【表紙】 令和6年12月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第567号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2025/1 No.567 リーダーズトーク 仕事を楽しく、働きがいのある職場で Benesse=「よく生きる」実現へ 株式会社ベネッセホールディングス 常務執行役員CHRO兼人財・総務本部長 村上久乃さん 職場ルポ ジョブコーチを中心に支援体制、戦力化と定着を図る アール・ビー・コントロールズ株式会社(石川県) グラビア 「ともにはたらく」〜障害者が働きやすい職場〜 株式会社特殊衣料(北海道) 新春特別対談 これからの時代の障害者雇用とは 松爲信雄編集委員×八重田淳編集委員 「かっこいいパイロット」東京都・上田(うえだ)修史(しゅうじ)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons withD isabilities and Job Seekers 1月号 【前頁】 心のアート なぞなぞ問題 Q.しょうがが2つある日は? 平井和樹 (たんぽぽの家アートセンターHANA) 画材:色鉛筆、鉛筆、紙/サイズ:348mm×424mm  平井和樹は季節や行事、食べ物、ダジャレ、なぞなぞ、時にはマンガやアニメなど、さまざまなものをモチーフとし、すべて「大好き」という想いから作品を生み出しています。毎朝、昼食メニューのチェックを欠かさなかったり、好きなアニメの主題歌を口ずさみながら制作をしたりと、日々を全力で楽しむ姿は真摯さとユニークさをあわせ持ち、周りの人を笑顔にします。ここでは平井和樹から、いまの季節にぴったりの「なぞなぞ」をご紹介いたします。あなたはわかりましたか? (文:たんぽぽの家アートセンターHANA 橋(たかはし)桜介(ようすけ)) 画材:色鉛筆、鉛筆、紙/サイズ:348mm×424mm 平井和樹(ひらいかずき)  1990(平成2)年生まれ、奈良県在住。2009年より「たんぽぽの家アートセンターHANA」で活動を始める。 〈略歴〉 2016年「あいサポート・アートとっとり祭」(鳥取県) 2017年「奈良県障害者芸術祭 HAPPY SPOT NARA 2016-2017 Play art!アートとゲーム」(奈良県) 2021年「OPEN KITCHEN」(京都府) 2022年「平井和樹個展“大好きに接続”」(奈良県) 2023年「たんぽぽ子ども食堂展〜“食”でつくる地域の居場所〜」(奈良県) 2024年「ならのこども食堂展+たんぽぽの家のアーティストの“おいしい絵”」(奈良県)    「『清流の国ぎふ』文化祭2024 エイブル・アート展−表現が生まれるまえとあと−」(岐阜県) 【なぞなぞの答え】 正月(しょうがつ) 【もくじ】 障害者と雇用 働く広場 目次 2025年1月号 NO.567 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 なぞなぞ問題 Q.しょうがが2つある日は? 作者:平井和樹(たんぽぽの家アートセンターHANA) リーダーズトーク 2 第8回 仕事を楽しく、働きがいのある職場でBenesse=「よく生きる」実現へ 株式会社ベネッセホールディングス 常務執行役員CHRO兼人財・総務本部長 村上久乃さん 文:豊浦美紀/写真:官野貴 職場ルポ 6 ジョブコーチを中心に支援体制、戦力化と定着を図る アール・ビー・コントロールズ株式会社(石川県) 文:豊浦美紀/写真:官野貴 JEEDインフォメーション 12 事業主のみなさまへ 令和7年度「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」等申請のお知らせ/ 事業主のみなさまへ 障害者雇用納付金関係業務調査のごあんない〜障害者雇用納付金制度を支える仕組みです〜/障害者雇用の専門家が企業のみなさまを支援します〜「障害者雇用支援人材ネットワーク事業」のごあんない〜 グラビア 15 「ともにはたらく」〜障害者が働きやすい職場〜 株式会社特殊衣料(北海道) 写真/文:官野貴 エッセイ 19 誰一人取り残さない防災とは? 第2回 災害は不平等を拡大させるレンズ 同志社大学社会学部教授 立木茂雄 新春特別対談 20 これからの時代の障害者雇用とは 松爲信雄編集委員×八重田淳編集委員 クローズアップ 26 マンガでわかる!わが社の障害者雇用物語 第5回 職場定着に向けて 研究開発レポート 28 職場適応を促進するための相談技法の開発 〜ジョブコーチ支援における活用に向けて〜 障害者職業総合センター職業センター ニュースファイル 30 掲示板・次号予告 32 第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会「動画等掲載のお知らせ」 ※「この人を訪ねて/私のひとこと」、「省庁だより」、「編集委員が行く」、「編集委員のひとこと」は休載します 表紙絵の説明 「ぼくは飛行機が大好きで、家族とよく空港に行って、飛行機を見るのを楽しみにしています。将来、飛行機を操縦する憧れのパイロットになりたくて、この絵を描きました。パイロットの制服はかっこいいのですが、いろいろなパーツがついていて、描くのがむずかしかったです。受賞を聞いてびっくりしました。とてもうれしかったです。自分の絵が展示されているのを見て、ドキドキしました」 (令和6年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 小学生の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html) 【P2-5】 リーダーズ トーク Leaders Talk 第8回 仕事を楽しく、働きがいのある職場で Benesse=「よく生きる」実現へ 株式会社ベネッセホールディングス 常務執行役員CHRO兼人財・総務本部長 村上久乃さん 村上久乃(むらかみ ひさの) 1991(平成3)年、株式会社福武書店(現株式会社ベネッセホールディングス)入社。進研ゼミのマーケティング、商品サービス開発を担当後、2000年から進研ゼミの事業部長、2013年からベネッセコーポレーション人財部長、2022(令和4)年から事業基盤本部長、2024年から現職。 株式会社 ベネッセソシアス 代表取締役社長 須藤(すどう)智子(ともこ)さん 株式会社 ベネッセビジネスメイト 代表取締役社長 茶谷(ちゃたに)宏康(ひろやす)さん  教育・介護事業などを展開する「株式会社ベネッセホールディングス」は、経営理念「よく生きる」を軸にした障がい者雇用を積極的に推進してきました。  そこで、常務執行役員CHRO(※1)兼人財・総務本部長を務める村上久乃さんと、同社の特例子会社「株式会社ベネッセビジネスメイト」代表取締役社長の茶谷宏康さん、就労継続支援A型事業所等を運営する「株式会社ベネッセソシアス」代表取締役社長の須藤智子さんに、ベネッセグループのこれまでの障がい者雇用の取組みについて語っていただきました。 (文)豊浦美紀 (写真)官野貴 「楽ジョブ」で業務設計 ―障がい者雇用の主体となっている特例子会社「株式会社ベネッセビジネスメイト」(以下、「ビジネスメイト」)の運営方針や取組みについて教えてください。 村上 2005(平成17)年にビジネスメイトを設立したのは、従業員規模の拡大にともなう障がい者の法定雇用率達成が前提である一方、グループの企業哲学「ベネッセ=よく生きる」を障がいのある人にも実現してもらいたい、という思いがありました。当初はメール便やクリーンサービスからスタートし、徐々に業務領域や採用の幅を広げてきました。東京と岡山を拠点に184人(身体障がい28人、知的障がい85人、精神障がい71人)が活躍しています(2024〈令和6〉年6月1日現在)。  運営全体を通して大事にしてきたのが、ビジネスメイトの行動指針=クレドです。「お客様への約束」、「社員への約束」、「パートナーへの約束」(取引先・支援機関・家族・地域社会)という三つのくくりで行動指針を確認しながら日々仕事を進めています。  そして肝となる業務内容については「働きがいを実感しながら、長く働き続けられる仕組み」にこだわってきました。 茶谷 現場で成果を上げてきた取組みの一つが、10数年前に始めた「楽(らく)ジョブ(仕事を楽にしよう、仕事を楽しくしていこうという意味)」です。障がいのあるメンバーが1人でこなすにはむずかしい業務を、指導員が作業を分解してユニバーサルな業務に設計し直し、各自の得意・強みを活かしながらチームで業務を成し遂げます。これにより採用できる層が広がり、メンバーの加齢への対応も可能になりました。  また、指導員側の支援にも力を入れてきました。楽ジョブをスムーズに進めるための業務設計の研修を実施しているほか、「ジョブアシスト会」を定期的に開催しています。事例研究をメインに指導員同士が情報交換をし、仲間意識を育てながら現場で活路を見いだす機会にもなっています。  採用から定着まで一体化して取り組む「人事定着推進課」も、大きな役割を果たしています。現場の指導員や管理職による支援とは別に、定着推進担当が少し離れた立場からメンバーを見守り、コミュニケーションをとりながら支援機関と連携しています。 コロナ禍で生まれた新業務 ―多くの従業員を抱える組織として、コロナ禍はどう乗り越えたのでしょうか。 村上 本社ビルには多くのグループ会社も入っており、まず感染防止対策に力を入れました。新しく導入した「チャレンジドハウスキーピングシステム○R」★(CHKS)(※2)は、米国CDC(アメリカ疾病予防管理センター)のガイドラインに沿った衛生管理力の高いサービスです。ここで採用されている清掃器具は、中重度の知的障がいがあったり、加齢などで足腰が弱ったりしているメンバーでも簡単に使いこなしながら安定して高い品質の業務を行うことができる利点がありました。除菌されたオフィスは検査機器で調べた数値を社内公表し、安全性とともにビジネスメイトのサービス品質の高さもアピールしています。  一方、コロナ禍での業務上の大きな変化は、在宅勤務者が増え、メール室からの配送量や届け先が激減したことでした。そこで始めたのが、会社に荷物が届いたことをメールでお知らせし、希望があれば開封して中身をスキャンして送る「通知サービス」です。出社のタイミングに合わせて届ける「出社時配達サービス」もあります。予想以上に社員から喜ばれ、これまでメール室に荷物がたまりがちだった課題も解消されました。 茶谷 コロナ禍以降は、コピーなど作業系の代わりにパソコン関連の事務系のオファーも増えたのですが、難度が高いからと断ってしまうと依頼が来なくなります。そこで誕生したのが「ジョブサポートセンター」です。障がいのあるメンバーと指導員、アルバイトスタッフの三者で協力しながら仕事をする体制です。  ここでは、まずアルバイトスタッフが業務の対応をします。その間に指導員が業務を設計し直して、メンバーが対応できる業務に「楽ジョブ」化を進めます。これによって業務の「種類」が増え、どのような特性のメンバーでもマッチングしやすい環境ができました。  最近多いのはパソコンのMacによるデザイン業務で、デザインやデータ修正、画像加工を行います。それまで部署ごとに外注していた案件を早く安く仕上げてもらえると好評です。もともとゲーム会社に勤めていた経験者1人を採用してスタートしましたが、同僚メンバーが「やってみたい」と独学したり研修を受けたりして4人が担当できるようになりました。 村上 ビジネスメイトでは以前からD]チームも組織化されており、精神障がいのあるメンバー4人が難度の高い開発案件を担当しています。グループ会社の事務業務の自動化を図るRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や、VBA(ビジュアル・ベーシック・フォー・アプリケーション)によるシステムの開発も手がけています。  ビジネスメイトでは、グループ社員にどうしたら喜んでもらえるかを起点に事業開発を重ねていますが、より新しい領域へのチャレンジや持続可能性という面で、生産性もしっかり上げていかなければいけません。「他社に頼むのと同じか、それ以上の貢献をしなければいけない」というのをメンバーはつねに意識してくれています。今後はD]化のさらなる推進のために活躍の場を広げてもらいたいと期待しています。 カフェやワゴン販売が人気 ―コロナ禍の2021年にはカフェ事業にもふみ出しました。 村上 本社の社員食堂の委託業者がコロナ禍で運営困難との話が出て、ビジネスメイトが手をあげました。最初は健康をテーマに、ベーグルサンドとコーヒー・紅茶からスタートし、社員のリクエストに応えながらメニューを増やしてきました。知的障がいのあるメンバー5人と精神障がいのあるメンバー1人が、接客やメニュー開発も含めて活躍してくれています。 茶谷 飲食業のプロの指導と訓練を受け、最初は手を震わせながらハンドドリップしていたのが1カ月後には立派にできるようになり、いまはメニュー開発まで手がけています。昼時には200人以上が押し寄せるのでメール室から応援で2〜3人が来ます。地域の就労継続支援B型事業所とも連携し、お菓子やシフォンケーキ、野菜を直売したり、野菜入りメニューを出したりしています。 