ニュースファイル 国の動き 厚生労働省 令和6年度「現代の名工」決定  厚生労働省は、令和6年度の「卓越した技能者(通称:現代の名工)」について表彰対象者138人を決定した。このうち「障害がある技能者の部門」では、印判師の山下(やました)弥壽男(やすお)さん(62歳、京都府)とプリント基板組立工の植松(うえまつ)譲(ゆずる)さん(58歳、静岡県)の2人が選ばれた。  聴覚障害のある山下さんは、家業である印章業へ就職と同時に弟子入りし、師匠の技術を見よう見まねで習得。印章彫刻、篆刻(てんこく)において「字法、章法、刀法」を極めた。印面の粗密を考え整った美しさだけでなく力強い印章をつくりあげている。第16回技能グランプリで労働大臣賞を受賞したほか、技能士会長を務め、後進の指導などにも貢献している。  植松さんは、聴覚障害があることで作業指示の伝達がうまくいかなかったが、筋ジストロフィーのある上司のもとで指導を受け改善。プリント基板の試作や改造において極小部品が密集するなかでも手作業で不良なく完成させることができる卓越した技能を有し、第30回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)で金賞を受賞。社内の技能検定の講師なども務めている。 文部科学省 「生涯学習支援活動」を表彰  文部科学省は、令和6年度「障害者の生涯学習支援活動」文部科学大臣表彰の対象者・団体を発表した。本表彰は、障害者が生涯を通じて教育やスポーツ、文化などのさまざまな機会に親しみ豊かな人生を送ることができるよう多様な学習を支援・実践する活動について、ほかの模範と認められるものに対し功労・功績をたたえるもの。  このうち功労者表彰は、10年以上にわたる活動の普及・発展に尽力し、顕著な成果を上げた個人または団体が対象。また奨励活動表彰は、独創的な実践により顕著な成果を上げ、継続して3年以上実施され、今後も発展が期待される活動を対象としている。今回は功労者表彰が40件(個人6件、団体34件)、奨励活動表彰は8件。文部科学省で対面とオンラインにて表彰式と事例発表会が開催された。被表彰者については文部科学省のホームページで紹介している。 https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00098.html 地方の動き 茨城 鉄道・バス連携のナビシステム  つくば市は、つくばエクスプレスつくば駅とつくばセンターバスターミナル間の視覚障害者の移動をサポートするため、首都圏新都市鉄道株式会社(東京都)と共同で視覚障害者向けのナビゲーションシステム「shikAI(シカイ)」を導入したと発表した。鉄道の駅構内と自治体が管理するバスターミナルの道順を公共交通機関が相互に連携し案内する。この取組みは全国初。  同市が連携協定を結んでいる国立大学法人筑波技術大学(茨城県)の協力のもと2023(令和5)年から実証実験を行い、安全性や利便性などの検証ができたという。shikAIは、点字ブロック上に表示された二次元コードを、専用アプリで起動したスマートフォンのカメラで読み取ることで、現在地から目的地までの正確な移動ルートを音声で誘導案内をするシステム。開発はリンクス株式会社(東京都)。アプリは現在iPhoneのみの対応で、利用は無料(通信料は利用者負担)。 働く 全国 「脳が脱皮する美術館」グッドデザイン賞  一般社団法人シブヤフォント(東京都)と株式会社フクフクプラス(東京都)、一般社団法人FUKU(フク)・WARAI(ワライ)(東京都)が共創する「障害者アートのアートサービス『脳が脱皮する美術館』」が、2024年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞した。  障害者アートを美術的な評価に加え、新たな視点からアートの価値を創出し、障害者の社会参加、収入支援を生み出すものとしてデザイン。障害者アートを活用した企業や教育機関への人財育成プログラム「対話型アート鑑賞」は5000人以上が体験し、「アートレンタル」でも実証実験を行い、障害者アートが社内環境向上に効果的なことを証明したとされる。  デザインのポイントは@社会貢献だけでなく、本サービスを導入する企業ニーズ(人財育成、オフィス環境良化)をふまえて設計、A障害者が運営スタッフ(アートの設置交換)としてたずさわるなど、収入支援と就労機会の創出への組込み、などがあげられている。  審査員の評価として「障害者アートに関連した活動は全国においてさまざま見られるが、アートレンタルや対話型鑑賞を中心とした従来とは少し異なる側面からのアートの広がりを感じさせる活動が評価された。作品に触れることを通して障害者との直接の交流や対話が生まれ、障害への理解を深める活動は非常に重要」などとしている。 https://www.g-mark.org/gallery/winners/22125 本紹介 『発達障害白書 2025年版』  公益社団法人日本発達障害連盟(東京都)は、『発達障害白書2025年版』(明石書店刊)を出版した。同連盟の構成団体は、一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会(東京都)、公益財団法人日本知的障害者福祉協会(東京都)、全日本特別支援教育研究連盟(東京都)、一般社団法人日本発達障害学会(東京都)の4団体。  本書では、「特集1」で、2024(令和6)年1月1日に起きた能登半島地震における障害児者の状況について取り上げ、「特集2」では2023年4月に発足した「こども家庭庁」におけるこの1年の障害児支援施策の評価と今後の課題を論じている。このほか2023年度の動向について、発達障害の理解、医療、子ども・家族支援、教育、社会参加、住まい、地域での暮らし、労働、権利擁護・本人活動、文化・社会活動、国際動向の分野ごとに「時の話題」も交えながら紹介している。  このうち労働については「インクルーシブな働き方を切り口に雇用の質の向上を展望する」、「国連権利条約が求めるインクルーシブな働き方と特例子会社」、「農福連携において農作業がもたらす効果」、「障害者雇用代行ビジネスをどのように見るか」といった項目のほか、時の話題として「働く発達障害者の『生の声』」なども紹介している。B5判、216ページ、3300円(税込)。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 2024年度地方アビリンピック開催予定 1月〜2月 東京都、京都府、香川県、佐賀県 *開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります * は開催終了 地方アビリンピック 検索 ※日程や会場については、変更となる場合があります。 ※全国アビリンピックが11月22日(金)〜11月24日(日)に、愛知県で開催されました。開催の模様は「働く広場」2025年3月号で特集します。 地図文字 東京 京都 香川 佐賀県 お知らせ 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでいつでもお読みいただけます!  本誌はJEEDホームページで、デジタルブックとしても公開しており、いつでも無料でお読みいただけます。  また、最新号は毎月5日ごろにJEEDのホームページに掲載されます。掲載をお知らせするメール配信サービスもございますのであわせてご利用ください。 JEED 働く広場 検索 ※2020年4月号〜最新号まで掲載しています