者数および雇用障害者数のカウント対象外となります。 *制度改正の概要についてはJEEDホームページをご覧ください。https://www.jeed.go.jp/disability/seido.html JEEDホームページにて、記入説明書および解説動画をぜひご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/levy_grant_system_about_procedure.html 申告申請の事務説明会にぜひご参加ください。 *全国各地で2〜3月に開催します。 *参加費は無料です。 JEED 納付金 説明会 検索 令和8年度 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ 〜障害のある方々の就職に向けた職業訓練や就職支援を実施しています〜 募集訓練コース、募集日程 国立職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース 訓練期間 メカトロ系 機械CADコース 1年 電子技術・CADコース FAシステムコース 組立・検査コース 建築系 建築CADコース 情報系 DTPコース Webコース ソフトウェア開発コース システム活用コース 視覚障害者情報アクセスコース ビジネス系 会計ビジネスコース OAビジネスコース オフィスワークコース 物流系 物流・資材管理コース 職域開発系 オフィスアシスタントコース 販売・物流ワークコース サービスワークコース 応募回 入所日 ハローワークへの申請書提出締切日 第1回 令和8年6月4日(木) 令和8年3月4日(水) 第2回 令和8年7月3日(金) 令和8年4月7日(火) 第3回 令和8年7月30日(木) 令和8年5月18日(月) 第4回 令和8年9月4日(金) 令和8年6月15日(月) 第5回 令和8年10月13日(火) 令和8年7月16日(木) 第6回 令和8年11月16日(月) 令和8年8月26日(水) 第7回 令和8年12月21日(月) 令和8年10月1日(木) 第8回 令和9年1月25日(月) 令和8年10月29日(木) 第9回 令和9年3月10日(水) 令和8年12月7日(月) 第10回 令和9年4月19日(月) 令和9年1月7日(木) 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース 訓練期間 メカトロ系 機械CADコース 1年 電気・電子技術・CADコース 組立・検査コース 製造ワークコース ビジネス情報系 システム設計・管理コース 2年 【視覚障害者対象】ITビジネスコース 会計ビジネスコース 1年 OAビジネスコース オフィスワークコース アシスタント系 販売・物流ワークコース サービスワークコース 応募回 入所日 国立吉備高原職業リハビリテーションセンターへの応募締め切り日※ 第1回 令和8年6月11日(木) 令和8年4月10日(金) 第2回 令和8年7月2日(木) 令和8年5月11日(月) 第3回 令和8年9月3日(木) 令和8年6月15日(月) 第4回 令和8年10月8日(木) 令和8年7月27日(月) 第5回 令和8年11月5日(木) 令和8年9月7日(月) 第6回 令和9年1月7日(木) 令和8年10月26日(月) 第7回 令和9年2月4日(木) 令和8年11月24日(火) 第8回 令和9年4月8日(木) 令和9年2月1日(月) ※国立吉備高原職業リハビリテーションセンターへの応募締め切り日: ハローワークから送付する申請書類が国立吉備高原職業リハビリテーションセンターに到着する日です。応募者は、事前にハローワークと相談したうえで、早めにハローワークへ申請書類を提出してください。 ○令和9年4月入所希望の新規学校卒業予定の方  第5回から第8回までの応募回で応募することもできます。なお、職業評価(入所選考)については、応募した回の日程で受けていただきます。 ○システム設計・管理コースへの応募  第1回(令和8年6月入所)と第8回(令和9年4月入所)のみです。 ○入所日の変更  各訓練コースの入所状況等により、応募回の入所日から入所時期が変更となる場合があります。 ●遠方の方については……  国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、併設の宿舎が利用できます。国立職業リハビリテーションセンターでは、身体障害、高次脳機能障害のある方、難病の方は、隣接する国立障害者リハビリテーションセンターの宿舎を利用することができます。 国立職業リハビリテーションセンター 〒359-0042 埼玉県所沢市並木4-2 職業評価課 TEL:04-2995-1201 https://www.nvrcd.jeed.go.jp 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 〒716-1241 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 職業評価課 TEL:0866-56-9001 https://www.kibireha.jeed.go.jp 写真のキャプション 視覚障害者の支援機器を活用した訓練風景 3DCADを活用した訓練風景 【P19】 エッセイ ITが切り開く、視覚障害者の新しい可能性 最終回 AI時代の新たな役割革命 〜障害者雇用と「協働」の未来図〜 株式会社ふくろうアシスト 代表取締役 河和 旦 (かわ ただし) 情報アクセシビリティ専門家、AI活用教育コンサルタント。視覚障害と肢体不自由の重複障害がある。東京都立大学卒業後、福祉情報技術コーディネーターとして独立。障害当事者向けのIT指導やサポートを行い、転職や自立につながった実績も多数。共著に『24色のエッセイ』、『本から生まれたエッセイの本』(みらいパブリッシング)がある。https://fukurou-assist.net  この連載を通じて私は、ITとAIがいかにして個人の可能性を切り開くか、具体的な事例とともに語ってきた。