村上 野菜は早く行かないと売り切れてしまうほど人気です。それから、15時ごろに各フロアをまわる新サービスも好評ですよね。 茶谷 メール室のメンバーが、売れ残ったサンドイッチやお菓子、コーヒー・紅茶のドリンクケースをワゴンに載せて回るのですが、とても売れます。食品ロスにも多大な貢献ですね。最近は朝の通用口前で行っている朝食販売も順調です。 就労継続支援A型事業も ―2016年には就労継続支援A型事業所を運営する「株式会社ベネッセソシアス」(以下、「ソシアス」)も設立されていますね。 村上 ビジネスメイトの業務内容では障がいの重い人をなかなか採用できず、「なんとか働く場所をつくりたい」というのが原点です。それには@難度の低い職域の開発、A指導支援しやすい集約型の職場、B継続的に安定的に業務が確保できる環境、が必要でした。  検討するなかで浮上したのが、グループ内の介護部門が運営する高齢者施設の入居者の私物の洗濯でした。介護職の人たちが勤務時間中にやりくりしていると知り、これを請け負うことにしました。 須藤 現在拠点は都内3カ所で、高齢者施設109カ所から委託され、利用者87人が洗濯業務に従事しています。かわりに介護職の人たちが入居者とのコミュニケーションなど、コア業務に集中できるようになり喜ばれています。  当初目的としていた障がいの重いメンバーも雇用することができています。さらにビジネスメイトでの就労継続がむずかしくなった方たちも移ってきて、元気に仕事をしています。今後は加齢の問題も出てきますので、グループ内の受け皿としても機能していくと思います。  逆にこれまでソシアスからは2人がビジネスメイトに入社しました。今秋も5人が職場見学に行っていますが、コロナ禍で中断していた一般就労にも力を入れていきたいですね。 活き活きと活動できる場こそ ―取組みがグループにもたらした効果や今後の展開について教えてください。 村上 ビジネスメイトは日ごろから近いところで事業の一環として活動してくれていて、障がいのある人と一緒に働くことが特別ではないと社員たちは感じています。新入社員研修でもビジネスメイトで一緒に仕事をする取組みを長年続けています。  私自身が事業部門で痛感しているのは、いくら戦略が机上でうまく描けても、それを実現する人や組織がなければ絵に描いた餅になってしまうことです。人や組織が活き活きと活動できる場をつくることこそが、会社にとっても重要です。  だれもが長く働く時代にもなってきているいま、いろいろなライフステージの人、さまざまな事情を抱えた人が、そのときのベストパフォーマンスで生きがいを持って働いていける労働環境を整えることが大きなテーマでもあります。そういう面でビジネスメイトやソシアスも、大きな意義と可能性を持っていると感じています。  ちなみにグループ社員のなかには、ビジネスメイトやソシアスの活動に共感し、公募制度で異動するケースも少なくありません。須藤もその一人で、以前は私と一緒にマーケターとして活躍していました。 須藤 私は、異動してきてよかったなとつくづく思っています。ほかのグループ会社から異動してくる社員をはじめ多様な人たちとともに、まさに働きがいのある職場です。また、現場で日常的に出てくる「よく生きる」という言葉が、大きな一体感とともに背中を押してくれています。 村上 「よく生きる」、「よく生きたい」との思いが、他者への支援やサービスにつながっていくのだと思います。この理念を中心に多様な人たちが集まっていることが、ベネッセグループの強みにもなっていると実感しますね。  今後は、2社がより大きな存在として持続的に続いていくためにも、時代をとらえた事業開発を続けながら成長する必要があると考えています。  昨年は多摩市シルバー人材センター(東京都)と包括連携協定を結びました。会員が1500人いてもさばけない仕事をビジネスメイトがにない、逆に早朝の業務などをシルバー人材センターのみなさんに依頼する形で互いにカバーしあいながら、ともに活躍の領域を広げていきます。今後は、ベネッセグループにとどまらず地域社会にとっても、なくてはならない存在になっていくことを期待しています。  また企業のみなさん向けには、ビジネスメイトのホームページ上にある「TAMATE-BAKO」で障がい者雇用のノウハウを公開しています。企業・団体による会社見学も2023年は国内外107件、延べ589人にのぼりました。意欲のある企業のみなさんと一緒に、これからも障がい者雇用を盛り上げていきたいと思っていますので、いつでもご連絡をお待ちしています。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社ベネッセホールディングス様のご意向により「障がい」としています ※1 CHRO:Chief Human Resource Officer。最高人事責任者 ※2 チャレンジドハウスキーピングシステム:チャレンジド(障がいのある人)がハウスキーピング(清掃)を通じ社会参加するためのシステム。「感染防止」を目的とし、清掃と消毒を同時に行うことができる。人的要因による失敗が少ない点が特徴 ★「チャレンジドハウスキーピングシステム○R」は、東栄部品株式会社の登録商標です。 ベネッセビジネスメイトのおもな業務内容 ・メールサービス(郵便物や荷物の仕分けデリバリー) ・クリーンサービス(オフィス清掃) ・ジョブサポートセンター(各種業務サポート) ・オフィスサービス(総務サービス) ・マッサージサービス ・カフェサービス ・スタードーム(プラネタリウム運営) ・カスタマーサポート(申請処理、サポート) ・経理伝票BO(伝票処理) ・知財事業(知的財産申請・管理) ・スタッフ部門(研修・労務管理・グループの障がい者雇用推進など) 【P6-11】 職場ルポ ジョブコーチを中心に支援体制、戦力化と定着を図る ―アール・ビー・コントロールズ株式会社(石川県)― 電子制御機器を手がける会社では、ジョブコーチを中心に支援体制を整え、従業員が戦力として活き活きと働き続けられる職場環境づくりを図っている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野貴 取材先データ アール・ビー・コントロールズ株式会社 〒920-0352 石川県金沢市観音堂町(かんのんどうまち)口71 TEL 076-268-0198 FAX 076-268-1278 Keyword:知的障害、製造業、ライン、特別支援学校、障害者職業生活相談員、職場適応援助者(ジョブコーチ) POINT 1 「職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修」などを参考に、採用から定着までの体制を整える 2 知的障害のある従業員を公私にわたり多面的にフォロー 3 管理者勉強会やトップからの発信などで職場理解を拡大 日常生活を支える製品づくり  石川県金沢市にある「アール・ビー・コントロールズ株式会社」(以下、「アール・ビー・コントロールズ」)は、コンロや給湯器などの熱エネルギー機器の大手メーカー「リンナイ株式会社」(以下、「リンナイ」)の子会社として1971(昭和46)年に設立された。電子制御ユニットやリモコン、LED照明などの設計から生産までを手がけ、石川県内に本社と2工場・物流センターがあるほか韓国と中国に関連会社を持ち、リンナイ以外の取引先も多岐にわたる。  同社の障害者雇用については、社員の中途障害や単発的な採用はあったものの法定雇用率をなかなか達成できなかったそうだ。そこで総務部の担当者や現場の管理職らが奮起して採用から定着までの支援体制を整えた結果、現在は従業員594人のうち障害のある従業員が13人(身体障害4人、知的障害9人)、障害者雇用率2.90%(2024〈令和6〉年6月1日現在)だという。2023年に「令和5年度障害者雇用優良事業所」として石川県知事表彰を受賞、翌2024年3月には、人を大切にする経営学会「第14回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員会特別賞を受賞している。  これまでの支援担当者らの取組みや工夫、生産現場や本社内の業務において戦力として働く障害のある従業員を紹介する。 きっかけは障害者職業生活相談員資格認定講習  アール・ビー・コントロールズが障害者雇用へと積極的に動き出したのは2017(平成29 )年ごろ。その火つけ役の1人が、総務部人事課で主事を務める山本(やまもと)麻梨菜(まりな)さんだ。  入社以来ずっと採用や広報にかかわってきた山本さんは障害者雇用も担当していたが、毎年のように納付金申請をするなかで、「納付金さえ納めればいいのだろうか」との疑問を抱くようになった。そんななかで2017年、当機構(JEED)が実施する「障害者職業生活相談員資格認定講習」(※1)を受けた。生産現場の課長と部下の2人もたまたま一緒に受けるなかで、その部下の男性社員が、「自分にも知的障害のある子どもがいる」と話してくれた。それが山本さんにとって大きな転機になったという。  「その男性社員が、子どもの就職には苦労するとしながら『私たちの会社も、障害のある人がどんどん働ける職場になったらいいね』といったところ、隣にいた課長が『じゃあ俺たちのところで受け入れてみよう』と提案してくれたのです」  3人で講習を受けながら「生産現場でもやれることがありそうだ」、「こういう作業ならできるかも」などとアイデアを出しあった。  一方で山本さんは「本格的に障害者雇用を進めるには、どんな知識や準備が必要だろうか」と調べるうちに、「企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修」(※2)のことを知った。上司から「どんどんやってみればいいよ」と背中を押され、JEEDで実施する千葉会場での4日間の集合研修に参加。山本さんは「研修内容は予想以上のレベルで、グループワークではさまざまなケースの赤裸々な話を聞けました。同じような問題を抱える仲間がいると知ったことも自分のなかでは力になりました」とふり返る。  さっそく採用活動に動き始めた山本さんは、地域の特別支援学校が毎年開催している公開セミナーにも参加した。学生たちの就労先や、どういった仕事・業務に向いているか、逆にどんなことが課題になりやすいかなどを教わり、進路指導の先生ともつながりができた。  そうして特別支援学校の先生から「こういう生徒がいますよ」との情報提供を受け、2019年に採用したのが高野(たかの)響平(きょうへい)さん(24歳)だ。「いまでは立派な現場の戦力になっています」と山本さん。さっそく高野さんの職場を見せてもらった。 製造ラインのキーパー担当  本社から車で30分ほどの郊外にある鶴来(つるぎ)工場。主力商品である電子制御ユニットなどを製造しており、ここで高野さんは部品のラインキーパーを担当している。  製造フロアでは、ラインごとに20種類以上の部品を組み込んでいくが、各部品が入ったトレーが空になるとシューターから出てくる仕組みだ。ラインキーパーは、同じ番号のトレーを棚から探してきて、バーコードを読み取り確認してからセットする仕事で、高野さんは「最初はトレーの場所を覚えるのに苦労しました。二つのラインに気を配りながらの仕事です」と教えてくれた。  高野さんは特別支援学校3年次にアール・ビー・コントロールズで2回のインターンシップを経験。入社後はケースを洗浄したり棚に供給したりする仕事をしていたが、5年目のある日、現場の上司に「新しいこともやってみたい」と相談したそうだ。その意欲をくんだ上司は、現場の社員らと検討し、ワンランク上の業務としてラインキーパーに挑戦してもらうことを決めたという。  当時の作業担当者と一緒に練習し、最初は一つのラインだけ試してみて、問題がないと判断されたら二つめのラインも一緒にできるか確認していった。合格基準は「これまでの担当者と同じ速度でミスなくできるか」で、高野さんは1カ月あまりでOKが出たそうだ。  鶴来工場製造一課課長の山田(やまだ)忍(しのぶ)さんによると「最初はたしかに不安もありましたが、挑戦してもらって本当によかったと思います。前任者がちょうど定年退職したため、タイミングよく新担当者となりました」という。「彼はいつも元気いっぱいで、現場を明るくしてくれるのも大きな長所です。ただし行動も元気すぎて、たまに通路で人とぶつかりそうになるので注意しています」と冗談を交えつつ激励した。  高野さんに今後の目標を聞いたところ「後輩社員が入ってきたら、仕事を教えてあげられるようになりたいです」と答えてくれた。  ちょうど前日、特別支援学校の生徒たちが工場見学に訪れた際、工場長から紹介された高野さんは「僕のかっこよく仕事しているところを見ていってください」といったそうだ。案内役だった山本さんが「あとで生徒さんたちに感想を聞いたら『あのかっこいい先輩の姿を見て、自分たちも同じように活躍したいと思いました』と返ってきました」と伝えると、高野さんはうれしそうに笑顔を見せていた。 チェックシートで自己管理  管理者のいない現場で、1人で業務をこなす従業員もいる。澤田(さわだ)朋佳(ほのか)さん(22歳)は、特別支援学校の2年次と3年次に同社でインターンシップを受けた。学校でも清掃作業を学ぶ授業があり、「掃除の仕事が好きで、ここを志望しました」と話す。  