【表紙】 令和8年3月25日発行・毎月1 回25日発行・通巻第582号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2026/4 No.582 職場ルポ 就労支援機関と連携し、マッチングや就労定着を図る株式会社グリーンズ(三重県) グラビア キャリアアップや働きやすい環境づくりで安定雇用を目ざす TBソーテック九州株式会社(佐賀県) 編集委員が行く 新たな挑戦を続ける企業現場から学ぶ! SOMPOチャレンジド株式会社新宿オフィス(東京都)、ヤマトシステム開発株式会社晴海本社(東京都) この人を訪ねて 目の前の人のことを、正しく理解することから 手話通訳士 中野佐世子さん 「本を封する」長野県・十河(そごう)泰聖(たいせい) 4月号 【前頁】 心のアート 陽はまた昇る 阿部淑子 (社会福祉法人ともに福祉会 ともに) 画材:画用紙、アクリル絵の具/サイズ:390mm×545mm  ふだん事業所では、軽作業を中心に黙々と作業に取り組んでいます。ときどき作業開始前に落語を一席、「ともに亭よしこ」になり、季節のことやリアルタイムでニュースを盛り込み、噺はなしを聞かせてくれます。  週1回2時間の創作活動を楽しみにされていて、そのときの気持ちでオリジナルカラーをつくって色を塗り、乾いたら色をつけたシールを貼ったり、異なる画材や道具を使って表現します。最近のブームは、色を塗った画面にことわざを書くことです。作品が完成したときに浮かんだ言葉がそのままタイトルになります。 (文:社会福祉法人ともに福祉会 ともに 石川(いしかわ)則子(のりこ)) 阿部淑子(あべ・よしこ) 1974(昭和49)年生まれ 2002(平成14)年 創作活動開始 2010年 「第10回札幌市知的障がい福祉協会アート展 あらかるあーと」(北海道札幌市/札幌地下街オーロラタウン)入選『Indigo Blue』 2011年 「北海道知的障がい者芸術祭 みんなあーと」(北海道札幌市/かでる展示ホール)入選『マーブルランド』 2012年 「第7回しんか展」(北海道札幌市/大同ギャラリー)入選『無題』 2013年 「2013アジア・パラアートTOKYO」(東京都/東京芸術劇場)入選『G線上のアリア』 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2026年4月号 NO.582 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 陽はまた昇る 作者:阿部淑子(社会福祉法人ともに福祉会 ともに) この人を訪ねて 2 目の前の人のことを、正しく理解することから 手話通訳士 中野 佐世子さん 職場ルポ 4 就労支援機関と連携し、マッチングや就労定着を図る 株式会社グリーンズ(三重県) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 クローズアップ 10 「合理的配慮」という希望 〜人事と法務の交差点から〜 第2回 「選ぶ」から「選ばれる」へ 〜募集・採用段階からの信頼構築〜 JEEDインフォメーション 12 事業主のみなさまへ 令和8年度「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」等 申請のお知らせ/事業主のみなさまへ 障害者雇用納付金電子申告申請システムのご案内 グラビア 15 キャリアアップや働きやすい環境づくりで安定雇用を目ざす TBソーテック九州株式会社(佐賀県) 写真/文:官野 貴 エッセイ 19 障がいのある人が働きやすくなるヒントと考え方 第2回 障がい者製品の販路と“正義”の拡大 放送作家・ライター 姫路まさのり 編集委員が行く 20 新たな挑戦を続ける企業現場から学ぶ! SOMPOチャレンジド株式会社新宿オフィス(東京都)、ヤマトシステム開発株式会社晴海本社(東京都) 編集委員 平岡典子 省庁だより 26 令和7年 障害者雇用状況の集計結果A 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 研究開発レポート 28 第33回 職業リハビリテーション研究・実践発表会 Part1 特別講演 「誰もが力を発揮できる職場づくり〜一人ひとりが生き生きと成長し、能力を発揮できる組織へ〜」 オリンパスサポートメイト株式会社 代表取締役社長 龍田久美氏 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 JEEDメールマガジン登録受付中! 表紙絵の説明 「学校の職場体験で訪問した書店で、本のパッキング作業をしている様子です。集中して作業に取り組んでいる表情や背景の本棚の様子など、描くものが多いため下描きがむずかしく、その一つひとつに色を決めて塗っていくことに苦労しました」 (令和7年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 中学生の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html) 【P2-3】 この人を訪ねて 目の前の人のことを、正しく理解することから 手話通訳士 中野佐世子さん なかの さよこ 1960(昭和35)年東京生まれ。1989(平成元)年に手話通訳士の第1回認定試験に合格。1990年から2021(令和3)年まで「NHK手話ニュース」(1996年3月までの番組名は「きょうのニュース〜聴覚障害者のみなさんへ」)キャスター。現在は、障害者や高齢者との接し方などをテーマに大学の授業や企業研修で講師を務めている。近著に「ハッピー コミュニケーションのすすめ〜誰もが笑顔でいられる社会のために〜」やDVD「心のバリアフリーをめざして〜合理的配慮と職場のコミュニケーション〜」(株式会社自己啓発協会)監修・出演など(問合せはユニバーサルデザイン・ラボ「MOVE東京 中野佐世子」まで)。 高校時代からボランティア活動 ――手話通訳士として35年以上活躍してきた中野さんの、手話との出会いを教えてください。 中野 私の名前「佐世子」は、父が「世の中の助けになる人になってほしい」との願いを込め、補佐・助ける意味の「佐」と「世」を入れたそうです。そんなことをいわれて育った私は、小学1年生のクラスで、知的障害のある男の子と肢体不自由の女の子と一緒になりました。ベテランの担任教師の適切な指導のもとでともに過ごすうちに、将来は障害児にかかわる仕事がしたいと思うようになりました。  高校に入ってからボランティア活動で知的障害児施設に通うようになり、そこで初めて遊んだ子が、知的障害と聴覚障害のある重複障害児でした。彼と話がしたくて手話を学ぼうと思ったのですが、当時は市販の本がありません。通学途中に「全日本ろうあ連盟」の事務所があるのを見つけ、そこで1冊買って独学で手話を覚えました。  大学では本格的に手話を学ぼうと、大学や自治体のサークルに入り、毎日手話を使っていました。そのうちに他大学の授業のボランティア通訳も始めました。たとえ手話通訳がおぼつかなくても、必要としているろう者がいるならと、学生同士で通訳を派遣する仕組みもつくりました。指導してもらったろう者の結婚式では、言葉だけではなく、想いを届けることができる通訳の仕事に喜びを感じました。  一方、大学での専攻は障害児保育でしたので、卒業後は都内の保健所や児童館で心理相談員として働きました。サポートが必要と思われる子どもと親を対象にしたグループで、ここでは遊び方や接し方の指導をしました。現在は大学や専門学校で障害児保育の講義を行っています。 社会で手話が認められるまで ――「NHK手話ニュース」が始まったときから、手話通訳キャスターを務められてきましたね。 中野 私は1989(平成元)年の第1回手話通訳技能認定試験に合格し、翌年に始まったNHK「きょうのニュース〜聴覚障害者のみなさんへ」(現在の「NHK手話ニュース」)で手話ニュースキャスターを務めることになりました。  しかし、このころはまだ手話に対する理解が少なく、難聴の友人から「電車に乗ったら手話は使わないでね」といわれることもありました。ろう学校でも当時は、手話ではなく口話法(口の形を見て話を理解する方法)の指導が主流で、耳の聞こえる人たちに合わせて生きていくための教育を受けていました。  その後、NHK手話ニュースのほか「NHKみんなの手話」といった講座番組、さらに手話を使うシーンが登場するテレビドラマの影響もあって、社会的に手話が認知されるようになったと思います。小学校へ手話指導に行くと、子どもたちから「先生、手話できるの? かっこいいね!」といわれるようになり、これはとてもうれしい驚きでした。そして2011年には手話を言語と位置づける改正障害者基本法が成立し、公的にも認められました。  NHK手話ニュースのスタート時は、キャスター全員が私のように聞こえる人でしたが、2021(令和3)年に辞めるときには私以外は全員が聞こえない人たちになっていました。アナウンサーが使うプロンプターもありますし、だれかがタイミングを示してくれさえすればまったく問題はありません。昨年10月に開催されたデフリンピックの開閉会式で活躍した国際手話や、日本手話の通訳者も、すべて聞こえない人でした。みなさん、本当にすばらしい通訳でした。 聴覚障害をめぐる誤解も ――大学では、障害のある人をテーマに、どんなことを教えていらっしゃるのですか。 中野 幼稚園教諭や保育士を育成する大学では、助けを必要とする子どもたちとの接し方を、薬科大学では薬局などにおける障害者や高齢者との接し方などを指導しています。私たちが誤解していることもたくさんあり、それを正しく理解しておくことが大切だからです。  例えば高齢者が補聴器をつけていたら、普通に聞こえるのだと思ってしまいます。しかし、補聴器はマイクで周囲の音を集め、アンプで音を大きくし、スピーカーから耳へ届ける器械ですので、機能差はありますが、雑音まで拾ってしまいがちです。ですから、装着しただけでは目の前の人の声をクリアに聞くことはできないのです。より聞こえやすくするためには、環境を整えてください。ドアを閉めてBGMを消し、エアコンの音も拾わない静かな場所なら聞こえやすくなります。そして必ず相手の目を見て、声を届けようと意識してください。  聴覚障害は、みなさんが思っているよりずっと重い障害です。先天性の方は、まず言語の獲得に苦労します。例えば3歳の子でも「お姉ちゃんがたたいた」、「お姉ちゃんにたたかれた」と自然にいえるのは聞こえているからです。聞こえない人は「が」、「に」の使い方などから学ばなければなりません。発語も大きな課題です。「あかさたな」の舌の使い方を教えるためにスプーンを使用したり、ときには口の中に指を入れて、舌の位置を体得させるのです。ただ音が聞こえないという問題ではないことを、学生たちに伝えています。  また、同じ聴覚障害でも、いつ失聴したかによって手話通訳の方法は違ってきます。言葉を覚える前に失聴した方たちが使う日本手話は「私、遊びに行った、京都、先週」という語順になり、ここにうなずきや眉の上げ下げなどの文法が入ります。中途失聴の方たちは通常の日本語順での表現を求めることが多く、これは日本語対応手話などと呼ばれています。 思い込みで接しないように ――障害者雇用を進める企業へのアドバイスをお願いします。 中野 行政や企業の研修を担当させていただくことが多いのですが、みなさんにまずお願いするのは、「正しく知って理解してください」ということです。そのためには目の前にいる本人に、「きちんと聞いて確認する」ことです。受け入れる側は「聞いたら失礼なのではないか」と遠慮し、当事者のほうは「困っている状況をわかってもらえない」と悩んでいる、というすれ違いが少なからず起きています。よかれと思ってやったことが、かえって相手を困らせることになりかねません。  当事者の立場に立って想像力を働かせ、率直に話し合える人間関係づくりをすることは、障害者だけでなく、さまざまな事情をかかえた従業員全員にとっても必要なことです。その結果、だれもが働きやすく、安心して自分の能力を発揮できる職場になっていくと思うのです。  最後に、私自身の反省を含めてお伝えしたいことがあります。先日、ある企業で「障害者雇用に関する研修」を行ったのですが、その後に届いたアンケートのなかに「ずっと『お願いします』といわれて苦しかった」という声がありました。新しく職場に入ってきた当事者への支援はもちろんですが、それとともに支援担当者への配慮も重要なのですよね。さまざまな調整を含めて周囲の理解が得にくい状況では、孤独な闘いになってしまいます。決して担当者任せにせず、職場全体が「障害」について正しい知識を得て正しく理解し、担当者と協力し合っていく仕組みづくりこそが重要なのだと、あらためて思っています。 【P4-9】 職場ルポ 就労支援機関と連携し、マッチングや就労定着を図る 株式会社グリーンズ(三重県) ホテルなどを全国展開する企業では、障がい者雇用をうながす公的支援事業などを活用し、就労支援機関などと連携しながら雇用拡大と安定就労につなげている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 株式会社グリーンズ 〒510-0067 三重県四日市市(よっかいちし)浜田町(はまだちょう)5-3 TEL 059-351-3415 FAX 059-354-1355 Keyword: ホテル事業、サービス業、精神障害、知的障害、就労移行支援、就労定着支援、マッチング、委託訓練、IT POINT 1 県や市の支援事業なども活用し、障がい者雇用をゼロからスタート 2 3カ月間の委託訓練や支援機関との連携で、マッチングと就労定着を図る 3 雇用状況の見える化で、職場全体の安定就労につなげる 全国でホテル・レストランを運営  1957(昭和32)年に、駅前旅館「新四日市(よっかいち)ホテル」を創業し70年近くになる「株式会社グリーンズ」(以下、「グリーンズ」)は、全国120カ所でホテル・レストランを運営している(2025〈令和7〉年12月現在)。  グリーンズの障がい者雇用は、2016(平成28)年に「障害者雇用率」1.43%と当時の法定雇用率2.0%を大きく下回っていた。ハローワークからの指導を機に、会社組織として取り組むことを決め、積極的な採用と定着を図ってきた。いまでは全従業員2397人のうち障がいのある従業員は47人(身体障がい11人、知的障がい11人、精神障がい25人)で、「障害者雇用率」は3.17%という。2025年度には「障害者雇用優良事業所」として、当機構理事長努力賞を受賞している。  人事管理部専任課長の加藤(かとう)聡(さとし)さんは「私自身を含めて何もわからないゼロからのスタートでした。最初は失敗もありましたが、三重県や四日市市などによる支援や就労支援機関などとの密接な連携によって、マッチングや定着支援がうまくいくようになったと感じています」という。これまでの取組みの経緯とともに、精神障がいのある従業員2人の活躍の様子なども紹介したい。 県のコンサルティング支援  もともと中途採用の身体障がいのある従業員しかいなかったというグリーンズでは、2015年9月にハローワーク四日市所長らから直接指導を受けたことを機に、加藤さんが障がい者雇用担当者となって動き出した。  翌10月にはハローワーク主催の面接会に参加し、精神障がいのある1人を採用する。配属先は、当時加藤さんが在籍していた人事部だ。