通勤の壁に直面し起業した私自身の経験(第1回)、既存スキルを磨きキャリアチェンジを果たしたAさん(第2回)、Markdownという技術で創造性を解放した教員のBさん(第3回)、そしてAIによる「翻訳」で行政手続きの壁を乗り越えたCさん・Dさん夫婦(第4回)※。  これらの物語は、一つの共通した真実を示している。それは、AIの登場によって、私たち障害当事者と社会とのかかわり方そのものが、いま大きな変革のときを迎えているということだ。 AI時代における「障害」の再定義  AIの進化がもたらすもっとも大きな変化は、「障害は個人ではなく、環境との『摩擦』に存在する」という事実を、だれもが実感できるようになったことである。  かつては、視覚情報がなければアクセスできなかった紙の申込書や見た目で操作するシステムが、その摩擦の正体であった。私たちはその摩擦の前で立ち尽くすしかなかった。しかし、AIはその摩擦を劇的に低減させる強力な「潤滑油」であり、異なる世界をつなぐ「翻訳機」となった。  AIは障害そのものを消す魔法ではない。しかし、環境の方を個人にあわせて変化させる力を、私たち一人ひとりに与えてくれたのだ。 三者に求められる「役割のアップデート」  この新しい時代において、障害者雇用にかかわる企業、当事者、そして支援者は、それぞれその役割をアップデートする必要がある。  まず企業に求められるのは、「特別な配慮」から「柔軟なプロセス」への転換である。合理的配慮を、高価なシステム改修や特別な人員配置といった「コスト」ととらえる時代は終わった。第4回の事例のように、当事者がAIで作成したテキストデータでの申請を受け入れるなど、プロセスの柔軟性こそが、もっとも低コストで効果的な合理的配慮となる。多様なアウトプットを受け入れる器の大きさが、これからの企業の競争力に直結するだろう。  次に障害当事者に求められるのは、「支援を待つ」姿勢から「解決策を提案する」主体性への転換である。「できません」で終わるのではなく、「このAIツールを使えば、このように業務を遂行できます」と、自ら解決策を学び、提示する姿勢が必要だ。私たちはもはや、単なる支援の受け手ではない。テクノロジーを武器に、自らの働きやすい環境をつくり出す「環境構築のプロデューサー」になるべきときが来ている。  そして支援者に求められるのは、「個別の支援」から「連携の生態系」への進化である。第2回で紹介したAさんの事例が示すように、私たちのようなITコンサルタントが「技術」を教え、就労移行支援事業所が「職場適応」を支え、ジョブコーチが「現場での定着」を助ける。このように、各分野の専門家が密に情報共有を行い、チームとして一人の当事者を支えるエコシステムの構築が、これからの時代には不可欠である。 私たちが目ざす、真にインクルーシブな社会  これからの社会は、だれか一方がもう一方を「助ける」だけの社会ではない。企業、当事者、支援者が、それぞれの役割を果たし、テクノロジーを共通言語として「協働」する社会である。  白杖、盲導犬、ヘルパー。そして第四の支援者「AI」。これらのすばらしいパートナーたちとともに、私たちは、これまで想像もしなかった未来を、自らの手でつくりあげていくことができる。 ※本連載の第1回(2025年10月号)〜第4回(2026年1月号)はJEEDホームページからもご覧になれます。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/backnumber.html 【P20-25】 特別企画 座談会 第1部 働く障害社員のリアルな声を聞く 司会者プロフィール 松爲 信雄 (まつい のぶお) 神奈川県立保健福祉大学・東京通信大学名誉教授。前日本職業リハビリテーション学会会長。2022(令和4)年より「松爲雇用支援塾」を主宰し、障害者雇用をリードできる支援者の育成に尽力している。 企業データ 株式会社栄和産業 〒252-1125 神奈川県綾瀬市吉岡東4-15-5 TEL 0467-77-0878 FAX 0467-76-4706 1974(昭和49)年創業。従業員数は177人(うち障害者14人)。自動車の試作部品や建設機械部品などの加工・製作を手がける鈑金加工業。県内外に14工場を展開している。 有限会社川田製作所 〒250-0876 神奈川県小田原市中新田294-1 TEL 0465-48-8696 FAX 0465-47-3398 1969(昭和44)年創業。従業員数は16人(うち障害者5人)。金属プレス加工・金型製作を行う“町工場”。自動車や産業用機械、OA機器などの部品を受注加工している。  これまで、本誌「編集委員が行く」のコーナーで、多くの企業や事業所を訪ね、最前線の現場で取材をしてきた本誌編集委員の松爲(まつい)信雄(のぶお)さんを司会に迎え、障害のある社員お二人と、そのお二人が勤務する企業の担当者の方々による座談会を開催しました。「働くことを通して感じたリアルな思い」を語り合った当日の模様を、今号より2回にわたりお届けします。  第1部は、障害のある社員に就職のきっかけから不安やつまずき、現在の会社で長く働きたいと思うようになるまでの歩みをお話しいただきました。 松爲 私はこれまで、多くの障害者雇用の現場でお話をうかがってきましたが、どうしても会社側の説明や管理者の視点に偏りがちだと感じていました。  しかし、本当に知りたいのは、「いま、そこで働いている一人ひとりのリアルな実感」です。職場には楽しいこと≠竍やりがい≠セけではなく、ここがたいへん=Aここでつまずいた≠ニいう場面が必ずあります。それでもなお働き続けている方たちが、何に悩み、どう乗り越え、どのように自分の居場所をつくってきたのか。そのプロセスにこそ、これからの働き方や障害者雇用を考えるヒントが詰まっているのではないかと考えます。  そこで今回は、株式会社栄和産業(えいわさんぎょう)(以下、「栄和産業」)さんと有限会社川田(かわだ)製作所(せいさくしょ)(以下、「川田製作所」)さんのご協力のもと、栄和産業の企画部で活躍されている精神障害のある横田(よこた)博之(ひろゆき)さん(以下、「横田さん」)、川田製作所で生産管理・経理業務をになう発達障害のある佐々木(ささき)彩花(あやか)さん(以下、「佐々木さん」)にご登場いただきました。