入社後は、本社内の食堂の清掃や消毒作業、中庭の水やり、社内郵便などの業務を1人で担当している。それを可能にしたのが作業チェックシートだ。JEEDが研修などで提供している資料を参考にして、山本さんがつくったという。  最初は作業を一つひとつ指導しながら何分かかるかを確認し、「何時から何をするか」を細かく書いた作業チェックシートができた。澤田さんは毎日それを手にチェックを入れながら作業を進めていく。山本さんによると「作業チェックシートは管理機能を果たしています。会社側としては作業後の結果さえしっかりわかればよいので、澤田さんも自己管理しながらひとり立ちできます」とのことだ。作業チェックシートには、1カ月をふり返って翌月に何をがんばるかという目標も記入し、面談をしながらスキルアップにつなげていくそうだ。  澤田さんは「1人で働き始めた当初は、作業中にわからないことがあっても緊張して周りの人に聞けませんでしたが、仕事に慣れていくうちに自信もついて、自分から聞けるようになったことがよかったです」とふり返る。  社内郵便は、量によって毎日数回に分けて仕分け、社内を回って担当者に渡している。「それぞれの作業の時間配分や段取りは、自分なりに工夫していることもあります。天気によっては先に掃除をしたり、社内郵便を優先させたりして、終わったものから順番にチェックして、確認していますね」という澤田さんは、「社員のみなさんから『いつもありがとう』っていってもらえるのがうれしいです。今後も、早寝早起きをして元気よく働けるようにしたいです」と語ってくれた。 定着のための工夫  山本さんたちは定着のための取組みにも力を入れてきたという。おもな内容について、これまでの苦労や工夫も含めて教えてもらった。 @チーム支援の体制づくり  障害のある人に対しては、インターンシップを受け入れており、家族に対しても職場見学に招き、仕事内容のほか職場環境や福利厚生、会社の方針なども知ってもらっている。入社後も互いに連絡を取りやすい関係性をつくっておくことを大事にしているそうだ。  一方で当初は、入社後の受入れ先の部署を見つけることが容易ではなかったという。「以前まで現場では、受け入れることで生まれる効果が想像されにくく、負担だけがかかると思われていました。それで『うちはちょっとむずかしい』といわれてしまうのが悩みでした」と山本さん。  まず現場の心理的負担を軽減するため、ジョブコーチである山本さんのほか本人の家族や出身の特別支援学校、医療機関、さらに訪問型ジョブコーチも含めたチーム支援の体制を整えた。支援のやり方などを説明し、山本さんが「何かあれば必ず駆けつけて仲介役として対処する」と伝えることで、「それならやってみる」と前向きになる部署が増えていったそうだ。  また、障害のある従業員にちょっとした課題や直してほしいことが出てきたとき、日ごろからつながりのある家族や学校の先生の助けを借りることもある。山本さんはいう。  「特に3年間の信頼関係がある先生は、親のように叱咤激励してくれます。職場に慣れたころ、先生が見学に来るだけで本人もビシッと姿勢を正します。愛情のある厳しめの声がけも含めて周囲に見られていることを自覚してもらっています。さまざまな立場からゆるやかに見守り続けることが大事だと思います」  ちなみに山本さんは、採用から定着まで一人ひとりを着実にフォローできるよう、障害者雇用での採用は2年に1回程度と決めている。ただし採用にかかわらずインターンシップを希望するケースは広く受け入れているそうだ。 Aジョブコーチとのつながり  知的障害のある従業員を中心に、山本さんは3カ月に1回以上の個別面談を実施している。業務だけでなく生活面でのフォローもしているそうで「面談をきっかけにトラブルを未然に防いだケースがいくつもあります」  例えば、ある従業員の場合、面談で「何か困っていることはない?」と聞いても最初はないと答えていたが、雑談中のお金の話から「じつは貯金がなくなりました」と明かされた。ゲームの課金に1カ月数万円近く使い込んでいたという。  「金銭管理が行きづまると仕事にも影響することは目に見えています。説明してすぐに課金をやめてもらいましたが、次は漫画やカードなどを買い込むなど浪費癖がありました。そのため親御さんからのサポートもあり、いまは小遣い制になっています。いずれ自立しなければいけないのですが、少しずつですね」  社会福祉法人金沢市社会福祉協議会の訪問型ジョブコーチとも連携している。最近は精神面で波がある従業員について、一緒に面談をしている。本人は経済的な問題も抱えていたが、障害年金を申請していないことがわかり、ジョブコーチに助言をもらいながら本人にていねいに説明して申請にこぎつけた。  従業員のなかには、日ごろから山本さんとLINEでつながり、私生活のできごとなどを共有しているケースもある。「姉のような存在になっているのかもしれませんね。2024年1月の能登半島地震のときに『大丈夫ですか?』と従業員から連絡が来たときは、いろいろな意味でうれしかったです」と山本さん。 B社内イベント  アール・ビー・コントロールズでは「みんなが幸せになる経営」の一環として、社員同士の交流を図るイベントを毎月開催している。「10月はホテルのスイーツビュッフェに、家族も含めて参加できるイベント(費用の4分の3を会社が補てん)を開催し大好評でした」と山本さんはいう。こうした社内イベントを機に、障害のある従業員同士もプライベートで一緒に旅行に出かけるようになっているそうだ。  「特に障害のある従業員の採用は2年ごとのため、社内で横のつながりができにくく孤立しないかと心配していましたが、社内イベントが効果的な仲間づくりの場になっています」と山本さんは話してくれた。 C管理者の勉強会  障害のある従業員を現場でもよりスムーズに支援し、受入れ部署を増やしていくために始めたのが管理者勉強会。障害特性への理解や作業指示のポイントを学んでもらっている。実際に受け入れた部署からは日ごろから抱えている質問なども出されているそうで、毎回山本さんがアドバイスをしながら管理者同士が情報共有できる場にもなっている。  「いつでもジョブコーチが駆けつけますと伝えるだけで安心してもらえますし、管理者同士で『一緒にがんばっていこう』という一体感も生まれます」と話す山本さんは、いまもJEEDの石川障害者職業センターなどで開催される研修会に参加しながら、支援方法などを学び続けているという。 「全社員経営、全社員戦力」  アール・ビー・コントロールズ代表取締役社長の遠藤(えんどう)健治(けんじ)さんにも話を聞いた。  親会社のリンナイで開発などにたずさわり、当社に出向している遠藤さんは、障害者雇用については、2023年、「障害者雇用優良事業所」として石川県知事表彰を受けたときにトップとしての認識が大きく変わったと明かす。  「恥ずかしながらこれまで部下に任せっぱなしでしたが、取組みが社内外に広く知られるなか、私自身もより積極的に取り組んでいかねばと思うきっかけになりました」  遠藤さんは表彰式翌日、賞状を手に各部署を回り、障害のある従業員らと面談を行ったところ「彼らの向上心の強さにも驚きました。いまの仕事をもっと追求して改善したいと真摯(しんし)に考えている様子を見て、ありがたい気持ちにもなりました」という。  面談では、職場への感謝の声も聞けて安心したそうだ。それを伝えた1人が入社10年以上になる男性で、軽度の知的障害がある。職場でめきめきとスキルアップし、電子点火装置の生産ラインにある機械メンテナンスを担当するまでになった。男性は遠藤さんに「障害のある自分を頼ってくれて、やさしくわかりやすく説明してくれることにも感謝しています」と語った。本人の父親からも後日「社長さんとの面談で、自分の目標ややりがいを伝えさせてもらえたことに感謝したい」との手紙が届いたという。  障害のある従業員たちが働く現場も見て回った遠藤さんは、一般社員と一緒になって活き活きと働いている様子に、障害者雇用が、企業の社会的責任という範囲を超え、社員や職場にとってよいことも多いと実感したという。  「例えば現場で行われていた、わかりやすい説明。一般社員に対しても、より理解しやすい方法で伝えたほうがいいに決まっていますよね。また経験や勘に頼るような仕事もなるべくつくるべきではありません。機械の性能や特徴を活かしながら、よりシンプルに、だれがやってもミスを起こさない仕組みは必要で、この先もどんどん進めていけると思います」  また遠藤さんは以前、周辺の社員から「彼らががんばっている様子を見ていたら、自分ももっとがんばろうという気になる」という話も聞いていた。  「社員同士のコミュニケーションやかかわりあいが深い職場では、相手を思いやったり大事にしたりする気持ちが自然と醸成されますね。そうした社風が育まれていく職場環境こそ、会社にとって大事なことだとつくづく気づかされます」と遠藤さん。  今後も障害者雇用を拡大していく方針だという遠藤さんは、「私たちはこれまで『全社員経営』、『みんなが幸せになる経営』を実践してきましたが、もちろん障害の有無は関係ありません。役割分担があり、全員がレギュラーでフル出場する。全社員が一人ひとり自己のベストを尽くすことが大事で、自分の持てるスキルをフルに発揮するよう努めながら挑戦する、それをしっかり支援できる会社を引き続き目ざしていきたいと思っています」と力強く語った。 ※1 障害者職業生活相談員資格認定講習の詳細はJEEDホームページをご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer04/koshu.html ※2 企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修の詳細はJEEDホームページをご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/seminar/job_adapt02.html 写真のキャプション アール・ビー・コントロールズで生産される「電子制御ユニット」(写真提供:アール・ビー・コントロールズ株式会社) 総務部人事課主事の山本麻梨菜さん アール・ビー・コントロールズ株式会社 鶴来工場 鶴来工場でラインキーパーとして働く高野響平さん 高野さんが働く鶴来工場の製造フロア シューターに部品をセットする高野さん 鶴来工場製造一課課長の山田忍さん 本社で働く澤田朋佳さん 本社内の食堂で消毒作業を行う澤田さん 澤田さんは、中庭の水やりなども担当している 自己管理に活用される「作業チェックシート」(写真提供:アール・ビー・コントロールズ株式会社) 社内イベントの一つ「クリーンビーチ」(海岸の清掃)(写真提供:アール・ビー・コントロールズ株式会社) 代表取締役社長の遠藤健治さん 表彰式の翌日、遠藤さんは障害のある従業員らとグループ面談をした(写真提供:アール・ビー・コントロールズ株式会社) 【P12-14】 JEEDインフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 事業主のみなさまへ 令和7年度 「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」等申請のお知らせ 〜常用雇用労働者の総数が100人を超えるすべての事業主は障害者雇用納付金の申告義務があります〜  令和7年4月1日から5月15日の間に令和7年度申告申請をお願いします。前年度(令和6年4月1日から令和7年3月31日まで)の雇用障害者数をもとに、 ○障害者雇用納付金の申告を行ってください。 ○障害者の法定雇用率を下回る場合は、障害者雇 用納付金を納付する必要があります。 ○障害者の法定雇用率を上回る場合は、障害者雇用調整金の支給申請ができます。 【申告申請期間】 種別 障害者雇用納付金 障害者雇用調整金 在宅就業障害者特例調整金 特例給付金(経過措置) 申告申請対象期間 令和6年4月1日〜令和7年3月31日 申告申請期間・納付期限 令和7年4月1日〜令和7年5月15日(注1、注2、注3) (注1)年度の中途で事業廃止した場合(吸収合併等含む)は、廃止した日から45日以内に申告申請(障害者雇用納付金の場合は、あわせて申告額の納付)が必要です。なお、令和7年度中の事業廃止等による申告申請については、制度改正により様式が変更となりますので、期間内に申告申請できるよう、余裕をもって各都道府県申告申請窓口にご相談ください。 (注2)障害者雇用調整金、在宅就業障害者特例調整金および特例給付金(経過措置)は、申請期限を過ぎた申請に対しては支給できません。 (注3)常用雇用労働者の総数が100人以下の事業主が、報奨金および特例給付金(経過措置)の申請を行う場合の申請期限は令和7年7月31日となります。 *詳しくは、最寄りの各都道府県支部高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)にお問い合わせください(33ページ参照)。 JEED 都道府県支部 検索 令和7年度申告申請における障害者雇用納付金制度のおもな変更点について @障害者の法定雇用率の引上げ  企業の法定雇用障害者数の算出に用いる障害者の法定雇用率が2.3%から2.5%に引き上げられました。 A一定数を超えて障害者を雇用する場合、超過人数分の調整金および報奨金の支給額を調整  調整金は年間総計120人超で月額23,000円、報奨金は年間総計420人超で月額16,000円に調整されます。 