ちょうど入力作業など細かい業務で人手が足りなかったこともあり「まずは自分たちの部署で一緒に働き、成功例として周囲にアピールしようと思いました」(加藤さん)。  さらに三重県が募集していた「障がい者雇用活性化事業」の対象企業に登録し、定着支援のコンサルティングを半年間受けられることになった。当時、三重県内の民間企業における「障害者雇用率」は全国平均を下回る状況で、改善に向けた取組みが図られていたという。  コンサルティング会社から助言を受け、まず三重県内の地区支配人クラスを対象にアンケート調査を行い、雇用の可能性などを探った。すると四日市地区の協力が得られることになり、同地区の4ホテル合同で受入れ側の研修を行った。同時並行でホテルの現場を回りながら、厨房の洗い場や宴会場の準備・片づけ、清掃などの業務を切り出し、リストアップしていった。  一方で加藤さん自身は、三重県やハローワーク、当機構(JEED)の三重障害者職業センターによる企業向け研修会、四日市市が主催する「障害者雇用サポートフェア」のセミナーなどにも参加し「障がい者雇用について、一から学んでいきました」という。 退職者が相次いだ理由  その後グリーンズでは、2016年4月から12月にかけて障がいのある人5人を採用し、人事部やホテルに配属した。ところが、うち3人が数カ月で退職してしまったという。加藤さんは「ハローワークの求人票を見て応募してきた人を、面接だけですぐに採用し、そのまま現場に任せっきりでした」と当時をふり返る。  「本人たちは就労支援機関に登録していなかったこともあり、全体的に定着支援が不十分でした。しかも退職者が出た現場では、うまくいかなかったことだけが印象に残り、次の雇用がさらにむずかしくなってしまったのです」  そんななかで救いとなったのが、「障がい者委託訓練」事業だったという。これは県やハローワークが窓口となり、訓練を希望する求職者と企業とのマッチング支援を行ったうえで、最長3カ月間の訓練を企業側に委託するというもので、訓練後、お互いに希望すれば採用に進む流れになっている。  2016年10月に人事部で訓練生1人を受け入れ、翌年からは県内のホテルでも行うようになった。訓練期間中は、10日ほど経ったところで現場スタッフを集め、支援機関による「接し方の説明会」を行うなどのサポートもし、相互理解と働きやすい職場環境をつくっていった。  加藤さんは「3カ月という期間は、マッチングの意味で大きな効果がありました。事前に話を聞いていても、やはり本人の特性や適性を把握するのに1カ月はかかります。3カ月めになってようやく適性がわかることもありました」という。多いときで一度に5人の委託訓練を実施し、採用人数を増やしていった。さらに加藤さんは各地の特別支援学校を訪問し、職場実習も受け入れるようにしたそうだ。  現在では委託訓練や採用面接において「多少時間がかかっても正確に業務をこなすこと」、「あいまいな理由で欠勤しないこと」、「何かあったときに支えてくれる人たち(家族や支援機関)がいること」、「受入れ部署の人たちとの相性」などを重視しながら、マッチングを見きわめているという。 就労移行支援事業所との密接な連携  委託訓練を機に連携するようになった就労支援機関も、加藤さんたちにとって大きな支えとなった。ちょうど取材日にも、就労移行支援や就労定着支援を行う「障碍者ITカレッジ四日市」(以下、「ITカレッジ」)でサービス管理責任者を務める藤田(ふじた)江津(えつ)さんが、打合せのため来社していた。藤田さんは精神保健福祉士で訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)(※1)でもあり、これまでグリーンズに入社した精神障がいのある従業員の定着支援を担当してきたそうだ。  ITカレッジではグリーンズでの委託訓練の実施前に、訓練当事者の特性や得意なこと、苦手なこと、職場で接するときの留意点や必要な配慮などを書いた「ナビゲーションブック」と呼ぶ資料を用意し、加藤さんや職場管理者と一緒に打合せを行う。訓練期間の折り返し時点と終了前にも同様に集まり、ふり返りと今後の対応などを話し合う。本人の入社後も3年半の定着支援にかかわっている藤田さんは、月1回の定期面談のほか、メールや電話などで本人や家族と連絡を取り合っている。  一方、加藤さんのところには、本人の受入れ部署から、突発的な相談や報告が入ってくることもあるという。  「Aさんが興奮状態で階段を降りていったとか、Bさんが壁に頭を押しあてているなど切羽詰まったような情報がくると、私も慌てて駆けつけて、本人を個室に呼び話を聞きます。その内容や本人の状況しだいで、そのまま帰らせることもありますが、『藤田さんに連絡したから、帰りに寄っていくといい』とうながします。私にもいいにくいことがあるでしょうからね」(加藤さん)  藤田さんも本人からあらためて話を聞き、必要に応じて家族や主治医に連絡して対応を求めるが、「だいたいは話を聞いてあげることで、本人も落ち着きます」とのことだ。話の内容は、仕事での失敗を必要以上に引きずってしまうことや、家庭内のことを含めたプライベートな悩みなどが多いという。  加藤さんは、障害者職業生活相談員(※2)の資格認定講習と、企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)の養成研修(※3)も受けているが、藤田さんとの連携もずっと続いている。ちなみに加藤さんも、ITカレッジで行っている面接練習会に面接官役として参加するなどの協力もしているそうだ。  続いて、ITカレッジからグリーンズに入社した2人の従業員からも話を聞くことができた。 電話機のないデスクで安心  2020年に入社した山下(やました)航平(こうへい)さん(27歳)は、もともとコンピュータ関連の専門学校卒業前に内定していた会社があったが、就職はしなかったという。「幼少時からコミュニケーション面で不安がありました」という山下さんは、卒業後に病院で診断を受け、精神障害者保健福祉手帳を取得。その後、家族のすすめでITカレッジに通い始めたそうだ。藤田さんによると「当初は、工場と事務の両方を想定した訓練をしていましたが、やはり意思疎通でむずかしい部分がある一方、専門学校でITパスポートを取得しパソコン操作が得意だったことから、事務系での就職を目ざすことになりました」。  いくつか会社見学をするなかでグリーンズを志望した理由について、山下さんは「それまでアルバイトも含めて働いた経験がなかったので、通いやすい時間帯で短時間から始められること」をあげた。  10時から16時まで、3カ月間の委託訓練で山下さんが担当したのは、全国のホテルなどで働くパート従業員らの給与明細や源泉徴収票などのデータ入力だ。「自分のデスクに電話機がないこともよかったです」(山下さん)という。これについて加藤さんが説明してくれた。  「就労移行支援事業所などの担当者や本人が職場見学に来ると、『電話対応はありますか』などとよく聞かれます。電話対応を気にせず入力作業だけに集中してもらうよう、最初から彼らのデスク周りに電話を置かないことにしました」  2022年に新しい本社ビルが建ってから職場内はフリーアドレスになったが、山下さんたちの入力チームだけは固定席とし、フロアの一角を低めのパーテーションで囲っている。  また、「当初山下さんは、会話のキャッチボールに少し時間がかかりましたが、加藤さんや同僚たちとの連絡をメールで行うことで、コミュニケーションがスムーズになりました」と藤田さんはいう。こうして山下さんは入社後も、得意のパソコンスキルを発揮していった。  山下さんの働きぶりについて、藤田さんはこう話す。  「訓練中の10倍ぐらい能力を発揮していると感じます。そして、本当によく話すようになりました。定期面談でも、『自分からこんなに話すようになるとは』と驚いています」  加藤さんも「最近は、業務で対応が必要なときに『これどうします?』とか、『この書類、早く確認してください』などと直接せっつかれるようになりました。たまに漫才みたいなやりとりもしています」と冗談交じりに説明する。藤田さんは「加藤さんという信頼できる上司のもとで、自分の仕事に自信が持てるようになったことが大きいと思います」と教えてくれた。  山下さんの今後の目標は「勤務時間をフルタイムまで延ばすこと」だという。現在は10時から17時までだが、繁忙期などには少し残業することもあり、少しずつ慣れていきたいそうだ。さらに「後輩に仕事を教えていきながら、自分もほかの業務ができるようになっていけたらいいですね」と笑顔を見せていた。 大学院中退から一念発起  2022年に入社した森本(もりもと)涼太(りょうた)さん(36歳)も、ITカレッジに通っていた1人だ。関東の大学院で法律を学んでいた森本さんは、高校生のころから時おり悩んでいた幻聴などの症状が悪化。一人暮らしの部屋から出られなくなっていたのを心配した親が迎えに来てくれ、その後、病院で統合失調症と診断された。大学院を中退し、薬を飲みながら3年間近く自宅療養をしていたところ、ITカレッジのことを知った父親からのすすめもあり、一念発起して通うことにしたという。  藤田さんによると「最初のころは通ってくるだけで精一杯という印象で、意思疎通もうまくとれなかったのですが、どんどん快活になって、訓練も順調に進められるようになりました」とのことだ。森本さんも当時をふり返る。  「薬の服用で症状が落ち着いてきたと同時に、スタッフさんとの会話や利用者同士の交流で、自分なりに気持ちが上向いていきました」  森本さんも就労経験がなかったことから、3カ月間の委託訓練時は10時〜15時の勤務時間でスタートしたが、いまでは10時〜17時まで延びている。職場では山下さんの隣に座り、一緒に各店舗の給与関連の入力作業を担当している。「山下さんにはていねいに仕事を教えてもらい、いまは協力して仕事をこなせています」という。一方でこれまで苦労したのは、店舗からの月ごとの申請で不備があったときの対応だったそうだ。  「私たちは電話対応をしていないので、申請内容の不備や催促などはメールで行います。最初は、文書につける修正依頼のコメントなども含め、いかに的確に手短に伝えるかに悩みました。山下さんや加藤さんとも相談しながら、スムーズなやりとりができるようになりました」  半年ほど前からは、月締め後の集計と資料のとりまとめ作業も任されるようになった。それまで担当していた上司が、森本さんに引き継ぐための専用マニュアルも作成してくれたという。「おかげで月末は数日、休日出勤をすることもありますが、もう慣れました」と森本さん。  ここまで順調に働いてこられたことについて森本さんは「周りの人に恵まれていると思います。加藤さんたちには仕事以外でも、『ご飯ちゃんと食べているか』などと声をかけてもらい、見守られているという安心感があります」。現在も3週間に1回通院しているが、主治医からは「症状が安定していてよいね」と激励されているそうだ。今後について聞くと「この会社で長く働きたいですし、勤務時間もフルタイムまで延ばしたいですね。他部署などの新しい業務も挑戦していけたらと考えています」と意欲的に語っていた。 年間を通じた見守り体制も  グリーンズでは、特に精神障がいのある従業員については、年間を通じた体調の波を本社側で見守る体制もつくった。「精神障がいのある従業員は、天候や気温の変化で体調を崩すことが少なくありません。現場の管理職にも、あらかじめ把握しておいてもらうことが大事です」と、加藤さんはいう。  この体制づくりを打ち出したのが、2018年に情報システム部から異動し、人事総務本部人事管理部長を務める岩崎(いわさき)瑞穂(みずほ)さんだ。  岩崎さんは、各部署や各ホテル店舗に散在する従業員の月ごとの労働総時間などを連携させた集計表を作成。「毎月の労働時間の変動をひと目で確認することで、少し先の職場全体の雇用状況も予測できるようにしました。例えば、もともと冬の時期に体調を崩しやすい人がいるホテル店舗には、無理せず働けるよう責任者にアドバイスしておくなどの対策が取れるようになりました」と手応えを語る。  こうした本社からの見守りの効果もあり、全国各地の職場が、年間を通じて安定した雇用環境を整えていくことができたという。「今後も引き続き、従業員一人ひとりが安心して働き続けられる職場づくりを目ざして努力していくつもりです」(岩崎さん) 職場全体への好影響も実感  岩崎さんたちは今後の会社の規模拡大を見すえ、採用の継続と職域開発の検討を続けている。その一つとして、数年前にホテルで新しく切り出した業務が「ルームインスペクション」だ。専門業者による客室の清掃が終わった後、不備等がないかの最終チェックについて、以前は正社員が行っていた一連の業務のうち、客室のチェック作業だけを切り出したという。  また最近は、あるホテル店舗で障がい者雇用を経験した管理職が、ほかの地域に異動した先で「また障がい者を採用しよう」と提案してくれるようになってきたそうだ。加藤さんは「いまも面接などには私が顔を出していますが、採用後は現場だけでスムーズに支援できるようになり、そのまま任せられるようになっています」と手応えを語る。さらに、職場全体への好影響も感じているという。  「受け入れた現場では、配慮のあり方なども学びながら、結果として、障がいの有無に関係なく相手を思いやれる従業員が増えていると聞いています。これは接客業として何より大事なことですから、グリーンズ全体としてもよい相乗効果につながっていることは間違いないと思いますね」  ちなみにグリーンズでは、三重県教育委員会と連携し、県内の特別支援学校で「接客サービス技能講習」を行っている。社員が講師を務め、基本的な接客スキルの講義やロールプレイング実習などを通じて、就労に役立つスキルなどの習得をうながしているそうだ。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社グリーンズ様のご意向により「障がい」としています ※1 職場適応援助者(ジョブコーチ)については、厚生労働省ホームページをご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06a.html ※2 「障害者職業生活相談員」については、JEEDホームページをご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer04.html ※3 「企業在籍型職場適応援助者養成研修」については、JEEDホームページをご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/seminar/job_adapt02.html 写真のキャプション 株式会社グリーンズは、全国120カ所でホテル・レストランを運営している 株式会社グリーンズ人事管理部専任課長の加藤聡さん 障碍者ITカレッジ四日市サービス管理責任者の藤田江津さん グリーンズ本社で働く山下航平さん 山下さんは、給与明細などのデータ入力を担当している グリーンズ本社で働く森本涼太さん 店舗から送られてきた書類の入力をする森本さん 「ルームインスペクション」の様子。客室の清掃状態を確認する(写真提供:株式会社グリーンズ) 株式会社グリーンズ人事総務本部人事管理部長の岩崎瑞穂さん ホテル店舗では、朝食会場の後片づけ(左)やロビーの清掃(右)などの業務でも障がいのある従業員が活躍している(写真提供:株式会社グリーンズ) 【P10-11】 クローズアップ 「合理的配慮」という希望 〜人事と法務の交差点から〜 第2回 「選ぶ」から「選ばれる」へ 〜募集・採用段階からの信頼構築〜  2016(平成28)年4月の障害者雇用促進法改正により、事業主には障害のある労働者に対する合理的配慮の提供が法的に義務づけられ、それ以降、働く障害者のみなさんの間では、合理的配慮への期待が大いに高まっているのを感じます。  