障害のあるお二人は、それぞれ前職での体調不良や進路選択の迷いを経て、いまの職場に出会い、試行錯誤しながらキャリアを築いてこられました。今日は就職のきっかけ、働き始めたころの不安、周囲の支え、自分なりの工夫、そしてこの会社で長く働きたいと思うようになるまでの歩みを、できるだけ率直にうかがっていきたいと思います。  社長や上司の前では話しづらいこともあるかもしれません。しかし、同じように働く全国の仲間たちに「自分だけではない」と伝え合えるような、等身大のメッセージを紡いでいただきたい。そんな思いから、今回はあえて飾らない座談会形式で、じっくりお話をうかがうことにしました。 1.入社のきっかけ、この会社を選んだ理由とは? 松爲 まずは、お二人がいまの会社に入られたきっかけからうかがわせてください。横田さん、前職から栄和産業入社に至るまでの流れを教えてもらえますか? 横田 はい。もともとは社員が40名くらいのテント倉庫をつくる会社で、現場管理の仕事をしていました。しかし、人間関係のストレスもあって体調を崩してしまい、「このまま続けるのはつらいな」と感じて退職しました。  その後、病院の紹介で、とある就労移行支援事業所に通うようになり、そこから福祉の世界や障害者雇用の仕組みを知ったのです。しばらく訓練を続けたあと、「綾瀬市(神奈川県)内にある事業所へ職場実習に行ける人はいませんか?」という形で栄和産業さんから声をかけていただき、実習に参加しました。 松爲 実習のとき、どんな点がここで働いてみよう≠ニいう決め手になったのですか? 横田 一番大きかったのは、実習時の担当社員に「急がず自分のペースでやってください」といってもらえたことです。前職では、急に現場に送り込まれて叱責されることも多く、自分のペースをつかむことがまったくできませんでした。  職場実習のときは、「朝8時から働けるだろうか」とか、「人間関係は大丈夫だろうか」とか、不安だらけだったのですが、その一言で肩の力が抜けました。年齢の近い人が多く、いわゆる上下関係が厳しく一方的な叱られ方をするような雰囲気もあまりなく、企画部という当時新しく立ち上がった部署で、ゼロから一緒に職場環境をつくっていける感じがしたのも大きかったですね。 松爲 なるほど。人≠ニ空気感≠ェ決め手になったわけですね。続いて佐々木さん、高校からの進路選択の経緯を教えてください。 佐々木 私は高校3年生のときの企業見学がきっかけです。就職に向けた企業見学のなかでたった1日きりですが、少しだけ実際の仕事も体験させていただきました。そのなかで、事務の仕事を体験したときにこれなら自分に合っているかもしれない≠ニ感じました。  そのほか就職の条件として、私は車の運転にはあまり自信がなかったので、電車で通える範囲≠ナあることと、障害者雇用に力を入れている企業であることを考えていました。そのなかでインターネットで求人票を探していたら、たまたま電車で通えて、障害者雇用で社会貢献されている川田製作所を知り、見学に行きました。 松爲 見学のときの印象はいかがでしたか? 佐々木 求人票に「障害者雇用に力を入れている会社です」と書いてあって、実際に見学に行くと、身体障害のある方や知的障害のある方など、いろいろな障害のある人が一緒に働いていました。自分と同じ障害の人はいないかもしれないけれど、いろいろな人があたり前に働いている場所なのだ≠ニわかって、安心しました。  それから、企業見学のなかで少しだけ受発注の登録作業を体験させていただきました。お客さまからの注文を間違いなく処理して、納品までつなげる仕事で、「請求書を出し忘れたら信用問題になる」と教えていただき、ていねいに仕事をすることがすごく大事なのだ≠ニ実感しました。そういう責任感が必要な事務の仕事なら、自分もがんばっていけるかもしれないと思い、川田製作所への就職を希望することにしました。 2.働き始めたころの不安、そしてつまずき 松爲 では、実際に働き始めてからの現場の感覚≠ノついてうかがいます。困ったことやつまずいたこと、それをどう乗り越えたのか教えてください。  まず佐々木さん、生産管理の仕事を任されるようになった経緯を教えてください。 佐々木 もともとは経理や受発注の事務を担当していたのですが、2年ほど前に、生産管理を担当していたベトナム人の方が退職することになり、急きょその仕事を引き継ぐことになりました。引継期間もありましたが、正直にいうと、生産管理なんてやったことがないのに無理!≠ニ最初は思いましたし、上司にも「別の人にやってもらえませんか」と一度はお願いしたくらいです。でも、周りの先輩方がプロセスを書き出してくれたり、「今日はここまでやってみよう」と少しずつ教えてくださったりしたので、まずは自分なりの覚え方を工夫してみようと思いました。 松爲 具体的には、どんな工夫をされたのですか? 佐々木 一番大きかったのは、作業手順を動画に撮らせてもらったことです。「忘れちゃうので撮ってもいいですか?」とお願いして、実際の作業の流れをスマートフォンで撮影しました。あとでわからなくなったときに見返せるので、何度も同じことを聞かなくてすみます。  もちろん、それでも間違えそうになったり、これはこの順番で合っているかな?≠ニ不安になることはあります。そういうときは、「すみません、ここから先がわからないです」と素直に周りの人に聞くようにしています。自分でも諦めないことが大切≠セとメモに書いて、くじけそうになったときに見るようにしています。 松爲 「自分で動画を撮る」、「わからないときは素直に聞く」。とても大事な工夫ですね。横田さんは、入社当初どんな不安がありましたか? 横田 僕の場合は、人間関係と自分の立場への不安が大きかったですね。栄和産業に入った当時、従業員は160〜170人ほどで、前の職場とは規模も雰囲気も違いました。コロナ禍のなかでの入社だったこともあり、こんなに人が多い職場でちゃんとコミュニケーションをとれるのだろうか≠ニいう心配がありました。  もう一つは、障害者雇用で入社することへの戸惑いです。