B特定短時間障害者(※)の実雇用率への算入  重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者である特定短時間障害者(就労継続支援A型事業所の利用者を除く)は1人をもって0.5人として対象障害者数にカウントします。 ※週所定労働時間が10時間以上20時間未満の障害者 C特例給付金の廃止(令和7年度申告申請限りの経過措置)  Bの措置に伴い、特例給付金が廃止され、廃止前に雇い入れられた特定短時間労働者である重度以外の身体障害者または重度以外の知的障害者については、1年間の経過措置が設けられています。 Dシフト制の取扱いの変更  シフト制で働く方の雇用区分の確認方法が変わり、常用雇用労働者および障害者の取扱いが変わります。 *制度改正の概要についてはJEEDホームページをご覧ください。https://www.jeed.go.jp/disability/seido.html JEEDホームページにて、記入説明書および解説動画をぜひご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/levy_grant_system_about_procedure.html 申告申請の事務説明会にぜひご参加ください。 *全国各地で2〜3月に開催します。 *参加費は無料です。 JEED 納付金 説明会 検索 事業主のみなさまへ 障害者雇用納付金関係業務調査のごあんない 〜障害者雇用納付金制度を支える仕組みです〜  障害者雇用納付金制度の適正運営、事業主間の経済的負担の平等性の確保などの観点から、障害者の雇用の促進等に関する法律第52条に基づき調査を実施しております。  実際に調査の対象となった事業主の方に対しては郵便、お電話にて事前にご連絡し、日程調整や用意いただく書類などについてご案内します。  ご協力をお願いいたします。 【対象となる事業主の方】  障害者雇用納付金の徴収並びに障害者雇用調整金等の支給の適正を期するため、源泉徴収票(写)や障害者手帳等(写)の根拠資料の添付を義務づけている事業主を含むすべての事業主を対象として実施いたします。 【調査方法】  訪問等により関係書類の確認やヒアリングを行い、申告申請書に記載された常用雇用労働者の総数および雇用障害者数や障害の程度などが適正であることの確認を行います。 【申告申請額に誤りがあった場合】  調査の結果、申告申請内容に誤りがあった場合には、納付金の追加納付または調整金などの返還を行っていただくことになります。また、納付した金額が多かった場合には、還付をさせていただきます。  なお、納付金の追加納付が必要な場合には、その納付すべき額に10%を乗じて得た額の追徴金が課せられます。 注意  申告申請書作成時に根拠とした書類は、調査時に確認しますので適切な保管をお願いいたします。  また、雇用障害者の退職後も、障害者であることを明らかにする書類(手帳等の写し)を3年間保存する義務があります。  ご注意ください。 本調査について、詳しくはJEEDホームページに掲載している「障害者雇用納付金関係業務調査のごあんない」をご参照ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/noufukin_chosa.html <お問合せ> 納付金部 調査課 TEL:043-297-9654 障害者雇用の専門家が企業のみなさまを支援します 〜「障害者雇用支援人材ネットワーク事業」のごあんない〜 障害者雇用の課題に対応した経験をもつ、「労務管理」「医療」「建築」などさまざまな分野の専門家である「障害者雇用管理サポーター」が企業のみなさまの疑問や課題に対応いたします。 サポごー相タ談ーの受活付用例 相談内容  精神障害のある社員の職場定着に向けて、自社の取組みの参考とするため、ほかの企業が実際にどのように取り組んでいるのかを把握したい。 支援内容  相談企業が、障害者雇用管理サポーターの所属している企業(精神障害のある社員を複数人雇用)を訪問した。  サポーターから、「電話応対の可否など、精神障害のある社員一人ひとりの特性に合わせて、職務内容や配置場所を変えていること」、「管理者による体調管理ができるように、毎日障害のある社員から日誌の提出を求めていること」、「障害のある社員本人の了解のもとで周囲の従業員に障害の特性を説明し、配慮を求めていること」などについて説明した。  相談企業からは、配置場所や活用している資料等について実際に目にすることができ、わかりやすく勉強になったとの声がきかれた。 相談内容  障害者に対する合理的配慮が適切に行われているか自社の状況を再確認しており、アドバイスがほしい。 支援内容  障害者雇用管理サポーター2名(社会保険労務士、先進的に取り組んでいる企業に所属する者)が相談企業を訪問のうえ、他社での合理的配慮の取組みについて情報提供し、障害者との面談方法について助言援助を実施した。  相談企業からは、障害のある社員との面談時に留意する合理的配慮の考え方について再確認することや、障害者からの配慮事項の要望を受けて全社員に有効な就業規則の改定につなげられたことなど、合理的配慮の取組みが一歩進み、さまざまな社員にとって相談しやすく働きやすい環境整備につながったとの声がきかれた。 ご相談受付 サポーターによる支援をご希望の場合は、次の@、Aどちらかの方法でご連絡ください。 @中央障害者雇用情報センターの障害者雇用支援ネットワークコーディネーターにご相談ください。  企業のみなさまの相談内容に合わせて、サポーターと調整を行います(相談・支援にかかる費用は無料です)。 TEL:03-5638-2792 E-mail:syougai-soudan@jeed.go.jp ※令和7年4月以降は連絡窓口が変わります。詳細は令和7年3月までにJEEDホームページでお知らせする予定です。なお、サービスの内容に変更はありません。 A障害者雇用管理サポーター検索サイト「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」により、ご自身でサポーターを検索し、直接連絡のうえ、支援の依頼についてご相談いただけます(支援に関する費用はサポーターによって異なります。サイトのサポーター検索結果からご確認ください)。 JEED 支援人材 検索 「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」 https://shienjinzai.jeed.go.jp <お問合せ> 職業リハビリテーション部 指導課 TEL:043-297-9072 【P15-18】 グラビア 「ともにはたらく」 〜障害者が働きやすい職場〜 株式会社特殊衣料(北海道) 取材先データ 株式会社特殊衣料 〒063-0834 北海道札幌市西区発寒(はっさむ)14条14-2-40 TEL 011-663-0761 FAX 011-663-0955(代表) 写真・文:官野貴  北海道札幌市で、病院や福祉施設などで利用されるタオル類のリネンサプライなどを手がける株式会社特殊衣料では、障害のある従業員が欠かせない戦力となっている。障害者雇用のきっかけは、34年前に地域の養護学校(当時)の職場実習を受け入れたこと。現在では、リネンサプライや清掃、縫製といった各分野で、知的障害などのある30人が働いており、リネンサプライの工場で働く従業員のうち半数近くが障害のある従業員だ。  洗濯と乾燥の工程で働く笠井(かさい)翼(つばさ)さん(29歳)は入社5年目。洗濯物の投入前や取り出した後には、取り残しがないか機械の中をしっかりと確認しながら作業を進めていた。また、その工程ごとに記録簿に記入し、万が一の混入に備える。笠井さんは乾燥の不十分な洗濯物を出さないように心がけているという。  入社7年目の平佐(ひらさ)優希(ゆうき)さん(29歳)は、仕上げの工程においてタオルの畳みや仕分けを担当している。畳んだタオルの袋詰め作業が好きだという平佐さんは、リズミカルな動きでタオルを梱包機に送り込んでいた。  同社では、職場定着に向けた取組みとして、企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)や障害者職業生活相談員、社会福祉士などを配置し、外部の支援機関とも連携し、働きやすい職場づくりに努めている。また、社会人としての常識や働くために守らなければならないことをまとめたマナー本「ともにはたらく」を制作し、障害のある従業員の入社時や生活面の支援が必要なときに研修資料として活用している。  これらの取組みが評価され、2022(令和4)年には、「もにす認定制度」(障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度)の認定を受けた。同社では、今後も積極的な障害者雇用を続けていくという。 写真のキャプション 洗濯機に洗濯物を投入する笠井翼さん。洗浄前の洗濯物は、エプロンやフェイスシールドを装着のうえ扱う 乾燥を終えた洗濯物を袋詰めし、かご台車に積み込み、仕上げの工程へ送る チェックリストに投入物や作業者名を書き入れる 取り残しの有無を入念にチェック 仕上げの工程で働く平佐優希さん。笑顔が印象的だ タオルを10枚ずつ数え、20枚の束にまとめる 畳んだタオルを納品用の袋に詰めていく 納品用のラベルを貼りつけて作業完了 梱包作業は平佐さんの好きな作業の一つ 写真やイラストで図解したマニュアルが活用されている 株式会社特殊衣料が制作したマナー本「ともにはたらく」。本人用と支援者用に分かれている 仕上げの工程で働く工藤(くどう)公宏(ともひろ)さん(52歳) 株式会社特殊衣料は職場定着率も高く、工藤さんは同社における障害者雇用の一期生だ 【P19】 エッセイ 誰一人取り残さない防災とは? 第2回 災害は不平等を拡大させるレンズ 同志社大学社会学部教授 立木茂雄 立木茂雄(たつきしげお)  1955(昭和30)年兵庫県生まれ。1978年関西学院大学社会学部卒。同社会学研究科修士課程修了後、1980年よりカナダ政府給費留学生としてトロント大学大学院に留学。MSW(マスター・オブ・ソーシャルワーク)ならびにPh.D.(ドクター・オブ・フィロソフィー)修得。1986年より関西学院大学社会学部専任講師・助教授・教授を経て2001(平成13)年4月より現職。  専門は福祉防災学・家族研究・市民社会論。特に大災害からの長期的な生活復興過程の解明や、災害時の要配慮者支援のあり方など、社会現象としての災害に対する防災学を研究。  おもな著書に『災害と復興の社会学(増補版)』(萌書房、2022年)などがある。  災害は、一瞬にして日常を奪い去る。それだけではない。災害は、被災前から存在していた不平等や格差を拡大し、無防備な社会的弱者の苦境をさらに深刻化させ、回復までにはより長い時間を要する。災害がもたらすのは、単なる物理的な破壊だけではなく、被災前から存在する社会的・経済的そして心身の機能上の不平等を顕在化させ、広げていくという現実だ。  東日本大震災から10年間、私たちが宮城県名取(なとり)市で実施した「生活復興感尺度」を用いた5波におよぶ縦断―同じ被災者に繰り返し回答を求める―研究は、この「不平等の拡大」という現実を如実に示している。この調査が明らかにしたのは、被災前から社会・経済・心身面で脆弱な人たち―少人数世帯や単身高齢世帯、健康問題を抱える家庭、震災で失業した人々、障害者手帳を持つ人々など―が、被災後も一貫してさらなる困難に直面し続けた事実だ。災害が社会的弱者に与えた影響は、避難所生活から生活再建に至るまで、長期にわたって続いていた。  主観的な「生活復興感」だけでなく、客観的な「すまい再建速度」においても、こうした社会的弱者層がほかの層に比べて大幅に遅れを取っていたことが確認された。単身世帯や女性世帯主といった脆弱な立場にある人々は、恒久住宅に移行するのに時間がかかり、その過程での苦しみがさらに長引くという現実が浮かび上がった。  この結果は、災害が単なる破壊を超え、被災前からすでに脆弱だった層に、より深刻な影響を、より長期にもたらすことを示している。災害によって新たな不平等が生まれるのではなく、むしろ既存の不平等が拡大される――災害は、社会の格差を拡大し、その影響を何倍にも強める「レンズ」として働くのだ。  だからこそ、災害後の支援においては、被災前から当事者と密接にかかわってきた専門職の連続的な関与が不可欠だ。福祉や保健・医療の専門家が、被災後も彼ら(社会的弱者)の生活再建に寄り添い続けることで、拡大した不平等の影響を最小限に抑えることができる。住まいや生計手段の復旧だけではなく、被災者一人ひとりの生活再建全般にわたる長期的で―平時(いわば「晴れの日」)と災時・災後(いわば「嵐の日」)を「全天候型」でとらえる―生活の全体性や連続性を視野においた支援が必要なのだ。 