第2回は、Q&A形式で「募集・採用」における合理的配慮にもとづく信頼関係の構築について、弁護士の小島健一さんが解説します。 執筆者プロフィール 鳥飼(とりかい)総合法律事務所 弁護士 小島(こじま)健一(けんいち)さん  人事労務を基軸に、問題社員処遇から組織・風土改革、産業保健、障害者雇用まで、紛争予防・迅速解決を助言・支援。日本産業保健法学会理事など、労働法務・人事労務と産業保健を架橋する諸活動を行う。精神・発達障害者の就労、治療と仕事の両立などの執筆・講演多数。 はじめに 〜採用は「対話」の入り口  前回は、合理的配慮が単なる「恩恵」や「特別扱い」ではなく、社会的障壁を除去して個々の能力を最大限に引き出すための「環境調整(投資)」であることを確認しました。  第2回となる今回は、雇用契約を結ぶ前段階から入社まで、すなわち「募集・採用」における合理的配慮について考えます。  障害者雇用促進法の改正により、合理的配慮の提供義務は、現に雇用している労働者だけでなく、採用を志望する「応募者」に対しても適用されます。これは、採用選考のプロセス自体に存在する「障壁」を取り除かなければ、障害のある方はスタートラインに立つことさえできないからです。  しかし、法的な義務だからという理由だけで形式的に対応するのでは不十分です。採用活動は、企業が人材を「選ぶ」場であると同時に、応募者から「この会社なら安心して長く働けるか」、「自分を活かせる環境か」を「選ばれる」場でもあります。障害のある方の多くは、自身の特性が理解されるか、必要な配慮が得られるかという強い不安を抱えています。  募集・採用のプロセスそのものを、企業と応募者による最初の「建設的対話」の機会ととらえ、誠実に向き合うこと。それこそが入社後の定着と活躍に向けた信頼関係の礎石となるのです。  以下、募集から採用まで、具体的にどのような配慮や対応をすればよいのか、賛多(さんた)弁護士に相談に来た人事担当者とのQ&A形式でご説明します。 1 募集広告 ―「職務情報の開示」という最初の配慮 Q 人事担当者  求人票の備考欄に「合理的配慮については相談に応じます」と定型文を入れていますが、応募がなかなか集まりません。また、応募があっても、面接で「何ができますか?」と聞くと話が噛み合わず、ミスマッチが起きてしまいます。募集段階ではどのような工夫が必要でしょうか。 A 賛多弁護士  定型的な文言だけでは、応募者は「自分の具体的な困りごとに本当に対処してくれるのか」、「口先だけではないか」という不安を払拭できません。大切なのは、業務内容(ジョブ)の解像度を上げることです。日本の雇用慣行では「詳細は入社後に決定」といった曖昧な記述が散見されますが、これは障害のある方にとって高いハードル(社会的障壁)となります。どのような環境で、どのようなツールを使い、だれと連携して、どのような成果を出す仕事なのか。これら「業務の核心(本質的な職務)」を具体的に提示することが求められます。  例えば、「電話応対あり」とだけ書くのではなく、「1日平均○件、特定の顧客からの注文受付がメイン」、「クレーム対応を含む」あるいは「社内取次のみ」などと具体化します。また、「コミュニケーション能力」という曖昧な言葉を使わず、「チーム内での報告・連絡・相談が頻繁にある」、「マニュアルに沿った正確な伝達が求められる」といい換えます。  そうすることで、聴覚や対人緊張に特性のある方でも「筆談ツールがあれば可能か」、「メール対応への変更は可能か」といった建設的な配慮の申し出が可能になります。曖昧な募集は、双方にとって「障壁」が見えない状態をつくり出し、ミスマッチの原因となります。詳細な職務情報の開示こそが、最初の配慮であり、自社に合った人材を惹きつける鍵なのです。 2 採用面接 ―機会均等のための「建設的対話」 Q 人事担当者  面接では、能力を見きわめるために障害の状況を詳しく聞きたいのですが、プライバシーの侵害にならないか心配です。また、面接当日に緊張でパニックになられた経験もあり、どのように準備し、何を聞けばよいのか悩みます。 A 賛多弁護士  まず「面接の実施方法」自体への配慮が必要です。面接はただでさえ緊張する場面ですが、障害特性によってはその緊張が極度のパフォーマンス低下を招き、本来の能力が見えなくなることがあります。  応募書類などで事前に配慮の希望を確認するとよいでしょう。例えば、聴覚障害の方への筆談や手話通訳の同席、感覚過敏の方への照明の明るさや座席位置(出入り口に近い席など)の調整、対人不安の強い方には、面接官の人数を最小限にする、圧迫感のないレイアウトにする、あるいは慣れた環境から参加できるオンライン面接を活用するなどの柔軟な対応が考えられます。ただし、これらは「下駄を履かせる」ことではなく、入社後に発揮を期待される「真の実力」を見るためです。したがって、評価すべき能力そのものを測定できない形式の配慮や、入社後の職場で許容できない過剰な配慮まで提供するべきではありません。  質問内容については、単に医学的な病名や詳細な症状を根掘り葉掘り聞くことは避けましょう。それは「医療モデル」の視点であり、就労の可否判断に直結しない情報も含まれるため、プライバシーを侵害するリスクをともないます。代わりに「社会モデル」の視点から対話を行ってください。「この業務を遂行するうえで、どのような障壁(困りごと)が想定されますか?」、「どのような配慮があれば、その障壁を乗り越えて力を発揮できますか?」と問いかけるのです。「以前の職場で助かった配慮はありますか?」、「この業務手順だと、どのようなむずかしさがありますか?」といった職場で仕事をすることを起点とした具体的な問いかけは、入社後の現場のマネジメント(建設的対話)のシミュレーションにもなります。 3 事前準備 ―「環境」と「心」のインフラ整備 Q 人事担当者  内定を出したあと、入社日まではどのように過ごせばよいでしょうか。本人は「がんばります」といっていますが、実際の現場に入ってから「やっぱり無理でした」とならないか、また、受け入れる現場社員の負担感も心配です。 A 賛多弁護士  内定から入社までの期間は、物理的な環境だけでなく、現場の「心のバリアフリー」を整える、きわめて重要な準備期間です。  まず本人に対してですが、可能であれば入社前に職場見学や実習(インターンシップ)の機会を設けましょう。実際の執務スペースの広さ、照明の明るさ、周囲の話し声や電話の音、休憩場所やトイレへの動線などを本人に確認してもらいます。物理的な障壁や感覚的な刺激は、図面や言葉の説明だけでは伝わりません。本人が体験して初めて「これなら耐えられる」、「ここにはパーティションが欲しい」といった具体的なニーズが判明します。  次に、受け入れる現場への働きかけです。本人の同意を得たうえで、プライバシーに十分配慮しつつ、必要な配慮事項を管理職や同僚に共有します。この際、「障害があるからやさしくしてあげて」という感情論ではなく、「音に敏感なのでイヤホンをして作業をするが、それは集中して成果を出すための工夫である」、「指示は一度に一つずつメールで行うほうが、ミスがなくなりチーム全体の効率が上がる」といったように、合理的配慮が「組織の生産性を高めるための業務改善」であることを説明してください。現場が配慮を「特別扱い」ではなく「成果を出すための工夫」として理解していれば、本人は歓迎されていると感じ、心理的安全性が高まります。  入社日はゴールではなくスタートです。この事前整備のプロセス自体が、企業の本気度を伝え、長く働くための意欲(エンゲイジメント)を引き出すのです。  次回は、職場定着のための入社以降の合理的配慮について展開します。 (第3回へ続く) 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 事業主のみなさまへ 令和8年度 「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」等申請のお知らせ 〜常用雇用労働者の総数が100人を超えるすべての事業主は障害者雇用納付金の申告義務があります〜  令和8年4月1日から5月15日の間に令和8年度申告申請をお願いします。前年度(令和7年4月1日から令和8年3月31日まで)の雇用障害者数をもとに、  ○障害者雇用納付金等の申告申請を行ってください。  ○障害者の法定雇用率を下回る場合は、障害者雇用納付金を納付する必要があります。  ○障害者の法定雇用率を上回る場合は、障害者雇用調整金の支給申請ができます。 *詳しくは、最寄りの各都道府県支部高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)にお問い合わせください。 JEED 都道府県支部 検索 【申告申請期間】 種別 障害者雇用納付金 障害者雇用調整金 在宅就業障害者特例調整金 申告申請対象期間 令和7年4月1日〜令和8年3月31日 申告申請期間・納付期限 令和8年4月1日〜令和8年5月15日 (注1、注2、注3) (注1)年度の中途で事業廃止した場合(吸収合併等含む)は、廃止した日から45日以内に申告申請(障害者雇用納付金の場合は、あわせて申告額の納付)が必要です。なお、令和8年度中の事業廃止等による申告申請については、制度改正により様式が変更となりますので、期間内に申告申請できるよう、余裕をもって各都道府県申告申請窓口にご相談ください。 (注2)障害者雇用調整金、在宅就業障害者特例調整金は、申請期限を過ぎた申請に対しては支給できません。 (注3)常用雇用労働者の総数が100人以下の事業主が、報奨金の申請を行う場合の申請期限は令和8年7月31日となります。 障害者雇用納付金制度の改正等について (令和7年4月1日施行関係) ■除外率の引下げ  除外率が、各除外率設定業種ごとにそれぞれ10ポイント引き下げられ、令和7年度中の中途廃止、令和8年度申告申請から適用されます。  これまで除外率が10%以下であった業種は除外率制度の対象外となりますので、ご注意ください。 ■特定短時間労働者である障害者の計上について  令和7年3月31日をもって特例給付金の経過措置が終了しました。これにともない、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の重度以外の身体障害者または重度以外の知的障害者である障害者については、常用雇用労働者数および雇用障害者数のカウント対象外となります。 *制度改正の概要についてはJEEDホームページをご覧ください。https://www.jeed.go.jp/disability/seido.html JEEDホームページにて、記入説明書および解説動画をぜひご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/levy_grant_system_about_procedure.html 申告申請の事務説明会にぜひご参加ください。 *全国各地で2〜3月に開催します。 *参加費は無料です。 JEED 納付金 説明会 検索 Q すべての事業主が障害者雇用納付金の申告・納付を行わなければならないのですか? A  障害者雇用納付金の申告義務がある事業主は、常時雇用している労働者の総数が100人を超える月が、申告申請対象期間(令和8年度申告申請では令和7年4月1日〜令和8年3月31日)のうち5カ月以上ある事業主です(注1)。  該当する事業主は、4月1日から5月15日までの申告申請期間内に、電子申告申請システムまたは、本社の所在する都道府県にある当機構(JEED)申告申請窓口(注2)への送付または持参により、前年度(申告申請対象期間)の実績に基づく申告申請書をご提出ください。  障害者雇用納付金の納付が必要となるのは、基準となる障害者雇用率を下回っている事業主となります。  また、この場合の障害者雇用納付金の額は、その「基準となる障害者雇用率(2.5%)に不足する人数」に「月額5万円」を乗じた額となります。  なお、障害者雇用納付金の申告義務がある事業主は、障害者雇用率を達成している事業主(障害者雇用調整金対象事業主)であっても、申告申請書を提出する必要があります。 Q 障害者雇用納付金の納付期限はいつですか? A  障害者雇用納付金の納付期限は、納付金申告書の提出期限と同様に5月15日となります。  なお、納付すべき障害者雇用納付金の額が100万円以上である事業主が、納付金申告書を提出する際に延納の申請をした場合は、次の通り3期に分けて納付することができます。 延納第1期分の納付期限:5月15日 延納第2期分の納付期限:7月31日 延納第3期分の納付期限:11月30日  また、障害者雇用納付金の納付手続きにおいては、電子納付(ペイジー)がたいへん便利です。詳細については、本誌裏表紙をご確認ください。 Q 障害者雇用調整金・報奨金申請時には、どのような添付書類が必要ですか? A  常時雇用している労働者の総数が300人以下で、障害者雇用調整金、報奨金を申請する事業主は、添付書類を提出する必要があります。  具体的には、雇用障害者の障害の種類・程度を明らかにする書類として障害者手帳等の写し、労働時間の状況を明らかにする書類として源泉徴収票(マイナンバーの印字のないもの)等の写しの添付が必要となります。 Q 申告申請関係の書類作成や手続きはパソコンでできますか? A  障害者雇用納付金の申告、障害者雇用調整金、報奨金、在宅就業障害者特例調整金および在宅就業障害者特例報奨金の申請にかかる申告申請書等は、電子申告申請システムで作成・送信が可能です。また、申告申請書とあわせて、添付書類も電子申告申請システムで送信が可能です。令和7年度は全体の83%が電子申告申請となっています。  そのほか、「住所、名称等変更届」、「吸収合併、相続、廃止等届」の作成・送信、電子申告申請用ID・パスワードの新規発行等も、電子申告申請システム上で行うことができます。 令和8年度申告申請のおもな留意点 1.「障害者の雇用の促進等に関する法律」の改正について  障害者雇用納付金制度について定めている「障害者の雇用の促進等に関する法律」が改正されたことにともない、令和8年度申告申請(申告申請対象期間:令和7年4月1日〜令和8年3月31日)においては、令和7年4月1日から、除外率が、各除外率設定業種ごとにそれぞれ10ポイント引き下げられました。令和7年度中の中途廃止、令和8年度申告申請から適用されます。除外率設定業種の事業主におかれましては、ご注意ください。  このほか、令和6年4月1日に特例給付金が廃止され、令和7年3月31日に1年の経過措置が終了しました。これにともない、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の重度以外の身体障害者または重度以外の知的障害者である特定短時間障害者については、常用雇用労働者数および雇用障害者数のカウント対象外となります。なお、重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者である特定短時間障害者については、常用雇用労働者数には含めませんが、雇用障害者数のカウント対象となります(就労継続支援A型事業所の利用者を除く)。  それぞれの変更点について、詳しくは記入説明書をご参照ください。  令和8年度中途に事業廃止・合併等で申告申請する場合は、速やかに本社の所在する都道府県にあるJEED申告申請窓口(注2)へご連絡ください。 