自分は精神障害者保健福祉手帳を取得するかどうか決めるまでに時間がかかりました。手帳取得を決めてからは、障害者枠に応募することに抵抗感はありませんでしたが、それまでずっと一般枠で働いてきたので、その違いがあるかわからないこともありました。 松爲 その戸惑いは、どのように和らいでいったのでしょうか。 横田 まず、会社側から「障害があっても、健常者と同じようにキャリアを積んでいい」とはっきりいってもらえたことですね。「現場には障害のある社員で役職に就いている人もいるよ」と聞いて、ここなら自分も長く働いていけるかもしれない≠ニいう感覚を少しずつ持てるようになりました。  それから、企画部の仕事は、現場から情報を集めて整理したり、新しい仕組みを考えたりするポジションなので、最初はだれがだれだかわからない¥態でも、少しずつ現場に足を運んで顔と名前を覚えるようにしました。自分から挨拶をして、「〇〇さんのところにお邪魔している横田です」と声をかけることで、少しずつ距離が縮まっていったと思います。 3.働きやすさを支える職場環境とは? 松爲 次に、「働きやすいと感じる職場環境」についてお聞きします。  横田さん、栄和産業のどんな点が働きやすさにつながっていると感じますか。 横田 一番大きいのは、「すみません、わかりません」といえる雰囲気があることです。上司や先輩が、障害の特性について勉強してくれていて、ゼロから全部教え込む≠フではなく、「ここまでは理解できているから、その先を一緒に考えよう」というスタイルで指導してくれます。  例えば、新しい業務を任されたとき、自分のやり方を試しながら進めますが、失敗をして、「ここがわかっていませんでした」と確認しながら覚えていくこともあります。そういうときに責めるのではなく、「じゃあ、どうしたら次はうまくいくか一緒に考えよう」といってくれるので、自分からもどんどん質問しやすい環境ですし、仕事への理解も深めることができました。 松爲 質問できる雰囲気≠ヘとても重要ですね。横田さんは現在、副主任として部下もいらっしゃるとのことですが、その立場から心がけていることはありますか? 横田 いま企画部には、私を含めて数人のメンバーがいて、障害のある人もない人も一緒に働いています。部下であっても障害者だから≠ニ特別扱いするのではなく、仕事の内容や責任はできるだけ平等に考えるようにしています。  ただ、伝え方やサポートの仕方は人それぞれ違います。スケジュールの見える化が得意な人もいれば、口頭のほうが理解しやすい人もいるので、本人と相談しながらやり方を調整しています。企画部をモデル部署≠ニして、整理整頓や改善活動を進め、それを全社に展開していくことが、いまの自分の役割だと感じています。 松爲 ありがとうございます。では佐々木さん、ここは働きやすいな≠ニ感じているポイントを教えてください。 佐々木 私は人間関係が温かいこと≠ニ、自分の基本姿勢を認めてもらえること≠ェ大きいと感じています。  まず、人間関係の面では、リーダーや先輩方が発達障害について勉強してくれていて、指示が曖昧なときは私が確認しやすい雰囲気をつくってくれます。「わからなかったら、ちゃんと聞いてね」といってもらえるので、「ここまではわかりましたが、ここから先が不安です」と素直に伝えられます。  もう一つは、就職活動のときに先生から指示を受けた挨拶・返事・笑顔≠職場でも活かせていることです。小学生のころに児童会で挨拶運動をしていたこともあり、その経験を活かして、いまでも「おはようございます」に相手の名前をつけて挨拶するようにしています。「○○さん、おはようございます」というと、相手も笑顔で返してくれて、自然と距離が縮まります。 松爲 制度面での配慮についてはいかがですか。 佐々木 有給休暇が取りやすいのは、とてもありがたいです。特に何か予定を入れたいときは、1日お休みをいただける環境です。土日に混む場所でも、平日に行くとこんなに違うんだ≠ニ実感できますし、リフレッシュしてまた仕事をがんばろうと思えます。  また、障害の有無にかかわらず役職に就けるという点も大きいと思います。会社には80歳まで働き続けた先輩もいて、その方は別部署でしたが、休憩時間にいろいろ話をしてくれました。その姿が自分も定年後は再雇用で挑戦したい≠ニ思うロールモデルになっています。 4.仕事のやりがいと、将来への展望は? 松爲 次に、現在の仕事のやりがいや成長の実感について教えてください。  佐々木さん、経理や生産管理の仕事で、成長したな≠ニ感じる場面はありますか。 佐々木 はい。年末調整などの専門的な経理業務を任されるようになり、最初はこんなにたくさんの書類を扱って大丈夫かな≠ニ不安でしたが、チェックシートを自分でつくって、一つひとつ確認しながら進めることで、ミスを減らせるようになりました。  また、インターネットで消耗品を購入するときに、送料がもったいないから、ほかに必要なものもまとめて買おう≠ニ工夫するようになりました。小さなことですが、この買い方なら会社の経費節約にもつながるな≠ニ考えながら動けるようになったのは、自分のなかでの変化だと思います。 松爲 将来の働き方については、どのようなイメージをお持ちですか。 佐々木 私は定年まで働きたい≠ニいうのが一番の目標ですし、もし再雇用のチャンスがあったら、80歳まで挑戦してみたい気持ちもあります。  それから、会社にはベトナム人やフィリピン人、中国人の方もいて、多国籍な職場になっています。私は前任のベトナム人の方から少しずつベトナム語を教えてもらい、いまも特定技能の方にこのいい方で合ってますか?≠ニ質問しながら勉強しています。将来、技能実習生が入社してきたときに、簡単な説明を手伝ったりできるようになれたらいいなと思っています。 松爲 まさに社内の通訳′島ムードメーカー≠ナすね。では横田さん、企画部の仕事のやりがいと、今後の展望を教えてください。 横田 僕の一番の強みは「継続できること」だと思っています。前職は1年半ほどで退職してしまいましたが、いまの会社では6年続けて働くことができています。それ自体が、自分にとって大きな成果です。  企画部では、社内名刺の作成なども担当していて、「20枚追加でお願いできますか?」