図1 世帯規模別の生活復興感得点の軌跡の比較 生活復興感 パネル調査年度 エラーバー:95% CI 世帯人数 1人 2人 3人以上 反復測定分散分析 群間効果: F(2,310)=3.096,p<.05 群と時間の交互作用効果:F(7.45,1154.55)=2.26,p<.05 (Greenhouse-Geisser補正) 図2 単身高齢世帯とそれ以外の世帯の生活復興感得点の軌跡の比較 生活復興感 パネル調査年度 エラーバー:95% CI 単身高齢以外の世帯 単身高齢世帯 反復測定分散分析 群間効果:F(1,314)=.300,p<.001 群と時間の交互作用効果:F(3.72,1168.43)=3.347,p<.05 (Greenhouse-Geisser補正) 図3 障害者手帳の有無別の生活復興感得点の軌跡の比較 生活復興感 パネル調査年度 エラーバー:95% CI 無し 手帳有り 反復測定分散分析 群間効果:F(1,314)=.287,ns 群と時間の交互作用効果:F(1,314)=.275,ns. 図4 身体的健康について気がかりな成員の有無別の生活復興感得点の軌跡の比較 生活復興感 パネル調査年度 エラーバー:95% CI 身体的健康について気がかりな成員はいない世帯 身体的健康について気がかりな成員がいる世帯 反復測定分散分析 群間効果:F(1,314)=4.323,p<.05 群と時間の交互作用効果:F(1,314)=.655,ns. 出典:立木茂雄・川見文紀.「社会的弱者と災害−誰一人取り残さないための原則とは?」総合リハビリテーション,50(1),2022,83-89. 【P20-25】 新春特別対談 松爲信雄編集委員×八重田淳編集委員 これからの時代の障害者雇用とは  いよいよ2025年。今号では、本誌編集委員会座長を務め、障害者雇用の研究における第一人者である松爲(まつい)信雄(のぶお)委員と、海外の先進事例などにも造詣の深い八重田(やえだ)淳(じゅん)委員による「新春特別対談」をお届けします。  キーワードは「未来の障害者雇用」。障害者の雇用にかかる環境変化が著しい時代における障害者雇用のあり方についてお話しいただきました。 プロフィール 八重田 淳 (やえだ じゅん) 筑波大学大学院教授 「リハビリテーション科学学位プログラムリーダー」として、専門性を備えた人材を養成すると同時に、社会人の再教育の機会提供の研究にも取り組む。 松爲 信雄 (まつい のぶお) 神奈川県立保健福祉大学・東京通信大学名誉教授 前日本職業リハビリテーション学会会長。2022年より「松為雇用支援塾」を主宰し、障害者雇用をリードできる支援者の育成に力を尽くしている。 〜2024年をふり返る〜職業リハビリテーションに期待される役割の広がり 松爲 新しい年を迎えるにあたり、障害者雇用の未来についてお話しできればと思います。八重田先生は、2024(令和6)年をふり返り、どのようなことを感じていらっしゃいますか? 八重田 2024年は、災害や戦争によって多くの方が生活基盤や仕事を失い、その復興も職業リハビリテーション(※1)の大きな役割の一つではないかと感じた年でした。日本国内では、能登半島での地震や豪雨が発生し、国際的にはウクライナでの戦争が続いています。こうした状況で、職を失った人々に対して、枠組みを超えた新たな支援の必要性を痛感しました。  例えばアメリカには、ハリケーンなどの災害が起こったときに、被災地に職業リハビリテーションカウンセラーなどの専門家が派遣され、失業者の相談やメンタルヘルスのサポートに応じている事例があります。アメリカは、多くの職業リハビリテーションカウンセラーがいるため実現できていることではありますが、日本の職業リハビリテーション支援も、障害者にとどまらず、災害や困難に直面した人々など、幅広い人に向けたものとして、より広くとらえ、拡充していくことが必要だと感じました。今後日本でもそうした支援が求められていくのではないでしょうか。 松爲 その視点はとても重要ですね。こうした支援は、障害の有無にかかわらず、多くの人に必要とされていますから。また、障害者の職業リハビリテーションで得られた知見やノウハウは、ダイバーシティへの対応など、これからの多様性の時代を支えていくさまざまな人たちにも活かせるものだと思います。特に日本では、少子高齢化が進み、労働力不足が深刻化していますので、こうした多様な人材を活かすための支援はますます重要性を増していくことでしょう。 働くことの本質とは何か? 松爲 ここで「ワーキング心理学」(※2)という考え方に注目したいと思います。これは、単に職業としての働き方だけでなく、家庭での役割や余暇、ボランティア活動なども含めて、働くことをより広い意味でとらえる考え方です。 八重田 つまり、働くことは金銭を得る手段としてだけでなく、そこに時間を費やすこと自体にも意味があり、自己の満足感にもつながるということですね。「働くとは何か」という根本的な問いにつながりそうですね。私自身も「せっかく働くなら、喜んで楽しく働きたい」と考えています。就労支援においても、対象者の人生の充実感を高めることにつながる支援ができれば、その意義はいっそう高まるでしょう。 松爲 そうですね。仕事や役割を通して、相手に感謝されるなどの喜びを得られることも働くことの醍醐味ともいえます。単に金銭を得るために仕事をするのではなく、仕事を通して相手に貢献できる喜びや自己充実感を得られるよう、「クオリティ・オブ・ライフ(※3)」や「ウェルビーイング(※4)」につながる支援が、今後の課題であり目標となると思います。 障害者雇用におけるキャリア支援の重要性 松爲 障害者雇用に関して、もう一つ重要なのは「キャリア形成」だと考えています。アメリカでは、キャリアという言葉はどのようにとらえられていますか? 八重田 アメリカでは「キャリア」という言葉がより広い意味で使われていて、単に働くという意味ではなく、生まれてから死ぬまでの「人生航路」という形でとらえられることが多いですね。転職を重ねながら経験を積み、自分の適性に合った分野を模索していく考え方が浸透しています。  日本においてもそのような視点で、職業リハビリテーションを拡げていってほしいと思います。 松爲 日本では、障害者に対して「キャリア」という概念がまだ十分に浸透していないと感じます。一方、アメリカでは1980〜1990年代ころからキャリア論が専門のハーシェンソン(※5)などが障害のある人たちもキャリアの概念が成り立つことをもたらし、障害者もキャリアを持ち、その成長を支援する考え方が根づいてきました。日本の支援では、障害者が仕事を得ること自体が目標になりがちですが、本来はその人の人生全体を見すえ、「キャリア」を形成していく視点が重要です。障害の有無にかかわらず、一人ひとりの生涯にわたる成長や社会への貢献を考えた「キャリア支援」が必要だと思います。 八重田 アメリカはジョブ型の雇用が基本で転職があたり前の社会なので、この視点が取り入れられやすいと思います。日本でもコロナ禍を経て、リモートワークが増えるなど、ようやく少しずつジョブ型の雇用が増える機運が見えてきましたね。日本においても、その視点をもって、職業リハビリテーションのあり方も拡がっていくとよいと思います。 職業リハビリテーションを支える人材育成の課題 松爲 このようなキャリア支援を充実させるためには、障害者雇用にかかわる支援者が、職業リハビリテーションの役割を適切に認識していることが大切だと思います。支援者の人材育成において、支援者の技術や方法論はもちろん重要ですが、それだけではなく支援の根底にある価値観を共有すること、つまり「働くことの本質」や「ウェルビーイング」との関係を深く理解することが不可欠だと思います。 八重田 そうですね。支援者自身が、職業リハビリテーションは、単に仕事を提供することを目的とするものではなく、対象となる人の人生に大きな影響を与え、その人の人生に喜びをもたらす、きわめて重要な役割を果たしていることを認識することが大切ですよね。 松爲 「支援者の人材育成」は、2025年の障害者雇用の大きなテーマともいえますね。2025年度から、初めて就労支援にたずさわる人を対象に「雇用と福祉に関する分野横断的な基礎的知識とスキルを付与する研修(基礎的研修)(※6)」が始まります。また「就労選択支援(※7)」も新たにスタートし、それにともなって支援者の役割がさらに重要になります。雇用と福祉サービスを横断的に選べるようになると、障害者が自分に合った仕事と生活を柔軟に選択し、社会に参加するための道がいっそう広がりそうですね。私個人も、支援者にとって最も重要な、支援における価値観を理解し、実践できる人を増やす必要性を感じています。 八重田 職業リハビリテーションやキャリア支援について学べる場が増えると同時に、学校教育にも、学びの場が広がっていくことが望まれますね。大学の一般教養科目として学んだり、さらに子どものころから障害について学んだりして、多様性への理解を深める教育が広がっていくことに期待しています。そうした機会が増えることでさまざまな個性や特性を持った人を受け入れることのできる社会の土壌が形成されていくのではないでしょうか。 「本人・支援者・企業」三位一体の支援が求められる 松爲 これからの障害者雇用や職業リハビリテーションにおいて、私は「三位一体の支援(24ページ図)」が欠かせないと考えています。 八重田 「障害者本人」、「支援者」そして「企業」の三者が一体となって支援を行うという考え方ですね。 松爲 法定雇用率の段階的な引上げや、障害者の算定方法の変更、雇用の質の向上のための事業主の責務の明確化など、障害者雇用促進法関係法令の改正(※8)がありました。これは企業が障害者の雇用をより積極的に促進するための大きな後押しとはなりますが、制度的な変化だけでは、障害者が職場に定着し、安心して働き、活躍するための「雇用の質」は確保できないでしょう。障害者雇用の真の充実には、企業が障害のある人を含む多様な人材を取り込んで、そのウェルビーイングの達成を目ざす価値観のもとに主体的に責任を果たすだけでなく、支援者は企業と本人の双方を支えるかけ橋となる責任が求められます。また、障害者本人も自らのキャリアを築いていこうとする意識改革も不可欠です。企業・支援者・障害者本人の三者が働き続けるために役割を互いに補い合いながら一体となって取り組むことが、障害者のキャリア形成や長期的な職場定着を支える鍵だと思います。 八重田 障害者本人が、自らのキャリア形成に主体的に取り組むことが重要だという考えも大切なポイントですね。アメリカの職業リハビリテーションでは、支援者の役割は「本人の自立と自律を高めること」とする明確な職業指針があり、障害者本人が、自らのキャリアを主体的に築けるようにサポートするのが支援者の役割だとされています。日本でも手助けをすることに加えて、「障害者が自分でキャリアを築けるよう支援する」視点が求められますね。 松爲 おっしゃる通りです。支援者はあくまで「サポート役」であり、最終的に自分の道を切り開くのは本人自身です。支援の本質は、本人がその力を育み、自分の意思で道を進んでいけるようにすることにあります。この「本人の力を高める」という視点は、これまでの日本の支援では不足していた部分かもしれませんが、まさに今後の支援で最も重要視されるべき要素ですね。また、支援者には企業に対し、コンサルティングを行う力、企業と支援機関をつなぐコーディネーションをしていく力も求められます。「雇用の質」の向上を実現するためには、企業に責任を求めるだけでは不十分です。本人、支援者、企業が、それぞれの立場からその人のキャリア形成にかかわる責任を持ち、協力して取り組む姿勢が不可欠だと思います。 八重田 研究という点からいうと、私の指導する大学院にも、働く障害のある人や支援者にインタビューするなど質的な研究を行う学生が増えてきました。質的研究は量的研究と比べると、主観的な要素が大きいと思われがちなのですが、やはり一人ひとりの生の声を拾うことはとても重要だと感じています。職業リハビリテーションの研究で、質的研究はまだ少ないと思いますが、インタビュー対象者が主体となる視点をもったアプローチを蓄積することで質的研究の質を高めていくことが必要だと思います。 IT技術が開く未来の障害者支援の可能性 松爲 最近は、IT技術やAIの進化が目覚ましく、働き方や支援の形態も変化しています。例えば、コロナ禍を経て、リモートワークの導入が進んだことは、精神障害や身体障害等がありオフィスでの勤務がむずかしい人にとっては、働きやすさの向上につながったと思います。企業にとっても、リモートワークという新しい働き方を導入することは試行錯誤の連続だったと思いますが、同時に、リモートワークに適した仕事のつくり方を見直す機会にもなりましたよね。 八重田 アメリカでのIT技術の活用は、さらに進んでいて、移動が困難な障害者に対して、テレリハビリテーション(遠隔リハビリテーション)を実施している事例があります。リモートでの支援が可能になれば、都市部から離れた地域に住む障害者も支援が受けやすくなるなど、支援の幅が広がると思います。 松爲 リモート支援には、移動の負担が減るという点でも非常に大きな可能性がありますね。一方で、対面でのコミュニケーションには、リモートにはないメリットもあります。例えば、相手の表情や仕草から感情や心理状態を察するには、対面の方が適していますので、対面でのコミュニケーションはやはり欠かせないと思います。 八重田 リモートと対面をバランスよく組み合わせて、両者の利点を最大限に活用することが理想ですね。テクノロジーの力を活かすためには、支援者自身がその技術を理解し、活用するスキルも必要です。職場でも活用していくために、職業リハビリテーションと情報工学を合わせた新たな分野も求められるようになるかもしれません。