2.「電子申告申請システム」について  電子申告申請システムに必要事項を入力すると、法改正の内容も反映して申告申請額が自動計算された申告申請書が作成されます。過年度に電子申告申請システムで作成した申告申請データ(XMLファイル)をお持ちの場合、電子申告申請システムに取り込んで申告申請書を作成することが可能です。作成した申告申請書は、電子申告申請システムを利用して送信できます。  令和7年度は、ほとんどの事業主の方(97%)に電子申告申請システムをご利用いただきました。また、83%の事業主に電子申告申請をしていただきました。 3.法人番号の記入または所得税確定申告書の写し等の提出  法人である事業主にあっては、申告申請書に法人番号をご記入ください。法人番号については、国税庁法人番号公表サイト(https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/)にて確認できます。  また、今回初めて申告申請を行う個人事業主(法人番号を持たない個人事業主以外の事業主を含む)にあっては、個人事業主の実在性確認のため、所得税確定申告書(白色申告書または青色申告書)の写し、または開業届の写しの提出をお願いします(これまでに提出ずみである事業主の場合は、住所や屋号に変更がないかぎり再提出不要です) (注1)年度の中途に事業を開始・廃止した場合(吸収合併等含む)の取扱いは異なりますので、記入説明書をご参照ください。 (注2)JEED各都道府県支部高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)が申告申請窓口となります。 事業主のみなさまへ 障害者雇用納付金 電子申告申請システムのご案内 事業主のみなさまへ URL:https://www.nofu.jeed.go.jp/Nofu_Densi/ 電子申告申請システムトップページ こちらからアクセスできます JEEDホームページトップのバナーからもアクセスできます。 障害者雇用納付金電子申告申請システムの特徴 1 電子申告申請システム(Web)上のフォームに情報を入力して、申告申請書の作成ができます。 2 過去の申告申請書のバックアップデータ(XMLファイル)やCSVファイルを取り込むことができます。 3 電子申告申請用ID・パスワードの発行・変更手続きがWebでできます。 4 添付書類(源泉徴収票や障害者手帳の写し等)の送信ができます。 5 申告申請データ送信後、申告申請書を受けつけた旨やエラー内容等を審査結果メールで通知します。 【P15-18】 グラビア キャリアアップや働きやすい環境づくりで安定雇用を目ざす TBソーテック九州株式会社(佐賀県) 取材先データ TBソーテック九州株式会社 〒849-3217 佐賀県唐津市(からつし)相知町(おうちちょう)長部田(ながへた)1076-5 TEL 0955-62-3722 FAX 0955-51-8113 写真・文:官野 貴  佐賀県唐津市(からつし)にあるTBソーテック九州株式会社は、トヨタ紡織(ぼうしょく)九州(きゅうしゅう)株式会社の子会社で、トヨタ自動車九州株式会社で生産される高級乗用車の座席用のシートカバーを製造している。  トヨタ紡織グループ共通の管理指標に基づく「よい商品をお客さまに届けるため、完璧な製品しか世に出さない」という信念のもと、高い品質が求められる製品の製造工程において障害のある従業員が活躍している。  「ヒーター工程」で働く岡(おか)風花(ふうか)さん(20歳)もその一人。タックガンと呼ばれる工具を使い、シートカバーにヒーターを取りつける工程を担当している。入社2年目の岡さんはスキルアップを目ざし、ミシンを使う「縫製工程」にチャレンジ中だ。岡さんは、「縫製に興味がありました。きれいに縫えてうれしいです」と教えてくれた。  入社10年目の毛利(もうり)千尋(ちひろ)さん(28歳)は、協力会社で製造されたパーツの「開梱」やベルトの「貼付工程」など、複数の工程を担当している。入社後、スキルアップを重ねながら、期間社員、準社員、正社員とキャリアを積んできた。毛利さんは、「正社員になって、やれることも増え自信がつきました。今後もがんばりたいです」と話す。  入社5年目の竹下(たけした)晃平(こうへい)さん(27歳)は、準社員として働き、正社員を目ざしてスキルアップを重ねている。現在は、エンボスパネルの「穴あけ工程」を担当しつつ、裁断されたパーツの「ピックアップ」にもチャレンジ中だ。竹下さんは、「仕事は楽しいです。正社員を目ざしてがんばっています」と、今後の目標を語ってくれた。  同社は、障害のある従業員のキャリアアップをはじめ、写真などで作業手順をわかりやすく説明したマニュアルの作成、トラブルなど困った際に上司を呼び出すボタンの整備といった、働きやすい環境づくりが評価され、2025(令和7)年度に、「障害者雇用優良事業所」として佐賀県知事表彰を受けた。今後も安定雇用に向けた取組みを続けていく予定だという。 写真のキャプション シートカバーにヒーターを取りつける岡風花さん 指定された箇所にタックガンでタックピンを通し、パーツを固定する 作業に使用するタックガン(右)と作業した数をカウントする数取器(左) 岡さんは「縫製工程」にチャレンジしており、指導を受けながらミシンの練習をしている 練習用のパーツを縫いあわせる。まずは基本の直線縫いの練習から 輸送用の段ボールからパーツを取り出す「開梱」にあたる毛利千尋 開梱では、次の工程で作業しやすいように、パーツをボックスに収めることが求められる 毛利さんはアームレストに取りつけるベルトの「貼付工程」も担当している 「貼付工程」で使用する治具には、良品と不良品のサンプルが取りつけられており、作業内容がわかりやすい。右手側には呼び出し用のボタンも見える ベルトの表面生地に芯材などを挟み込み、目印にあわせて貼りつけていく。ユーザーの手が触れる部分でもあり、ていねいに作業を進める 竹下晃平さんは、裁断機で切り出されたパーツの「ピックアップ」にチャレンジ中。不良品のチェックも怠らない ピックアップしたパーツを裁断品置場の棚に格納する。似た形状のパーツが多いため注意が必要だ エンボスパネルと呼ばれるパーツに、次の工程で使用する位置あわせ用の穴をあける「穴あけ工程」。ズレがあると品質に影響があるため慎重に作業する エンボスパネルの「穴あけ工程」にあたる竹下さん。慎重ながらもスピーディーに、そしてリズミカルに作業を進めていく 【P19】 エッセイ 障がいのある人が働きやすくなるヒントと考え方 第2回 障がい者製品の販路と“正義”の拡大 放送作家・ライター 姫路(ひめじ)まさのり  放送作家として、数多くのテレビ・ラジオ番組の制作をにない、ライターとして、新聞や雑誌、ウェブメディアで記事を執筆。同時に、ダウン症をはじめ、自閉症などの障がい、HIV・AIDSなどの支援事業にたずさわり、当事者の声を取材。執筆や講演活動を通し、その思いを伝える。  著書に『ダウン症で、幸せでした。〜10年追いかけて分かった幸福の秘密』(東京ニュース通信社・講談社、2025年)、『障がい者だからって、稼ぎがないと思うなよ。〜ソーシャルファームという希望』(新潮社、2020年)などがある。 障がいのある方がつくる商品は多種多様!  おかげさまで、福祉関連のイベントにお招きいただく機会も増えるなか、会場のお店を回るたびに、販売アイテムの良質さに驚かされます。あるとき、タイルの上に色鮮やかなガラスを並べ、サンタやツリーを彩ったオブジェを発見。雑貨屋で買い求めれば3000円に届きそうな物が、なんと300円! お店の人に「安すぎません?」とたずねると、「障がいのある子ががんばってつくったんです」という言葉が返ってきました。  障がいのある方がつくる商品は、かつては「授産品」と呼ばれ、パンやクッキーというイメージもありました。しかしいまや、多種多様、かつ品質もよくなっている印象を受けます。  そんな状況も手伝い、多くの施設から相談を受けるのが、「どうしたらもっと売れますか?」という「販路の拡大」の問題です。せっかくの商品も、おもにご家族やバザーなどでの販売に留まり、認知が広まらずに悩む人も多いようです。 障がい者雇用プラスアルファの“正義”  数年前、障がいのある方が製造・販売にかかわる商品のコンテストの審査員を仰せつかりました。全国から応募があったなかには、海岸で回収したプラスチックを洗浄、加工してつくられたアクセサリー、使わなくなった風呂敷や衣服などの端布を裁縫し直したエコバッグなど、その発想に目を丸くする物ばかり。同時に気づいたのは、いずれもがSDGsも含め、「二つ以上の社会課題」と向き合っている事実でした。海洋資源の保護と障がい者雇用。衣服の再利用と障がい者雇用。顕著たる例が、みなさんもご存じの「農福連携」でしょう。農業のにない手を生み出すという、もう一つの“正義”が加わることで、地域の理解や協力も得やすいという側面があるように思います。 しんどいのは障がい者だけじゃない…  以前、滋賀県で20年以上、クッキーやお菓子の販売を続け、年商2億円を達成したこともある「がんばカンパニー」の中崎(なかざき)ひとみさんから、こんな言葉を聞いたことがあります。  「感じているのは、障がい者の雇用だけで世論を動かすのはむずかしいっていう現実です。私は親の介護で、私はワーキングプアで、シングルマザーで……と、しんどいのは障がい者だけじゃないって声をよく聞きます」  その言葉通り、いま障がい者製品の販路拡大に求められている傾向は、“正義の拡大”なのだと感じています。 地域の困りごとを障がい者雇用で解決  私は、数年前に「ソーシャルファーム」をテーマにした本を書かせていただきました。ソーシャルファームとは、「どうしたら利益を上げられるか」というビジネスの視点を取り入れ、一般企業と競争できる事業を展開する取組みです。1970年代のイタリアで、精神科病院の患者と職員らが協力し、レストランやカフェをつくったのが始まりとされています。そうした成り立ちから、障がい者雇用の施策ととらえられがちですが、引きこもりの人や高齢者から出所者まで、“働きたくても働けない人”をターゲットとしており、実態は数多くの社会問題解決をテーマに掲げているのです。  そう聞くと、「えらく大層な話だな…」と敬遠される読者の方もいるかもしれません。でも、例えば「地域の困りごとを聞く」ということから始められてはいかがでしょうか? 商店街の人に、「何か困っていることはありませんか? 手が回らないことはありませんか?」と聞けば、さまざまな回答があるはずです。実際、ある商店街のパン屋さんに同様の提案をしたところ、「バケットもつくりたいけど、時間がかかるから手が回らない」と聞かされ、パンづくりをしたい障がいのある女性が、バケットづくりを手伝い始めた、という事例もあります。  「共感の拡大」のために、“障がいプラスアルファ”の連携が求められるいまの時代。「地域の困りごとを障がい者雇用で解決する」。そんな目線で見つめ直してみると、あちこちにアイデアが転がっている気がしませんか? ★本誌では通常「障害」と表記しますが、姫路まさのりさんのご意向により「障がい」としています 【P20-25】 編集委員が行く 新たな挑戦を続ける企業現場から学ぶ! SOMPOチャレンジド株式会社新宿オフィス(東京都)、ヤマトシステム開発株式会社晴海本社(東京都) サントリービバレッジソリューション株式会社 人事本部 副部長 平岡典子 取材先データ SOMPOチャレンジド株式会社 新宿オフィス 〒160-8338 東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル TEL 0422-56-4198(代表) FAX 0422-56-1472 *電話・FAX番号は、SOMPOチャレンジド株式会社本社の番号となります ヤマトシステム開発株式会社 晴海本社 〒104-6134 東京都中央区晴海1-8-11 晴海アイランドトリトンスクエア オフィスタワーY棟 TEL 03-6333-0100(代表) 平岡典子 編集委員から  今回は、新たな挑戦を続ける障がい者雇用の現場2社を取材させていただきました。取材を通して、たくさんの素敵な方に出会うことができました。だれもが活躍できる職場づくりに奮闘する人、挑戦を重ねて夢をかなえた人、新たなチャレンジを自信につなげている人、環境の変化を成長につなげている人、働く人がイキイキと輝く現場の空気感を少しでもお伝えできればうれしいです。私自身も、挑戦し続ける勇気をもらえた取材でした。 Keyword:特例子会社、社内留学制度、AI、キャリア形成、テレワーク、挑戦、成長 POINT 1 社内留学制度でキャリアが拡がる職場 2 完全テレワークで離職ゼロの職場 3 挑戦→成長→自信の好循環を生み出す職場  今回、SOMPOチャレンジド株式会社(以下、「SOMPOチャレンジド」)とヤマトシステム開発株式会社(以下、「ヤマトシステム開発」)の2社の特徴的な取組みを紹介します。障がい者雇用の現場をつくる13名のみなさま、現場で活躍する7名のみなさまへインタビューさせていただきました。 SOMPOチャレンジドの挑戦と成長を力に 〜雇用の質向上へのチャレンジ〜  障がい者雇用の現場で、社員一人ひとりの挑戦を後押しする企業を紹介します。今回訪問したのは、SOMPOホールディングス株式会社の特例子会社として2018(平成30)年に設立されたSOMPOチャレンジド。同社は2025(令和7)年、経営理念を刷新し、社員のキャリア形成を支える制度を積極的に導入しています。  今回の取材では、SOMPOチャレンジド代表取締役社長の榎本(えのもと)恭子(きょうこ)さん、続いて、社内留学制度を活用して夢を実現した鈴木(すずき)さん、鈴木さんの上司の宇野(うの)明光(あきみつ)さん、グループ障害者活躍支援室の武藤(むとう)圭子(けいこ)さんにお話をうかがいました。 経営理念に込めた思い 榎本恭子さん 2025年、当社は経営理念であるミッション・ビジョン・バリューを刷新しました。前年にSOMPOグループのパーパスが再言語化されたことを受け、そのパーパスの実現に向けて、私たちはどのような貢献ができるかを考え、社員アンケートやメンバー(障害のある社員)座談会を通じて、社員の声を反映した新しい理念をつくりました。  新しいビジョンには『挑戦と成長を力に』という言葉を掲げました。これを全員の共通言語として浸透させ、各現場で“多様な挑戦と成長”が生まれてくることを大切にしていきたいと考えています。  私は、社長就任時からメンバー全員との座談会を実施しています。特例子会社は多様性にあふれていますので、その一人ひとりの力を活かしたいと考え、座談会は部署横断で5〜8名のメンバーと行っています。ざっくばらんな雰囲気でいろいろな話をしますが、一人ひとりのメンバーがとても熱い思いを持って、挑戦し成長していることや、座談会を通じて新たなメンバー同士のつながりができていることを知ると、とてもうれしい気持ちになります。私自身はハブとなり、メンバー同士がつながり、支え合う文化をつくることが大切だと考えています。  また、キャリア形成を支える制度として、「社内留学制度」や「ジョブローテーション制度」があります。後ほど紹介する鈴木はこの制度を活用し挑戦を続けていますが、取り組む内容の規模にかかわらず“一人ひとりの各現場での挑戦と成長”を尊重しています。  一つの事例ですが、従来は指導者層が担当していた朝礼の司会やマニュアル作成をメンバーがになうようになりました。