と頼まれて納品すると、「ありがとう、助かったよ」といってもらえることが多いのです。製造業の事務作業はやって当然と思われがちですが、直接「ありがとう」といわれることで、自分の仕事がだれかの役に立っている≠ニ実感できます。 松爲 その「他者貢献の実感」が、自己受容にもつながっているわけですね。 横田 そうですね。障害があることで、自分自身を責めたり、社会から色眼鏡で見られているように感じたりすることもありました。でも、仕事を通じて自分だからできること≠みつけ、「あなたがいて助かった」といってもらえると、障害があっても、自分は社会の一員としてちゃんと役割を果たしているんだ≠ニ思えるようになります。  将来的には、企画部をモデル部署≠ニして、整理整頓や改善活動、新しい人事制度や評価制度づくりにチャレンジしていきたいです。まずは少人数の職場で試してみて、うまくいったら社内全体に広げていく。失敗したら「すみません、失敗しました」といってやり方を修正すればいい。そうやって、少しずつ会社全体をよくしていくことが、自分の役割だと考えています。 強みを自覚し、仕事に活かせる職場環境が障害者のキャリアを後押しする 松爲 お二人の話をうかがってあらためて感じたのは、特別なプログラム≠謔閧熈日々のかかわり方≠ェ、働き続ける力を支えているということです。  佐々木さんは、生産管理という未知の業務を突然任されながらも、動画撮影やチェックシート、スケジュールの見える化といった工夫を積み重ね、「諦めないことが大切」という言葉通り一歩ずつ自分の仕事を広げてこられました。その背景には、「わからなかったら聞いていい」、「挨拶・返事・笑顔を大事にするあなたを応援する」という、職場全体の受けとめ方と明確なメッセージがあります。  一方、横田さんは、前職を退職後、就労移行支援事業所への通所と職場実習を通じて「急がず自分のペースでやってください」という上司の言葉に出会い、ここなら自分もやっていけるかもしれない≠ニいう感覚を取り戻しました。企画部という新しい部署で、整理整頓や改善活動、新しい制度づくりに挑戦し、その成果を全社に広げていこうとする姿は、まさにダイバーシティ経営のにない手≠ニいってよいと思います。  お二人に共通しているのは、自分の強みを自覚し、それを職場のなかで活かそうとしていることです。そして何より重要なのは、会社側が「障害者だから特別」ではなく、「一人の社員として、どう成長し、どう役割を果たしていけるか」という視点で向き合っていることです。障害の有無にかかわらない役職登用、多国籍なメンバーとともに働く環境づくりなど、制度と文化の両面から「ともに働く土台」が整えられています。  冒頭で申し上げたように、今回の座談会の目的は「思いを全部聞かせていただきたい」ということでした。お二人のリアルな声から見えてきたのは、障害により生じる困難と、その困難を周囲の支えと自分自身の工夫で乗り越えようとする姿です。同じように悩みながら働く多くの方々に、「自分もここから一歩踏み出してみよう」と思っていただくきっかけになればと願っています。  次号では第2部として、お二人が勤務する企業担当者の座談会の模様をお届けします。 写真のキャプション 本誌の松爲信雄編集委員 松爲委員を囲んでの座談会の風景 株式会社栄和産業 企画部副主任の横田博之さん 有限会社川田製作所で生産管理・経理業務をになう佐々木彩花さん 「整理整頓や改善活動、新しい制度づくりにチャレンジしたい」と話す横田さん 「定年まで働き、80歳まで挑戦してみたい」と話す佐々木さん 座談会参加のみなさま。左から栄和産業の横田さん、同社代表取締役の伊藤(いとう)正貴(まさたか)さん、松爲委員、川田製作所代表取締役の川田(かわだ)俊介(しゅんすけ)さん、同社の佐々木さん 【P26-27】 省庁だより 農福連携の推進について 農林水産省 農村振興局 都市農村交流課 1 広がりを見せる農福連携  農福連携は、農業と福祉が連携し、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組です。  農業の労働力確保という課題を抱えている農業・農村分野、障害者の働く場の確保という課題を抱えている福祉分野、その両者が連携することで、双方の課題を解決できるのではないかとの考えから、農福連携の取組が推進されてきており、現在、様々な形で取組が広がっています。  さらに、地域で暮らす一人ひとりの社会参画を図る観点から、農福連携を、ユニバーサルな取組として、障害者のみならず、高齢者、生活困窮者、ひきこもりの状態にある者等の就労・社会参画支援、犯罪をした者等の立ち直り支援等にも対象を広げ、また、その分野も農業のみならず林業や水産業に広げる農福連携等も推進されてきています。  農福連携は、農業者が障害者を雇用する形、障害者就労施設が農業生産や農産物加工に取り組む形のほか、障害者就労施設が農業者の元に出向き、農作業の一部を請け負う事例、特例子会社が農業に参入する、もしくは地域の農作業を請け負う事例など、地域の実情や課題に則した様々な農福連携の形が生まれてきています。  また、農福連携等に取り組む主体は、令和6年度末時点で8277件と、この5年間で約2倍となるなど、農福連携の取組は着実に広がっています。 2 農福連携推進の方向性  これまで、2019(令和元)年に内閣官房長官を議長とする「農福連携等推進会議」において決定された「農福連携等推進ビジョン」に基づき、@官民が連携する農福連携等応援コンソーシアムが実施するノウフク・アワードの選定・公表による優良事例の横展開、A障害特性等を踏まえた農福連携の実践手法を現場でアドバイスする専門人材の育成、B障害者が農作業を行うために必要な生産施設や休憩所、トイレ等の整備等の支援を行ってきたところです。  「農福連携等推進ビジョン」の決定から5年後の2024年には、農福連携等推進会議において「農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)」が決定されました。