こういった時代の流れに応じた変化に対応していくことも必要になると思います。 松爲 AIを使ったカウンセリングなども登場するかもしれませんね。最新の技術を用いた支援には非常に期待が持てますが、だからといって、支援者の存在が不要になるわけではありません。 八重田 そうですね。AIには、人間のように、相手の感情や表情の微妙なニュアンスを読み取ることがまだむずかしいので、相談者にも「人に相談したい」という気持ちは残るでしょう。AIを利用したアバターが支援者の業務の一部をになうとしても、人間が行うケアやサポートが欠かせない領域は必ず残ります。やはり最終的には、「人による支援」は重要ですね。 松爲 今後も、対話や相談といった「人と人」とのコミュニケーションが支援の根幹であるという点は変わらないと思います。ただし、それを支える支援者が、日本では圧倒的に不足している現状があります。まずは、この人材をどのように増やしていくか、そして支援の質を確保していくかが今後の障害者雇用の鍵となると思います。 八重田 職業リハビリテーションにたずさわる支援者の立場がしっかりと確立され、企業内でその専門性を発揮できるようになるとよいですね。 松爲 支援者の立場がしっかりと確立され、障害者が働きやすい職場環境が整えば、ひいては、多様な人々が自分の力を最大限に発揮できる職場環境を築くための基盤となると思います。日本全体を見ても、働き手が不足していくことが課題になっています。今後の企業の成長には、こうした取組みが必要不可欠であり、企業文化として根づかせることが必要だといえるのではないでしょうか。本日はありがとうございました。 八重田 こちらこそありがとうございました。 用語解説 ※1 職業リハビリテーション 障害者に対して職業指導、職業訓練、職業紹介その他この法律に定める措置を講じ、その職業生活における自立を図ること(「障害者の雇用の促進等に関する法律」より) ※2 ワーキング心理学 アメリカのD.L.ブルスティン博士が提唱。働く人すべてに「尊厳ある仕事」が与えられるべきという理想を支える理論 ※3 クオリティ・オブ・ライフ Quality of Life。「QOL」とも略される。日本語では「生活の質」や「人生の質」などと訳され、生活や人生に対する満足度をあらわす指標のこと ※4 ウェルビーイング Well-being。身体的、精神的、社会的に良好ですべてが満たされた状態のこと 用語解説 ※5 ハーシェンソン.D.B アメリカのキャリア理論の研究者。1970年代に「進路発達」と「職業的発達」は相互に関連するととらえ、その後の障害者とキャリア理論の関連性の理解に役立つ「生態学的モデル」を作成した ※6 基礎的研修 障害者の就労支援に携わる人材に対する雇用・福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修。障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者と生活支援担当者、就労移行支援事業所の就労支援員、就労定着支援事業所の就労定着支援員の四者は受講必須となる。JEEDでは2025年度より開始予定 ※7 就労選択支援 障害者本人が就労先・働き方についてよりよい選択ができるよう、就労アセスメントの手法を活用して、本人の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援するもの 用語解説 ※8 障害者雇用促進法関係法令の改正 直近では令和4年度に改正され、令和5年度以降順次施行されている。改正の概要は厚生労働省のホームページをご参照ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00019.html また、法定雇用率の引上げや除外率の変更についてはこちらをご参照ください。 https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf 図 三位一体の支援 キャリア発達 適応→適応向上・定着→QOL Well Being 対処行動 満足 役割 充足 ・自己実現 ・安全 ・自尊 ・生理的 ・連帯 個人の(欲求)ニーズ ・職場 ・地域 ・家庭など 環境(集団)ニーズ 機能の発達 技能の発達 技能の活用 介入と支援 資源の開発 資源の調整 資源の修正 キャリア支援に基づく 職業リハビリテーション学 理念・理論・知識・技術 企業関係者 支援機関家族 本人 雇用の質 支援の質 キャリア意識 ワークキャリア支援 ライフキャリア支援 セルフマネジメント コンサルテーション・コーディネーション 出典:松爲信雄編集委員が作成 写真のキャプション 今後の障害者の職場環境や支援の場においてITの活用やAIの可能性などについて意見を交わす松爲委員(左)と八重田委員(右) 【P26-27】 クローズアップ マンガでわかる! わが社の障害者雇用物語 第5回 職場定着に向けて  前回までは、障害者雇用の検討から採用活動までを紹介してきましたが、障害者雇用は入社してからが本番です。障害特性のみならず、個々の状況を把握して職場環境を整えたり、支援機関と連携して支援を行ったりするなど、ともに長く働いて いくための体制をつくっていきましょう。 監修:三鴨(みかも)岐子(みちこ) (『働く広場』編集委員)  名刺や冊子などのデザインを手がける「有限会社まるみ」の取締役社長。精神保健福祉士。  障害のある社員の雇用をきっかけに「中小企業の障害者雇用推進」に関する活動を精力的に行っている。 職場定着を目ざして  新しい職場に慣れるまではだれでも時間がかかります。それに加えて障害のある人は、自身の障害特性により「すぐ疲れてしまう」、「仕事を覚えるのに時間がかかる」といった課題が生じることがあります。さらに働きづらさがあるものの「配慮してほしい」と周りに伝えることができず、短期間で離職してしまう場合もあります。  一方で企業側からも「業務で生じた課題や本人の要望が、障害特性から来るものなのか、そうではないのかの判断がむずかしく、指導方法に悩む」という声が聞かれます。  そのため職場定着に向けて、各支援機関と連携し支援していくことが重要です。 ジョブコーチ支援とは  企業は、障害のある人が職場に適応しやすくするため、職場に職場適応援助者(ジョブコーチ)の派遣を受けることができます(※1)。  ジョブコーチによる支援は、JEEDの地域障害者職業センターに所属している「配置型ジョブコーチ」のほか、支援機関等に所属している「訪問型ジョブコーチ」も行うことがあります。また、自社の従業員がジョブコーチ養成研修を受けて、「企業在籍型ジョブコーチ」(※2)として社内の障害のある従業員の支援を行うこともできます。  マンガに登場するのは、地域障害者職業センターの配置型ジョブコーチによる支援を利用した事例です。地域障害者職業センターの障害者職業カウンセラーが、支援を必要とする障害者、企業との相談を通じて職場の状況などを十分把握し、双方の同意を得たうえで、個々の状況に応じた支援計画を策定し、配置型ジョブコーチは、その支援計画に基づき、企業に出向いて支援しました。  支援内容として、障害のある人に対しては、職務遂行に関する支援や職場でのコミュニケーションに関する支援を行い、企業に対しては、障害を適切に理解し配慮するための助言、職務内容や指導方法を改善するための助言・提案を行います。  支援期間は、標準的には2〜4カ月間です。支援は永続的に実施するものではなく、ジョブコーチによる支援を通じて適切な支援方法を職場の上司や同僚に伝えることにより、事業所による支援(ナチュラルサポート)に移行し、障害のある人の職場定着を図ることを目的としています。 日常生活からサポートする  支援機関の一つである「障害者就業・生活支援センター」は、障害者の職業生活における自立を図るため、就業面と生活面の一体的な支援を行う機関です。企業に対して、障害のある人それぞれの障害特性をふまえた相談支援も行っており、2024(令和6)年4月1日時点で全国に337カ所設置されています(※3)。  マンガでは、一例として職場でのサポートは地域障害者職業センター(ジョブコーチによる支援)が行い、医療面での相談も含めた日常生活等に関するサポートは障害者就業・生活支援センターが行う様子を描いています。  職場定着は、障害のある人や社内の担当者の努力に委ねてしまうのではなく、必要に応じて支援機関と連携し、従業員の理解促進も行いながら企業全体で取り組んでいきましょう。  そして、なによりも「働くその人自身をしっかりと見る」ということ、これこそがともに長く働くためにとても重要です。 ※1 職場適応援助者の詳細はこちらをご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06a.html ※2 今号の職場ルポ(6〜11ページ)に企業在籍型ジョブコーチの事例が掲載されています ※3 障害者就業・生活支援センターの一覧はこちらをご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18012.html ★この物語はフィクションです。 【P28-29】 研究開発レポート 職場適応を促進するための相談技法の開発 〜ジョブコーチ支援における活用に向けて〜 障害者職業総合センター職業センター  当機構(JEED)の障害者職業総合センター職業センター(以下「職業センター」)では、気分障害などの精神疾患のある休職者を対象としたジョブデザイン・サポートプログラム(以下「JDSP」)、発達障害者を対象としたワークシステム・サポートプログラム、高次脳機能障害者を対象とした支援プログラムを実施し、就職や復職に向けて必要となる各種スキルの付与などの支援を通じて、効果的な支援技法の開発に取り組んでいます。  本レポートでは、これまでにJDSPを通じて開発してきた、生活習慣やストレス対処などの職場適応を促進するための支援技法をもとに、さまざまな疾患、障害のある方に対するジョブコーチ支援等、個別の相談場面で活用しやすいように改良を加えたツールをとりまとめた冊子、支援マニュアルNo.26「職場適応を促進するための相談技法の開発」、別冊「相談支援ツール集」(2024(令和6)年3月発行)の概要をご紹介します。 【相談支援ツール集の作成について】 ●相談支援ツール集作成の背景  「相談支援ツール集」作成の背景として、地域障害者職業センター(以下「地域センター」)のジョブコーチ支援の対象者や支援内容の変化があげられます。2022年度においては精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者への支援が7割程度を占め、支援内容も作業支援(ミスの軽減、手順の安定、能率の向上など)だけでなく、ストレス対処、体調・疲労の管理、職場の人間関係などの職場適応を図るための支援へと支援内容の幅が広がっています。また、コロナ禍を契機に電話やオンラインを活用した非対面での相談支援や、職場における情報セキュリティ強化の関係から休憩室や会議室など執務場所以外で相談支援を実施するなど、支援方法も多様化してきました。このような変化に対応して「可視化できる」、「コンパクトな相談に対応できる」教材やツールの開発が求められていました。 ●相談支援ツール集の構成・内容  地域センターに個別の相談支援などにおいて活用したい支援プログラムのテーマについてたずねたところ、「生活習慣に関するもの(生活習慣や習慣化のコツ)」、「ストレス対処に関するもの(怒りの対処策、ストレス対処)」などへのニーズが高かったことをふまえ、表1のような相談支援ツール集を作成しました。  相談支援ツール集は、おもに知識付与に活用することができる「資料」と、状況や考え方などを可視化できるワークシートやチェック表などの「シート」から構成されています。 【相談支援ツールの活用事例】  相談支援ツールをジョブコーチ支援において活用した事例を紹介します。 ●課題  夏場の体調不良による早退・欠勤を減らす(朝食を食べる習慣がなかった) ●支援内容  夏を迎える前、支援者から利用者Aさんに「昨年のように夏場に早退や欠勤が増えるのは嫌ですよね」と話をした際、「体力をつけるためには朝食を食べなきゃいけないかなと思っています」との返答がありました。支援者はこの機会をとらえて短い相談時間のなかで、相談支援ツールの【資料】「食事」を用いたミニ講座を実施し、Aさんは食事の重要性について理解を深めました。  あわせて、支援者はAさんと一緒に【資料】「習慣化をめざそう」を読み進めるなかで、「習慣化するまでには約2カ月位かかるみたいですよ」と話すとともに、習慣化をめざして【シート】「行動ノート」が活用できることを提案しました。この提案を受けて、Aさんは「行動ノート」を活用して、行動目標である「毎日、朝食を食べる」ことの習慣化に取り組みました。 ●支援結果  「行動ノート」には、日々の目標達成時に「〇」をつけますが、導入初日から朝食を食べ始め、3カ月間「〇」が続き、朝食の習慣化が図られました。その結果、昨年夏は欠勤が10回だったのが、今夏は1回と大幅に減りました。 【相談支援ツール活用にあたっての留意点】  支援マニュアルではこのように、相談支援ツールを活用した6事例を紹介していますが、どの事例も相談支援ツールを活用する支援者が、効果的な相談や支援ができるよう「工夫」や「気をつけている点」があることがわかりました。