各職場でメンバーが主体的に考え、実行できるようになる。その一つひとつの挑戦と成長を大切にしていきたいと考えています。 社内留学制度で広がったキャリア 鈴木さん(以下、「鈴木」) 私は、2020年に学校を卒業して入社しました。最初はメールセンターで郵便物の仕分けを担当していましたが、ずっと“パソコンを使った仕事がしたい”という思いがありました。 平岡編集委員(以下、「平岡」) その思いをかなえたのが、社内留学制度ですね。 鈴木 そうです。入社して2年目にすぐ手をあげました。最初の留学先は日本橋の事務サポートグループ。業務内容がまったく違っていて、すごく新鮮でした。 平岡 その後も挑戦を続けたのですね。 鈴木 はい、西東京、現在所属している新宿、池袋の各事務サポートグループと、これまで4回社内留学制度を活用しました。PDF処理やエントリー業務、スキャン業務など、さまざまな仕事を経験しました。最初は不安もありましたが、やってみると楽しかったです。 平岡 挑戦を重ねて、どんな変化がありましたか? 鈴木 業務のつながりがみえるようになったことで、メールセンターでやっていた仕事が、別の部署でどう処理されるのか理解できて、視野が広がりました。 平岡 資格取得にも挑戦されているとか。 鈴木 はい、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)のWordを取得して、いまはExcelの応用編を勉強中です。資格は人を豊かにすると思うので、これからも続けたいです。 平岡 社内留学で新たな方とかかわることも多いと思いますが、心がけていることはありますか? 鈴木 挨拶をとても大事にしています。元気よく気持ちのいい挨拶をすることです。 平岡 鈴木さんはマニュアルづくりにも挑戦しているとうかがいました。 鈴木 メールセンターにはメンバー向けのマニュアルがなかったのでつくることになり、ほかのメンバーにも聞きながら完成することができました。その後もスポット業務や実習生用のマニュアルづくりにも挑戦しました。マニュアルをつくるときはだれにでもわかるような内容にすることを心がけています。 平岡 鈴木さんはこのマニュアルづくりのことをイキイキと話されていますね。この挑戦によって、自信を持ち、誇りに思っているように感じました。 鈴木 自分にとって社内留学での経験もそうですが、マニュアルづくりの経験も、自信になっていると思います。 平岡 最後に将来の目標は? 鈴木 ジョブインストラクター(※1)補佐になりたいです。さらに先には、指導する立場になって、メンバーを支えたいと思っています。  鈴木さんは、短期留学と6カ月間の長期留学を重ねたうえで、正式に2025年10月にオフィスサポート業務から事務サポート業務の部署への異動を実現し、“パソコンを使った仕事をしたい”という一つの夢を実現しました。 いい仕事賞の受賞 宇野明光さん 鈴木の挑戦は、社内でもとても高く評価されています。マニュアル作成やスポット業務の調整など、主体的に取り組んで大きく貢献してくれました。その成果として、6月には『いい仕事賞』(※2)を受賞しました。  鈴木は中学卒業後からパソコン教室に通い始め、いまも学び続けています。夢の実現に向けて努力し続ける姿勢は、周囲にもよい影響を与えています。「挑戦する姿勢」が職場全体に前向きな空気を広げていると感じます。 社内留学制度について 平岡 鈴木さんが活用された社内留学制度の詳細について教えてください。 武藤圭子さん(以下、「武藤」) 社内留学制度は2020年11月に始まりました。きっかけは、社内「アイデア企画」でのチームリーダー(現ジョブインストラクター)からの提案でした。設立3年目に入り、組織の活性化と定着率向上を目ざすなかで、「メンバーの挑戦を後押しする仕組みが必要だ」という声を形にしました。  制度の目的は三つ @メンバーの定着。働く意欲を高めること。 Aメンバーの成長。挑戦意欲を引き出し、やる気をかき立てること。 B業務理解。ほかのチームの仕事を知ることで、視野を広げること。  留学の形式には、短期留学(3〜5日間)と長期留学(6カ月間)の2種類があります。直近の実績としては、2024年度は35名、2025年度は47名が留学しました。短期留学、長期留学を経て、実際にジョブローテーション制度で異動がかなったメンバーも6名います。この制度を通じて、メンバーが“やってみたい”という気持ちを形にできるようになったことが、一番の成果だと考えています。 グループ全体とのかかわり 平岡 すばらしい取組みをされているSOMPOチャレンジドとグループ会社社員とのかかわりについて教えてください。 武藤 SOMPOグループでは、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の理解促進・実現に向けて全社で取り組んでいます。今年度は、10月から2月にかけて「SOMPO DEI Days 2025」がグループ横断で開催されました。その一環として、当社では新宿本社の社員食堂で、6店の就労継続支援B型事業所に出店いただいてマルシェを開催し、当日は大盛況となりました。  また、日常業務においても、メンバーはおもな業務委託元である損害保険ジャパン株式会社の社員と、メールセンターやデリバリーセンター業務、社員食堂やリモートワークスペースの机上清掃などを通じて頻繁に交流しています。委託元の社員から寄せられる感謝やねぎらいの言葉は、メンバーにとって大きなやりがいとなっています。さらに、「メンバーの挨拶励行の姿勢から学ばされた」という声をいただくこともあり、私たちにとって非常にうれしい瞬間です。 今回の取材を通して  『挑戦と成長を力に』というビジョンが、働くメンバ―、働く現場のなかに根づいていることを実感しました。障がいのあるメンバーの可能性を信じ、挑戦を後押しする。個人の挑戦と成長が組織の成長につながっている会社がSOMPOチャレンジドだと感じました。 ヤマトシステム開発の「稼ぐチーム」と「支えるチーム」という二つの柱  続いて紹介するのは、大手物流企業ヤマトホールディングス株式会社の事業会社としてIT部門をになう、ヤマトシステム開発における障がい者雇用の取組みです。 人事戦略部長の天羽(あもう)清美(きよみ)さん 当社の特長は、精神・発達・身体障がいのある方が中心となり、完全テレワークで働く「稼ぐチーム」と、知的障がいのある方が中心となり毎日出社してオフィスワークをになう「支えるチーム」という、対照的なスタイルを持つ二つのチームが存在する点にあります。どちらも単なる補助業務ではなく、一人ひとりが活躍し主体的に業務へ向き合う組織づくりを重視。AI活用を含め、新しい知識の習得や業務効率化にも積極的にチャレンジしています。 完全テレワークで離職者ゼロの「稼ぐチーム」WSSチームの取組み システム部の粟田(あわた)智(さとし)さん 〇通勤・対面が苦手な方でも活躍できる環境を  完全テレワークで働くWSS(※3)チームは2018年に発足して以来、離職者はゼロ。現在は11名が在籍しています。  WSSチームが社内から受注する業務はすべて「作業時間」を単位として依頼部署に請求(経費計上)されるため、各自の高い品質へのこだわりとコスト意識が問われます。お手伝いだけではなく「稼ぐ」チームであり続けるのが目標です。このことは、よりいっそう社内の役に立っているというWSSチームメンバーたちの満足感につながっています。定期的なアンケートでもメンバーの満足度が高く、通勤や対面コミュニケーションにともなうストレス、感染症リスクの軽減などがメリットとして多くあがっています。一人ひとりが自身のペースで業務に集中できることで成果が安定し、社内からの依頼内容も高度化しています。AI活用を含め、メンバーの成長がその原動力となっています。 システム部の杉山(すぎやま)佳光(よしみつ)さん 〇ていねいなオンラインコミュニケーションで支援  依頼業務は、手順書の作成や画面共有による説明など、わかりやすさを重視してコミュニケーションをていねいに行っています。  また、週1回20分の面談で進捗や不明点、業務手順の理解度を確認。体調面も含めたフォローを行うことが、安心して働ける環境づくりにつながっています。  一方で、メンバー同士の横のつながりが生まれにくい課題もあります。そのためチームミーティングを設け、コミュニケーションの活性化につなげています。 システム部の大形(おおかた)利裕(としひろ)さん 〇毎年「学びの目標」を設定し成長を後押し  WSSチームでは個々の成長を目ざし、毎年「学びの目標」を設定。業務の高度化が進むなか、新たな資格取得やスキル向上に主体的に取り組めるよう支援しています。 WSSチームメンバーインタビュー WSSチームの松尾(まつお)和幸(かずゆき)さん 〇「お互いさま」の心で仕事に向き合う  バディユニット(後出)からWSSチームへ異動し活躍中の松尾さんが大切にしているのは“お互いさま”の気持ち。就労が安定しているため、急ぎの案件や他メンバーのフォローも安心して任せられると杉山さんも信頼を寄せています。 WSSチームの堀(ほり)裕美(ひろみ)さん 〇「がんばる」と「無理をする」は違う  前職では無理をし続けていました。しかし現職では、「がんばる」と「無理をする」は違うという気づきから安定した就労ができています。自分の長所も見つけていただき、安心して働くという職場環境の選択肢を与えてくれた会社には感謝しています。自身の成長に向き合いながら、会社へ貢献していきたいです。杉山さんからお休みの方の対応や納期の短い新しい業務をいただくこともありますが、期待に沿った仕事ができるようにがんばりたいと思っています。 オフィスの中心で活躍する「支えるチーム」バディユニットの取組み 人事戦略部バディユニット長の大橋(おおはし)正寛(まさひろ)さんと、同ユニットの眞ア(まさき)道子(みちこ)さん 「バディユニット」は20年以上の歴史がある人事戦略部内で独立ユニットとして組織化されているチームです。当初はオフィス補助業務(清掃業務)が中心でしたが、近年は関連部署と連携し、従来の業務に加えてパソコン作業やAI活用も推進しています。  新規の業務依頼については、依頼元部署の担当者に対して不明点の確認や改善提案をメンバー自身が行うなど、主体的に業務を運用しています。おもに特別支援学校卒のメンバーを採用、人事戦略部内での業務経験を通じて育成し、最終的に現場部門に異動・活躍していただくようなキャリア支援・成長を目ざしています。 バディユニットメンバーインタビュー 入社15年目の田中(たなか)佐季(さき)さん 〇仕事のやりがい  さまざまな業務に対応できるようになり、納期より早く仕上げられることも増えました。「ありがとう」や「助かりました」といっていただけることがとてもうれしいです。 〇自らパソコン教室へ通いスキルアップ  スキルを身につけるためパソコン教室で学習しています。いまでは自信を持って業務に向き合えています。最初のころは人見知りで自分から話しかけることもむずかしかったのですが、少しずつ慣れてきていまはフレンドリーな雰囲気で、ストレスなく仕事ができています。困ったときはすぐに聞くことができますし、楽しい毎日を過ごせていて、とてもありがたいと思っています。  田中さんは、やわらかい笑顔で周囲を包み込んでくれる温かさを感じる素敵な方でした。 入社6年目の斉藤(さいとう)陸人(りくと)さん 〇得意な仕事  エクセル業務が得意で、仕事を通してスキルアップしています。細部までていねいにチェックしてミスやもれのないように気をつけています。 〇最近うれしかったこと  人事部全体の社員旅行の企画チームに入って、最初から最後までやり遂げることができて達成感がありました。参加したみなさんが喜んでくださったことがとてもうれしかったです。 〇挑戦が大事  最初から苦手意識を持たず、何事にも挑戦することが大事だと思います。挑戦してできたことで自分にも自信がついたと思います。  斉藤さんは、とても落ち着いた雰囲気で、ていねいに言葉を紡ぎ、時おり微笑みながらお話をしてくださいました。 入社13年目の宮川(みやがわ)峻佑(しゅんすけ)さん 〇好きな仕事  カフェやエントランスの清掃が好きです。会議室の清掃もやりがいを感じます。ホワイトボードの落ちにくい汚れには苦労します。いつも気持ちのよい挨拶を大切に仕事に取り組んでいます。 〇これから働く人へ  一緒に働くみんなと仲よくすることが大事です。  宮川さんは少し緊張されていましたが、思いをしっかりと言葉にして伝えてくださいました。その後、清掃業務の様子をみせていただきましたが、手順に沿ったていねいな仕事ぶりが印象的でした。 バディユニットはオフィスの中心で輝く  次にバディユニットのみなさんが働く職場を見学させていただき、驚いたことが二つ。広いオフィスのちょうど中心に席があり、ほかの社員ともフラットなコミュニケーションができる環境でした。また、毎日の席をビンゴマシーンで決める取組みがあり、自然な交流やメンバー間の関係構築をうながすユニークな工夫が印象的でした。 個人の挑戦を組織の活力に  ヤマトシステム開発の障がい者雇用の現場を取材して印象的だったのは、「稼ぐチーム」と「支えるチーム」というまったく異なる働き方で構成された二つの組織が、互いに補完しながら会社のなかでたしかな存在感を放っていることです。  だれもが活躍できる組織をつくろうと挑戦する人々の姿勢が、障がいのある社員の挑戦を後押しし、新しい業務や技術への積極的なチャレンジを生み出しているということ。その積重ねが成長と自信につながり、職場でイキイキと活躍する好循環を形成しているのだと実感しました。 2社の取材をふり返って  今回2社の取材を通して共通していたのは「一人ひとりの強みを信じ、それを伸ばそうとする姿勢」です。社員が主体的に挑戦できる環境が整っているからこそ、組織としての活力が生まれていると、取材を通してその空気感が肌で感じられました。  自分の仕事がだれかの役に立っていること、組織に貢献できていることを実感できる職場では、一人ひとりから前向きなエネルギーがあふれ、自然とよい雰囲気が醸成されていきます。こうした環境づくりこそが、企業の障がい者雇用において非常に重要であると強く感じました。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、平岡委員の意向により「障がい」としています ※1 ジョブインストラクター:職場の指導者 ※2 いい仕事賞:社内表彰制度の一つで、経営理念に準じた行動を表彰するもの ※3 WSS:Work Style Support(ワークスタイルサポート)の略 写真のキャプション SOMPOチャレンジド株式会社代表取締役社長の榎本恭子さん 業務第二部新宿事務サポートグループの鈴木さ 業務第二部新宿事務サポートグループ、グループリーダーの宇野明光さん SOMPOチャレンジド株式会社グループ障害者活躍支援室の武藤圭子さん 鈴木さんは、パソコンスキルを業務で活用している 鈴木さんが以前働いていたメールセンターも見学させていただいた 鈴木さんが作成したマニュアルの一例(写真提供:SOMPOチャレンジド株式会社) 鈴木さんは、その働きぶりが評価され2025年6月に「いい仕事賞」を受賞している(写真提供:SOMPOチャレンジド株式会社) ヤマトシステム開発株式会社事業推進本部システム部の粟田智さん ヤマトシステム開発株式会社デジタル管理本部人事戦略部長の天羽清美さん ヤマトシステム開発株式会社のエントランス 事業推進本部システム部の堀裕美さん(写真提供:ヤマトシステム開発株式会社) 事業推進本部システム部の松尾和幸さん(写真提供:ヤマトシステム開発株式会社) 事業推進本部システム部の大形利裕さん 事業推進本部システム部の杉山佳光さん(写真提供:ヤマトシステム開発株式会社 WSSチームのみなさんにはオンライン会議アプリでお話をうかがった 人事戦略部バディユニット長の大橋正寛さん 人事戦略部バディユニットの眞ア道子さん バディユニットの田中佐季さん バディユニットの斉藤陸人さん バディユニットの宮川峻佑さん バディユニットのみなさんが働くエリアは、フロアの中心に設けられている 【P26-27】 省庁だより 令和7年 障害者雇用状況の集計結果A (令和7年6月1日) 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 1 民間企業における雇用状況 ◎産業別の状況(27ページ第4表)  産業別にみると、雇用されている障害者の数は、「農、林、漁業」以外の業種で前年よりも増加した。