ミニコラム 第55回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は若林委員が執筆しています。ご一読ください。 実践と科学的知見を両輪とする職業リハビリテーション 国際医療福祉大学 准教授 若林功  今回の取材では「株式会社スズキ・サポート」での日々の積重ね(作業上の工夫、相談をしやすく、またお互いにさりげなくフォローする雰囲気・体制づくり、家庭や関係機関との連携等)の重要性とともに、GATBやAMPSなどのトピックを出していただいた「くらしえん・しごとえん」の鈴木修さんのお話も印象に残りました。これらはいい方を変えると、現場での実践と、科学的知見の双方が、質の高い職業リハビリテーション・就労支援(以下、「職リハ」)には重要であるということになるのではないでしょうか。  そして、職リハに関する科学的知見は、必ずしも十分に普及しているとはいえない状況にあるように感じます。一方、各地でどのような実践をしているのかについて、注目する人はそれなりに多いように思われます。  職リハに関する科学的知見が普及しない要因はさまざまに考えられます。利用者も支援者側も企業側も急激に増加・拡大し、多様な方たちがこの分野に参入し、なかなかそうした情報にたどりつかない、学ぶ時間・余裕がない(個人の自主性に任せられてしまっている)、実践とそうした科学的知見はあまり結びつかないというイメージがあり必要性を感じない、感情的な拒絶反応などなど。  ただし、職リハの利用者像は多様化してきており、やはりこうした科学的知見にもとづかないと、支援が効果的に行えない場合が増えているように思われます。支援には熱意や倫理観がまず必要ですが、それだけでは十分でないということです。職リハを取り巻く状況は継続的に変化しており、制度も変革期にあるといえますが、そのなかにおいて、実践と科学的知見は、質の高い職リハのサービスを提供するうえでの両輪であると思います。私も微力ながら、実践だけでなく科学的知見の普及にお手伝いできればと思っております。