それを「相談支援の技(ポイント・留意点)」として、紹介しています。 紹介している「技」の例 ・ツール活用の効果的なタイミングなどモチベーションの引き出し方 ・会社におけるツールの利用方法 ・ツール利用による相談内容の「見える化」などの効果 ・安心できる相談を進めるうえでのツールの活用 ・相談における、受容、傾聴、共感を助けるツールとしての活用  職業センターではこのほかにもさまざまな支援技法を開発・改良し、ホームページなどを通じて支援者の方や事業所の方への普及や共有に努めています。ぜひご活用ください。 ★支援マニュアルNo.26「職場適応を促進するための相談技法の開発」の詳細は以下をご覧ください。 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/support26.html ★障害者職業総合センター 職業センター TEL:043-297-9043 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/center.html 支援マニュアルNo.26別冊 支援マニュアルNo.26 相談支援ツール集「資料」の例(食事) 表1 相談支援ツール集の構成 目的 内容 ツール 生活習慣 導入 「生活習慣」との関連を考える・振り返る 資料 考えてみませんか? 「生活習慣」 シート 生活習慣 自己チェック表 知識付与 「睡眠」 資料 「睡眠」 「食事」 資料 「食事」 「運動」 資料 「運動」 目標設定 「習慣化」についての資料、シートを活用 ストレス対処 導入・知識付与 「状況」を整理する (「体験整理シート」の紹介) 資料 ストレスに感じた出来事を整理する・対処方法検討に役立つ「体験整理シート」を書いてみよう@ 資料 「体験整理シート」を書いてみようA ストレス対処を考えよう 資料 「体験整理シート」を書いてみようB 「対処方法」を検討しよう(効果の検証) シート 体験整理シート(2023版) 対処方法の検討 「思考(頭に浮かんだ考え)」にアプローチする 資料 コラムシートを書いてみよう シート コラムシート 資料 セルフトークを考えてみよう 「気分」にアプローチする 資料 「怒りのしくみ」を知ろう シート 怒りへの対処方法リスト 資料 アンガーログを書いてみよう シート アンガーログ(2023版) 「身体」にアプローチする シート リラクゼーション 対処方法リスト シート 対処方法 リラクゼーション (呼吸法、漸進的筋弛緩法、ウォーキング、ストレッチ) 「行動」にアプローチする 資料 問題状況分析シートを書いてみよう シート 問題状況分析シート(職場での解決策検討用、主治医との相談・通院用) シート ちょっぴり楽になる考え方・行動を考えるシート 資料 コミュニケーションスキル〜アサーション〜 シート DESC法 ワークシート その他 シート ストレス対処整理シート シート 生活記録表(2週間、月間版) シート 業務日報(体調・作業状況週報版、週報版) 習慣化 目標設定 「習慣化」について学ぶ・取り組む 資料 「習慣化をめざそう」 シート 「行動目標を考えよう」 シート 「行動ノート」 【シート】「行動ノート」の活用例 【P30-31】 ニュースファイル 国の動き 厚生労働省 令和6年度「現代の名工」決定  厚生労働省は、令和6年度の「卓越した技能者(通称:現代の名工)」について表彰対象者138人を決定した。このうち「障害がある技能者の部門」では、印判師の山下(やました)弥壽男(やすお)さん(62歳、京都府)とプリント基板組立工の植松(うえまつ)譲(ゆずる)さん(58歳、静岡県)の2人が選ばれた。  聴覚障害のある山下さんは、家業である印章業へ就職と同時に弟子入りし、師匠の技術を見よう見まねで習得。印章彫刻、篆刻(てんこく)において「字法、章法、刀法」を極めた。印面の粗密を考え整った美しさだけでなく力強い印章をつくりあげている。第16回技能グランプリで労働大臣賞を受賞したほか、技能士会長を務め、後進の指導などにも貢献している。  植松さんは、聴覚障害があることで作業指示の伝達がうまくいかなかったが、筋ジストロフィーのある上司のもとで指導を受け改善。プリント基板の試作や改造において極小部品が密集するなかでも手作業で不良なく完成させることができる卓越した技能を有し、第30回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)で金賞を受賞。社内の技能検定の講師なども務めている。 文部科学省 「生涯学習支援活動」を表彰  文部科学省は、令和6年度「障害者の生涯学習支援活動」文部科学大臣表彰の対象者・団体を発表した。本表彰は、障害者が生涯を通じて教育やスポーツ、文化などのさまざまな機会に親しみ豊かな人生を送ることができるよう多様な学習を支援・実践する活動について、ほかの模範と認められるものに対し功労・功績をたたえるもの。  このうち功労者表彰は、10年以上にわたる活動の普及・発展に尽力し、顕著な成果を上げた個人または団体が対象。また奨励活動表彰は、独創的な実践により顕著な成果を上げ、継続して3年以上実施され、今後も発展が期待される活動を対象としている。今回は功労者表彰が40件(個人6件、団体34件)、奨励活動表彰は8件。文部科学省で対面とオンラインにて表彰式と事例発表会が開催された。被表彰者については文部科学省のホームページで紹介している。 https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00098.html 地方の動き 茨城 鉄道・バス連携のナビシステム  つくば市は、つくばエクスプレスつくば駅とつくばセンターバスターミナル間の視覚障害者の移動をサポートするため、首都圏新都市鉄道株式会社(東京都)と共同で視覚障害者向けのナビゲーションシステム「shikAI(シカイ)」を導入したと発表した。鉄道の駅構内と自治体が管理するバスターミナルの道順を公共交通機関が相互に連携し案内する。この取組みは全国初。  同市が連携協定を結んでいる国立大学法人筑波技術大学(茨城県)の協力のもと2023(令和5)年から実証実験を行い、安全性や利便性などの検証ができたという。shikAIは、点字ブロック上に表示された二次元コードを、専用アプリで起動したスマートフォンのカメラで読み取ることで、現在地から目的地までの正確な移動ルートを音声で誘導案内をするシステム。開発はリンクス株式会社(東京都)。アプリは現在iPhoneのみの対応で、利用は無料(通信料は利用者負担)。 働く 全国 「脳が脱皮する美術館」グッドデザイン賞  一般社団法人シブヤフォント(東京都)と株式会社フクフクプラス(東京都)、一般社団法人FUKU(フク)・WARAI(ワライ)(東京都)が共創する「障害者アートのアートサービス『脳が脱皮する美術館』」が、2024年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞した。  障害者アートを美術的な評価に加え、新たな視点からアートの価値を創出し、障害者の社会参加、収入支援を生み出すものとしてデザイン。障害者アートを活用した企業や教育機関への人財育成プログラム「対話型アート鑑賞」は5000人以上が体験し、「アートレンタル」でも実証実験を行い、障害者アートが社内環境向上に効果的なことを証明したとされる。  デザインのポイントは@社会貢献だけでなく、本サービスを導入する企業ニーズ(人財育成、オフィス環境良化)をふまえて設計、A障害者が運営スタッフ(アートの設置交換)としてたずさわるなど、収入支援と就労機会の創出への組込み、などがあげられている。  審査員の評価として「障害者アートに関連した活動は全国においてさまざま見られるが、アートレンタルや対話型鑑賞を中心とした従来とは少し異なる側面からのアートの広がりを感じさせる活動が評価された。作品に触れることを通して障害者との直接の交流や対話が生まれ、障害への理解を深める活動は非常に重要」などとしている。 https://www.g-mark.org/gallery/winners/22125 本紹介 『発達障害白書 2025年版』  公益社団法人日本発達障害連盟(東京都)は、『発達障害白書2025年版』(明石書店刊)を出版した。同連盟の構成団体は、一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会(東京都)、公益財団法人日本知的障害者福祉協会(東京都)、全日本特別支援教育研究連盟(東京都)、一般社団法人日本発達障害学会(東京都)の4団体。  本書では、「特集1」で、2024(令和6)年1月1日に起きた能登半島地震における障害児者の状況について取り上げ、「特集2」では2023年4月に発足した「こども家庭庁」におけるこの1年の障害児支援施策の評価と今後の課題を論じている。このほか2023年度の動向について、発達障害の理解、医療、子ども・家族支援、教育、社会参加、住まい、地域での暮らし、労働、権利擁護・本人活動、文化・社会活動、国際動向の分野ごとに「時の話題」も交えながら紹介している。  このうち労働については「インクルーシブな働き方を切り口に雇用の質の向上を展望する」、「国連権利条約が求めるインクルーシブな働き方と特例子会社」、「農福連携において農作業がもたらす効果」、「障害者雇用代行ビジネスをどのように見るか」といった項目のほか、時の話題として「働く発達障害者の『生の声』」なども紹介している。B5判、216ページ、3300円(税込)。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 2024年度地方アビリンピック開催予定 1月〜2月 東京都、京都府、香川県、佐賀県 *開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります * は開催終了 地方アビリンピック 検索 ※日程や会場については、変更となる場合があります。 ※全国アビリンピックが11月22日(金)〜11月24日(日)に、愛知県で開催されました。開催の模様は「働く広場」2025年3月号で特集します。 地図文字 東京 京都 香川 佐賀県 お知らせ 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでいつでもお読みいただけます!  本誌はJEEDホームページで、デジタルブックとしても公開しており、いつでも無料でお読みいただけます。  また、最新号は毎月5日ごろにJEEDのホームページに掲載されます。掲載をお知らせするメール配信サービスもございますのであわせてご利用ください。 JEED 働く広場 検索 ※2020年4月号〜最新号まで掲載しています 【P32】 掲示板 第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会 動画等掲載のお知らせ  JEEDは、2024(令和6)年11月13日(水)および14日(木)の2日間、東京ビッグサイトにおいて、「第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会」を開催しました。  当日は、病院での障害者雇用体制の構築をテーマとした特別講演や、職場でのコミュニケーションの課題等をテーマとしたパネルディスカッション等を行い、約960名の方にご来場いただきました。  このたび、その内容をより多くの方に発信するため、障害者職業総合センター(NIVR)ホームページに動画や発表資料等を掲載しました。ぜひご覧ください。 https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/vrhappyou-index.html NIVR 検索 〈お問合せ先〉 研究企画部企画調整室 TEL:043-297-9067 E-mail:vrsr@jeed.go.jp 読者アンケートにご協力をお願いします! 回答はこちらから メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 次号予告 ●私のひとこと  アール・ブリュット作品を数多く収蔵する滋賀県立美術館でディレクター(館長)を務める保坂健二朗さんに、アール・ブリュット作品の収蔵、展示から見えてきたことなどについてご執筆いただきます。 ●職場ルポ  カニを材料とした加工製品および冷凍食品の製造、販売などを行う日本海冷凍魚株式会社(鳥取県)を取材。特別支援学校等からの職場実習を受け入れて障害者雇用に取り組む現場をレポートします。 ●グラビア  公園の管理運営などを行う総合建設業の大畑建設株式会社(島根県)を訪問。長い間活躍している障害のある従業員を取材します。 ●編集委員が行く  菊地一文編集委員が、青森県特別支援学校技能検定・発表会を取材。会場の様子や参加校の取組みについて紹介します。 有料販売終了のお知らせ 2024年12月31日をもって、本誌の有料販売(富士山マガジンサービス、株式会社広済堂ネクストより販売分)を終了いたします。 定期購読されている方につきましては別途お知らせいたします。 突然のお知らせとなり誠に申し訳ございません。