グラビア 職場配置や仕事内容の工夫で、一人ひとりが能力を発揮し活躍 丸善製薬株式会社 本社・本社工場(広島県) 取材先データ 丸善(まるぜん)製薬(せいやく)株式会社 本社・本社工場 〒722-0062 広島県尾道市(おのみちし)向東町(むかいひがしちょう)14703-10 TEL 0848-44-2200 FAX 0848-20-6006 写真・文:官野 貴  広島県尾道市に本社を置く丸善製薬株式会社(以下、「丸善製薬」)は、植物などの天然物から有用成分を取り出し、健康食品や医薬品、化粧品などの原料として、幅広い分野のメーカーに出荷している。  丸善製薬では、2012(平成24)年から積極的に障害者雇用に取り組んでおり、現在18人の障害のある従業員が本社や工場など、さまざまな部署において活躍している。  精神障害のある進(しん)哲也(てつや)さん(43歳)は、同社の障害者雇用の第1号で入社14年目。清掃業務をはじめ、福利厚生用の飲料補充、社内便の配達など、さまざまな業務を担当している。進さんのまじめな働きぶりが、障害のある従業員の職域拡大につながったそうだ。  進さんとペアを組んで清掃業務を行っていたのが、知的障害のある大亀(おおがめ)和平(かずへい)さん(36歳)。大亀さんは、清掃業務以外に、品質管理部門で使用されるバイアル瓶(分析用の試料を入れる小型容器)の洗浄業務を任されている。以前は品質管理の担当者が行っていた業務を大亀さんがになうことで、担当者が本来の業務に集中できるようになったと好評で、業務の依頼量も増えたという。大亀さんは、「このバイアル瓶の洗浄が得意な業務です」と話し、黙々と作業を続けていた。  精神障害のある門田(もんでん)栞(しおり)さん(30歳)は、事務室でパソコンに向かい、伝票の入力業務をスピーディにこなしていた。その仕事ぶりが社内に広がり、資料のPDF化などの業務依頼が舞い込むようになったという。門田さんはパソコン業務だけでなく、研究部門や工場の品質管理部門で使用する「ろ紙」を折りこむ業務も担当している。このように、手間のかかる周辺業務を障害のある従業員が代行することにより、業務の効率化が図られている。  丸善製薬では、それぞれの個性に合わせた、職場配置や仕事内容を工夫することにより、一人ひとりが能力を発揮して働いている。これらの取組みが評価され、2025(令和7)年度には、「障害者雇用優良事業所」として当機構理事長努力賞を受賞。今後も一人ひとりが、自分らしく働ける環境づくりを大切にしながら、障害者の雇用促進に継続して取り組んでいく予定だという。 写真のキャプション 工場に設けられた休憩室の清掃業務。モップをかける進哲也さん(左)と、いすに粘着ローラーをかける大亀和平さん(右)。清掃業務は上記のほか、テーブル拭きや流しの清掃、給茶機の清掃など多岐にわたる 進さんは、清掃業務(写真右)のほか、福利厚生用飲料の運搬や補充(写真中央)、社内便の配達(写真左)など、幅広い業務をこなす 清掃業務の合間に休憩をとる進さん(左)と大亀さん(右)。休憩中は、共通の趣味などについて話がはずむという 給茶機の清掃にあたる大亀さん。清掃業務は、進さんと大亀さんでローテーションし、業務の属人化を防いでいる 大亀さんは、品質管理部門で使用する分析用バイアル瓶の洗浄業務も担当している。超音波洗浄機からバイアル瓶の入った容器を取り出す 超音波洗浄を終えたバイアル瓶を流水ですすぎ(15ページの写真)、イオン交換水で仕上げのすすぎを行う バイアル瓶に汚れが残っていないことを一つひとつていねいに確認しながら作業を進める 取引先から送られてきた伝票を業務ソフトに入力する門田栞さん。間違いのないように確認しながら作業を進める 門田さんは「ろ紙折り」も担当。写真左側のろ紙を折りこみ、写真右側のようにろ紙に“ひだ”をつける。集中力が求められる業務だ ろ紙をひだ折りにする門田さん。作業前に手を洗う、ろ紙の内側に極力触れない、ろ紙の中心部は強く折らないなど、さまざまな注意点に気をつけながら作業する この日は、市内の福祉施設から仕入れたパンの社員向け販売が行われた。大亀さん(左)と門田さん(右)がペアを組み、伝票と入荷数をチェックしている 門田さんが電卓を使って合計金額とお釣りを計算し、大亀さんがお金を預かり、お釣りを渡す。スムーズなやりとりが続き、パンは完売となった