グラビア 入所者のために、安心して暮らせる環境づくり 国立療養所菊池恵楓園(熊本県) 取材先データ 国立療養所菊池恵楓園(きくちけいふうえん) 〒861-1113 熊本県合志市(こうしし)栄(さかえ)3796 TEL 096-248-1131(代) FAX 096-248-4570 写真・文:官野 貴  熊本県合志市(こうしし)に設置された「国立療養所菊池恵楓園」(以下、「菊池恵楓園」)では、園内で療養・生活するハンセン病回復者が安心して暮らせる環境づくりに障害のあるスタッフが活躍している。  入職3年目で知的障害のある大山(おおやま)遥(はるか)さん(32歳)もその一人。入所者への面会に訪れた親族や関係者が宿泊する面会人宿泊所「渓楓荘(けいふうそう)」の清掃を、一人で担当している。  清掃は外回りからスタート。外構や玄関をほうきで掃き、土間のタイル部分にモップをかける。大山さんは、このモップがけが好きな作業の一つだという。理由をたずねると「気分転換になり、気持ちが落ち着くから」と教えてくれた。一定のテンポを保ち、ていねいにモップがけをする姿が頼もしい。  続いては、宿泊室の清掃。窓を開け換気しながら、テーブルなどの調度品を清拭、畳を掃き掃除する。布団乾燥機をセットして宿泊室以外の清掃に取りかかる。共用部は、ロビーや廊下の掃除機がけやモップ清掃、トイレや浴室、洗面台、食堂兼談話室、炊事場の清掃など多岐にわたる。大山さんは、清掃業務日誌に作業ずみのチェックを入れながら手際よく清掃を進めてゆく。  大山さんは、「面会者の方に気持ちよく使ってもらえるように」と、ていねいな作業を心がけていると話す。面会者から「今日もきれいにしてくれてありがとう」と声をかけられたことがあり、とてもうれしかったそうだ。そのまじめな仕事ぶりは、菊池恵楓園職員からも評価が高い。  大山さんは、菊池恵楓園の近隣に位置する「社会福祉法人共生福祉会」が運営する就労継続支援A型事業所「サンシャインワークス」で、主体的に仕事に取り組むことを学んだ。これが菊池恵楓園への一般就労につながり、現在も職場定着支援のサポートを受けている。  また、菊池恵楓園の広大な敷地の緑地整備は、就労継続支援A型事業所の施設外就労の場ともなっており、こちらでも障害のあるA型事業所の利用者が入所者の生活を支えている。 写真のキャプション 外構の掃き掃除をする大山遥さん。右手の建物が面会人宿泊所「渓楓荘」 玄関の土間部分のモップがけ。大山さんの好きな作業でもあり、ていねいな作業が続く 柱の周辺など、モップの房糸が届きにくい部分もしっかりとモップをかけてゆく 宿泊室清掃の様子。まずは、窓を開け、調度品の拭き掃除から テレビのリモコンや利用案内のファイルなども、きれいに拭き上げる 窓を拭き、サッシについた汚れを落とす。目につきにくい細かい部分にも気を配る 布団を乾燥機にセットする。仕上がりまでに時間がかかるため、その間に別の作業を進めていく 洗面台の清掃。鏡を拭き、洗面台をスポンジで磨く 炊事場の清掃では、月に一度、ガスの点検を行う。コンロの点火状況を確認する 廊下やロビーの清掃では、テーブルやいすを拭き掃除し、すみずみまでていねいに掃除機をかける 清掃業務日誌はチェックリストになっており、作業内容がわかりやすく、作業忘れを防げる 就労継続支援A型事業所の利用者が施設外就労として、緑地整備にあたっている。剪定した枝(写真左)を、ごみ収集車に積み込む(写真右)