グラビア 働き続けたい職場 〜個々の特性を活かして働く〜 大畑建設株式会社(島根県) 取材先データ 大畑建設株式会社 〒698-0012 島根県益田市(ますだし)大谷町(おおたにちょう)36-3 TEL 0856-23-3530 FAX 0856-23-0935 写真・文:官野貴  島根県益田市に本社を置く大畑建設株式会社は、土木や建築をはじめ、造園、公園管理運営など総合建設業として幅広い業務を行っている。同社では、身体障害や知的障害のある従業員6人が、個々の特性を活かして事務や造園、公園管理などさまざまな仕事で活躍している。  入社10年目の井上(いのうえ)楓(かえで)さん(29歳)もその一人。井上さんは、高校卒業後、当機構(JEED)の国立吉備高原職業リハビリテーションセンターで、機械CADを学んだ。「地元で働きたい」との思いから同社に入社し、現在は経営管理部において事務系業務を担当している。脳性麻痺(まひ)により右手が不自由な井上さんは、片手で日本語やアルファベット、数字などが入力できる日本語入力補助キーボードを駆使して、会計伝票などの入力を行っている。  造園部で働く入社13年目の日熊(ひのくま)新次(しんじ)さん(53歳)は、島根県立サッカー場で芝の管理にたずさわる。同サッカー場の天然芝は、サッカーのプロリーグが開催されるスタジアムと同じ仕様であり、その維持には日々の手入れが欠かせない。知的障害のある日熊さんは、上長や同僚とともに青々とした芝の維持管理に尽力しており、同社を「長く働き続けたい職場」だと語る。  入社20年目の岡おか崎ざき則幸(のりゆき)さん(59歳)は、同社における障害者雇用のきっかけとなった従業員だ。同社が県立万葉(まんよう)公園の指定管理者となった際、前の指定管理者のときから万葉公園で働いていた知的障害のある岡崎さんを雇用。維持管理作業員としての十分な仕事ぶりが、障害者雇用に取り組むきっかけとなった。岡崎さんは「体力の続くかぎり、働き続けたいです」と語る。  同社では、障害のある従業員が貴重な戦力となっており、「地域、社会に貢献する」という経営理念のもと、今後も障害者雇用に積極的に取り組んでいくという。 写真のキャプション 日本語入力補助キーボードを使って伝票を入力する井上楓さん 補助キーボードは、国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでの職業訓練中に講師のすすめで使い始めた パソコンでの作業のほか、書類のファイリング作業などさまざまな業務をこなす 麻痺のある右手もうまく使い、事務作業にあたる 島根県立サッカー場のバックスタンドで芝刈りを行う日熊新次さん カートに取りつけたブラシで、グランドの芝についた朝露を落とす。芝刈り前の大切な工程だ 刈り取った芝を回収し、トラックに積み込む 強い風を手軽に送り出せる大型ブロワーを使った清掃も、日熊さんが担当する作業の一つ 安全エプロンやフェイスガードを身に着け、刈払機で除草作業を行う岡崎則幸さん トイレの清掃。洗面台の水滴をきれいに拭き取る 岡崎さんは、刈払機や大型ブロワーなどを使いこなして、維持管理作業を行う 花壇の手入れ。植え替えに備えて、土中の根をていねいに取り除く