産業別の実雇用率では、「医療、福祉」(3.02%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(2.54%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(2.54%)、「複合サービス事業」(2.54%)が法定雇用率を上回っている。 2 公的機関における在職状況(第3表(1)〜(4)) (1)国の機関(法定雇用率2・8%)  国の機関に在職している障害者の数は1万595.5人で、前年より1.6%、167.5人増加している。実雇用率は3.04%と、前年に比べ0.03ポイント低下(※1)した。国の機関は44機関中44機関が達成。 (2) 都道府県の機関(法定雇用率2.8%)  都道府県の機関に在職している障害者の数は1万1375.0人で、前年より3.1%、344.5人増加している。実雇用率は3.03%と、前年に比べ0.02ポイント低下(※1)した。知事部局は47機関中46機関が達成(現時点において、未達成であった1機関も達成済みとなっている。)、知事部局以外は120機関中102機関が達成。 (3)市町村の機関(法定雇用率2.8%)  市町村の機関に在職している障害者の数は3万9142.0人で、前年より4.6%、1708.5人増加しており、実雇用率は2.69%と、前年に比べ0.06ポイント低下(※1)した。2470機関中1716機関が達成。 (4) 都道府県等の教育委員会(法定雇用率2.7%)  都道府県等の教育委員会に在職している障害者の数は1万8550.5人で、前年より4.7%、831.5人増加している。実雇用率は2.31%(都道府県教育委員会は2.31%、市町村教育委員会は2.30%)と、前年に比べ0.12ポイント低下(※1)した。都道府県教育委員会は47機関中14機関が達成、市町村教育委員会は47機関中26機関が達成。 3 独立行政法人等における雇用状況(26ページ第3表(5))  独立行政法人等(法定雇用率2.8%)に雇用されている障害者の数は1万4120.0人で、前年より5.2%、701.0人増加している。実雇用率は2.67%と、前年に比べ0.18ポイント低下(※1)した。独立行政法人等(国立大学法人等を除く)は94法人中72法人が達成、国立大学法人等は85法人中49法人が達成、地方独立行政法人等は198法人中128法人が達成。 ★本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています ※1 昨年比で除外率が10ポイント下がっていることの影響による低下を含む ※2 前号(2026年3月号)の「令和7年障害者雇用状況の集計結果@」はこちらからもご覧いただけます。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/book/hiroba_202603/index.html#page=28 【第3表】国、地方公共団体における在職状況 (1)国の機関(法定雇用率2.8%) @法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数 A障害者の数 B実雇用率 C法定雇用率達成機関の数/機関数 D達成割合 計 348,781.0人 (339,750.0人) 10,595.5人 [9,001人] (10,428.0人) 3.04% (3.07%) 44/44 (43/44) 100.0% (97.7%) ※[ ]内は、実人員。以下同じ。 (2)都道府県の機関(法定雇用率2.8%) @法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数 A障害者の数 B実雇用率 C法定雇用率達成機関の数/機関数 D達成割合 計 375,748.0人 (361,319.0人) 11,375.0人 [9,083人] (11,030.5人) 3.03% (3.05%) 148/167 (150/168) 88.6% (89.3%) (3)市町村の機関(法定雇用率2.8%) @法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数 A障害者の数 B実雇用率 C法定雇用率達成機関の数/機関数 D達成割合 市町村の機関 1,456,454.5人 (1,363,140.5人) 39,142.0人 [31,337人] (37,433.5人) 2.69% (2.75%) 1,716/2,470 (1,769/2,488) 69.5% (71.1%) (4)都道府県等の教育委員会(法定雇用率2.7%) @法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数 A障害者の数 B実雇用率 C法定雇用率達成機関の数/機関数 D達成割合 計 803,974.0人 (728,083.5人) 18,550.5人 [14,847人] (17,719.0人) 2.31% (2.43%) 40/94 (50/93) 42.6% (53.8%) (5)独立行政法人等における雇用状況(法定雇用率2.8%) @法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数 A障害者の数 B実雇用率 C法定雇用率達成機関の数/機関数 D達成割合 計 528,687.5人 (471,294.0人) 14,120.0人 [11,368人] (13,419.0人) 2.67% (2.85%) 249/377 (285/373) 66.0% (76.4%) 注1 (1)〜(4)の各表の@欄の「法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数」とは、職員総数から除外職員数及び除外率相当職員数(旧除外職員が職員総数に占める割合を元に設定した除外率を乗じて得た数)を除いた職員数である。 注2 (5)の@欄の「法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数」とは、常用労働者総数から除外率相当数(対象障害者が就業することが困難であると認められる職種が相当の割合を占める業種について定められた率を乗じて得た数)を除いた労働者数である。 注3 各表のA欄の「障害者の数」とは、身体障害者、知的障害者及び精神障害者の計である。法令上、重度身体障害者及び重度知的障害者については、1人を2人に相当するものとしてダブルカウントを行い、重度以外の身体障害者及び知的障害者である短時間労働者並びに重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である特定短時間労働者については、1人を0.5人に相当するものとして0.5カウントとしている。  ただし、重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である短時間労働者については、1人を1カウントしている。 注4 法定雇用率2.7%が適用される機関とは、都道府県の教育委員会及び一定の市町村の教育委員会である。 注5 ( )内は、令和6年6月1日現在の数値である。 注6 「独立行政法人等」とは、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令別表第2の第1号から第8号まで、「地方独立行政法人等」とは、同令別表第2の第9号及び第10号までの法人を指す。 注7 特例承認・特例認定や各機関における法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数の変化等により機関数は変動する。 【第4表】産業別の雇用状況 区分 @企業数 A法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数(注1) B障害者の数 A.重度身体障害者及び重度知的障害者(注3) B.重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である短時間労働者(注3) C.重度以外の身体障害者、知的障害者及び精神障害者(注3) D.重度以外の身体障害者及び知的障害者である短時間労働者(注3) E.重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である特定短時間労働者(注3) F.計A×2+B+C+(D+E)×0.5(注2) G.うち新規雇用分(注4) C実雇用率F÷A×100 D法定雇用率達成企業の数 E法定雇用率達成企業の割合 産業計 企業 120,467 (117,239) 人 29,210,526.0 (28,162,399.0) 人 131,865 (130,135) 人 56,620 (54,411) 人 355,741 (336,004) 人 38,811 (39,558) 人 18,227 (13,995) 人 704,610.0 (677,461.5) 人 75,079.5 (71,875.5) % 2.41 (2.41) 企業 55,434 (53,875) % 46.0 (46.0) 農、林、漁業 企業 528 (488) 人 47,833.0 (46,319.0) 人 153 (185) 人 49 (56) 人 640 (624) 人 62 (63) 人 22 (15) 人 1,037.0 (1,089.0) 人 89.5 (91.5) % 2.17 (2.35) 企業 256 (257) % 48.5 (52.7) 鉱業、採石業、砂利採取業 91 (75) 12,315.0 (10,645.5) 66 (55) 5 (5) 129 (125) 5 (3) 0 (1) 268.5 (242.0) 19.0 (18.0) 2.18 (2.27) 45 (40) 49.5 (53.3) 建設業 6,516 (5,579) 1,033,106.0 (891,418.5) 5,061 (4,720) 626 (549) 9,703 (8,812) 273 (241) 130 (98) 20,652.5 (18,970.5) 1,834.5 (1,495.0) 2.00 (2.13) 2,837 (2,652) 43.5 (47.5) 製造業 27,118 (27,328) 7,100,555.5 (7,120,821.5) 37,799 (38,087) 4,176 (3,989) 90,237 (86,794) 2,922 (2,948) 941 (716) 171,942.5 (168,789.0) 13,143.0 (12,526.5) 2.42 (2.37) 14,612 (14,183) 53.9 (51.9) 電気・ガス・熱供給・水道業 279 (284) 209,614.5 (209,207.5) 1,321 (1,281) 63 (67) 2,599 (2,521) 21 (16) 11 (9) 5,320.0 (5,162.5) 266.0 (318.5) 2.54 (2.47) 124 (118) 44.4 (41.5) 情報通信業 7,126 (7,063) 1,863,626.0 (1,839,544.5) 8,483 (8,430) 1,131 (1,065) 19,968 (18,228) 269 (282) 251 (200) 38,325.0 (36,394.0) 4,432.5 (4,569.0) 2.06 (1.98) 2,028 (1,893) 28.5 (26.8) 運輸業、郵便業 9,012 (8,164) 1,836,817.5 (1,616,259.0) 8,156 (7,812) 1,949 (1,847) 22,618 (20,989) 1,616 (1,615) 743 (625) 42,058.5 (39,580.0) 3,742.0 (3,314.0) 2.29 (2.45) 4,382 (4,294) 48.6 (52.6) 卸売業、小売業 17,770 (17,718) 4,413,986.0 (4,408,787.5) 16,621 (16,463) 9,157 (9,252) 54,430 (52,367) 7,315 (7,883) 5,256 (4,208) 103,114.5 (100,590.5) 10,591.5 (10,116.0) 2.34 (2.28) 6,777 (6,500) 38.1 (36.7) 金融業、保険業 1,505 (1,493) 1,105,703.0 (1,106,385.0) 6,120 (6,173) 653 (591) 13,702 (12,963) 297 (292) 184 (135) 26,835.5 (26,113.5) 2,509.5 (2,361.0) 2.43 (2.36) 591 (516) 39.3 (34.6) 不動産業、物品賃貸業 2,361 (2,318) 566,993.5 (523,376.5) 2,243 (2,048) 757 (658) 6,155 (5,344) 525 (471) 303 (209) 11,812.0 (10,438.0) 1,432.5 (1,302.5) 2.08 (1.99) 802 (730) 34.0 (31.5) 学術研究、専門・技術サービス業 4,590 (4,389) 1,535,057.0 (1,438,895.0) 6,580 (6,392) 2,184 (2,026) 18,596 (16,943) 1,569 (1,585) 1,041 (762) 35,245.0 (32,926.5) 3,928.0 (3,599.5) 2.30 (2.29) 1,563 (1,432) 34.1 (32.6) 宿泊業、飲食サービス業 3,645 (3,545) 858,381.5 (825,715.0) 2,829 (2,820) 2,627 (2,428) 9,574 (9,200) 2,684 (2,689) 1,478 (1,064) 19,940.0 (19,144.5) 2,593.5 (2,568.5) 2.32 (2.32) 1,608 (1,585) 44.1 (44.7) 生活関連サービス業、娯楽業 3,244 (3,224) 514,134.0 (503,833.0) 2,162 (2,162) 1,399 (1,287) 6,527 (6,238) 1,072 (1,076) 579 (402) 13,075.5 (12,588.0) 1,465.0 (1,239.5) 2.54 (2.50) 1,360 (1,315) 41.9 (40.8) 教育、学習支援業 2,656 (2,556) 571,126.0 (535,617.5) 2,269 (2,231) 855 (780) 4,856 (4,593) 385 (380) 214 (149) 10,548.5 (10,099.5) 1,392.0 (1,241.0) 1.85 (1.89) 846 (849) 31.9 (33.2) 医療、福祉 20,839 (19,950) 3,549,963.0 (3,236,935.5) 14,486 (14,244) 23,536 (23,110) 45,260 (42,666) 14,659 (15,024) 4,059 (3,127) 107,127.0 (103,339.5) 16,010.5 (15,734.5) 3.02 (3.19) 11,537 (11,624) 55.4 (58.3) 複合サービス事業 872 (890) 284,743.5 (287,957.5) 1,347 (1,367) 933 (693) 3,291 (3,303) 467 (397) 183 (120) 7,243.0 (6,988.5) 809.5 (579.0) 2.54 (2.43) 368 (362) 42.2 (40.7) サービス業 12,315 (12,175) 3,706,571.0 (3,560,681.0) 16,169 (15,665) 6,520 (6,008) 47,456 (44,294) 4,670 (4,593) 2,832 (2,155) 90,065.0 (85,006.0) 10,821.0 (10,801.5) 2.43 (2.39) 5,698 (5,525) 46.3 (45.4) 注 前号掲載(※2)の第1表と同じ 【P28-29】 研究開発レポート 第33回 職業リハビリテーション研究・実践発表会 Part1 特別講演 「誰もが力を発揮できる職場づくり〜一人ひとりが生き生きと成長し、能力を発揮できる組織へ〜」 オリンパスサポートメイト株式会社 代表取締役社長 龍田久美氏  当機構(JEED)では、毎年、職業リハビリテーションに関する研究成果を周知するとともに、参加者相互の意見交換、経験交流を生み出すための場として、「職業リハビリテーション研究・実践発表会」を開催しています。第33回となる2025(令和7)年度は、当日の「会場参加」のほか、「特別講演」、「パネルディスカッションT・U」などの開催模様について、収録した動画を障害者職業総合センター(NIVR)ホームページに掲載しています(※1)。また、その内容を広く発信するために、同ホームページで発表資料などの掲載も行っています。ここでは、オリンパスサポートメイト株式会社代表取締役社長龍田(たつた)久美(くみ)氏の特別講演をダイジェストでご紹介します。 インクルージョンを基盤に「健やかな組織文化」をつくる  本日は、私どもオリンパスサポートメイト(以下、「OSM」)の取組みをお話しします。まずOSMは世界的な医療機器メーカーであるオリンパスグループの特例子会社として、同グループの存在意義である「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」に向けた活動をしています。グループ全体の経営戦略上の重要課題として「インクルージョン推進」、「健やかな組織文化」、「ESG」が位置づけられ、日本統括役員(COI)が推進をリードしています。こうした全社方針のなかで、OSMは障がいのある社員一人ひとりが、喜びを感じながら成長し、能力を発揮できる職場を提供することをミッションに掲げています。  当社は設立16年で、青森、東京、長野など6拠点に展開し、従業員は198名、うち障がいのある社員が144名(2025年8月1日現在)で、全員が正社員です。オリンパスグループは特例子会社だけに任せるのではなく、親会社・関係会社とOSMが「両輪」で雇用を進めています。2017(平成29)〜2018年ごろには雇用率の転換期があり、法定雇用率を上回る水準を目ざしてきました。一方、2021〜2024年は大型改装工事の影響で清掃事業が縮小し、人員の伸びは横ばいになりました。加えて年齢分布が上がり、体調や意欲、認知機能などの課題も見え始めています。だからこそ私は、インクルージョンを単なる制度ではなく、組織の土台として育て、だれもがベストな状態でパフォーマンスを発揮できる「健やかな組織文化」に結びつけたいと考えています。 まずはOSMでの相互理解の促進からグループ全体の土壌づくりを目ざす  私が大切にしているのは、当社だけで完結しない「土壌づくり」です。インクルージョンが根づくには、グループ全体が共通言語を持ち、心理的安全性や称賛が働く環境が必要です。オリンパスグループでは、ファミリーデーのような啓発イベントを開催し、車いす体験や妊婦体験、ボッチャ、各国料理やゲームなどを通じて、多様性を「体験として理解する」場をつくっています。こうした小さな交流が、自然な共感や会話を生み、職場の空気をやわらかくしてくれます。  さらに管理職向けには、インクルージョン・ワークショップを国内外で実施し、国内では約700名が参加しました。内容は「インクルージョンを自分事としてとらえる」、「アンコンシャスバイアスに気づく」、「心理的安全性を高めるリーダー行動を考える」といった、現場のマネジメントに直結するテーマです。  OSMとしても、全従業員向けのeラーニングを「障害者週間」にあわせて5年連続で配信してきました。障がいに関する基礎知識だけでなく、活躍している社員のインタビューや、合理的配慮・コミュニケーションの実践を学べる構成にしています。加えて管理者向け講座では、法定雇用率や合理的配慮の理解にとどまらず、現場でどう声をかけ、どう仕事をわかりやすく伝えるかといった実務も扱います。  そしてもう一つは、コアバリューの理解と自分事化です。「私たちを理解してください」だけでなく、「私たちは自社の価値観を語れますか」という問いを立て直し、コアバリュー宣言の掲示やブロックを用いたワークショップで相互理解をうながしています。そのほかトイレ鏡の清掃者メッセージプレートや感謝メッセージの掲示など、可視化によって交流を増やす工夫も、日々の小さな誇りを育てています。 事業の多角化とマルチスキル化で「仕事づくり」と成長機会を広げる  OSMの事業は構内清掃を根幹に、メール室、カフェ、文書電子保存、機密シュレッダー、チェアクリーニング、植栽など多岐にわたります。さらに近年は、開発に近い領域としてAI学習用の画像アノテーション(※2)やタグづけ業務も拡大しています。私はここに、障がいのある社員が「自分は医療事業に貢献している」と実感できる大きな転機があると感じています。守秘性が高く外部委託がむずかしい業務でも、グループ内であれば権限設定や契約面の負担が軽くなり、システム開発のスピードにも機敏に対応できます。委託元の開発者と定期的にディスカッションすることで、責任感ややりがいが高まり、相互の理解も深まります。障がいのある社員がプレゼンを行い、驚きと称賛が生まれた場面は、まさにアンコンシャスバイアスを揺さぶる経験でした。  人材育成の面では、マニュアル整備や業務検定(初級〜上級)で成長を可視化し、スキルマップやタレントマネジメントで配属・ローテーションを設計しています。さらに、社会人基礎力を参考にした自己分析表を使い、週次のチャレンジ機会(例:研修講師役)を設け、リーダーシップを発揮する場をつくっています。ボランティア活動も、医療関連分野でグループ社員と協働し、「人の役に立つ」実感を育てています。私は、仕事の幅が広がれば、本人の強みが生きる場所も増えると確信しています。  また私は、評価・処遇制度の刷新も重要だと考え、今年度から職務型志向の役割等級型へ改訂しました。等級・報酬・評価の三制度を統合し、「がんばった人が報われる」仕組みにしています。障がいのある社員にも賞与を支給し、成果に応じて係数を上乗せする一方、マイナスは適用しません。成果目標を事業方針にひもづけて評価することで、「自分の仕事が会社の価値にどうつながるか」を意識できるようにしました。  そして、インクルージョンがもたらすものは、障がい者雇用の枠を越えて「人を活かす力」そのものを引き上げることだと思っています。見える化、具体化、指示の工夫は、だれにとっても働きやすい職場をつくります。清掃の仕事も、私はNASAの逸話(※3)を引合いに「自分は医療を支えている」と語れる仕事にしたいのです。2026年度は、コアバリュー意識醸成、イノベーションの実行、そして称賛奨励による心理的安全性向上を軸に、各事業所で計画を具体化し、月次での進捗レビューなどを実行します。そのほか、指導員カンファレンス、他社見学、デモワークショップやスクラムトーク、工場見学などを通じて、互いに認め合い、誇りを持って働き続けられる職場を、これからも育てていきます。 ***  次号では、「第33回職業リハビリテーション研究・実践発表会」のパネルディスカッションT「働き続けたい≠支える 〜高齢化する障害者雇用の今とこれから〜」、パネルディスカッションU「定着・活躍・成長≠ノつながる障害者雇用×雇用の質を高めるための支援を考える」をダイジェストでお届けします。 ◇お問合せ先 研究企画部企画調整室 (TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) ★本誌では通常「障害」と表記しますが、発表資料の表記を尊重し「障がい」としています ※1 下記のホームページにて、本特別講演の動画や発表資料等をご覧いただけます。 https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/33kaisai.html ※2 画像アノテーション:AIに画像の内容を学習させるため、画像内の物体や領域に対してラベルづけ(例:枠線、輪郭、名称、属性情報など)を行う作業 ※3 NASAの逸話:NASAを訪れた大統領が、ほうきを持った清掃員に「あなたは何をしているのですか?」とたずねると、清掃員は「私は人類を月に送る手伝いをしているのです」と答えたというもの 写真のキャプション 龍田久美氏 特別講演の様子 【P30】 NEWS FILE ニュースファイル 国の動き 国会 高次脳機能障害者支援法が成立  高次脳機能障害者支援法が2025(令和7)年12月16日に成立、同月24日に公布された。2026年4月1日から施行予定。  厚生労働省によると、「高次脳機能障害とは、疾病の発症又は事故による受傷による脳の器質的病変に起因すると認められる記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害、失語、失行、失認その他の認知機能の障害として政令で定めるもの」をいい、患者数は全国で約23万人と推計されている。  高次脳機能障害は外形上判断しづらく、その特性の理解も進んでいない等の理由で、患者と家族は適切な支援を受けることができず、日常生活や社会生活に困難を抱えているとの指摘がある。こうした現状をふまえ、高次脳機能障害への理解を促進するとともに、高次脳機能障害者の自立および社会参加のための生活全般にわたる支援を、どの地域でも、あらゆる段階(医療・リハビリ→生活支援→社会参加支援)で、切れ目なく受けられるようにすることを目ざす。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67482.html 厚生労働省 障害者自立更生等厚生労働大臣表彰  厚生労働省は、長年にわたり活躍してきた身体障害や知的障害のある人や、障害のある人の自立支援や社会参加の促進に大きく寄与してきた人を対象に「令和7年度、第75回障害者自立更生等厚生労働大臣表彰」の受賞者61人を発表した。内訳は、自立更生者19人、更生援護功労者39人、身体障害者等社会参加促進功労者3人。  受賞者らは表彰式典のあと、天皇皇后両陛下に拝謁し、天皇陛下はお言葉で、「自らの障害を克服し、立派に社会参加を果たしておられること、あるいはまた障害のある方々のために、長年にわたり力を尽くしてこられたことをうれしく心強く思います」と述べられた。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66538.html 農林水産省 「ノウフク・アワード2025」選定  「農福連携等応援コンソーシアム」(事務局:農林水産省)は、農福連携に取り組んでいる優れた事例として「ノウフク・アワード2025」の受賞団体を発表した。応募総数は215団体だった。  グランプリには「株式会社ココトモファーム」(愛知県犬山市)が選ばれた。他企業との連携による商品開発や聴覚障害者が手話接客を行う「サイニングストア」の設置などが評価された。準グランプリとして、「人を耕す」部門で「社会福祉法人新友会ひまわり畑」(大分県大分市)、「地域を耕す」部門は佐賀県、「未来を耕す」部門で「ぽかぽかワークス」(愛知県名古屋市)がそれぞれ受賞した。  優秀賞は、特定非営利活動法人楽園プロジェクト(北海道札幌市)、株式会社エール多機能型事業所にじのいろ(青森県板柳町(いたやなぎまち))、埼玉県立川越総合高等学校(埼玉県川越市)、株式会社ピーカブー(神奈川県三浦市)、特定非営利活動法人にじのかけ橋(静岡県三島市)、株式会社農楽里(のらり)(福井県あわら市)、社会医療法人みどり会さんさんグリーン(大阪府枚方市(ひらかたし))の7団体。このほかフレッシュ賞5団体、チャレンジ賞5団体が選ばれた。 https://www.maff.go.jp/j/press/nousin/kouryu/251125.html 内閣府 バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰  内閣府は、バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進について顕著な功績のあった者を顕彰し、優れた取組みを広く普及させること目的とする「令和7年度バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰(第24回)」の受賞者を発表した。  内閣総理大臣表彰は3件。宇都宮市・芳賀町・宇都宮ライトレール株式会社(栃木県宇都宮市)は、視覚障害者団体等から意見を集め、利便性の高い次世代型路面電車(LRT)の運営を実現している。貝谷(かいや)嘉洋(よしひろ)さん(東京都)は、筋ジストロフィーを患いながら障害者が参画する音楽イベントなどを主催してきた。社会福祉法人ながよ光こう彩さい会かい(長崎県西彼杵郡(にしそのぎぐん)長与町(ながよちょう))は、無人駅における乗降介助を含む駅管理業務を請け負うほか、駅利用者や住民同士の助け合い促進を目的とした研修の実施など、心のバリアフリーを推進する各種活動により、地域の安心・安全の確保やにぎわい創出に取り組んでいる。  内閣府特命担当大臣表彰優良賞は5件。iPresence(アイプレゼンス)株式会社(兵庫県神戸市)、錦城護謨(きんじょうごむ)株式会社(大阪府八尾市)、公益社団法人SSP(神奈川県相模原市)、全国ろうあヘルパー連絡協議会(大阪府大阪市)、特定非営利活動法人ピープルデザイン研究所りんごプロジェクト(東京都品川区)。  そのほか、内閣府特命担当大臣奨励賞は7件が受賞した。詳しくは左記のホームページで。 