これまでご購入いただきありがとうございました。 ※JEEDよりお送りしているみなさまには、今後も引き続きお送りいたします。 また、本誌はホームページへ掲載しているデジタルブックからもご覧いただけますので、今後とも引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 トヨタループス株式会社 管理部次長 金井渉 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 弘前大学教職大学院 教授 菊地一文 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 サントリービバレッジソリューション株式会社 人事本部 副部長 平岡典子 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 教授 八重田淳 国際医療福祉大学 准教授 若林功 あなたの原稿をお待ちしています ■声−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 鈴井秀彦 編集人−−企画部次長 綱川香代子 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 電話 043-213-6200(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105-8318 東京都港区芝浦1-2-3 シーバンスS館13階 電話 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 定価141円(本体129円+税)送料別 令和6年12月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。また、本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【P33】 ホームページはこちら (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 各都道府県支部高齢・障害者業務課 所在地等一覧  JEEDでは、各都道府県支部高齢・障害者業務課等において高齢者・障害者の雇用支援のための業務(相談・援助、給付金・助成金の支給、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等)を実施しています。 2024年12月25日現在 名称 所在地 電話番号(代表) 北海道支部高齢・障害者業務課 〒063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 青森支部高齢・障害者業務課 〒030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 岩手支部高齢・障害者業務課 〒020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 019-654-2081 宮城支部高齢・障害者業務課 〒985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 秋田支部高齢・障害者業務課 〒010-0101 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 山形支部高齢・障害者業務課 〒990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 福島支部高齢・障害者業務課 〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 茨城支部高齢・障害者業務課 〒310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 029-300-1215 栃木支部高齢・障害者業務課 〒320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 028-650-6226 群馬支部高齢・障害者業務課 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-287-1511 埼玉支部高齢・障害者業務課 〒336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内 048-813-1112 千葉支部高齢・障害者業務課 〒263-0004 千葉市稲毛区六方町274 千葉職業能力開発促進センター内 043-304-7730 東京支部高齢・障害者業務課 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2794 東京支部高齢・障害者窓口サービス課 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2284 神奈川支部高齢・障害者業務課 〒241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 新潟支部高齢・障害者業務課 〒951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21 ビル12階 025-226-6011 富山支部高齢・障害者業務課 〒933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 石川支部高齢・障害者業務課 〒920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 福井支部高齢・障害者業務課 〒915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 山梨支部高齢・障害者業務課 〒400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 長野支部高齢・障害者業務課 〒381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 026-258-6001 岐阜支部高齢・障害者業務課 〒500-8842 岐阜市金町5-25 G-front U 7階 058-265-5823 静岡支部高齢・障害者業務課 〒422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 愛知支部高齢・障害者業務課 〒460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MI テラス名古屋伏見4階 052-218-3385 三重支部高齢・障害者業務課 〒514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 059-213-9255 滋賀支部高齢・障害者業務課 〒520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 京都支部高齢・障害者業務課 〒617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 大阪支部高齢・障害者業務課 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0782 大阪支部高齢・障害者窓口サービス課 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0722 兵庫支部高齢・障害者業務課 〒661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 奈良支部高齢・障害者業務課 〒634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 0744-22-5232 和歌山支部高齢・障害者業務課 〒640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 鳥取支部高齢・障害者業務課 〒689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 島根支部高齢・障害者業務課 〒690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 0852-60-1677 岡山支部高齢・障害者業務課 〒700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 広島支部高齢・障害者業務課 〒730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 山口支部高齢・障害者業務課 〒753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 徳島支部高齢・障害者業務課 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 088-611-2388 香川支部高齢・障害者業務課 〒761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 愛媛支部高齢・障害者業務課 〒791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 089-905-6780 高知支部高齢・障害者業務課 〒781-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 088-837-1160 福岡支部高齢・障害者業務課 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 092-718-1310 佐賀支部高齢・障害者業務課 〒849-0911 佐賀市兵庫町若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 0952-37-9117 長崎支部高齢・障害者業務課 〒854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 0957-35-4721 熊本支部高齢・障害者業務課 〒861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 096-249-1888 大分支部高齢・障害者業務課 〒870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 097-522-7255 宮崎支部高齢・障害者業務課 〒880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 0985-51-1556 鹿児島支部高齢・障害者業務課 〒890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 099-813-0132 沖縄支部高齢・障害者業務課 〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階 098-941-3301 【裏表紙】 事業主の方へ 指導者(障害のある方を指導する方)育成に役立つ 研修受講者募集 令和7年度コースは3月3日(月)より受付開始!!  職業能力開発総合大学校では、職業訓練や企業において教育・指導にたずさわる方々を対象とした研修を実施しています。実際に教育訓練を担当される方が指導するにあたって必要な知識および技能・技術を習得するための研修をはじめ、精神・発達障害への配慮や支援に役立つ研修もありますので、ぜひご利用ください。 【研修コースの例】  「精神・発達障害関係の指導員研修」として、@「【通信活用研修】精神・発達障害と似た行動をする訓練生への支援T(理解と接し方)」A「【通信活用研修】精神・発達障害と似た行動をする訓練生への支援U(訓練の支援と支援体制)」の研修コースを用意しており、段階的に受講することができます。 【研修期間・研修会場・受講料の例】 ・研修期間 1コース 2〜3日 ・研修会場 職業能力開発総合大学校など ・受講料 1コース 6,000円〜 ※研修期間、研修会場および受講料は、コースにより異なりますので、詳細は職業能力開発総合大学校研修部までお問い合わせください。 研修コースの内容や申込方法などの詳細はホームページで! 職業大研修 検索 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 職業能力開発総合大学校 研修部 〒187-0035 東京都小平市小川西町2-32-1 TEL:042-346-7234 FAX:042-346-7478 https://www.uitec.jeed.go.jp/training/index.html 1月号 令和6年12月25日発行 通巻567号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)