新たなビジョンでは、「地域で広げる」、「未来に広げる」、「絆を広げる」を新たなスローガンとして、引き続き政府一体となって、厚生労働省、農林水産省のほか、法務省、文部科学省の関係4省庁で連携して取組を進めていくこととしています。また、新たに、令和12年度末までに農福連携等に取り組む主体数を12000以上、地域協議会に参加する市町村数を200以上とする目標が設定されました。  今後は、新たなビジョンに基づき、@地域協議会等の活動を通じた地域単位での推進体制づくりの後押し、A11月29日を「ノウフクの日」に制定し、企業・消費者も巻き込んだ農福連携等の更なる展開や普及、B世代や障害の有無を超えた多様な者の交流・参画の場としてのユニバーサル農園の普及・拡大などの取組も推進することとしています(図)。 3 農福連携の更なる展開や普及に向けた取組  新たなビジョンのスローガンの一つである「未来に広げる」の下で、新たな価値の発信として「農福連携等への企業の参画を促し、多様なアイデア、技術、人を結び付けていくことにより、新たなビジネスチャンスや付加価値を創出するとともに、多様な形で農福連携等に携わる者が増加していくよう、取組を推進する」とされたところ、企業による農福連携等の取組を推進するため、農福連携等応援コンソーシアムの専門部会として「農福連携等企業部会」が令和7年8月4日に設置されました。  さらに、11月29日の「ノウフクの日」を中心とした11 月1日から12月31日までの期間を「もっともっとノウフク2025」として、12月1日の「ノウフクの日」記念イベントを始め、全国81か所で農福連携の更なる普及・啓発を目的としたイベントが開催されました。ノウフクの日の制定を契機として、今後も消費者や企業を巻き込みながら、国民的運動として農福連携を推進していきます。  また、農福連携に取り組む団体、企業等の優良事例21団体が農福連携等応援コンソーシアムの主催する「ノウフク・アワード2025」を受賞しました。これまでの6年間で延べ131団体(45都道府県)の優良事例を表彰し、各地に横展開すること等を通じて更なる普及に取り組んでいます。  農福連携等応援コンソーシアムでは、農福連携の活動趣旨に賛同し、参加いただける企業・団体の方を随時募集しております。詳細については、農林水産省HPを御確認ください。また、農福連携の推進に向けて、今後も様々な取組を進めてまいりますので、WEBの情報も是非御参照ください。 農福連携等応援コンソーシアム(農林水産省HP) 農福連携の取組事例(農林水産省HP) 農福連携に関する支援制度(農林水産省HP) 4 農福連携による障害者雇用の事例  農福連携に取り組み、障害者雇用を行っている事例を紹介いたします。ノウフク・アワード2025でフレッシュ賞を受賞された茨城県水戸市の「JX金属コーポレートサービス株式会社(内原ファーム)」は、令和4年の設立後、令和5年にJX金属株式会社の特例子会社として認定され、地域の農業専門学校である日本農業実践学園と連携の上、自社農園である内原ファームで農業を行っているほか、同学園等への援農も実施しています。令和6年度時点で8名の障害者を直接雇用しており、障害を持つ社員がそれぞれの適性に応じた作業を担当したり、全員リーダー制を採用することで自分の仕事にやりがいと責任を持つような環境を創出したりと、様々な工夫により障害者がやりがいを持って働ける環境を構築しています。また、日本農業実践学園及びJリーグチームの水戸ホーリーホックと連携し、内原ファームで生産された農作物を同サッカーチームの試合会場で販売したり、内原ファームで働く障害のある社員が水戸ホーリーホックの設立した障害者サッカーチームにも所属したりするなどして、「農業×福祉×スポーツ」による地域活性化にも取り組んでいます。 図 農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)に基づく施策の推進方向について ○「農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)」(令和6年6月5日農福連携等推進会議決定)に基づき、「地域で広げる」「未来に広げる」「絆を広げる」を新たなスローガンに、「農福連携等を通じた地域共生社会の実現」を目指して、法務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省が連携した施策を推進。 詳しくはこちら← 農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)の概要 地域で広げる ●地域協議会や伴走型コーディネーターの活動を通じて、地域単位の推進体制づくりを後押し ●生産施設等の整備やスマート農業技術等の活用 ●地域での多様な連携やノウフク商品のブランド化 ●現場で農業と福祉をつなぐ専門人材の育成 未来に広げる ●農業の担い手や農業高校の生徒等への普及 ●特別支援学校の実技・実習要望に対する農業者による協力・支援 ●ノウフクの日(11月29日)等による企業・消費者も巻き込んだ国民的運動の展開 絆を広げる ●社会的に支援が必要な人たちの農業での就労 ●世代や障害の有無を超えた多様な者の交流・参画の場としてのユニバーサル農園の拡大 ●林福・水福連携の推進 農福連携等を通じた地域共生社会の実現 ●地域協議会の体制イメージ 都道府県振興局、市町村、農業・福祉関係者、教育機関等が参画 ●地域協議会で想定される取組 ・農業と福祉のネットワークづくり(交流会、体験会等) ・地域内の農福連携のルールづくり(作業単価の設定等) ・マッチングや農業実習の受入れ ・事業者間で共同した販路開拓 等 ●ユニバーサル農園とは 世代や障害の有無を超えた多様な者の交流・参画、健康増進、生きがいづくり、職業訓練、立ち直りなど、農業体験活動を通じて多様な社会的課題の解決につながる場 KPI 2030年度までに、4省庁が連携して、農福連携等の取組主体数を12,000件以上、地域協議会に参加する市町村数を200以上とする 写真のキャプション 恵庭市農福連携ネットワーク(北海道) 大隅半島ノウフクコンソーシアム(鹿児島県) NPO法人土と風の舎こえどファーム(埼玉県) 【P28-29】 ニュースファイル 国の動き 厚生労働省 令和7年度「現代の名工」を発表  厚生労働省は、2025(令和7)年度の卓越した技能者(通称「現代の名工」)について表彰対象者142人を発表した。