https://www8.cao.go.jp/souki/barrier-free/r07hyoushou/index.html 働く 香川 JR四国、障害者雇用促進へ新会社設立  四国旅客鉄道株式会社(JR四国)(高松市)は、障害者雇用を促進するため100%出資する新会社「JR四国パステルクローバー株式会社」を2026(令和8)年4月1日に設立する。新会社の場所は高松市浜ノ町のJR四国第2ビル内で、障害のある従業員20人程度からスタートする。  JR四国によると、障害者雇用については2020年に総務部人事課内に「オフィスパートナー」チームが発足。障害のある従業員らが中心となって清掃業務や郵便物の仕分け、名刺作成等のオフィスサポート業務、グラフィックデザインやショート動画の制作業務などを行ってきた。これらの業務を新会社へ移行し、7月からの事業開始以降に特例子会社の認定取得も目ざすとしている。 https://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/assets/2026/01/27/2026%2001%2027%2002.pdf 本紹介 『「発達障害」の解剖図鑑 「体質」と「気質」から症状と対策がわかる!』  精神科専門医で児童精神科医でもある三田(みた)晃史(あきふみ)さんが、『「発達障害」の解剖図鑑「体質」と「気質」から症状と対策がわかる!』(誠文堂新光社刊)を出版した。  本書では「発達障害」が2022(令和4)年に「神経発達症群」と名称が変更されたことや、ASDやADHDの日本語名称も「自閉スペクトラム症」、「注意欠如・多動症」と変わったこともふまえ、より多様で変化する「症状」に注目。神経発達症群(発達障害)について、「体質」と「気質」の観点からその症状を成り立たせている特性に注目し、より細分化して60に分類、それぞれの特性に対する理解や接し方を解説している。A5判、160ページ、1760円(税込)。 作品大募集! あなたの力作がポスターになる! 令和8年度 「絵画コンテスト働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」 応募締切 令和8年6月15日(月) 【当日消印有効】 児童・生徒をはじめ社会人・一般の方もご応募いただけます。 絵画コンテストの応募は障害のある方が対象です。写真コンテストの応募は障害の有無を問いません。多くのみなさまからのご応募をお待ちしています。 シンボルキャラクター “ピクチャノサウルス” 詳しくはホームページの募集要項をご覧ください。 JEED 絵画写真 検索 <過去のポスターや入賞作品などもご覧いただけます> 主催:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 【P31】 ミニコラム 第54回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は平岡委員が執筆しています。ご一読ください。 挑戦と成長を軸に、障がいのある方が輝く職場づくり サントリービバレッジソリューション株式会社人事本部 副本部長 平岡典子  企業の障がい者雇用の取組みやその現場には、各社ならではの文化や価値観が色濃く反映されていると、いつも感じます。独自の取組みがある一方で、今回「編集委員が行く」の取材にご協力いただいたSOMPOチャレンジド株式会社様とヤマトシステム開発株式会社様には、共通して“自社らしい挑戦”を通じて周囲へ大きな影響力をもたらしていると感じました。  「障がいのある方に挑戦してもらうことはむずかしいのではないか」、「成長を求めることは違うのではないか」そう感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、決してそうではありません。一人ではむずかしい挑戦も、そばで応援してくれる人の存在、失敗しても大丈夫と支えてくれる環境があれば、だれもが勇気をもって前へ進むことができます。むしろ、可能性を狭めているのは周囲の思い込みなのかもしれません。  小さな挑戦の積重ねが成功体験となり、それが自信となって次の挑戦を生み、その連鎖が人の成長につながっていきます。「やってみたい」という意欲を育み、その思いを実現へ導くことこそが、“障がいのある方が輝く職場づくり”における大きな鍵だと感じています。  障がい者雇用は企業の営みである以上、組織として成果を上げる視点も欠かせません。障がいのある方々が、職場でどのように貢献できるのかを考え続け、その価値を更新していくことが求められています。会社へ、そして社会へどのような影響力を発揮していくのか。障がい者雇用をになうリーダーには、その方向性を描き、実現し続ける使命があるのだと思います。  そのために、みなさんの職場ではどんな“挑戦”ができそうでしょうか。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、平岡委員の意向により「障がい」としています 【P32】 掲示板 JEEDメールマガジン 登録受付中!  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)では、JEEDが全国で実施する高齢者や障害者の雇用支援、従業員の人材育成(職業能力開発)などの情報を、毎月月末に配信しています。 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当者のみなさま、必読! 高齢 定年の延長や廃止・再雇用 障害 障害のある従業員の新規・継続雇用 求職 ものづくり技能開発・向上の手段 みなさまの「どうする?」に応えるヒントが見つかります! JEED メルマガ で 検索 ※カメラで読み取ったリンク先がhttps://www.jeed.go.jp/general/merumaga/index.htmlであることをご確認のうえアクセスしてください。 次号予告 ●私のひとこと  名古屋学芸大学ヒューマンケア学部特任教授の吉村匡さんに、「働くことの意味を社会とともに育てる」というテーマで、障害者雇用の課題と障害のある生徒へのキャリア教育についてご執筆いただきます。 ●職場ルポ  ITサポート業務などのアウトソーシングサービスを提供するパーソルコミュニケーションサービス株式会社の松山サポートセンター(愛媛県)を取材。従業員一人ひとりの特性に沿った採用や支援、働きやすい職場づくりの取組みなどをレポートします。 ●グラビア  ハンセン病の治療およびリハビリテーションなどを行う国立療養所菊池恵楓園(熊本県)を訪問。療養・生活するハンセン病回復者が安心して暮らせる環境づくりに向けて、障害のあるスタッフが活躍している様子をお届けします。 ●特別企画  特別企画として、当機構(JEED)が発行する「障害者の加齢に伴う課題の克服や就労継続に向けた職場改善ケースブック」について、掲載している事例とともに紹介します。 『働く広場』読者のみなさまへ  2026(令和8)年5月号は、大型連休の関係から、冊子の到着が通常よりも数日遅れることが見込まれます。ご不便をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。ご不明の点は編集部(企画部情報公開広報課、電話:043−213−6200)までおたずねください。 公式X(旧Twitter)はこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 鈴井秀彦 編集人−−企画部次長 綱川香代子 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 電話 043-213-6200(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●編集委託−株式会社労働調査会 〒170-0004 東京都豊島区北大塚2-4-5 電話 03-3915-6415 FAX 03-3915-9041 4月号 令和8年3月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。また、本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 弘前大学教職大学院 教授 菊地一文 サントリービバレッジソリューション株式会社 人事本部 副部長 平岡典子 武庫川女子大学 准教授 増田和高 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 教授 八重田 淳 国際医療福祉大学 准教授 若林 功 【P33】 2026年度(令和8年度) 職業リハビリテーションに関する研修のご案内  JEEDでは、医療・福祉などの関係機関で障害のある方の就業支援を担当する方を対象に、職業リハビリテーションに関する知識や技術の習得と資質の向上を図るための研修を実施しています。受講料は無料です。  各研修の詳細・申込みはJEED のホームページでご確認ください。みなさまの受講を心よりお待ちしています。 就業支援担当者の方への研修 障害者の就労支援に関する基礎的研修 日程など 開催場所、方法など 【対象】福祉、教育、医療分野にて、就労支援を担当する初学者の方など 【概要】雇用と福祉の切れ目のない支援を可能とするために必要な基礎的な知識・技術の習得を目ざして実施します。 オンデマンド研修と集合研修の日程は、各地域障害者職業センターにより異なります。詳細は、JEEDホームページをご確認ください。 オンデマンド配信による研修と全国の地域障害者職業センターで開催する集合研修を組み合わせた研修です。 基礎的研修フォローアップ研修 日程など 開催場所、方法など 【対象】職業リハビリテーションに関する基礎的な知識および技術を習得した就労支援担当者の方 など(※企業の方は受講対象としておりません) 【概要】基礎的研修の雇用分野の内容を補完し、講義・演習を通じて就労支援の基本的な知識・スキルを習得し、必要なスキルをふり返り、理解を深めるための研修です。 全国の地域障害者職業センターで開催します。詳細は、JEEDホームページをご確認ください。 全国の地域障害者職業センターで実施します。 ステップアップ研修T 日程など 開催場所、方法など 【対象】おおむね1年以上の実務経験を有する就労支援担当者の方など(※企業の方は受講対象としておりません) 【概要】就労支援に関する実践的な知識・スキルの習得を図るための研修です。 【オンライン形式(ライブ配信)】 令和8年9月29日(火)〜9月30日(水) オンライン(ライブ配信)形式で実施する予定です。 ステップアップ研修U 日程など開催場所、方法など 【対象】おおむね2年以上の実務経験を有する就労支援担当者の方など(※企業の方は受講対象としておりません) 【概要】障害者職業総合センターにおける研究および実践の成果をふまえた就労支援技術のさらなる向上や、障害者の就労支援に必要なヒューマンスキルの向上などを図るための研修です。 【オンライン形式(ライブ配信)】 令和9年2月16日(火) 【集合形式】 令和9年2月18日(木)〜2月19日(金) オンライン(ライブ配信)形式と障害者職業総合センター(千葉市)で行う集合研修を組み合わせて実施する予定です。 就業支援テーマ別研修 日程など 開催場所、方法など 【対象】障害者の就業支援機関および関係領域の支援者の方 など(※企業の方は受講対象としておりません) 【概要】職業リハビリテーションの新たな課題やニーズに対応した知識・技術等の向上を図るための研修です。 【オンライン形式(ライブ配信)】 令和9年1月28日(木) オンライン(ライブ配信)形式で実施する予定です。 職場適応援助者(ジョブコーチ)に関する研修 職場適応援助者養成研修 【対象】訪問型・企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)としての援助を行う予定の方など 【内容】集合研修(全国から受講者が集合)と実技研修(各地域障害者職業センターにて実施)の2部構成で、体系的に実施しています。集合研修は職業リハビリテーションの理論や職場適応援助者の役割についての講義、作業指導の演習など基本的な内容、実技研修は企業での実習やケーススタディなど、地域の実情に即した内容となっています。 地域区分 集合研修(日程、開催形式、場所など) 実技研修 集合研修については以下の地域区分を設けています。該当する地域(都道府県)が、受講の対象になります。 東日本エリア 北海道、東北、関東甲信越、静岡、愛知、富山、石川 西日本エリア 東海(静岡、愛知を除く)、福井、近畿、中国、四国、九州、沖縄 4月期 全国 【オンライン形式(ライブ配信)】 令和8年4月15日(水)、4月16日(木)、4月22日(水)、4月23日(木) − 集合研修(4日間)終了後に、地域障害者職業センターにおいて4日間程度の実技研修を実施します。集合研修と実技研修のすべてを受講する必要があります。 6月期 全国 【オンライン形式(ライブ配信)】 令和8年6月10日(水)、6月11日(木)、6月17日(水)、6月18日(木) − 8月期 東日本対象 【集合形式】令和8年8月25日(火)〜8月28日(金) 千葉市 西日本対象 大阪市 10月期 全国 【オンライン形式(ライブ配信)】 令和8年10月21日(水)、10月22日(木)、10月28日(水)、10月29日(木) − 12月期 東日本対象 【集合形式】令和8年12月8日(火)〜12月11日(金) 千葉市 西日本対象 【集合形式】令和8年12月15日(火)〜12月18日(金) 大阪市 2月期 全国 【オンライン形式(ライブ配信)】 令和9年2月3日(水)、2月4日(木)、2月9日(火)、2月10日(水) − 上級職場適応援助者養成研修 【対象】ジョブコーチとして3年以上の実務経験がある方、もしくは支援件数が20件以上ある方など 【内容】養成研修修了後の実務経験やつちかったスキルを論理的・体系的に整理し、他の職場適応援助者にスーパーバイズ等を行う指導者として必要な知識・スキルを修得するための講義、演習、ケーススタディ等を行います。 集合研修(日程、開催形式、場所など) 全国 【オンライン形式(ライブ配信)】令和8年8月4日(火) − 【集合形式】令和8年10月13日(火)〜10月16日(金) 千葉市 研修の詳細はこちら https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/supporter04.html お問合せ先 職業リハビリテーション部 人材育成企画課 TEL:043-297-9095 E-mail:stgrp@jeed.go.jp 【裏表紙】 障害者雇用納付金の納付はカンタン ベンリなペイジーで 時間を気にせず利用可能! ※金融機関によってご利用できない時間帯がございますので各金融機関にご確認ください。 手数料無料! \0 3社に2社の事業主の皆様にご利用頂いております! ペイジー(Pay-easy)とは? 障害者雇用納付金をはじめ、国庫金(国税や社会保険料等)、地方税、公共料金、携帯電話料金、ネットショッピング代金など、社会や暮らしの中での様々な支払い手続がインターネットバンキング等を通じて簡単に行うことができる、国内のほぼ全ての金融機関が共同で設立した日本マルチペイメントネットワーク運営機構が運営する電子決済サービスです。 4月号 令和8年3月25日発行 通巻582号(毎月1回25日発行)