このうち障害がある技能者部門では、歯科技工士の三津橋(みつはし)幸勇(ゆきお)さん(62歳、北海道、和田精密歯研株式会社)とコーヒー豆焙煎工の橋本(はしもと)和也(かずや)さん(45歳、兵庫県、カフェ ラヴニール)の2人が選出された。  聴覚障害のある三津橋さんは、筆談や視覚的なコミュニケーションを工夫し、前装冠(ぜんそうかん)製作において顔貌(がんぼう)に調和する形態調整や色調再現に卓越した技術を有する。2020年の第40回全国アビリンピックでは歯科技工種目で金賞を受賞。技工所などでの経験を活かし、自然な色調再現や咬合を考慮した補綴物(ほてつぶつ)の製作により、機能性と審美性を両立し、患者ごとの細かな要望に応える技術力を発揮している。また臨床を通じ、技術を若手技工士に伝承している。  橋本さんは、ADHDの特性である鋭敏な五感のうち、特に聴覚を駆使したコーヒー焙煎技能を有する。焙煎機内で豆が回転する音や焙煎終盤に豆がはじける音の長短や高低から、火の通りや水分の抜け具合を判断し、生豆の特性に応じた最適な焙煎を行っている。また学校教育現場を中心に後進の育成にたずさわっている。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65373.html 地方の動き 埼玉 令和7年度「塙(はなわ)保己一(ほきいち)賞」受賞者を発表  埼玉県は、顕著な活躍をしている障害のある人や障害のある人のために貢献している人・団体を表彰する、「第19回(令和7年度)塙保己一賞」の受賞者3人を発表した。塙保己一は、江戸時代に活躍した全盲の学者で、現在の本庄市(ほんじょうし)出身。  大賞に選ばれたのは、文化人類学研究者で視覚障害1級の広瀬(ひろせ)浩二郎(こうじろう)さん(58歳)。国立民族学博物館の人類基礎理論研究部教授として日本の宗教史や民俗学、障害者文化論を研究。博物館でさまざまな模型・実物資料に触れる体験「触文化」提唱の第一人者としてユニバーサルミュージアムを積極的に発信している。2023(令和5)年には文化庁長官表彰受賞。  奨励賞には視覚障害2級で網膜色素変性症の森(もり)仁志(ひとし)さん(35歳)が選出された。ふだんは薬剤師として働き、白杖を持つブレイキンダンサーとしても活躍。学校のワークショップなどでダンスの魅力を伝え、障害への理解を進めている。  貢献賞に選ばれた加藤(かとう)俊和(としかず)さん(80歳)は、高校生のころから点訳ボランティアを始め、その後は盲学校の生徒向けに点字楽譜レイアウトを考案したほか、「内方線付ホーム端点字ブロック」を考案して歩行環境整備に取り組むなど、多方面で視覚障害者を支援してきた。2023年に第31回ヘレンケラー・サリバン賞受賞。 https://www.pref.saitama.lg.jp/a0604/hanawa/ 生活情報 全国 「日弁連の障害年金に関する取組」動画公開  日本弁護士連合会(日弁連)(東京都)は、日弁連の障害年金に関する取組みを紹介する動画(手話通訳あり)をYouTubeで公開した。障害年金が受け取れる条件などについてクイズ形式で解説し、障害年金の基礎知識をはじめ、弁護士が障害年金の分野で果たせる役割や、日弁連の取組みについて紹介している。また日弁連ウェブサイトでは、「高齢者・障がい者に関するQ&A集」や、全国各地の高齢者・障害者に関する法律相談窓口も掲載している。 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/search/other/guardian.html 神奈川 全交番で「手話リンク」運用  神奈川県警は、県内すべての交番や駐在所で、手話通訳オペレーターを介して警察署員と会話ができるサービス「手話リンク」の運用を2025(令和7)年11月から始めた。警察庁が全国の都道府県警に導入を求める通達を出しており、神奈川県警が全国に先駆ける形となった。  「手話リンク」は、聴覚障害のある人が交番などを訪れた際に勤務員が不在の場合、現場に掲示されている二次元コードをスマートフォンなどで読み込むことで、手話通訳オペレーターを通じ、管轄警察署の職員と会話することができるシステム。事前登録や通話料は不要。サービスは、一般財団法人日本財団電話リレーサービス(東京都)が提供している。 https://www.police.pref.kanagawa.jp/kurashi/koban_chuzai/mesg0030.html 本紹介 『特別支援教育×情報活用能力 知的障害教育におけるICTプログラミング デジタル・シティズンシップの展開』  富山大学教育学部附属特別支援学校の教員らが先進的に取り組んできた情報活用能力を育てるための教育実践をまとめた『特別支援教育×情報活用能力 知的障害教育におけるICT プログラミング デジタル・シティズンシップの展開』(ジアース教育新社刊)が出版された。島根県立大学の水内(みずうち)豊和(とよかず)准教授、山口県立大学の山ア(やまざき)智仁(ともひと)講師による編著で、同校の小こ林ばやし真まこと校長が監修した。  本書は、知的障害のある子どもたちの「情報活用能力」のとらえ方を学習指導要領の内容をふまえて説明し、授業を通した実践内容を紹介。小学部から高等部までの「ICT活用」、「プログラミング教育」、「デジタル・シティズンシップ教育」について、各教科や日常生活の指導などのさまざまな場面でどのように展開したのか、使用したツールも含めて具体的に解説。特別支援教育における授業のほか、一般の支援プログラムなどにも役立つヒントを紹介している。B5判128ページ、2420円(税込)。 「心の病」がみえる脳科学講義〜精神疾患・発達障害を持つ人の頭の中で何が起きているのか』  順天堂大学医学部教授で精神科医の加藤(かとう)忠史(ただふみ)さんが、『「心の病」がみえる脳科学講義〜精神疾患・発達障害を持つ人の頭の中で何が起きているのか』(翔泳社刊)を出版した。脳科学的な視点から、複雑な脳の仕組みをわかりやすく説明し、発達障害やうつ病、双極症などの最新研究や、最前線の診断・治療について紹介。研究現場でのエピソードや精神科の診断、薬の歴史にまつわる話も交えながら、精神疾患研究の現在地を解説する。四六判412ページ、2640円(税込)。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 2025年度地方アビリンピック開催予定 2026年1月末〜2月 東京都、京都府、香川県 *開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります * は開催終了 地方アビリンピック 検索 ※日程や会場については、変更となる場合があります。 ※2025年10月17日(金)〜10月19日(日)に、愛知県で開催された第45回全国アビリンピックについて、今号で特集しています。ぜひご覧ください。 地図文字 東京都 京都府 香川県 ご案内 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでいつでもお読みいただけます!  本誌はJEEDホームページで、デジタルブックとしても公開しており、いつでも無料でお読みいただけます。  また、最新号は毎月5日ごろにJEEDホームページに掲載されます。掲載をお知らせするメール配信サービスもございますのであわせてご利用ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html JEED 働く広場 検索 自由に拡大できて便利! 読みたいページにすぐ飛べる! ※2021(令和3)年4月号〜最新号まで掲載しています 【P30】 掲示板 JEEDメールマガジン 登録受付中!  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)では、JEEDが全国で実施する高齢者や障害者の雇用支援、従業員の人材育成(職業能力開発)などの情報を、毎月月末に配信しています。 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当者のみなさま、必読! 高齢 定年の延長や廃止・再雇用 障害 障害のある従業員の新規・継続雇用 求職 ものづくり技能開発・向上の手段 みなさまの「どうする?」に応えるヒントが見つかります! JEED メルマガ で 検索 ※カメラで読み取ったリンク先がhttps://www.jeed.go.jp/general/merumaga/index.htmlであることをご確認のうえアクセスしてください。 読者アンケートにご協力をお願いします! ※カメラで読み取ったリンク先が「https://krs.bz/jeed/m/hiroba_enquete」であることをご確認ください。 回答はこちらから→ 次号予告 ●私のひとこと  立命館大学産業社会学部教授の岡田まりさんに、「スーパービジョン」の視点から、障害者支援にかかわる福祉専門職の養成や、それにともなう障害者の就労支援などへの展開について、ご執筆いただきます。 ●職場ルポ  西日本鉄道株式会社(福岡県)の特例子会社で、にしてつグループの福利厚生関連の事務や印刷、情報処理などの業務を行う西鉄ウィルアクト株式会社(福岡県)を取材。JEEDの就労支援機器アドバイザーと連携し、就労支援機器を活用して職場定着を図った事例などをお伝えします。 ●グラビア  自動車シートのクッション材の成形品を中心に各種のウレタンとポリプロピレン製品の開発・生産を行っている東名化成株式会社(愛知県)を訪問。定着率が高い職場で、障害のある従業員が活き活きと働いている姿をご紹介します。 ●特別企画 座談会第2部  特別企画として、企業で働く障害のある人と、企業の担当者の座談会を実施。次号の第2部では、雇用者の立場から、障害者雇用のきっかけや必要な配慮、人材育成とダイバーシティ経営の実践などについて、語り合ってもらいました。 公式X(旧Twitter)はこちら! @JEED_hiroba 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 弘前大学教職大学院 教授 菊地一文 サントリービバレッジソリューション株式会社 人事本部 副部長 平岡典子 武庫川女子大学 准教授 増田和高 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 教授 八重田 淳 国際医療福祉大学 准教授 若林 功 あなたの原稿をお待ちしています ■声−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 鈴井秀彦 編集人−−企画部次長 綱川香代子 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 電話 043-213-6200(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●編集委託−株式会社労働調査会 〒170-0004 東京都豊島区北大塚2-4-5 電話 03-3915-6415 FAX 03-3915-9041 2月号 令和8年1月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。また、本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【裏表紙】 第46回全国障害者技能競技大会 (アビリンピック) 障害者ワークフェア2026 〜働く障害者を応援する仲間の集い〜 2026年12月5日土 (12/4(金)→12/6(日)) 愛知県国際展示場 Aichi Sky Expo (愛知県常滑市セントレア5−10−1) 最新情報はこちらから! 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